昨年の記事。一応、産経新聞の喜びそうなこともおっしゃっているんですが、日本がいかにダメかというのがメインの話を昨年掲載していました。(2016/8/14)
2017/08/04追加:東條英機陸相、「日本は必ず負ける」の分析を無視していた
●太平洋戦争は日本の思い上がりのせい 産経新聞が証言を載せる
2016/8/14:「思い上がり」という産経新聞読者がすごく嫌がりそうなことを書いていたのが、以下の部分。
戦中派から君たちへ 元法相・奥野誠亮さん、正しい歴史受け継いで 産経新聞 2015.8.18 15:10
戦争終結は天皇陛下の言葉がなければ陸軍が収まらず、日本は滅びていただろう。戦略なきまま戦争に突入してしまった。思い上がっちゃったんだ。日本全部が。
産経新聞らしさがまだあったのは、この後の部分です。
ただあの戦争で日本だけが悪者になるのはおかしい。いいところもあれば悪いところもあった。正しい歴史を伝えて、この国のよさはしっかりと受け継いでいってほしい。
●沖縄を見捨てて、他の国民も道連れにする気だった陸軍
最初の「思い上がっちゃったんだ」だけでなく、その前でも悪い話ばかりが実は書かれていました。
・当時陸軍は内務省に2つの注文をしてきた。1つは「いずれ沖縄は放棄せざるを得ないが、降伏はしない。本土で必ず勝利を収めるから、それに対応した行政組織を作ってほしい」。2つ目は「国民も軍に協力して戦えるようにしてほしい」ということだった。
産経新聞とスタンスの合うネット保守は沖縄を叩く人が多いですが、上記は沖縄を見捨てるつもりだったというクソみたいな話。
そして、2つ目もやはりクズな発想。内務省の灘尾弘吉事務次官は、「軍が国民を道連れにしようとしている。けしからん」「国民が協力しろといってもなんの武器もない。あるのは竹やりだけじゃないか」と言っていたそうです。
●歴史を消した奥野誠亮元法相が「正しい歴史を伝えて」と言うおかしさ
ただ、記事でメインであった奥野誠亮さんというのも、そもそも「正しい歴史を伝えて」なんて口にできる人間ではないだろうという指摘がネットの反応でありました。歴史を消すことを提案した人のためです。
usi4444 "戦犯証拠隠滅実行犯が「正しい歴史受け継いで」とは聞いて呆れる。「私が「証拠にされるような公文書は全部焼かせてしまおう」と言った。犯罪人を出さないためにね。」http://www.yomiuri.co.jp/matome/sengo70/20150810-OYT8T50122.html "
(
はてなブックマーク - 戦中派から君たちへ 元法相・奥野誠亮さん、正しい歴史受け継いで- 記事詳細|Infoseekニュース)
内務官僚時代
長崎への原爆投下がされた翌朝に、内務省が各省庁の官房長を集めて会議を開いたが、当時、同省地方局戦時業務課の事務官をしており、ポツダム宣言に「戦争犯罪人は処罰する」(第10条)と書かれていたため、戦犯を出さないように公文書の焼却(=証拠隠滅)を提案した[1]。
●米軍暗号を解読していた日本
上記とは関係ないのですが、ついでにもう一つ、戦中の話を。
千の証言:戦後70年 いま語らねば 米軍暗号、幻の解読 東大生、終戦直前に論文 毎日新聞 2015年08月16日 東京朝刊
太平洋戦争末期の1945年5月、大本営参謀本部は東京大数学科2年の学生20人を徴用し、終戦まで米軍の暗号を解読させていた。かん口令が敷かれその実態はほとんど分かっていないが、当時の学生3人が初めて取材に応じ「一部解読できた」と証言した。【川上晃弘】
「どうだ、やっぱり日本はすごいんだぞ!」という話に持って行かれそうですが、そういう感じではなさげです。
というのも、指示されてまとめた論文の提出日は、「45年8月11日」。本当に終戦ギリギリ。また、「機密度の低い報告だったかもしれないが、その時は高揚感があった」(一松信(ひとつまつしん)さん(89)=京都大名誉教授)とあったように、そもそもどれくらいの意味があった活動なのか不明なのです。
特情部に在籍した元陸軍中佐は戦後、「解読は80%成功を収めた」と手記に書いたが、一松さんは懐疑的だ。「ある程度解読できたのは確かだが、解読した情報がどの程度の機密だったかさえ、知らされていなかった」
数学史家の木村洋(ひろし)氏は「軍は燃料不足などもあり、東大生の成果を活用できる環境になかった」と指摘する。
こちらも美化してホクホクするような話ではなさそうでした。
●東條英機陸相、「日本は必ず負ける」の分析を無視していた
2017/08/04:左翼の捏造だ!と思うかもしれませんけど、最近の都知事では保守派からの人気が高い猪瀬直樹さんが書いた「昭和16年夏の敗戦」に以下のような話があるそうです。
1941年8月、首相に直属していた総力戦研究所という組織が、米国と戦争すれば日本は必ず負ける、とする分析を内閣に伝えました。これに対し、東條英機・陸軍大臣は「戦争というものは計画通りにいかない」とコメントし、この分析を重視しなかったようです。
(
2016/12/29付 日本経済新聞 朝刊 春秋より)
普通「計画通りにいかない」ってのは、うまくいかない可能性があるから十分に準備する…という場面に使うのですが、よりによってこのバカは正反対のような場面で使って「思い上がり」の戦争をしてしまったようです。
こういう風に現実を無視して結論ありきで物事を進めるというのは、残念ながら今でもよくあること。最近ですと、東芝が政府の圧力で無謀な買収を行って倒産の危機に瀕していることや、同じく政府の圧力で東芝が高額な鴻海の半導体買収案を蹴って政府系の産業革新機構らと優先交渉している例があります。
結露ありきでことを進めることに問題があるというのは、戦争に限らず万事に言えることですので、心に留めておいてほしいです。
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