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サムスンだけ勝手にやってろw 有機ELで日本が韓国より遅れた理由


2016/8/21:
●日本の技術は本当に狙われてる?韓国が先行している有機EL技術
●「サムスンだけ勝手にやってろ」液晶重視だった日本のパネル業界
●韓国の有機ELの部品は結局日本なので日本が韓国に勝っている?
●中国のスマホメーカーも有機EL重視…ただ今後は自作の可能性も
2020/02/24:
●その後サムスンは落ちぶれた?液晶と有機EL中小型パネルのシェア
2021/02/12:
●有機ELスマホはデメリットだらけ…批判を続けていた日本 【NEW】
●「日本企業は有機ELに力を入れるべきではない」と業界紙が書いてた 【NEW】
●スマホメーカーが脱有機ELで液晶に回帰と日経新聞も報道 【NEW】
●有機ELスマホは本当に増えたのか?ディスプレイ世界シェアを見る 【NEW】


●日本の技術は本当に狙われてる?韓国が先行している有機EL技術

2016/8/21:鴻海のシャープ買収について、技術を盗みたいだけだと言っている人がいます。しかし、そもそも日本の現在の企業の技術は高くないという見方があり、妥当どうかは不明です。また、似たような買収の狙いの説明で、有機EL技術が欲しいだけというのも見かけました。

 ただ、これもまた「有機ELよりもIGZOを推したい」と郭台銘(テリー・ゴー)CEOが言っているように、怪しいものがありそう。そもそも有機EL技術ではむしろ日本は遅れた国という理解が一般的なためです。例えば、アップルとサムスンが迫った「有機EL革命」:日経ビジネスオンライン(齊藤 美保 2016年5月30日)という記事では、「主役は韓台中、日本は脇役に」という小見出しも見られており、以下のように書いていました。

<先行する韓国勢は投資を加速、中国勢も液晶向けの投資を続々と有機ELへ切り替えるほか、日本のジャパンディスプレイ(JDI)や鴻海傘下のシャープも2018年の立ち上げに向けて開発を急ぐ>


●「サムスンだけ勝手にやってろ」液晶重視だった日本のパネル業界

 この記事の場合、そもそもサムスン以外は有機ELに冷淡だったとの解説でした。まず、2007年から小型有機ELパネルを量産しているサムスンディスプレーは、2009年から発売する自社(サムスン電子)のスマートフォンに有機ELパネルを採用してきています。

 このように自社で生産した有機ELパネルを、自社のスマホ向けに使用している分には、他のパネルメーカーへの影響はさほどなかったそうです。実際、年間13億台のスマホ世界市場のうち、サムスンの年間販売台数は約3億台でした。

 そのため、「残り10億台はほとんどがまだ液晶。サムスンだけ勝手に自社向けに有機ELをやっていればいい」と見る向きがパネル業界の大勢だったそうです。しかし、この状況が2015年の秋以降徐々に変わってしまった…ということのようです。


●韓国の有機ELの部品は結局日本なので日本が韓国に勝っている?

 一方で、韓国は日本の部品メーカーから買っているだけなので、日本が勝っているというこれまた別の方向性の反論も見かけました。手を変え品を変え、何かと「日本すごい!」と言いたい感じです。

 ただ、前述の<日本のジャパンディスプレイ(JDI)や鴻海傘下のシャープも2018年の立ち上げに向けて開発を急ぐ>という書き方からすると、日本は「遅れている」と考えるのが妥当だと思われます。日本が先行しているのであれば、「開発を急ぐ」必要はありませんからね。

 また、直接的な証拠ではありませんが、日本が勝っているという主張は攻撃的な文章でしたので、根拠がないほど攻撃的な口調になるという傾向からすると、怪しさを感じてしまう主張でもありました。


●韓国サムスンがほぼ独占のスマホ向け中小型有機ELパネル

 とりあえず、報道としては日本は韓国より遅れているというのが一般的です。別記事の有機EL、量産間近。日本企業は「主役」になれるか。 2016年03月28日 (文=後藤信之、水嶋真人、堀田創平)ニュースイッチもそういう記事でした。
 現状ではスマホ向けで実績のあるサムスンディスプレイと、アップルの腕時計型端末「アップルウォッチ」向けに量産を始めているLGディスプレイの韓国2社がフレキシブル有機ELで先行している。両社は大規模な生産増強の準備も進める。

 米IHSテクノロジーによると、中小型液晶パネルの15年のシェアは、JDIが21・4%、LGディスプレイが17・6%、シャープが13・1%と日本勢は存在感を示していた。だが有機ELシフトが進めば、ビジネスの根幹が揺らいでしまうだけに、JDIは有機ELの量産に乗り出すことを15年に決めた。

 資金不足で出遅れていたシャープも31日に鴻海側と買収契約を結ぶ。支援を受け、2000億円を投じて体制を整える方針。両社ともに18年が量産開始のターゲットでアップルからの受注獲得を目指す。

 ああ、ここでは日本からの部品供給の話が出ていました。日本が勝っているという主張をするには、こちらの方向性の方が有望ですね。ただ、サムスンが市場を独占しているという話とセットになっています。
 住友化学は16年10月に、スマホに使う中小型有機ELパネル向けタッチセンサーパネルの生産能力を4割増強する。タッチセンサーパネルはガラス表面に微細な回路を作り込むことで、画面を指先で触れて入力できる。韓国子会社の東友ファインケム(平沢市)に約200億円を投じ、生産設備を増設する。

 スマホ用の中小型有機ELパネルをほぼ独占する韓国サムスングループを中心に納入している。韓国勢が相次ぎ有機ELパネルの増産投資を打ち出すなか、需要増に対応した供給体制を整える狙いだ。

●中国のスマホメーカーも有機EL重視…ただ今後は自作の可能性も

 なお、最初の記事では、有機ELの利用者としては、中国企業も進んでいるという話が出ていました。中価格帯以上を中心に商品をそろえるオッポなんかは、今後、中高価格帯のスマホを全て有機ELに切り替えるだろうと見られています。ここはブランド力も備えているというのがおもしろいですね。安かろう悪かろうじゃないようです。この話とともにさっきの日本メーカーによる部品供給の話で思い出したのが、アップルや韓国サムスンの危機が、日本が復活せずマイナスとなる理由という投稿でした。

 長内厚・早稲田大学ビジネススクール准教授は、中国はあらゆる部品を中国で内製することになると見ていましたし、今は大事な日本メーカーのお得意さまであるサムスンもいずれは内製化するだろうと見ていました。つまり、日本メーカーが部品によって稼ぐという状況もまた長く続かず、いずれ終わるだろうという見方です。

 なので、長内准教授は、日本メーカーはあらゆる最終製品をグローバルに売っていくよう頑張れ!ってことだったんですが、私はそれも無謀じゃね?と感じています。当時も書いたように、日本メーカーはたとえ規模が縮小したとしても、それぞれの長所を活かすことに専念した方が生き残りやすいのではないかと思っています。


●その後サムスンは落ちぶれた?液晶と有機EL中小型パネルのシェア

2020/02/24:その後、韓国が落ちぶれたという可能性を考えて検索。すると、中小型パネルとは 有機ELはサムスンが圧倒的シェア  :日本経済新聞(2019/4/4)という記事が出てきました。

 中小型パネルというのは、スマホの他タブレットやノートパソコンなどにの映像表示に使う部材。有機ELの中小型パネルの場合、韓国のサムスン電子がこの方式に取り組んでおり、圧倒的な世界シェアを持つとのこと。ただ、記事では、細かい数字の話はありませんでした。

 一方、液晶の場合は、日本のJDIがこの方式で1割超の世界シェアを持っています。また、韓国のLGディスプレーも高いシェアを持つとのこと。こちらもやはり細かい数字の話はありませんでした。なお、このJDIも台中勢傘下となっており、「日本の」という表現も微妙になっています。

 液晶・有機EL両方の方式を含めた数字なのか、液晶だけの数字なのかよくわからないのですけど円グラフがあり、日本のJDIは10%を占めていました。ただ、8.6%の韓国のLGディスプレーや伸びている中国企業が接近しているなど、JDIレベルの企業が他にもある上に、1位は韓国のサムスン電子で33.9%とまだまだかなりの差があるようです。


●有機ELスマホはデメリットだらけ…批判を続けていた日本

2021/02/12:EVなら日本に勝てると中国が優遇も失敗 HVで日本が復活できる理由は、EVよりHVの方が有望といった話をまとめたもの。ここでで使った記事2030年代に入っても「EVが主流になることはない」これだけの理由 豊田章男トヨタ社長の懸念に応える| PRESIDENT Online(2020/12/18)もそういう内容でした。

 この記事に対するはてなブックマークでは、スマホに関するもの、また、こちらのページでもともと書いていた有機ELに関する反応がいくつか出ていました。EVが普及するかどうかは正直わからないのですが、有機ELやスマホが日本の根拠なき希望的観測が外れた代表例となっているのは興味深いですね。

hyoutenka20 有機ELは高コストだし焼き付くし話題性だけで液晶の優位は将来も変わらない…とか数年前にはよく聞いた気がするけど、今やスマホの多くは有機ELになったし、こういう言説を素直に受容できない体質になってしまった
Euterpe2 スマートフォンに背を向けていたらAppleやらGoogleやらSamsungやらASUSやらに全てを持っていかれた国のコンサルタントらしい発想に基づく駄文
grdgs 「i-mode」「デザイン・UX・低価格より機能てんこ盛り」「有機ELより液晶」「ソフトよりハード」すっかり日本のお家芸になったな。身につけた思想を頑として変えない頑迷な老人のよう。


●「日本企業は有機ELに力を入れるべきではない」と業界紙が書いてた

 実際に過去に有機EL批判の記事があったのだろうか?と検索。日本ではなく台湾の鴻海会長の懐疑論をタイトルに持ってきた記事ですが、2016年05月17日の有機ELへの期待は高すぎないか?「某社の罠」(鴻海会長)|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社がそういうものでした。サブタイトルには「ジャパンディスプレイとシャープは液晶との両にらみ。投資には慎重姿勢」とあります。

 わかりやすいのは、本文よりあとがき部分。作者の後藤信之・編集局ニュースセンター副部長は、有機ELパネルについての取材を通じ、「あまり乗り気でない人も結構多い」と感じたことが、今回の記事を書くに至ったきっかけであり、日本企業は有機ELに力を入れるべきではないとまとめています。

<記事では有機ELの欠点をいくつか挙げました。もちろん今後の技術革新でこれらの課題が解決され、有機ELは主役の座を射止めるかもしれません。しかし日系勢は必要以上に焦る必要はないと感じます。先行するサムスンのフォロワーとして、技術動向や市場性を見極めながら、適切なタイミングで投資判断をしてほしいと思います>

 本文では、自ら発光する材料を使う有機ELパネルは、画像が鮮明であることや、省エネルギー性が特徴とされてきたが、液晶が進化し、これらの利点は薄れていると指摘。それ以外に高いデザイン自由度というメリットはあるのですが、メリットが少ない上に、デメリットが多いと指摘する流れですね。

<コストは液晶の2倍><製造コストも厳しい。液晶パネルのようにバックライトを搭載する必要がなく、「究極的にはコスト低減できる」(林秀介テクノ・システム・リサーチ〈TSR〉マーケティングディレクター)が、足元では液晶の2倍ともいわれる>
<「4K」映像コンテンツが活発化すれば、再びスマホの高精細化の流れが加速する可能性がある。(中略)有機ELでは対応できず、「高精細スマホは液晶の独壇場になるかもしれない」(パネルメーカー幹部)>


●スマホメーカーが脱有機ELで液晶に回帰と日経新聞も報道

 日経新聞においてもネガティブな記事が、2016年9月27日に出ていました。有機ELスマホが足踏み?パネル品質に難も: 日本経済新聞という記事です。有機ELを搭載する方針を撤回し、液晶パネルを大量発注するスマホメーカーが現れて、液晶を再評価する声も強まっているとする内容です。

<有機ELと液晶を比較すると、画素の密度を表す「解像度」や「製品寿命」、「調達価格」は液晶が依然優位だ。解像度は高ければ高いほどきめ細かな美しい画像を映し出せる。現時点では液晶は安定性も高く、有機EL特有の問題である画面の焼き付きも起こりにくい。さらに有機ELはサムスンが独占的に供給しているため調達費用で考えても液晶が有利だ。
一方で有機ELが優れているのは色彩の鮮やかさの指標「コントラスト比」と素早い画面表示の「応答速度」、そして端末形状を自由に設計できる点だ。ただ曲げたり折り畳んだりすると物理的な負荷がかかる部分の発光材料の劣化が激しく、まだ実用レベルではない。タッチパネル表面の保護部材をどうするかといった課題も多い。
「有機ELは材料技術を確立できておらず、まだ発展途上」と話すのはディスプレー産業に詳しいテック・アンド・ビズ(大津市)の北原洋明氏。同氏は「色鮮やかさで有機ELを超える技術も開発されており、液晶の技術的な伸びしろはまだ大きい」と分析する>


●有機ELスマホは本当に増えたのか?ディスプレイ世界シェアを見る

 で、その後、有機ELスマホがどれくらいシェアを取ったか?なのですが、なぜか新しい話が見つからず。上記の記事から2年後のものしかありませんでした。ただ、そのわずか2年後のデータでも61%とされていたので、普及がかなり進んだ模様。また、記事ではサムスンが圧倒的という話もいっしょにありました。有機ELで世界シェアの9割、液晶を含めても6割だそうです。

<IHSマークイット(引用者注:イギリスの調査会社)によると、世界の今年(引用者注:2018年)第3四半期のスマホディスプレイパネル市場で、OLEDの割合は61.1%(66億ドル)となり、17年第1四半期の35%から急増した。
(中略)韓国のサムスンディスプレイは、第3四半期のスマホ用OLED(引用者注:有機ELのこと)パネル市場で93.3%、フレキシブルOLEDパネル市場で94.2%を占めた。
液晶ディスプレイ(LCD)を含むすべてのスマホディスプレイ市場でのサムスンのシェアは57.8%で、中国のパネル大手、京東方(BOE)の7.8%、天馬の7.7%に圧倒的な差をつけている>
(世界のスマホディスプレイ、有機ELが61%超、サムスンが独占状態―中国メディア Record China 2018年12月20日(木) 8時30分より)


【本文中でリンクした投稿】
  ■アップルや韓国サムスンの危機が、日本が復活せずマイナスとなる理由
  ■EVなら日本に勝てると中国が優遇も失敗 HVで日本が復活できる理由

【その他関連投稿】
  ■ハイアール、壊れやすいけど高アフターサービス 日本メーカーは?
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