2016/8/24:
●日本人には成果主義が合わないって本当? 年功序列にも不満が大きい
●意外に日本人には成果主義が合っているかもしれないと言えそうな理由
●年功序列は嫌いだが、実際には成果主義の方がもっと嫌いという可能性
●社員には成果主義が浸透してきた日本企業、役員の固定給はいくら?
2020/09/23:
●社会人類学視点の分析でわかる日本人に成果主義に合わない理由
【クイズ】役員報酬の在り方に関する 会社法上の論点の調査研究業務報告書 (平成27年1月 一般財団法人 比較法研究センター)によると、2011年の役員報酬における固定金額の基本給が占める比率はいくらだったでしょう?
(1)20%
(2)41%
(3)64%
●日本人には成果主義が合わないって本当? 年功序列にも不満が大きい
2016/8/24:日本には年功序列というユニークな制度があり、成果主義なんかは合わない印象があります。ただ、
三菱商事・三井物産・伊藤忠商事の不満点 社員の評価が悪いのはどこ?を見ると、成果主義の伊藤忠商事だけでなく、年功序列の三菱商事・三井物産にも不満がありました。
「仕事をしていないのに同じ給料の人がいる」「ろくに働いていないおじ様が多く、且つ、高い給与をもらっている」といったことに、とても嫌な思いをしているのです。
成果主義と年功序列のどっちで不満が大きいかまではわからないものの、たとえ年功序列であっても不満があるのだ…と確認できるなかなかおもしろい話でした。
●意外に日本人には成果主義が合っているかもしれないと言えそうな理由
この不満については、当時の投稿で「いわゆるフリーライダー・ただ乗りの問題が不満なようです」と書きました。そして、その後、
日本人は妬みや足の引っ張り合いが好き説 アメリカ人と比較研究した結果は? フリーライダー(ただ乗り)に関する実験というのも書いています。
本来もっと実験を重ねて確かめるべきだと思うのですが、以下のような実験から日本人はフリーライダーを憎みやすい傾向があるのでは?とされていました。ひょっとしたら、日本人は意外に成果主義の方が合っているのかもしれない…と思ってしまった研究結果です。
フリーライダー - Wikipedia
実験経済学での日米比較実験によると、日本人はアメリカ人と比べ、自分が損をしてもフリーライドする人の足を引っ張る傾向にある[2]。たとえば、友人と2人でアルバイトを始めるにあたり、店を選ぶ決定権が自分にある場合、自分も友人も10万円もらえる店Aと、自分は9万9千円もらえるが友人は8万円しかもらえない店Bがあれば、約1割の日本人がBを選択する。 (中略)
[2]^ 西條辰義 「経済行動と感情」(3)意地悪な行動 『日本経済新聞』2006年10月25日「やさしい経済学――実験で解く」。
また日米の大学院生を対象とした同様の実験では[3]、日本の学生はアメリカの学生に比べて、自分の利益をかなり下げてでも、参加をしない相手に損をさせようとする傾向が高いという実験結果となった。そこから得られた示唆として、公共経済に対するフリーライダーのあり方にも、日本では独特の背景があるとしており、「日本の社会ではみんなで仲良く協力してコトにあたっているのではなく、協力しないと後が怖い、というところでしょうか」と結論している。
[3]^ 「日本人はいじわるがお好き?!」プロジェクト 西條辰義 2005 年10 月
●年功序列は嫌いだが、実際には成果主義の方がもっと嫌いという可能性
ただ、まあ、「意外に日本人には成果主義が合っているかも」というのは、思いつきの冗談みたいなもので、私も本気で言っているわけではありません。
日本人は妬みや足の引っ張り合いが好き説では、日本の生活保護叩きの激しさとフリーライダー嫌いの指摘が一致しているという話をしたものの、これも声のでかい人が目立っているだけで、実際には多数派ではない可能性があります。
ちょっと検索した感じそのような調査は見つかりませんでしたが、成果主義が嫌いな人の方が日本では多そうな印象です。こちらについては、良いデータがありましたら追記しますね。
●社員には成果主義が浸透してきた日本企業、役員の固定給はいくら?
最後にクイズの回答。これは
社員の給料は成果主義で業績連動・役員報酬は固定給中心、逆でしょ?でやったもので、こんなに成果主義が流行ったのにも関わらず、日本の役員報酬は固定給が中心なんだそうです。
【クイズ】役員報酬の在り方に関する 会社法上の論点の調査研究業務報告書 (平成27年1月 一般財団法人 比較法研究センター)によると、2011年の役員報酬における固定金額の基本給が占める比率はいくらだったでしょう?
(1)20%
(2)41%
(3)64%
【答え】(3)64%
一般社員よりも役員こそ成果を求められると思うんですけどね。一般社員より幹部の方が企業業績に与える影響力がずっと大きいためです。なので、生活保護なんかより、よっぽどこっちの方に叩く必要がありそうなのですが、こちらは不思議なことにあまり大きく叩かれないんですよね…。
●社会人類学視点の分析でわかる日本人に成果主義に合わない理由
2020/09/23:途中でもちょっと書いたように、むしろ「日本人は成果主義に合わない」というのが、一般的な理解です。ただ、これもデータ的、客観的なな証拠が必要なところ。ということで、数多ある「日本人は成果主義に合わない」論の記事を一つ読んでみました。
日本で能力主義が浸透しない理由とは? 『タテ社会の人間関係』でスッキリわかる日本社会のカラクリ | ダ・ヴィンチニュースは、社会人類学の視点で分析した中根千枝さんの
タテ社会の人間関係 単一社会の理論 (講談社現代新書)
について紹介した記事。発売から50年経った今も売れ続けて117万部のロングセラーということで、かなり昔の書籍。この本による成果主義が合わない理由の説明は以下のあたりでした。
<序列偏重の(引用者注:日本の)社会では、人の能力差を判定する雇用制度が存在しなかっただけでなく、一般人の生活においても能力差に注目する習慣が身についていない。それは「働き者」とか「なまけ者」といった“努力差”には注目しても、結局は「誰でもやればできるんだ」という“能力平等観”が根強く存在しているためである。(中略)
このように人と人との関係を優先する日本人の価値観に合致しているのが、年功序列や終身雇用といった制度なのだから、そう簡単に変えられるものではないだろう。実際、企業がいくら能力主義や成果主義を声高に叫ぼうとも、この50年で日本社会の変わらない面がいかに多いか、本書を読むとよくわかる>
ただ、これ良くない書籍ですね。記事を読んで失敗したと思いましたわ。少なくとも記事で紹介されている部分に関しては、データ的な証拠は一切なく、その後の研究成果からすると間違っていると思われる理解も見られます。こういう証拠軽視の根拠なき社会論がちまたに溢れていて、なおかつ人気があるというのは、困ったことですね。
【本文中でリンクした投稿】
■
日本人は妬みや足の引っ張り合いが好き説 アメリカ人と比較研究した結果は? フリーライダー(ただ乗り)に関する実験 ■
三菱商事・三井物産・伊藤忠商事の不満点 社員の評価が悪いのはどこ? ■
社員の給料は成果主義で業績連動・役員報酬は固定給中心、逆でしょ?【その他関連投稿】
■
成果主義と罰則がうまく行かない理由 行動経済学の実験の意外な結果 ■
公務員の飲酒運転で懲戒解雇・免職は厳しすぎ!裁判で負けることも ■
有効求人倍率が上がったのがアベノミクスのおかげも嘘 政権交代前から上昇が続いていた ■
日本の女性就業率、国際比較してどれくらい低い?上昇させる意味はある? ■
ビジネス・仕事・就活・経済についての投稿まとめ
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|