2020/11/24追記:
●わざわざ修理できないようにして法外な修理代金で稼ぐ企業も?
●プリンタの互換インクカートリッジでキヤノン提訴のエコリカ
2020/10/28:プリンタでリサイクル・互換インクカートリッジを販売してるエコリカが、独占禁止法に違反するなどとして、プリンタメーカー「キヤノン」を相手取り、3千万円の損害賠償などを求める訴えを起こという話が、
カートリッジ会社がキヤノン提訴へ 「仕様変更は違法」:朝日新聞デジタルなどの記事で報じられています。
<エコリカによれば、同社は2003年から、キヤノンなどのプリンターで使う使用済みインクカートリッジを家電量販店などから回収。カートリッジにインクを再注入して純正品より2~3割ほど安く販売してきた>
<訴状によると、キヤノンは17年9月に発売したインクカートリッジでインク残量を表示するICチップの仕様を変更し、インクを再注入してもプリンター上で「インクなし」と表示されるようになり、リサイクル品を製造・販売できなくなったと主張する。
さらに、この影響でキヤノンのプリンターで使えるインクカートリッジ市場では、キヤノンの純正品のシェアが同年12月の84%から今年9月には95%に上昇し、市場を独占していると指摘。仕様の変更は、独占禁止法が禁じる「競争者に対する取引妨害」にあたるなどと主張する。
エコリカの宗広宗三社長は朝日新聞の取材に対し、「純正品しか使えない状態では競争がなくなり、自由な価格設定が可能となる。消費者にとってもリサイクル品か純正品かを選択する余地がなくなる」と話す>
エコリカ ecorica ECI-C3266P+BK 互換プリンターインク 6色パック[ECIC3266P+BK]
●iPhoneでアップル製以外のアプリを禁止…の場合はどう考える?
私は結構おもしろい問題提起だなと思いました。ただ、一般的には批判が多いとも予想されます。批判があるかな?とツイッターを見ると、やはり出ていますね。<そもそもリサイクル品が使えるのは「たまたま」で「無保証」><インクだけ売りたいってのは「ただ乗り」>などといった批判が出ていました。
こうした批判の中には、むしろキヤノンの悪い点が明らかになっているものもあります。例えば、<そもそもメーカーは「純正を使え」と断言してる>というのが、まさに競争を阻害して独占しているのではないかとされた点。また、<自分達で勝てるプリンター開発して売れば良いだけ>なんかは、他の業界で考えると、そのおかしさがわかります。
かつて世界的に巨悪とされた、パソコンのOSで圧倒的なシェアを占めたWindowsを開発するマイクロソフト。Windowsで言うと、マイクロソフトがWindowsでマイクロソフト以外のアプリケーション・ソフトの使用を禁じて、マイクロソフト製だけ使わせるようにしたということです。そして、「文句があるなら自分でOSを作れ」と言う擁護が出ているという感じになります。
今だとよりわかりやすいのはスマホ。アップルがiPhoneでアップル製以外のアプリを禁じて、アップルのアプリだけを買わせるようにして、「文句があるなら自分でスマホ(のOS)を作れ」と言っているような感じ。このケースでは、ダメだと思う人が多いでしょう。では、インクカートリッジの場合はどう考えるべきか?というのが、私が今回の提訴をおもしろいと思った点でした。
●インクカートリッジでキヤノン提訴で批判のエコリカ、実は正論?
ここらへんの話題に強いだろうと、
はてなブックマークを見てみました。すると、<プリンターも自分らで作れば?>というツイッターレベルの批判も人気になっていました。<勝手に作って勝手に逆ギレしてるだけじゃん>などのエコリカへの批判もあります。
ただ、1番人気は<ただの仕様変更なら自由だけど、プロテクト目的のはEvilだと思う>など、ツイッターとは大きく毛色が違う反応も人気ですね。ここで出てきた「Evil」というのは「邪悪」という意味ですが、日本人が理解する場合は「悪徳」という意味だと考えた方がわかりやすいかもしれません。
また、2番人気も<本体のコストをインクカートリッジ代に含めて稼いでる。携帯電話キャリアの料金並みに不透明な話>という、やはり悪徳だというもの。携帯電話の料金手法に当てはめる考え方は初めてだったので新鮮です。プリンタのインクビジネスと確かに少し似たところがあるかもしれません。
なお、真偽を確認していないものの、3番人気の<確かエプソンはすでに裁判で負けているのでカートリッジではない大容量タンク方式のプリンタを投入している>というのは、気になるところ。他に書きたいことが多くて調べていないのですが、判決の話なんかも探してみたいですね。
●アップルは優先的な地位を利用して不当な手数料をとっている?
2020/11/07:この提訴の件で、全然そっくりという話ではないのですが、いくつか思い出した話がありました。その一つが最初のときにも少し書いた、スマホ会社による独占というケース。実際には独占ではなく、グレイゾーンや悪徳との境界線という範囲なのですが、論議を呼んでいるEpicによるアップルへの提訴の件です。
まず、大ヒットアプリ『フォートナイト』が規約違反として、Apple App Storeから削除されました。一般的には規約違反した方が悪いという声が多いそうなのですが、これは少々複雑。規約違反というのは、アプリ内課金ではない直接決済をしたため。アップルはアップルへの手数料を支払うアプリ内課金しか認めていないのですが、この手数料が優先的な地位を利用して不当に高く設定しているのではないか…ということみたいですね。
一般的には規約違反した方が悪いという声が多いと書いたのですが、私が見た感じは、この主張に対する賛成・反対は、かなり割れていますね。とりあえず、今回は、独占に問題があると考える人の主張を紹介したいので、
波紋広がるApple対フォートナイト Q&Aでおさらい :日本経済新聞からエピック側の主張をどうぞ。
<アプリ配信とアプリ内の決済でアップルが反競争的な行為をしているというのがエピックの主張だ。
具体的には、30%の手数料を取る
「アップストア」を経由しないとアプリをiPhoneやiPadに配信できず、代替手段がない点を問題視している。ゲームのアイテムのようなアプリ内での課金にもアップルの決済システムを使わなければならない点も指摘しており、こちらも30%の手数料がかかる>
アップルは「エピックやフォートナイトはアップストアの仕組みのおかげで発展した」と主張。これに賛同する声は多く、私も「30%の手数料」についての反論では可能性を感じます。ただし、「代替手段がない」という点は反論できていません。自由競争の末に、手数料が高くてもアップストアが選ばれたのなら問題なかったんですけどね。このために共感する声も出ていたそうです。
<公言せずとも心の中でアップルの規則に疑問や不満を持っていた開発者は少なくない。アプリ内課金が多いゲーム業界などでは30%の手数料を「アップル税」と呼んでおり、共感が広がった>
●わざわざ修理できないようにして法外な修理代金で稼ぐ企業も?
2020/11/24:エコリカの件でもう一つ思い出したのが、これまたアップルの例でした。今回のものは、前回のケースよりも似たケースだと思われます。
法外な修理費用要求のアップル、修理方法記載サイトには法的措置で書いていた件で、アップルの製品をアップル以外の業者に修理させないようにして稼いでいるのでは?というものでした。
例えば、アップルは他社なら無料から高くても2万円程度で済む修理について、部品を全て取り替えるからと言って13万円の修理代金を要求するといったことをやっています。この時点で悪徳でしょう。ただ、それだけでなく、修理方法記載サイトには法的措置をちらつかせるなどしており、さらに悪徳でした。
また、エコリカとキヤノンの件に似ていると感じたのは、バッテリーを所定の箇所に接着して外せなくしたり、独自のネジを使用することで簡単に分解できないようにしたりといった方法で、物理的にもユーザーやアップルが認可していない修理業者がApple製品を修理できないように工夫しているということ。わざわざ修理できないようにして、アップルに持ってこさせて、修理代金で大儲けを狙っているように見えてしまいます。
なお、アップル製品の場合はプリンタのインク商法とは違って、本体を安くして修理代金で稼ぐビジネスモデルというわけではないでしょう。アップル製品が他社に比べて極端に安くして売っているわけではありませんからね。ということで、ただ単に「より多く稼ぎたい」といった動機によって、行われていると考えられます。
【本文中でリンクした投稿】
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法外な修理費用要求のアップル、修理方法記載サイトには法的措置【関連投稿】
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