●日本の香取秀俊(光格子時計)や佐川真人(ネオジム磁石)が有力
2021/10/02:
ノーベル賞、mRNAワクチンに注目 自然科学分野は4日から発表:朝日新聞デジタル(2021年10月2日)では、タイトルの通り、「m(メッセンジャー)RNAワクチン」関連を有力とする記事。ファイザーと共同開発した独ビオンテック社の上級副社長カタリン・カリコさんなどが候補。2021年にノーベル賞の登竜門ラスカー賞を受賞しています。
医学生理学賞以外の話もあり、ノーベル賞物理学賞では、香取秀俊さん(光格子時計)や佐川真人さん(ネオジム磁石)が有力とされていました。このうち、「光格子時計」の東京大の香取秀俊教授は「科学界のアカデミー賞」と言われる「ブレークスルー賞」を20219月に受賞。300億年に1秒しかずれない驚異的な正確さで、1秒の定義の見直しに使われる可能性があるとされていました。
「光格子時計」については、東京大学が
時計の概念を巻き直す「光格子時計」 | 東京大学というページをわざわざ作っていて、力を入れている感じ。他のサイトでは「光格子時計が時計の概念を変える」といった書き方をしているところもあったのですが、時計の話だけに「時計の概念を巻き直す」という言い方にしたみたいですね。おもしろいです。
<かつては地球の自転や公転という周期現象が時間の「ものさし」に使われていました。ところが、たとえば、地球の自転は潮汐摩擦によってだんだん遅くなります。このものさしの精度をグッと向上させたのが、1955年に発明されたセシウム原子時計です。これは、その後大きく進歩し、今では絶対零度近くまで冷やしたセシウム原子が吸収するマイクロ波の振動数を利用し、3000万年に1秒も狂いません。
そして、東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻の香取秀俊教授が挑戦しているのはなんと、宇宙の年齢の2倍以上の、300億年で1秒も狂わない超高精度の時計、「光格子時計」です>
●実は最有力の時計は「光格子時計」じゃなくて別の時計だった
<光格子時計の原理>によると、セシウム原子時計に代わる次世代原子時計の最有力候補は、絶対零度近くまで冷やした荷電粒子1つを電極の間にトラップし、100万回もの計測を繰り返して正確な振動数を測定する「イオントラップ法」というものだったそうです。香取秀俊教授はこの王道路線とは別のやり方を模索して成功した…ということみたいでした。
<イオントラップ法でより正確な時計を作ろうとする機運が盛り上がる中、「すでに筋道の立てられた方法を改良していくよりも、みんなを驚かせるような新しいことをやりたい」と語る香取教授は、100万個の原子を集めて1回だけ計測すればいいじゃないかと「光格子時計」を提案しました。
光格子時計ではまず、レーザーを使って卵のパックのような原子の容れ物(=光格子)を用意します。このとき、容れ物の存在を原子に気づかれないようにするのがポイントです。このために香取教授が見つけたのが、「魔法波長」と名付けた特別な波長のレーザーでした。
次に、絶対零度近くまで冷やしたストロンチウム原子を容れ物の中に1つずつ収まるように入れます。そうしたうえで、すべての原子を同時に計測します。香取教授は、現在1000個の原子を使って実験していますが、将来的には、100万個の原子を同時に計測する予定です。こうすることで、イオントラップ法よりも100万倍速い、正確な時間の測定が可能になります>
なお、注目されているやり方ではなく、あまり注目されていない別のやり方で成功するというのは、ノーベル賞候補ではよくあるパターン。また、偶然の発見が画期的であったというのも多いパターンです。これは、最近の政府の成果主義的なやり方がうまく行っておらず、日本の重要論文数が激減していることとも関係あると思われます。
●佐川真人氏のネオジム磁石はEVで実用化されていて受賞が有望?
もうひとり、電気自動車やドローンのモーターに使われる高性能な「ネオジム磁石」を発明した佐川真人さんについても書こうと思ったのですが、香取秀俊さんだけで思ったより時間かかり疲れてしまったので経歴を軽く紹介する程度に。電気自動車関連で使われているというのは、個人的には受賞の可能性が高いと感じるポイントなので、もう少しじっくりやりたかったんですが…。
佐川眞人 - Wikipedia<佐川 眞人(さがわ まさと、1943年8月3日 - )は、日本の研究者・実業家。ネオジム磁石の発明者として知られている。インターメタリックス株式会社初代代表取締役社長。大同特殊鋼顧問[1][2]。眞は真の旧字であるため「佐川真人」と書かれることもある。 徳島県徳島市出身>
<1966年神戸大学を卒業、1968年神戸大学大学院で修士、1972年東北大学大学院で金属材料工学を研究し工学博士。博士論文が『金属表面皮膜のエピタクシャル歪に関する研究 』であるように、もともとは磁石を研究していたわけではなかったが、1972年富士通に入社し磁性材料の研究を命じられる。研究を重ねる中で従来の「強い磁石はコバルトを主成分にしないとできないという常識」に疑問を持ち、鉄とレアアースの組み合わせでの磁石開発に取り組む。ネオジム磁石のアイデアを見出し研究中の1982年に富士通を退社、住友特殊金属(現、日立金属)に移籍し1982年5月ネオジム磁石を作り上げた。1988年住友特殊金属を退社し永久磁石に関する研究開発を専門にするインターメタリックス株式会社を設立し代表取締役社長。2012年から2017年まで同社最高技術顧問[2][3] 。2013年 NDFEB株式会社を設立し代表取締役[4]。2016年 大同特殊鋼株式会社顧問に就任[2]>
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