2016/8/28:
●日本の農業を変革…と期待されたオムロンが農業参入失敗で撤退
●オムロンが農業参入失敗で撤退したのは、農業を舐めていたから
●「小さく失敗する」はビジネスの基本なのにいきなり20億円投資
2021/11/22追記:
●実は農業は簡単?後発の新規参入でいきなり日本一の企業が登場 【NEW】
●日本の農業を変革…と期待されたオムロンが農業参入失敗で撤退
2016/8/28:元記事のタイトルは、
なぜメガバンクが農業を?:日経ビジネスオンライン(吉田 忠則 2016年7月22日)というもの。三井住友銀行が農業法人と組み、コメの生産と販売に乗り出すという話題でした。しかし、これはまだ計画の段階で特におもしろい話があるわけではありません。それより記事でおもしろかったのが、オムロンの農業参入の失敗の方でした。
オムロンは20億円以上の巨費を投じ、1999年に北海道千歳市に7ヘクタールのトマトの栽培施設をつくります。機材は、太陽光型の植物工場で世界の最先端をいくオランダから輸入。メディアは当時、オムロンの高度な技術とオランダの設備が結びつくことで、日本の農業を変革できるかのように報じていたそうです。
しかし、オムロンは3年後にあっさりと撤退。理由はいろいろあるものの、栽培が軌道に乗らなかったことが最も大きいだろうとのこと。基本的なところでの失敗ですね。
●オムロンが農業参入失敗で撤退したのは、農業を舐めていたから
機材はオランダからの輸入であり、確実性が高いように私には思えたのですけど、実際には施設を使いこなすことができず、トマトをまともに育てることができなかったのだそうです。そもそも「夏は暑く、冬は寒い」という千歳市の気候に、オランダの施設が合わなかったとのこと。計画時点で無理があったようです。
また、それを補うだけの技術も身につかなかったとのことで、"敗因は、十分に栽培ノウハウを蓄積していないのに、いきなり巨額の投資をしたことにある"としていました。綿密な計画をせずに参入したように見える話です。
これについて、作者の吉田忠則さんは、「もし、オムロンが違う分野に参入していたら、こんな無謀な投資をしただろうか」と指摘。私はここまで読んだ時点で下書きを始めて「オムロンの農業参入が失敗したのは、農業を舐めていたから」というタイトルに決めました。
ただ、この後も「農業を下に見ていたとは言わない。だが、自らの技術への過信があったと言わざるをえないだろう」と続けていましたので、作者の吉田さんにも農業が舐められていたのではないか?と感じているところがあるみたいでした。
●「小さく失敗する」はビジネスの基本なのにいきなり20億円投資
私が他でしつこく書いているように、成功している企業は失敗している企業が多いんですよね。失敗を恐れてチャレンジしないよりは、チャレンジして失敗した方が良いです。失敗した中から思わぬ成功例が出るということがあるため。今や世界最高峰の企業となったグーグルなんかもむしろ失敗している事業が多いところです。
ただ、「小さく失敗する」というのが大事だという話も、いつもあわせて書いています。倒産を恐れずでかいチャレンジしなきゃ!と語る勇ましい人が多いものの、事例を見るとそうでもないんですよね。いきなり大博打を打つのはアホであり、小さく早く失敗しながら改善を続けていく、あるいは、見切りをつけて撤退するという風にやるのが良いです。
そういう意味では、オムロンはいきなり20億円を投資しており、最初から大きく行き過ぎたかな…という感じ。オムロンはむしろ成功している企業ですから、たぶん農業以外の他の分野ではこんな無謀なことはしなかったでしょう。農業を甘く見ていたのではないか?と思われてしまうのも仕方ありません。
●実は農業は簡単?後発の新規参入でいきなり日本一の企業が登場
2021/11/22追記:オムロンに限らず、農業への企業の参入は難しい印象。失敗している、あるいは、黒字転換まで時間がかかるという企業は珍しくありません。ただ、いきなり成功しちゃう!という企業もいるので。そういった成功例も紹介。これは私が書いていた「小さくチャレンジ」ですらなく、心配になるほどガンガン攻めている事例でした。
こうした成功事例の話をうちで書いたのは、
企業の農業参入・植物工場は簡単?バイテック・レスターHDが速攻で業界最大級にです。2016年4月という企業の農業参入としては大きく出遅れたケースなのですが、あっという間に1日の生産量が7万株以上になり、一気に最大級の生産規模に躍り出るという成功ぶりでした。
しかも、質より量ではなく、後発企業なのに、質においても業界水準以上ともされていたんですよ。普通の植物工場のレタスが80グラム程度なのに、レスターでは110グラムまで大きくすることが可能で、さらにまだ大きくできそうだとのこと。紹介時点ではそこから1年でさらに3~4倍程度まで生産数を増やす予定だとされていて、イケイケドンドンでした。
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