動物園から姿を消すゾウ、未来の子どもたちは国内で見られない可能性も 投稿日: 2016年05月27日 07時33分 JST 更新: 2016年05月27日 11時33分 JST 猪野元健 朝日小学生新聞・朝日中高生新聞記者 ハフィントンポスト
動物園のスター、ゾウが各地でいなくなっています。(中略)
日本動物園水族館協会によると、アジアゾウは1987年には45園に83頭いましたが、はな子が死んだのを含めて34園79頭に減少。アフリカゾウは1984年の22園84頭が、2016年には17園36頭に減りました。
この10年間では、北海道の札幌市円山動物園、旭川市旭山動物園、釧路市動物園、神奈川県の小田原動物園、福岡県の大牟田市動物園、池田動物園、井の頭自然文化園の計7園からゾウがいなくなりました。(中略)
国内のゾウ管理のまとめ役である上野動物園の乙津和歌さんによると、将来頭数予測ソフトによる解析では、アフリカゾウは30年以内にゼロに、アジアゾウは50年以内に20頭になるとされます。
アジアゾウ、アフリカゾウともに野生では絶滅の危機にあり、野生動植物の国際取引に関する条約「ワシントン条約」で取引の規制が厳しくなっています。
ゾウをただ展示するだけではなく、繁殖のために研究する目的の場合は、輸入が認められることがあります。ただし、ゾウの本来の姿である「群れ」で飼育し、広い敷地を用意する必要があります。
2007年にゾウがいなくなった円山動物園。札幌市では、市民の要望を受けてミャンマー政府と交渉し、18年度にアジアゾウ4頭がやってくることになりました。市は約20億円かけて、もとのゾウ舎の20倍近い5千平方メートル(バスケットボールコート12個分)の飼育施設を整備する計画です。(中略)
一方で、池田動物園のような小さい動物園には、スペースもお金も余裕がなく、動物園だけの力で再びゾウを飼育することはきびしいです。ゾウの再導入には、地域の支援や生息地の国とのつながりも必要です。
欧米では、動物園で飼育されるゾウの福祉を重視しようという声が高まっています。専門家によると、ゾウをより広い敷地の動物園に移して飼育する取り組みもあります。井の頭自然文化園のはな子は1980年代から歯が1本しかなく、飼育係が特別のえさを用意するなどして大切に育てられてきました。一方で、1頭のみでの飼育や展示場の地面がコンクリートということに、海外のゾウの専門家から飼育環境の改善を求める声もありました。
井の頭動物園のゾウ「はな子」の飼育環境が劣悪だと海外で大問題に!「まるで牢獄」「ドン引きってレベルじゃない」 : ユルクヤル、外国人から見た世界 2015年11月27日
井の頭自然文化園のゾウ「はな子」。
木や草すらも生えていないこのコンクリートの塀の中で生活。何の楽しみもなく独りコンクリートの地面に立つ彼女の姿には生気が感じられません。
1956年および60年には、管理不届きのせいで人を死亡させる事故が発生。そのため「はな子」は前脚を鎖で繋がれゾウ舎内に閉じ込められたことも。ストレスなどから、体はやせ細り、歯はほとんどが抜け落ちてしまっています。
この悲しい事実を受け、海外では署名活動が始動。「はな子」を適切な保護区域へ移すか、もしくはプール付きの施設で適切な医療ケアを受けさせるかして欲しい。そして何より、仲間のゾウとコミュニケーションを取れる環境に置いてあげたい。
この嘆願書は大きな注目を集めており、目標5万人も目の前です(執筆時)。
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