抗菌せっけん、米で販売禁止 「効果に根拠ない」 :日本経済新聞 2016/9/3 11:11
【ワシントン=川合智之】米食品医薬品局(FDA)は2日、抗菌作用のあるトリクロサンなど19種類の殺菌剤を含む抗菌せっけんやボディーソープなどを販売禁止にすると発表した。通常のせっけんより殺菌効果があるという根拠がなく、長期使用の安全性も検証されていないとしている。
一部の米企業はこうした殺菌剤の使用をすでに中止した。トリクロサンを含む製品が多く流通している日本でも影響が出そうだ。
規制対象となったのはトリクロサン、トリクロカルバンといった殺菌剤を含むせっけんやハンドソープ、ボディーソープなど。トリクロサンは殺菌効果などをうたう液体抗菌製品の93%に含まれており、2千種以上が販売されているという。
FDAは「消費者は抗菌せっけんは細菌の増殖を防ぐのにより効果があると考えがちだが、通常のせっけんと水より有効だという科学的根拠はない」と指摘した。さらに「殺菌剤は長期的に利点よりも有害となりうる可能性があるとの指摘もある」と警告した。
一部の研究によると、殺菌剤を使うことで耐性菌が増えるリスクがあるほか、ホルモンの働きを阻害するなど健康への影響を懸念する意見もある。
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韓国、高麗大学校(ソウル)の Min Suk Rhee 氏は、「トリクロサンの殺菌効果は曝露する濃度と時間によって決まる」と説明する。しかし、抗菌石けんで手を洗う人の多くは、トリクロサン0.3%(法律で認められた最大濃度)未満の石けんを用い、30秒未満しか手を洗わないため、十分な効果が得られない。この知見は「Journal of Antimicrobial Chemotherapy」9月16日号に掲載された。(中略)
今回の研究では、20種類の細菌株を試験管に入れ、普通石けんと0.3%トリクロサン含有石けんに手洗い時の一般的な温度で曝露させた。9時間以上継続して曝露した場合、トリクロサンには「有意に」強い抗菌性が認められたが、10、20、30秒の曝露では、普通石けんを上回る効果はないことがわかった。追加試験では成人16人が実際に手を洗ったが、いずれの石けんも細菌除去に概ね有効であり、両者の間に有意差はみられなかった。
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