【クイズ】カリフォルニア大学ロサンゼルス校のアラン・カステル准教授が行った、7種類のりんごからアップル・ロゴを選ぶ実験での正解者は何%だったでしょう?
(1)28%
(2)47%
(3)75%
●人は不正を忘れやすい生き物
実を言うと、嘘つきや悪者に罪悪感がないという話は元記事にない話であり、私の想像でしかありません。
ただ、彼らがあまり罪悪感を覚えていなさそうに見えるのは、そもそも嘘や悪い行いそのものをあまり覚えていないのかも…と思ってしまうような研究でした。
研究者らは、この傾向を「非倫理的健忘症(unethical amnesia)」と呼んでいるとのこと。
組織の不正が繰り返されるのは、非倫理的行為ほど忘れやすいから | HBR.ORG翻訳マネジメント記事|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー 2016年08月01日 フランチェスカ・ジーノ,マリアム・クーシャキ
先頃、日本第6位の自動車メーカー三菱自動車は、25年にわたり国の規定とは異なる方法で燃費試験を実施していたことを認めた。軽自動車4車種の試験データを継続的に改ざんし、他の多数の車種でも国の規定に沿わない方法で試験を行っていたことを公表した。(中略)
これほど多くのリーダーや従業員が(正直でありたいと心がけている人でさえも)、組織内で非倫理的な行為に頻繁に手を染めるのはなぜだろうか。我々は最近、この問いに対する答えを得るために研究を行った。その結果明らかとなったのは、「人間の不完全な記憶力」が連続的な不正行為の一因になっているということである。
人はみずからの倫理基準に沿わない行為をした時、その認識によって不快感が生まれ、「正直で善良な自分」という自己イメージが脅かされる。そこで苦痛を軽減するためにさまざまな手段を取るが、その1つが「記憶を忘れ去る」ことなのだ。
●自分が不正を行ったと思うだけで衰える記憶力
実際に行った実験結果が非常におもしろいです。自分が実際に行った不正だけでなく、「自分が行った」という仮定にするだけでも、記憶力が衰えてしまうのです。不思議ですね。
参加者に非倫理的行為(大学の試験で不正をする学生)について書かれた物語を読んでもらった。一方のグループが読んだのは、他者を主人公として三人称で書かれた記述。他方のグループが読む記述は一人称で書かれ、自分が主人公だと想像しながら読んでもらった。ここでも、不正行為を「自分ごと」とした人のほうが、数日後に記憶が薄れている傾向が高かった。
●不正が不正を呼ぶという人間の特徴
一方、以下は、実際に不正を行ったという実験。
サイコロを振って出た目の合計に応じてお金をもらえるというゲームをしてもらった。一部の参加者には、成績の虚偽申告による不正をしやすい状況をつくった。そして、数日後に参加者の記憶を測定。すると、不正をした参加者はそうでない人に比べて、ゲームに関する記憶の鮮明度と詳細度が低かった。
この実験で興味深いのは、上記の不正が後日の不正を助長するということ。つまり、一度不正に手を染めた者は、次々と不正を犯すということですね。
我々はさらに、非倫理的健忘症の事後への影響を検証した。たとえば、ある2部構成の実験では、最初に前述と同様のサイコロ振りをさせ、虚偽申告による不正の機会を与えた。それから数日後、また別のタスクを通じてもう1度不正しやすい機会を与えてみた。すると、1回目の不正によって生じた非倫理的健忘症が、2回目のタスクでさらなる不正行為を誘発したのである。
●不正擁護のための研究ではない
これだけ読むと、不正を行う人への擁護のように見えるかもしれませんが、不正を防ぐためにもこういった研究は大切です。
また、私なんかは上記を読んで、むしろ逆に不正への意識を今よりもっと厳しくすべきではないか?と思いました。不正が不正を呼ぶのですから、まず最初の不正そのものを防ぐことが一番大切だと考えられるためです。
これは小さな不正も絶対に許すべきではないということにも繋がるかもしれません。うちでは何度も紹介していますが、工場などでの重大事故は突然起きるのではなく、もともと事故になる前の小さなミスが多い現場で起きることがわかっています。
ヒヤリ・ハット - Wikipedia
ヒヤリ・ハットとは、重大な災害や事故には至らないものの、直結してもおかしくない一歩手前の事例の発見をいう。文字通り、「突発的な事象やミスにヒヤリとしたり、ハッとしたりするもの」である。(中略)
ハインリッヒの法則は、「重大事故の陰に29倍の軽度事故と、300倍のニアミスが存在する」ということを示したもので、この活動の根拠となっている。
●実はかなり曖昧な人間の記憶
あと、人間の記憶ってのはかなり不確かだという過去の話も思い出しました。
人間がキスするときに目を閉じる理由に関する科学論文が登場でやった話であり、クイズはここで出したものの使い回しです。
【クイズ】カリフォルニア大学ロサンゼルス校のアラン・カステル准教授が行った、7種類のりんごからアップル・ロゴを選ぶ実験での正解者は何%だったでしょう?
(1)28%
(2)47%
(3)75%
【答え】(2)47%
人間の脳そのものは非常に高性能なのですけど、すべての情報を等しく扱わないために意外な情報が抜け落ちたり、改ざんのようなことが起きたりします。不思議なものですね。
【本文中でリンクした投稿】
■
人間がキスするときに目を閉じる理由に関する科学論文が登場【その他関連投稿】
■
石油合成が胡散臭いと評判、元京大の今中忠行立命館大教授の経歴 ■
兄弟姉妹の構成による性格の研究 末っ子・長男長女・次男次女 ■
赤はテストステロン値を高める一方馬鹿に 青・緑は理性を高める ■
ダイヤモンドより硬い物質・Qカーボンとは? 米の大学が開発 ■
科学・疑似科学についての投稿まとめ
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|