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賄賂が通用しないなんて! 日本企業がインドでびっくりする理由


 <賄賂が通用しないなんて! 日本企業がインドでびっくりする理由>、<デマ?中国と違ってインドで汚職が少ないというのは本当か?>、<賄賂が通用しないは嘘?サントリー子会社が9億円の賄賂問題>などの話をやっています。


●賄賂が通用しないなんて! 日本企業がインドでびっくりする理由

2016/9/5:今回の話は、台湾企業・鴻海(ホンハイ)の中国式がインドで通用しないという話の中で出てきた、「中国での体験を元にインドに進出し、勝手が違うと当惑しているのは、日本の企業も同じのようだ」という話がベース。やはり中国スタイルに慣れすぎたという理由だそうです。

 ということで、全体タイトルは「賄賂が通用しないなんて! 日本企業がインドでびっくりする理由」としたものの、実際には日本企業だけびっくり!という話ではありません。中国、インド双方に駐在経験のある、日系自動車メーカー子会社のある幹部は、以下のように言っていたといいます。

「例えばインドでは、税務調査で多少の誤差が出たような場合、末端の役人が『2000ルピー(約3000円)くれたら目をつぶってやる』、というようなことはある。ただ、中国では当たり前のようにできていた『無理矢理押し込めばなんとかなる』ということが、インドでは基本的にできない。案件が大きくなればなるほどその傾向は強い。官僚の口癖は、『ルールを守ってくれ』という言葉だ」
「インドに進出してうまくいかない日本企業はよく、『インドに騙された』『インドは難しい』と言う。確かに簡単な市場ではないが、一方で、先に進出した中国での体験をベースにしすぎ、『不備でもなんとかなるだろう』と無理矢理押し込もうとして思い通りにならないというケースが多いように思う」
「逆に、規定通りに手順を踏めば、問題が解決することが多い。正攻法が通用する国だと言える」
(「そこをよろしく」が通じぬインドで当惑の鴻海:日経ビジネスオンライン 山田 泰司 2016年6月30日より)


●デマ?中国と違ってインドで汚職が少ないというのは本当か?

 中国の汚職がひどいのは本当です。国民がそれに不満を持っているがために、今の習近平政権は浄化キャンペーンをやることによって人気を得ています。とりあえず、改善方向ではあるということですけど、賄賂を渡すのが普通である中国式に慣れすぎてしまった…という話はそこまで違和感はありません。

 ただ、あれ?と思ったのは、そもそもインドも汚職がひどい国としてよく知られていたため。以前、インドのインフラ整備が遅い理由、タイ反政府派が宝くじに激怒などで、以下のような話をやったことがあります。むしろ汚職のひどさは中国以上だとされていました。最近変わったのでしょうか? 不思議な話で怪しいです。

<インド人に言わせると、インドの汚職のいい点は、「あまりに贈収賄が一般的なので、金額が誰にでも想定でき、合理的な範囲である」こと。要求される額に相場があり、法外でないというのだ。
 知人のインド人実業家は「警察官にちょっとした違反を見つかると、相手はニヤリとするんだ。罰金なら5000ルピー取られるところだが、警官に 500ルピー払えば、目をつぶってもらえる。違反を穏便に処理してもらうため、あきらめて1000ルピーの賄賂を渡したら、500ルピーのお釣りをくれた」という>
(潜在成長力が魅力のインド最大の課題は中国をも上回る“汚職大国”からの脱皮(ダイヤモンド・オンライン 田村耕太郎 2012年1月16日)より)


●そもそも賄賂渡して良いの?海外の賄賂でも日本の法律で制裁

 あと、もう一つ思ったのが、賄賂を渡して大丈夫なんだろうか?ということ。アジアでは、賄賂はベトナムの文化の一部 役人だろうが民間だろうが次々と賄賂を要求みたいに、賄賂はよくある話です。ところが、外国公務員への賄賂、海外でやっても日本の法律で制裁 ベトナムなどででやったように、問題になっているときもあるのです。金額の問題ですかね?

・ODA事業でリベート1億円支出…外国公務員に(2014年3月20日03時08分 読売新聞)
<政府開発援助(ODA※)事業を巡り、鉄道コンサルタント会社「日本交通技術(JTC)」(東京)が2008~12年、ベトナムなど3か国で計約60億円の事業を受注した見返りに、約1億円のリベートを不正に支出していたことが関係者の話で分かった。
 (中略)提供先には相手国の公務員らが挙がっており、外国公務員への贈賄を禁じた不正競争防止法違反の疑いが強い。
 一連のリベート支出は、東京国税局の税務調査で判明した。JTCは調査に提供先を明かさなかったため「使途秘匿金」と認定され、通常の法人税に加え、支出額の40%にあたる約4000万円の制裁課税を受けた>
リンク切れ
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20140319-OYT1T01214.htm?from=top


●賄賂ではない別の意味でインドでうまくいかない日本企業

 海外からの進出企業にとって、インド市場が難しいというのはよく言われていることであり、本当。過去にもインドは儲からない 嫌われる国で成功したスズキとユニ・チャームなどをやっています。自動車のスズキなんかは数少ない成功企業として知られています。

 インドで成功しない理由は、他にも日本企業のインド進出が難しい理由 日本製品に価値を感じないインド人などをやっていたのですが、今回のものはこれらと比べるとすっきりしない説明でした。今までの説明の方が納得感があり、今回の記事には違和感を覚えてます。

 …といった感じで最初の下書きは終わっていたんですよね。ところが、この1週間くらい後に、今回の記事と同じ日経ビジネスオンラインで、「インドでは賄賂なしでやっていけない」と言われるという記事が出てきました。やっぱインドでも…というか、むしろインドでは賄賂だらけなんじゃん!

 この「インドでは賄賂なしでやっていけない」の話はまた別に書きますけど、こういった賄賂報告の多さから言うと、インドがクリーンという話は眉唾だと考えて良さそうです。(書きました→インドでは「賄賂なしでは無理ですよ」 役人の方から賄賂の要求も)


●賄賂が通用しないは嘘?サントリー子会社が9億円の賄賂問題

2018/10/20:インドの賄賂・汚職に関するニュースを見かけたので追加。ビームサントリー、贈賄疑惑のSEC調査決着で約800万ドル支払いへ - Bloomberg(2018年7月3日 15:28)という記事です。ビームサントリーというのは、日本のサントリーホールディングスが所有するアメリカの機能子会社。ウイスキーが有名ですね。

 米証券取引委員会(SEC)によると、このビームサントリーは、規制の厳しいインド酒類市場での販売拡大を目的に数年にわたり複数の同国政府高官に賄賂を送っていたとのこと。2006-12年の間、第三者の販売プロモーターや販売業者を介した不正な資金供与でライセンスを取得し、店舗の棚の目立つ場所を確保していたそうです。

 これはインドの問題なのですけど、アメリカの連邦海外腐敗行為防止法(FCPA)に違反していたとのこと。以前書いたように、全然別の国でも摘発されることがあるんですよね。ビームサントリーは疑惑を肯定も否定もしなかったものの、800万ドル(約8億9000万円)余りを支払うことに同意したという話でした。


【本文中でリンクした投稿】
  ■インドのインフラ整備が遅い理由、タイ反政府派が宝くじに激怒など
  ■賄賂はベトナムの文化の一部 役人だろうが民間だろうが次々と賄賂を要求
  ■外国公務員への賄賂、海外でやっても日本の法律で制裁 ベトナムなどで
  ■日本企業のインド進出が難しい理由 日本製品に価値を感じないインド人など
  ■インドは儲からない 嫌われる国で成功したスズキとユニ・チャーム

【その他関連投稿】
  ■インド人観光客が日本に来ない理由 危険な食べ物と取りづらいビザ
  ■インドの効率の悪さはカースト制度のせい 身分差別と女性差別が悪影響
  ■マサチューセッツ工科大はインド工科大の滑り止め ITはインド人だらけ
  ■海外・世界・国際についての投稿まとめ

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