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将棋ソフトボンクラーズの伊藤英紀に煽られた藤井聡太が連勝記録更新 将棋棋士は「AIに奪われる職業」なのか?


 ボンクラーズという将棋ソフト開発者の伊藤英紀さんが、史上最年少でプロ入りが決まった藤井聡太さんのニュースに絡み、「AIに奪われる職業」と煽っていたという話。ただ、チェスの例を見ると、的外れな指摘ではないかと思われます。その後、この藤井聡太さんが破竹の快進撃を続けており、追記しています。

2017/06/27:
●藤井聡太四段、29連勝で記録更新で歴代単独トップに
2017/10/28:
●チェスと同年に世界チャンピオンが負けたオセロも競技人口増加?
2021/02/13:
●その後も藤井聡太氏は活躍 最速・最年少での100勝や史上最年少優勝 【NEW】


●将棋ソフト開発者、14歳プロ棋士に「AIに奪われる職業」と煽る

2016/9/9:将棋の棋士養成機関「奨励会」所属の藤井聡太(そうた)三段(14)が、2016年10月1日付での四段昇段(プロ入り)を決めました、14歳2カ月でのプロ入りは史上最年少です。以前の記録保持者は、加藤一二三九段、新たな伝説 75歳にして前代未聞の定食ダブル注文でやっているあの加藤一二三(ひふみ)・九段でした。

 14歳のプロ棋士誕生へ 愛知の藤井三段、史上最年少で:朝日新聞デジタル(村瀬信也 2016年9月3日20時19分)によると、このときの記録は14歳7カ月で、62年ぶりの記録更新となりました。中学生棋士としては史上5人目だそうです。

 で、このニュースに将棋ソフト開発者から苦言。ボンクラーズの開発に関わった伊藤英紀さんという方だそうです。将棋のプロ棋士は「AIに奪われる職業 No.1」? | R25(2016.09.07 WED 金子則男)では、以下のような話がありました。
このニュースが報じられると、ある将棋ソフト開発者が、ツイッターで、

「おいおい、14才でよりによって『AIに奪われる職業 No.1』に決め打ちしちゃダメだろ。たぶん10年後、遅くとも20年後には棋士は『食べていける職業』ではなくなる。20年後、34才。どうすんの。本人の人生に責任持たない周囲の人が騒ぎ立てて煽るのはどうなのか」

と、ツイートした。このツイッターユーザーは、第1回と第2回の将棋電王戦に出場した「ボンクラーズ」および「Puella α」の開発者という人物で(※電王戦=プロ棋士と将棋ソフトの棋戦)、最年少プロ棋士誕生をはやし立てるメディアを批判している。

プロ棋士と将棋ソフトでは、「今や将棋ソフトの方が強い」というのが定説だ。過去の電王戦の結果は、第2回がプロ棋士の1勝3敗1分、第3回が1勝4敗、第4回が3勝2敗で、今年新設された「叡王戦」の初代優勝者と将棋ソフトの対決も、0勝2敗という結果に終わり、“人間チーム”の劣勢は明らかだ。

●将棋ソフト開発者はプロ棋士への敬意がない?

 一応、上記の発言はマスコミが煽っているのをたしなめているという体裁を取っているのですけど、どっちかというと、こっちの発言の方が煽りに見えます。対戦してもらったのに、プロ棋士に対する敬意が感じられませんね。

 そもそも将棋の電王戦をやっているニコニコ動画がこういう相手をバカにした発言で稼いでいるところです。(関連:将棋電王戦のやねうら王規定違反とドワンゴのやらせ・炎上商法)

 人間VSコンピュータの将棋の記事が熱い プロ棋士と開発者の本音で紹介したように、プロ棋士に敬意を払っている開発者さんもいますから、一緒くたにするのは良くないでしょうが、伊藤さんはニコニコ動画マインドの人なのかもしれません。


●囲碁や将棋よりずっと先に負けたチェスはどうなったか?

 発言への批判が多かった一方で、あまり言われていなかったのですが、そもそもプロ棋士が「AIに奪われる職業」って変な想定ではないでしょうか。これはAIたちが今のプロ棋士らのように将棋の大会に参加してファンを集めるという想定であり、あまり言われていない未来予想図だと思われます。

 それはそれでおもしろいかもしれませんけど、今現在実際に盛り上がっているのは将棋ソフトだけの大会より人間同士の大会や人間VSコンピュータの大会ですから、ちょっと想像しづらい未来です。たぶんそれより言いたかったのは、AIの方が強いから将棋の人気が衰えるということなのでしょう。

 ただ、そもそも人間より機械が得意なものは現在既にいくらでもあり、それでもプロが成立していますから、これも結局、変な話。最もわかりやすい将棋に近いケースはチェスです。


 かなり早くからコンピュータの方が強くなっているチェスは未だにプロが存在しています。2013年チェスの世界トッププレーヤーの獲得賞金総額はおいくら? くろのしろい日記によると、トップの人の年収は副収入なしの賞金だけで約2億2千500万円。上位10人の平均は約7700万円でした。

 これはトッププロですので、そうじゃない人は食っていけてない可能性がありますけど、おもしろいのが上記の記事の時点で"世界トップ10のチェスプレーヤーの推定賞金合計額は536万ドルから751万ドルに増加している"とあったこと。つまり、コンピュータの方がずっと強いチェスにおいても、市場がさらに拡大している可能性すらあるということです。

 非常におもしろいなぁ…と思ったのですけど、これはもともと「プロ将棋はオワコン」って話でしたので、それで言うと、ボンクラーズの伊藤英紀さんは勉強不足ということになりそうです。

 ただ、AIうんぬんって話でなければ、日本の将棋も将来人気が低下する可能性はあるかもしれません。アルファ碁、世界トップ級イセドルに勝利 実は囲碁が弱い日本人では、日本の囲碁は努力不足で停滞しているという話があり、そういった状態は人気低下を招くおそれがあります。常に若い新しいファンの流入を保ち、今回の藤井聡太さんのような若いプロがコンスタントに出てくるというのが、理想でしょうね。


●伊藤英紀宇治に煽られた藤井聡太四段、破竹の快進撃で連勝記録を更新

2017/06/08:最後に新しいファンを招き入れる必要があるという話をしていたのですが、藤井聡太さんが予想外の大活躍で将棋界を盛り上げています。

 まず、デビュー戦が以前の最年少プロ記録で、現在の最年長棋士の加藤一二三九段というできすぎな相手と対戦して勝利。その後の2017年4月4日には、史上初となるデビュー11連勝の新記録を達成。2人が記録していたデビュー後10連勝を、21年ぶりに塗り替えました。
(14歳・藤井四段、デビュー11連勝 記録塗り替える:朝日新聞デジタル 村瀬信也 2017年4月4日17時01分より)

 さらにその後の連勝も止まらず、デビューに限らない公式戦連勝記録としても、羽生善治三冠ら3人が記録した22連勝を抜き、単独3位となる23連勝を記録しました。
(藤井四段、羽生三冠抜き23連勝…歴代単独3位 2017年 06月07日 19時51分 提供元:読売新聞より)

 と書いていたら、その後すぐに24連勝を達成。これは歴代2位タイであり、丸山忠久九段の記録に並びました。
(藤井聡太四段止まらない24連勝、歴代2位タイ - 社会 : 日刊スポーツ[2017年6月10日13時48分]より)

 こういった活躍が本当に若い将棋ファン獲得に繋がるかどうかはまだわからないものの、将棋界にとっては朗報だと思われます。


●藤井聡太四段、29連勝で記録更新で歴代単独トップに

2017/06/27:この前追記したばっかりなので書かないようにしていましたが、さすがに連勝記録更新で歴代単独トップってのは節目かな?と思って再び追記。2017年6月26日(月)に行われた第30期竜王戦決勝トーナメントで、藤井聡太四段が勝利。これでデビュー後負けなしの29連勝を達成し、歴代連勝記録の単独トップとなりました。
(藤井聡太四段29連勝、歴代単独トップ|棋戦トピックス|日本将棋連盟 更新:2017年06月26日 21:33より)

 あと、当初書いていた将棋が注目されなくてはいけないという話に関しては、藤井四段ブーム的な感じになってきました。対局中に注文されたメニューが話題になって報じられ、"頼んだメニューが伝わるとすぐに完売となる人気ぶり"となっています。
(昼食にみろく庵の「豚キムチうどん」、夕食には紫金飯店の「わんたんめん」とのこと。藤井四段“勝負メシ”は好物めん類 注文メニューは即完売― スポニチ Sponichi Annex 社会[ 2017年6月27日 05:30 ]より)

 「ご飯の注文まで報じるとは…」と思う人もいるかもしれませんけど、これは将棋界の伝統のようなもの。既に加藤一二三九段、新たな伝説 75歳にして前代未聞の定食ダブル注文をリンクしているように、何を注文するかというのがュースになることがあります。とはいえ、あまりに藤井フィーバーが激しくなると、まだ中学生ということもあり、影響が心配されるところも出てきそうです。


●チェスと同年に世界チャンピオンが負けたオセロも競技人口増加?

2017/10/28:知らなかったのですが、チェスと同年にオセロでも世界チャンピオンがAIに敗れるということが起きていたそうです。このオセロはいま完全解析に近づいているものの、当時敗れた村上健さんは、完全解析されたとしても何も変わらないだろうと見ていました。

 完全解析されても1つの最善手順が発見されるにすぎないので、大会ではどちらかが必ず手を変えるはず、そして、手を変えてしまえば、その後は両対局者にとって未知の局面になるという説明です。

 また、チェス同様に、AIの方が強くなったからと言って、ゲームに魅力がなくなったということではなさそうな感じ。本当なら正確なデータが見たいのですが、「世界選手権、名人戦、ジュニアグランプリ(小学生の全国大会)等の大会の参加者数もここ数年増加の一途ですよ」とおっしゃっていました。
(人間VSコンピュータオセロ 衝撃の6戦全敗から20年、元世界チャンピオン村上健さんに聞いた「負けた後に見えてきたもの」 - ねとらぼ2017年10月21日 11時30分辰井裕紀より)


●その後も藤井聡太氏は活躍 最速・最年少での100勝や史上最年少優勝

2021/02/13:いちいち書いていたらきりがないくらい藤井聡太さんは活躍を続けているので、あまりこちらには書いていませんでしたが、久しぶりに追記します。うちでは、主人公無双アニメみたい…天才藤井聡太氏、羽生善治竜王らに勝利し、史上最年少優勝の方に結構書いていますね。

 そちらで書いたものとしては、2018年12月12日に行われた第27期銀河戦で阿部健治郎七段に勝ち、16歳で公式戦通算100勝を達成。羽生善治竜王を抜いて最速・最年少での100勝を達成、また中原誠十六世名人を抜いて最高勝率での達成ということで、一気に3つの記録を更新しています。

 さらに17歳となった2020年7月16日にも、棋聖戦五番勝負の第4局で、渡辺明三冠に勝ち、棋聖位を奪取。初めての8大タイトル獲得で、17歳11カ月での獲得は史上最年少記録です。その前にも史上最年少優勝をしていてすごいのですが、棋聖戦は将棋界に八つあるタイトルの一つという重要なもので、将棋連盟会長が「この更新はもう無理…」と感想を漏らすようなものでした。


【本文中でリンクした投稿】
  ■主人公無双アニメみたい…天才藤井聡太氏、羽生善治竜王らに勝利し、史上最年少優勝
  ■加藤一二三九段、新たな伝説 75歳にして前代未聞の定食ダブル注文
  ■将棋電王戦のやねうら王規定違反とドワンゴのやらせ・炎上商法
  ■人間VSコンピュータの将棋の記事が熱い プロ棋士と開発者の本音

【その他関連投稿】
  ■実際にプロがやった将棋の反則ランキング 二歩などの禁じ手、二手指しなど
  ■バグで人に負けたアルファ碁とバグで人に勝ったチェスのディープブルー
  ■将棋でなぜ二歩は禁じ手なのか?反則にしている理由はあるのか?
  ■オセロとリバーシの違いや名前の由来は?日本人が考案って本当?
  ■商品・サービス・技術についての投稿まとめ

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