蛾と蝶の話をまとめ。<蛾と蝶の違い そもそも生物分類学上は同じ種類 触覚が見分け方の一例だが…>、<昼行性が蝶、夜行性が蛾という見分け方にも例外 区別できず…>などをまとめています。
2022/12/03追記:
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【クイズ】蝶の古名として正しいものはどれでしょう?
(1)かわひらこ(かはひらこ)
(2)かわひるこ(かはひるこ)
(3)かわひろこ(かはひろこ)
●蛾と蝶の違い そもそも生物分類学上は同じ種類 触覚が見分け方の一例だが…
2016/9/17:
また社長交代のベネッセ、問題集で蚕(カイコ)と蝶の幼虫を間違うから発展して
青虫や芋虫が蝶になる・毛虫は蛾になるは嘘 蝶の幼虫も皆、毛があるを書きました。ところが、これを書いていて、またさらに気になる話を見つけます。
そもそも蝶と蛾は明確に区別できないという話。
日本蛾類学会(Q&A)では、<Q1:蝶と蛾の違いは?>について、<A1:生物分類学上では特に違いはありません>と回答しています。
ずっと1種だと思われていたキリン、今頃になって4種類いると判明で書いた、見た目を重視しすぎると間違うという話にも繋がる話です。
ただ、上記では触覚を一つ、見分け方として挙げていました。私もこれで今まで区別していたんですよ。蛾の触覚はフサフサなイメージです。これは飽くまで私がそうしていた…というだけで、一般的に言われていたものかどうは不明。そもぞも明確に区別できないということですから、正しい見分け方もないんでしょうけどね。
<成虫の形態であえて区別点を挙げるとすると、 触角が異なっています。蝶の触角は棍棒状で、蛾の触角は糸状・櫛状・羽毛状など様々なものがあります。 因みに学名の Rhopalocera は、棍棒状(Rhopalo-)の角(cera)を意味し、 Heterocera はそれ以外(Hetero-)の角(cera)を意味しています。(M) >
●昼行性が蝶、夜行性が蛾という見分け方にも例外 区別できず…
上記では、"昼間の環境に特化して飛翔力の鋭敏な一群を蝶(Rhopalocera)と呼び、 それ以外のものを蛾(Heterocera)"とも書いていました。ただし、Wikipediaだとこれを否定していました。ウィキペディアのこの記載部分も、出典不明ということで信頼性に欠けるのですけどね…。
<例えば、「チョウ」の大半は昼行性であるが「ガ」には昼行性のものと夜行性のものの両方が含まれる。また、「チョウ」は休息時に翅を垂直に立てるか水平に開いて止まるかのいずれかであるが、「ガ」には垂直に立てるもの、水平に開くもの、屋根型に畳むものなど様々な休息形態をとるものが存在する。要するに「チョウ」の特徴をある程度定義することはできるが、「ガ」の特徴は「チョウ」の系統を定義する特徴を用いて、消去法で表現することしかできない。系統分類学的に言えば、チョウはガの一部なのである>
また、Wikipediaでは上記の前に、系統的な枝分かれで機械的に分けているといったことも書いていました。
<チョウとガは同じチョウ目に属している。その境界は曖昧で、形態で分類するには例外が多すぎて、明確に区別することは難しい。その理由として、チョウ目に存在する多数の系統的分枝のうちわずか3上科を擁する1分枝をもって「チョウ」とし、その他大勢をもって「ガ」とする二大別法に系統分類学的根拠が乏しいことが挙げられる>
●そもそも蛾と蝶を区別していない国もある 日本もそうだった?
実を言うと、最初のページでも記載があったのですが、そもそも蝶と蛾を区別していない国もあるとのこと。<日本語では「チョウ」と「ガ」をはっきり区別しているが、ドイツ語圏やフランス語圏など、この2者を区別しない言語・文化もある>と書かれていました。
このように蛾と蝶を区別しないというのが、生物学の分類的には正解なんでしょうね。なお、前述の記述以降はWikipediaで独自研究色が強くなります。日本においても蝶と蛾の区別はしておらず、英語の影響で分けるようになったとも主張しているのです。
元来、漢語の「蝶」とは「木の葉のようにひらひら舞う虫」を意味し、「蛾」とはカイコの成虫およびそれに類似した虫を意味する言葉であった。そのため、この漢語概念を取り入れた日本語において、そもそも「チョウ」と「ガ」は対立概念ではなかったのである。当然、今日「チョウ」と呼ぶ昆虫を「ガ」と認識することもあったし、逆もまた真である。さらに、「蛾」という語が産業昆虫として重要であり、しばしば民俗的に神聖視されるカイコの成虫がイメージの根底にあることからわかるように、今日のように不快昆虫というイメージもなかった。漢字文化圏で美人の眉のことを「カイコガの触角のような眉」を示す「蛾眉」なる語で示すことにそうした文化的背景がよく表されている。
むしろ日本における今日的な「チョウ」と「ガ」の線引きの起源をたどってみると、英語における "butterfly" と "moth" の線引きと一致し、英語圏からの近代博物学の導入に伴って英語の文化的分類様式が科学的分類法と混在して日本語に持ち込まれたことが推測される。(中略)
日本語では、ハエ、ハチ、バッタ、トンボ、セミなど、多くの虫の名称が大和言葉、すなわち固有語である。しかし、この蝶と蛾に関しては漢語である。蝶、蛾もかつては、かはひらこ、ひひる、ひむしなどと大和言葉で呼ばれていた。その際、蝶と蛾は名称の上でも、概念の上でも区別されていなかった。しかし上記のごとく英語圏からの博物学の導入に伴って蝶と、蛾の区別を明確に取り入れたため、両者を区別しない、かはひらこなどの大和言葉はむしろ不都合であった。そこで漢語の蝶、蛾にその意味を当てたわけだが、それも上記のとおり、本来の字義とは異なっている。
【クイズ】蝶の古名として正しいものはどれでしょう?
(1)かわひらこ(かはひらこ)
(2)かわひるこ(かはひるこ)
(3)かわひろこ(かはひろこ)
【答え】(1)かわひらこ(かはひらこ)
一般的に蝶は昼行性だというので、「かわひるこ」だと良い感じなのですが、「かわひらこ」とのことでした。ただ、Wikipediaでは、そもそも蛾も「かわひらこ」だという見解。
他のサイトを見ていると、「かわひらこ(かはひらこ)」=蝶、「ひいる(ひひる)」=蛾としていることが多いです。辞書でも「ひいる」は蛾 の古称で、特に蚕 (かいこ) だとしていました。さらに「ひむし」は辞書だと「蚕のさなぎ。また、その羽化したもの」としていました。
かなり記述が異なっているので、上記のWikipediaは出典が補強されるまで、ひとまず保留ですね。
●世界一美しい蝶モルフォチョウの美しくないグロテスクな食性
2022/12/03追記:正直、蛾と蝶の違いの話とは全然関係ないんですが、チョウ関係の話ということでここに追記。世界一美しいとされるモルフォチョウという種類のチョウがいます。青く光り輝いたチョウで、確かにきれいなチョウ。そのため人気あるチョウであり、子供の頃に昆虫展で見た!と思い出しました。
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ウィキペディアでは、<体にくらべて非常に大きな翅をもち、さらに翅の表側に金属光沢をもつのが特徴である。この光沢はほとんどの種類で青に発色する>と説明。ただし、これは不思議なことに青い色素を持っているわけではありません。構造に起因したものだとのこと。昆虫展でもそんな説明があった記憶があります。
<これは色素ではなく翅の表面にある櫛形の鱗粉で光の干渉が起きるため、光沢のある青みが現れる。このような現象を構造色という[1][2]。また、不規則な軌跡を描いて速く飛ぶのも特徴である。鮮やかな翅の色を持つのは雄で、ほとんどの雌は雄よりも地味な茶色か青みが少ないことが多い。
翅の裏側には褐色や灰色のまだら模様がある。また、翅の裏には目玉模様(眼状紋)がある種類がほとんどで、分類上はジャノメチョウに近縁とされている。翅の表裏の色の変化で天敵を驚かせると考えられている。翅を閉じていると目立たない>
また、おもしろいのが、こんなに美しいのに、<成虫は花の蜜よりも腐った果実、動物の死骸、キノコなどを好む>ということ。美しい姿と違ってグロテスクな食性をお持ちです。「美しい花には棘がある」じゃないですけど、なんですかね、これ。「美しい蝶にはグロがある」といった感じでしょうか。
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