2016/10/2:
●候補多いのにニュートリノのノーベル物理学賞の受賞はなぜか2人だけ
●ノーベル物理学賞を逃した候補 鈴木厚人,鈴木洋一郎,西川公一郎ら
●中国人研究者2人も有力だったが、日本の記事では名前すらなし
●生きていれば受賞確実だったもう1人の日本人、戸塚洋二栄誉教授
2019/10/11:
●従来理論を覆す実験を提案…西川公一郎氏の研究成果と学歴・経歴
●長年の謎であったの謎を完全解決!鈴木厚人氏の研究成果と学歴・経歴
●候補多いのにニュートリノのノーベル物理学賞の受賞はなぜか2人だけ
2016/10/2:ノーベル賞の有力候補の話はたびたびやっていますが、今回は逃したという話です。2015年に「ニュートリノ振動の発見」で、梶田隆章・東京大学宇宙線研究所所長とカナダのアーサー・マクドナルドさんが、ノーベル物理学賞を受賞しました。ノーベル賞は「1部門で最大3人まで」なのに、2人しかいませんでした。
もちろん3人いなくちゃいけないということはなく、1人ということもあります。ただ、「ニュートリノ振動の発見」の場合、候補がいなかったというわけではなく、3番手に同じくらいの実績の人が並んでいて1人を選べなかったからだと説明されていました。
<今回のニュートリノ研究を対象としたノーベル物理学賞は、「第3の席」を占めてもおかしくない候補が日本人を中心に複数いたため絞り込むことが難しく、梶田氏ら2人に落ち着いたとみることができそうだ>
(
ノーベル物理学賞 消えた第3の日本人受賞者 :日本経済新聞 編集委員 吉川和輝 2016/1/10 6:30より)
●ノーベル物理学賞を逃した候補 鈴木厚人,鈴木洋一郎,西川公一郎ら
2012年に創設されたブレークスルー賞は、3人という縛りがなく、成果をあげた研究グループ全員に贈られます。この受賞メンバーを見ると、3人目候補の方が予想できるようです。
授賞式には各研究グループを代表する7人が出席。ノーベル賞受賞者である梶田さんと、カナダのアーサー・マクドナルドさんの2人は当然。これ以外に、岩手県立大学学長の鈴木厚人さん、東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構副機構長の鈴木洋一郎さん、高エネルギー加速器研究機構名誉教授の西川公一郎さん、そして中国の研究グループの2人だったそうです。
鈴木厚人さんは名前に聞き覚えがあったので検索したら、
ノーベル物理学賞予想候補 梶田隆章,鈴木厚人,大野英男らの経歴・受賞歴で梶田さんといっしょに書いていた方ですね。
梶田さん、鈴木厚人さん、鈴木洋一郎さん、西川さんという日本人4人は、岐阜県飛騨市にあるニュートリノの観測装置「スーパーカミオカンデ」やその前身の「カミオカンデ」で研究をしたかつての同僚。これらの施設で、あるいはその後別の研究グループを率いて、ニュートリノ振動の研究でそれぞれ重要な成果をあげているそうです。
●中国人研究者2人も有力だったが、日本の記事では名前すらなし
上記では中国の研究グループの2人だけ名前すら出ていませんでしたが、3つのニュートリノ振動のうち、最後に残ったのがタウ型と電子型の間の振動で貢献した研究者らだという説明はありました。以下のようなものです。
<3つのニュートリノ振動のうち、最後に残ったのがタウ型と電子型の間の振動。これは茨城県東海村の施設で作ったニュートリノを約300キロメートル離れたスーパーカミオカンデに飛ばす「T2K実験」などで確認され、詳細なデータは中国で行われた「ダヤベイ実験」で得られた。T2K実験では先のK2K実験に続いて西川氏が代表者を務めた。そしてダヤベイ実験を主導したのが中国の2人の研究者だった>
名前すらないというのはあんまりだと思ったので検索。
基礎物理学賞 - Wikipediaに載っていました。 Kam-Biu LukさんとYifang Wangさんというようです。
漢字表記が不明だったものの、別記事で発見。
「基礎物理学ブレイクスルー賞」、中国人が初受賞--人民網日本語版--人民日報(人民網日本語版 2015年11月10日15:51)で以下のような記載があります。
<北京時間11月9日11時、2016年「生命科学ブレイクスルー賞」の受賞者が、米カリフォルニア州シリコンバレーにあるアメリカ航空宇宙局(NASA)のエイムズ研究センターで発表された。中国科学院高エネルギー物理研究所の王貽芳研究員、米ローレンス・ バークレー国立研究所の陸錦標教授、大亜湾ニュートリノ実験チームが、2016年「基礎物理学ブレイクスルー賞」を受賞した。中国人科学者および中国人科学者が中心となったチームが同賞を受賞するのは今回が初めて。中国青年報が伝えた>
●生きていれば受賞確実だったもう1人の日本人、戸塚洋二栄誉教授
もう一人受賞を逃した方がいます。再び日経新聞からですけど、以下のように説明されていました。
<もっと早い段階でニュートリノ振動の研究に対してノーベル賞を出すことになっていたら、受賞者3人の枠がきれいに埋まったかもしれない。もう一人の人物は戸塚洋二・東京大学特別栄誉教授。梶田氏の兄弟子にあたり、スーパーカミオカンデの建設を推進し同実験の代表者を務めた。長くノーベル賞の候補といわれていたが、08年に惜しまれながら他界した。梶田氏も受賞が決まった後の記者会見で「戸塚先生がご存命なら受賞されただろう」と語っている>
実を言うと、これは受賞までに時間がかかるノーベル賞でありがちな理由です。ただ、ノーベル賞になるまでの時間がかかるというのは、たぶんその研究の評価がハッキリと決まる必要があることや受賞にふさわしい研究が多いことなどが理由でしょうから、やむを得ないでしょうね。
●従来理論を覆す実験を提案…西川公一郎氏の研究成果と学歴・経歴
2019/10/11:西川公一郎さんについて補足。最初の投稿とかぶる部分もあるのですけど、
Wikipediaから引用していきます。
前述の通り、茨城県つくば市の高エネルギー加速器研究機構に設置された加速器からニュートリノを放射してスーパーカミオカンデで測定するK2K実験では中心、実験代表者としてこのプロジェクトを主導したそうです。Wikipediaによると、そもそもこの実験を提案したのも西川さんでした。
そして、実験の結果、ニュートリノの種類が飛行中に変化している証拠を確認。従来の理論では質量ゼロとされていたニュートリノが質量を持つことが確実になりました。さらにその後、茨城県那珂郡東海村に建設された大強度陽子加速器を用いた次世代ニュートリノ振動実験(T2K実験)の実現を推進したとされています。
ちなみに京都大学理学部物理学科出身。ノースウェスタン大学Ph.D.、シカゴ大学、ニューヨーク州立大学、東京大学、高エネルギー加速器研究機構、京都大学教授を経て、高エネルギー加速器研究機構素粒子原子核研究所所長を務めました。
●長年の謎であったの謎を完全解決!鈴木厚人氏の研究成果と学歴・経歴
もうひとり同様に
Wikipediaから、鈴木厚人さんについても補足。鈴木さんは逆に経歴の方から紹介しましょうか。
新潟県新潟市出身で、新潟大学理学部物理学科卒業。博士は東北大学理学研究科で、高エネルギー物理学研究所へ。並行して東大で助教授などもしていましたが、長かったのは東北大で教授になった他、東北大学副学長などを勤めています。そして、2006年には高エネルギー加速器研究機構長。また、2015年からは岩手県立大学長となりました。
さて、肝心の研究内容の話。カミオカンデ・スーパーカミオカンデを経て、世界最大である1000トンの液体シンチレータを用いたニュートリノ検出装置カムランドを発案し、建設します。
そして、2002年には、遠方の原子炉から飛来するニュートリノの振動現象を、世界で初めて観測。これにより、長年の謎であった「消えた太陽ニュートリノの謎」を完全解決に導くとともに、ニュートリノ振動を決めるニュートリノ質量2乗差を、世界最高感度で決定したとされていました。また、2005年には、地球内部から飛来する反ニュートリノの検出にも、世界で初めて成功しています。
【本文中でリンクした投稿】
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