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菅内閣不信任騒動 海外の反応


 普段はあんまり良い記事ないなと思っていたダイヤモンド・オンラインですが、最近は結構良いです。

 前半の菅内閣不信任騒動の総括で多くを引用したのと同じく、日本の政治は復興を主導できるのか、政治不信の果ての恐ろしさ 英語メディアが伝える日本 2011年6月8日もダイヤモンド・オンラインの記事で、「英語メディア」に限っているようですが、海外の反応が数多く掲載されていました。


『ニューヨーク・タイムズ』のマーティン・ファクラー特派員
「第二次世界大戦以来、日本にとって最悪の大惨事から日本を脱出させなくてはならない」はずの総理大臣が、「要するにレームダック」になってしまったと書いています。「日本を何年も縛り付けていた政治的膠着がさらに長引くのはおそらく確実だろう」とも。さらに、大震災の衝撃を経てついに日本は「20年にわたる経済的な、そして社会的な停滞から抜け出す方法を見つけるかもしれないと期待されたのだが、政治指導層に対する有権者の落胆は募っているようだ」と。菅首相に対する批判は高いが、それと共に内閣不信任決議案提出に至った政治駆け引きに、国民は「辟易としている」とも。


『ワシントン・ポスト』
ただでさえ「1年ごとにトップを交代させる日本の政治システム」、大震災をもってしても「国民の信頼をかきたてられない日本の政治システム」は、首相が辞める辞めないの「騒ぎと、それまで何日も続いたもめ事(bickering)」によって「さらに評判を落とした」と書いています。


FTのディッキー東京支局長
「有権者に選ばれた代表たちは共通目的に向かって一致団結するどころか、4年間で4人の総理大臣を持ち上げてはひきずり降ろしただけでは飽き足らず、5人目を政治的な血祭りに上げようと騒いでいる。東北地方のストイックで忍耐強い人たちは、そんな政治家たちのみっともない姿を、目の当たりにさせられているのだ」と、怒りをあらわにしています。

『FT』というのはそもそも、声高で過激なアジテーションとは対極にある媒体です。そして筆者は、ふだんは物腰柔らかで穏やかに語る人です。日本に詳しく、かつ震災後はずっとずっとずっと、被災地から記事を書いていました。そういう記者がそういう新聞にこういう表現で書いている。


英誌『エコノミスト』
「日本の政治危機で勝者なし」という記事で、震災に対する日本人の反応は「長く苦しんできた日本社会が見せる最良の姿だった」が、6月2日の「国会での茶番は、政治が見せる最悪の姿だった」と批判しています。国家的危機のさなかにありながら日本ではこれから何カ月も「レームダック政権」が続くのかもしれず、「日本人の『禅』的な忍耐力」もこれで磨り減ることになるのだろうと。

記事は、この「sordid(下劣な、浅ましい、卑しい)」な騒ぎを経て面目を保った人は誰もいない、まして自民党をや――と書いています。被災地の復興努力に関わる予算措置を参議院でブロックするぞと脅した自民党をや、と。菅首相の震災対応を批判する自民党だが、その自民党は東京電力など電力各社から巨額寄付を受けてきただろうと。

もちろん責められるべきは自民党ばかりではなく、「何が一番分からないといって、なぜ菅氏が今回のことを自分に有利に利用できなかったのか、その機転が利かったのかが謎だ」と『エコノミスト』は批判します。「民主党内外の守旧勢力がどういう連中かはっきり言明していれば、連中がいかに現実離れした、負け惜しみばかりのつまらない連中かキッパリ断定していれば、首相は今回のことで力をつけたかもしれないのに。首相は力をつけなかった。悲しいことに、日本もそうだ」と。


米『ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)』のジェイコブ・シュレシンジャー日本編集長
2日付で、不信任案を経て「菅氏は前よりも強くなった。強くなったのではもちろんない。しかし採決前よりも強くなった」と書いています。採決前まで民主党は分裂崩壊寸前の状態だったが、「少なくとも今の時点では、民主党は一体だからだ」と。菅氏にとって党内最大の驚異だった小沢氏はどうもギリギリで「blinked = 瞬きする = ためらった」らしく、結果的に自分の方が力を失ってしまったとも。また鳩山氏については、「菅氏が鳩山氏に一杯食わせて恥じをかかせたのは、別に意外でもなんでもない。それよりも、なぜ相当数の民主党議員が未だに、あちこち迷走する鳩山氏に従っているかの方がよく分からない」と手厳しい。

(中略)

シュレシンジャー氏は不信任案否決を受けて、「日本の政治を濁って不透明なものとして描くのは、あまりにありきたりだが、それにしても木曜日に永田町で展開したあっけない対決は、なんというか、濁って不透明だった」と書いています。正直な感想だなと思いました。「濁って不透明」と訳したのは「murky」という言葉。水がどよーんどんよりと濁っているあの感じで、「ur」という口の中でモゴッと発音するはっきりしない音の組み合わせが、実によく意味を表しています(言葉のもつ音というのは往々にして、その意味をよく表すものだと私は思っています)。


シンクタンク米外交問題評議会(CFR)(国際政治経済の専門誌『フォーリン・アフェアーズ』の発行元)の日本研究者、シーラ・スミス氏
「菅首相が勝利」というブログ記事で、不信任決議案に対する日本国民の反応は「disgust and anger(強い嫌悪感と怒り)」だったと書いています。決議案に被災地の首長たちは落胆をあらわにしたし、否決されるや避難所では拍手が起きたと。「吐き気がするほど激しい嫌悪感」を意味する「disgust」という単語については前にも説明したように、「ディ」と「ガ」を強調する、とても語気の強い言葉です。「I'm disgusted with 誰それ・何それ」と言うのは、「本当に強い嫌悪感を抱いて呆れかえっているのだ」というニュアンスです。



 日本のマスコミとのズレという意味で極めて象徴的だったのが、以下の文章です。

2日当日とか直後の英語記事をざっと概観するに、「連立(coalition)」や「大連立(grand coalition)」などの展望はあまり語られていなかったことに改めて気づきます。


 これは単に海外メディアの展望の無さなのかもしれませんが、FT記事が「日本の政界は国民とずれている。日本には社会と企業と官僚の力がある。政治家は役に立たないならせめて騒音は出さないでくれ」と書いているのと同様、連立や次期首相の話で大騒ぎしている日本のマスコミもどこか国民とのズレがあるのではないかと思います。


 最後に前半に書いた今回の不信任決議案提出にがっかりした点ですが、幾人かの方が書いているように野党や与党内で不信任案に賛成しようとした人たちが次の展望を示さなかったことです。

 不信任決議案を提出した場合、

可決 → 内閣総辞職になるため、次の内閣に速やかに移動できないと、政治的空白・混乱が生まれる。
否決 → 与党の相当数に離反の意志が見られた以上、内閣は死に体と化すため、ますます政策実行は困難となる。また、次期首相や次の連立の枠組みなどを決めておき、速やかに移動できないと、政治的空白・混乱が生まれる。

 というわけで、どちらにしても政治的空白・混乱が生まれ、震災などの多くの難題が棚上げになります。

 ですから、本来であれば次の形を国民に提示・説明しておくことが必要でした。(ただ、菅首相を辞任方向に導き、無力化したのだから十分という考え方はできます。できますが、それは党利で考えたものの考え方であり、そこに国民の姿はありません)


 しかし、結局野党や与党内反菅勢力は首相が辞めれば万事解決するといったことしか、言うことができませんでした。

 確かに菅内閣の機能不全ぶりはすさまじく、私も期待できるところなどないと思いますが、それでも、実際に物事を決める能力があることを示す絶好の機会、というより示さなくてはいけない今回のような機会に何もできなかったというのはこれもまた大きなことです。

 それは、結局菅政権との違いを具体的な行動で示すことができなかったということであり、政権が変わっても大きな改善は期待できないということであり、被災者のためというのは口ばかりでただ利用しただけだったということを示したものです。


 これは民主党にしても全く同じことが言えますが、本来であれば、相手を批判してその相手が政権を降りれば全てうまくいくという言い方ではなく、自分たちなら何をするかということを言い、実際に行動で示すべきでした。

 そして、それができているかどうかを、これから私たちはよく見ていかなくてはならないと思います。


 関連
  ■菅内閣不信任騒動の総括
  ■その他の政治について書いた記事
  ■補正予算の年金積立金取り崩しは問題
  ■年金積立金よりマニフェスト関連予算を使うべき
  ■東京電力株を持っている議員ベスト10
  ■石破茂政調会長など、東電株保有議員は発言に気をつけるべき

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