2016/10/26:
●日本でも擁護あるドゥテルテ大統領、麻薬無関係の政敵も殺害?
●「ヒトラーは300万人虐殺した。私も殺したい」自ら例えたヒトラー
●自ら例えたヒトラーとの共通点は大量虐殺だけじゃない?実は…
2018/06/03:
●大統領の息子と義理の息子にも麻薬密輸疑惑、公平に殺害した?
●その後副市長を辞任するが理由がひどい…10代の娘との喧嘩のため
2020/09/14:
●今度はちゃんと裁判で有罪になった殺人犯を突然恩赦…なぜ?
2021/11/16追記:
●ドゥテルテ大統領の長女のサラ市長が副大統領候補で父娘対決?
2022/01/10追記:
●長女とコンビ組んだ大統領候補を猛攻撃も人気独走…側近は惨敗 【NEW】
●日本でも擁護あるドゥテルテ大統領、麻薬無関係の政敵も殺害?
2016/10/26:日本人でもドゥテルテ大統領に好感を持っている方はいるようです。「じゃあ、さんざん叩いていた舛添都知事も辞めなくて良かったよね?」って話になっちゃって、たぶんそれは都合が悪いと思うのですけど、政治家に清廉潔白は不要だと主張して、ドゥテルテ大統領を擁護している人も見かけました。
このドゥテルテ大統領による殺害で問題なのは、
フィリピン大統領有力候補ロドリゴ・ドゥテルテ 米豪国交断絶・レイプしたかったと冗談・殺人自慢などめちゃくちゃで書いたように、きちんとした裁判を経ていない場合、冤罪の可能性があるということ。
ドゥテルテ大統領が好きなタイプの人は痴漢冤罪なんかは強く問題視するんじゃないかと予想しますけど、無実の罪で自分や自分の大切な人が殺された場合を思い浮かべてみてください。公平性のない殺害は本来大問題なんですよ。で、実際無関係の人が殺されていたという証言も出てきているのです。
<フィリピン南部ダバオ市で暗躍したとされる「暗殺団」の一員だった男性(57)の証言が、波紋を広げている。当時ダバオ市長だったドゥテルテ大統領の指示で、千人以上の犯罪者らが違法に殺害されたという。政権は火消しに躍起だが、国際人権団体は「深刻な疑惑」と調査を求めている。(中略)
男性は、殺害対象にはドゥテルテ氏に敵対する人物も含まれていたと証言。犠牲者の多くはバラバラにされるなどした後、採石場に埋められたり、海に遺棄されたりしたという>
上記は、
「ドゥテルテ氏が殺害指示」 フィリピン 暗殺団メンバー証言 市長時代、政権は否定 - 西日本新聞(2016年09月19日 14時19分)という記事から。また、
ドゥテルテ比大統領、市長時代に殺人命令か - WSJ( By CRIS LARANO 2016 年 9 月 16 日 09:31 JST)というより詳しい記事でも出ています。
<マトバト氏はまた、ドゥテルテ氏の政敵だったプロスペロ・ノグラレス氏の支持者らが2010年に誘拐され、殺害された事件に自分も関与していたと述べた。同氏によれば、犠牲者たちは絞殺され、その死体は「魚が食べやすいように」切り開かれて海に捨てられた。ある犠牲者は両手と両足を縛られ、内臓を抜き取られてワニ養殖場でワニのエサにされたという。(中略)
さらにマトバト氏は、ドゥテルテ氏がダバオ市長だった2003年に、市長に批判的だったラジオ・コメンテーターのジュアン・パラ氏の殺害を命じたとも主張>
ドゥテルテ大統領側はもちろん否定していますし、それ以外でも反論は出ています。ただ、そもそも裁判記録も何もないがために、本当に犯罪者だけを殺害していたという証拠が出せない状態。研究不正疑惑なんかでもそうなのですが、不正がなかったことを証明するためにも、こうした記録を残しておくのは必要なことなんですね。
<これに対し、ノグラレス氏の息子、カルロ・ノグラレス下院議員は、父親の支持者あるいは従業員が政治上の対立で殺害されたことはないと否定し、マトバト氏の証言の動機を疑問視した。同議員は「この男(マトバト氏)は、自分の利益を追求する誰かに操られているとしか思われない」と述べた。別の議員パンフィロ・ラクソン氏は15日の公聴会で、マトバト氏の証言のうち一部の詳細は首尾が一貫しておらず、信頼性に欠けると述べた>
●「ヒトラーは300万人虐殺した。私も殺したい」自ら例えたヒトラー
ところで、ドゥテルテ大統領が自分でヒトラーを引き合いに出していたことがあります。普通ヒトラーに例えるのは相手を非難する際なので、自ら言い出していて驚きました。
「麻薬中毒三百万人殺したい」比大統領、ヒトラーに言及:朝日新聞デジタル ハノイ=鈴木暁子 2016年9月30日18時10分
フィリピンのドゥテルテ大統領は30日、ナチス・ドイツを率いた独裁者ヒトラーに自らをなぞらえ、「ヒトラーは300万人のユダヤ人を虐殺した。(フィリピンに)麻薬中毒者は300万人いる。私も喜んで殺したい」と発言した。実際は約600万人が犠牲になったとされる大量虐殺(ホロコースト)を引き合いにした発言は国際的に波紋を呼びそうだ。
ドゥテルテ氏は演説で、自分が「ヒトラーの親類みたいに思われている」と述べ、「ドイツにはヒトラーがいた。フィリピンには……」と自身を指さし、「この国の問題を一掃し、次世代が地獄に落ちないようにしたい」と続けた。
これはさすがに後に謝罪しています。
ヒトラー発言の比大統領「ユダヤ人社会に心から謝罪」:朝日新聞デジタル マニラ=鈴木暁子 2016年10月2日23時50分
フィリピンのドゥテルテ大統領は2日、ナチス・ドイツによるユダヤ人虐殺(ホロコースト)を引き合いに「麻薬中毒者を私も喜んで殺したい」と発言したことについて、「虐殺された600万の人々をおとしめる考えは全くなかった。ユダヤ人社会に対し心から謝罪する」と演説で述べた。
ドゥテルテ氏は、フィリピンで多くの麻薬犯罪者が殺害され、自身が「ヒトラーみたいだと言われている」と言いたいだけだったとし、「強調したかったのは、私が殺すのは麻薬中毒者だということだった」と話した。
●自ら例えたヒトラーとの共通点は大量虐殺だけじゃない?実は…
ただ、ヒトラーとの共通点というのは、単に虐殺だけではありません。日本では知らない人が多いですが、ヒトラーは当初ユダヤ人ではなく、政敵を粛清していたのです。ドゥテルテ大統もなんだかんだ屁理屈をこねつつ、実は政敵を粛清していただけかもしれない…という、意外な共通点が出てきました。
アドルフ・ヒトラー - Wikipedia
他の幹部とは異なった政権構想を持っていた突撃隊ではさらなる第二革命を求める声が高まり、突撃隊参謀長レームらとの対立が高まった。ヒトラーはゲーリングと親衛隊全国指導者ヒムラーらによって作成された粛清計画を承認し、1934年6月30日の「長いナイフの夜」によって突撃隊を初めとする党内外の政敵を非合法的手段で粛清した。この時、党草創期からのつきあいがあったレームの逮捕にはヒトラー自らが立ち会っている。
長いナイフの夜 - Wikipedia
長いナイフの夜事件(ながいナイフのよるじけん、ドイツ語: Nacht der langen Messer De-Nacht der langen Messer.ogg 発音[ヘルプ/ファイル])とは、1934年6月30日から7月2日にかけて、国家社会主義ドイツ労働者党(ナチ党)が行った突撃隊(SA)などに対する粛清事件である。
粛清は正式な法的措置を執らずに行われ、エルンスト・レームらSA幹部、かつてナチス左派の領袖だったグレゴール・シュトラッサー、元首相で名誉階級陸軍大将のクルト・フォン・シュライヒャーなど党内外の人々多数が裁判を経ずに殺害された。当局の公式発表によると77人が死亡したことになっているが、116名の死亡者の氏名が明らかになっている。亡命ドイツ人の発表では千人以上という数値も主張されている。事件名は、5世紀ウェールズでのザクセン人傭兵による、ブリテン人への宴席での騙し討ち(隠し持った長ナイフによる殺害)(en:Treachery of the Long Knives)にちなむ。
当時の投稿を読み返してみたら、ドゥテルテ大統領が市長時代に市の景気が良かったことに関して、ヒトラーと似ていると書いていました。問題ある政治家って、こういう風にむしろ経済的にはうまく行くこともあるので、経済だけで判断してはいけません。これは日本人も肝に銘じておくべきでしょう。
●大統領の息子と義理の息子にも麻薬密輸疑惑、公平に殺害した?
2018/06/03:ロドリゴ・ドゥテルテ大統領(72)の息子で政治家のパオロ・ドゥテルテ(42)さんや義理の息子にあたるマナセス・カルピオさんにも麻薬密輸に関与していた疑惑が以前出ていたみたいですね。
上院の公聴会で「パオロ氏の背中には竜の入れ墨があり、それが何より麻薬犯罪に関連する組織のメンバーであることを示している」と指摘され、入れ墨の存在を認めざるを得ないことに。また、パオロさんが麻薬組織関係者とされる人物と共に写る写真まで公開されてしまいました。
もともとドゥテルテファミリーが完全に市政を掌握しているダバオでは、麻薬関連犯罪そのものは封じ込められている一方で、有力者が完全にコントロールして「安定供給が確保されている」との情報が出ており、この疑惑はこれと完全に合致しています。
(
家族思いのドゥテルテ比大統領、長男に麻薬組織関与疑惑 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト 2017年9月11日(月)15時30分 大塚智彦(PanAsiaNews)より)
●その後副市長を辞任するが理由がひどい…10代の娘との喧嘩のため
これについて、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は息子に対し、「お前が逮捕されるようなことがあれば、殺すよう命じた。もしそれが事実ならば、私はお前を殺した警察官を守るつもりだ」といった威勢のよいことを言っているようです。
(
ドゥテルテ比大統領、麻薬疑惑が事実なら実の息子「殺す」 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News 2017年9月21日 16:23より)
ただし、当初の投稿で書いたように、ドゥテルテ大統領のやり方で問題なのは、その事実かどうかの調査がきちんと行われていないということ。他の人らはきちんと調査せずに殺しておいて、息子のときだけはちゃんと調査するってダブルスタンダードでしょう。
そして、結局、この件では罪に問われなかったようなのですけど、この疑惑に加えて、ダバオ副市長専用の公式フェイスブックページで10代の娘のイサベルさんを口汚くののしり、公の場で親子喧嘩したことで辞職。こういうレベルの人たちなんでしょうね…。
(
比大統領の長男、副市長を辞任 麻薬疑惑や娘とのいさかいで引責 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News 2017年12月26日 12:34より)
●今度はちゃんと裁判で有罪になった殺人犯を突然恩赦…なぜ?
2020/09/14:相手によって対応の違いがありすぎて、要するに自分に有利になるときだけ殺しているだけではないか?というフィリピンのドゥテルテ大統領。今回の件は、すでにちゃんと裁判をして刑が確定していて、それこそたとえ死刑だったとしても仕方なくない?という、殺人を犯した人を恩赦しちゃったというケースでした。
ドゥテルテ大統領が恩赦を与えたのは、フィリピンで、ディスコで知り合った地元の男性を暴行、殺害し、裁判で有罪判決が確定し、殺人罪で服役中だったアメリカ海兵隊の男性。その後、さらに、国外退去処分となり、米軍用機で帰国できました。恩赦だけでなく母国にも帰れたようです。最高ですね!
問題は、米国嫌いで知られるドゥテルテさんがなぜ突然恩赦を与えたのか?という謎。この話を伝えた記事は、実を言うと、
コロナワクチン狙い米兵に恩赦? フィリピンで服役、国外退去に | 共同通信というタイトルでした。あまりに不自然すぎるがために、米国が開発する新型コロナウイルスのワクチン確保のため、米側に恩を売ったのではないかとの見方が政府内からも浮上しているそうです。政府内からも疑われてるってすごいですね。
●ドゥテルテ大統領の長女のサラ市長が副大統領候補で父娘対決?
2021/11/16追記:娘さんも話題になっていたので追記。フィリピンのドゥテルテ大統領の長女で南部ダバオのサラ市長(43)が、2022年5月の大統領選にあわせて実施される副大統領選に立候補しました。大統領候補は故マルコス元大統領(同1965~86年)の長男のフェルディナンド・マルコス元上院議員(64)であり、正副大統領候補ともに世襲です。
サラ市長は、アロヨ元大統領(在職2001~10年)らを輩出した右派政党「ラカスCMD」に入党したばかりで、同党から出馬が決まっていた副大統領候補と入れ替わる形で出馬する形に。一方で、政界引退を表明したドゥテルテ前大統領も副大統領選に出馬するとの観測が出ており、親子対決の可能性もこの時点ではありました。
私が読んだこの記事は、
ドゥテルテ氏娘、副大統領候補に 比大統領選は固辞 毎日新聞 2021/11/14というものでしたが、産経新聞なんかは<ドゥテルテ氏長女、比副大統領選に出馬 父娘対決か>などと書いており、より親子対決を強調。ただ、結局、親子対決は回避。
ドゥテルテ氏、上院選出馬 父娘対決回避も「引退」ほご―フィリピン:時事ドットコムなどの記事が出ています。
この時事通信記事は、ドゥテルテ大統領が嘘つきだともわかるタイトルですね。フィリピンのドゥテルテ大統領は15日、正副大統領選と同時に行われる上院選への立候補を届け出ています。検討していた副大統領選への出馬を見送り、長女サラさんとの対決を回避したものの、「政界引退」宣言の方は反故(ほご)にした形です。
記事によると、14日に公開されたブロガーとの対談で、「世論調査で支持率トップのサラがなぜ副大統領候補なのか」と不快感を示しており、副大統領選に立候補する動きを見せたのは、サラ市長に翻意を促す狙いがあったとみられるとのこと。一方、政界引退を翻して上院選に出馬した理由は依然として不明でした。
●長女とコンビ組んだ大統領候補を猛攻撃も人気独走…側近は惨敗
2022/01/10追記:「後継にサラ氏」の思惑が外れたドゥテルテ大統領は、代わりに「操り人形」と言われる側近のゴー上院議員を大統領選に担いだそうです。ゴー議員出馬は時系列に前回の話より前なのか、今回読んだ記事では、<ゴー氏の支援にとどまらず、「政界引退」宣言をほごにして上院選へ立候補>と書かれていました。
一方、現状圧倒的に人気の有力候補は、長女のサラさんが副大統領候補として組んだ前述のフェルディナンド・マルコス候補であり独走状態。独裁政治を20年以上続けた故マルコス元大統領の長男であり、元独裁者の長男と現独裁者の長女という、これまたどうなの?というコンビですけどね。フィリピン人はこういうのが好きなのかもしれません。
ドゥテルテ大統領はこの息子マルコスを、「弱い候補者だ」「甘やかされて育ったから」「父親と違い、取りえは名前だけ」と連日口撃。しかし、これを伝えた記事は、<マルコス氏、独走状態=現職の「口撃」寄せ付けず―フィリピン大統領選>(時事通信 / 2022年1月8日 14時50分)というタイトルだったんですよね。攻撃は効いていないようです。
https://news.infoseek.co.jp/article/220108jijiX056/
マルコス候補の人気は落ちない一方で、ゴー候補の支持率は低迷。ゴー候補は立候補を取り下げ、ドゥテルテ大統領も上院選から撤退…とさんざんだそうです。世論調査でドゥテルテ大統領の支持率は72%であり、大統領としての支持率はなおも健在であるものの、影響力の低下は明らか。ただ、長女が当選したら一転して支持して、今後も影響力を発揮していきそうな気もします。
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