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法人税減税にメリットなし ノーベル賞のスティグリッツ、炭素税導入を日本の安倍首相に提言


 ノーベル賞を受賞したジョセフ・スティグリッツ教授は、法人税減税の効果について否定。一方で、炭素税の導入に効果があるとして、各国の政治家に提案していました。(2016/10/26)

2017/10/20:
世界の上場企業の税負担率はどんどん低下している
租税回避行為が問題に 日本政府もトヨタ系デンソーに敗訴
2018/10/04:
トランプ大統領が主張の法人税減税効果、お仲間からも否定される


【クイズ】スティグリッツ教授の主張として正しいものはどれでしょう?

(1)アベノミクスの金融政策に対して否定的である。
(2)財政健全化のための消費税増税に積極的である。
(3)富裕層に対し増税し、所得格差を是正すべきだとしている。


●スティグリッツ教授が日本に炭素税導入を提言

2016/10/26:スティグリッツ教授が炭素税を提言しているとは知りませんでしたので、驚きました。以下のような提案をされていたそうです。
日本経済再生への処方箋:日経ビジネスDigital 日経ビジネス2016年9月26日号

 日本は、供給サイド、需要サイドの両面に問題を抱える。また実体経済においても、財政面でも問題がある。これらの問題に取り組むには、日本の政策立案者たちがこの数年採用してきた政策よりも、もっと実効性の高い経済活性化策が必要だ。

 これまで推進してきた政策では、インフレ目標も達成できなかったし、経済が成長に向かうという信頼感を回復することも、経済成長を望ましい水準にまで押し上げることもできなかった。

 まず、大規模な炭素税を導入すればいい。加えて、同時に「グリーンファイナンス(二酸化炭素の排出が少ない社会を実現するための取り組みに資金を提供すること)」を整備すれば、経済の改善に向けた大規模な投資を促進できるだろう。

 こうした投資によって経済の資金が吸い取られる、あるいは炭素税導入により「炭素資産」の価値が下がる逆資産効果を招くというマイナスの効果は生じるが、炭素税導入に伴う大規模投資が生む効果の方が必ず上回る。

 逆資産効果の影響はごく限られたものにとどまる一方で、資本ストックが炭素税導入によってもたらされる新たな価格体系とうまく調和しないため、そのギャップを埋めるべく莫大な資金が投入されることになるだろう。どこかにボトルネックが生じない限り、その投資額は巨大になるはずだ。

 炭素税導入で増加した税収は、公的債務の圧縮に使うこともできるし、技術や教育への投資資金に充てることも可能だ。例えば供給サイドへの投資として、日本のサービス分野の生産性を向上させるための対策に投じるのも一案だ。

●ヒラリー・クリントン候補にも炭素税を提言

 検索してみると、今になって言い出した話ではなく、だいぶ昔からですね。3月に来日したときにも言っていました。このときには、アベノミクスで得したのは富裕層だけという耳に痛い指摘もしています。

 スティグリッツ教授は、アベノミクスの恩恵が一部の富裕層に集中していることに関連し、格差拡大は「経済成長にマイナス」と指摘。格差を是正する取り組みとして、炭素税や相続税、譲渡益課税の増税などの必要性を説いたとのことです。
(東京新聞:別のノーベル賞学者も「消費増税」延期論 「経済不安が世界にまん延」:政治(TOKYO Web) 2016年3月23日(岸本拓也)より)

 さらに最近では、ヒラリー・クリントンさんにも勧めています。炭素税導入は、燃料価格の上昇を意味し、普通ならこれは経済を下押しするとされているものの、スティグリッツ教授はこれとは違う意見。逆に炭素税が導入されれば、企業がコスト削減のため製造現場やサプライ・チェーンを見直すため、雇用や成長を生むだろうとしていました。
(スティグリッツ:気候変動と経済刺激には炭素税が最適 – フィナンシャル・ポインター(日付の記載位置がわからず 2016年8月31日?)より)


●法人税にメリットなし 日本の安倍首相に提言

 2つ前の東京新聞を見ていて、炭素税以外で興味深かったのが、法人税減税を否定していたことです。消費税増税反対の話ばかりで、このことはあまり広く報道されなかった気がします。
 十六日の会合(引用者注:世界経済について有識者と意見交換する国際金融経済分析会合)に出席した米コロンビア大のジョセフ・スティグリッツ教授は「法人税減税は投資を促さない」と述べ、安倍政権が進める法人税の実効税率引き下げの効果を疑問視した。

 政府は企業活動を活発にする名目で法人税減税に力を入れるが、企業は投資を控え内部留保を増やしている。二〇一四年度の企業の内部留保は三百五十四兆円と、安倍政権発足後から五十兆円近く積み上がったが、設備投資は五兆円増にとどまる。

●金融緩和はむしろリベラル派の政策

 クイズは以前の使い回し。アベノミクス支持のスティグリッツ教授は所得再分配を訴えていたからの出題です。


【クイズ】スティグリッツ教授の主張として正しいものはどれでしょう?

(1)アベノミクスの金融政策に対して否定的である。
(2)財政健全化のための消費税増税に積極的である。
(3)富裕層に対し増税し、所得格差を是正すべきだとしている。

【答え】(3)富裕層に対し増税し、所得格差を是正すべきだとしている。


 他でも書いているように、そもそも金融緩和というのはリベラルな政策であり、日本ではなぜかねじれが起きています。そして、保守派がリベラルな政策を行っているがために、同時に行うべき他の政策の選択が変になるという不都合が起きています。

 例えば、今回出てきた法人税減税やトリクルダウンってのは、保守派の考え方です。スティグリッツ教授は否定していたものの、自民党はこれが大好きなので忠告を無視してやっちゃいます。

 一方で自民党は所得再分配が大嫌いなので、そういう政策はやりません。で、日本だけ!所得再分配後に所得格差是正どころか悪化のような妙なことになっています。

 こうした政策のチグハグさを考えると、日本経済が停滞から抜け出せないことは不思議でも何でもなく必然でしょうね。


●世界の上場企業の税負担率はどんどん低下している

2017/10/20:法人税関連の記事を読んだので、こちらへ追加。日経新聞で、世界で税収奪い合い 企業誘致へ税率下げ競う(2017/9/3 0:30 富田美緒、中村亮)という記事です。

 企業寄りな内容を書く日経新聞なので、私はてっきり日本ももっと法人税を下げるべき!という主張の記事だと思いました。ただ、減税の是非ではなく、租税回避行為的な問題について書いたものでした。

 記事によると、世界の上場企業が世界中で支払った税金が連結ベースの税引き前利益に占める比率を示す税負担率は、10年前の27.8%から24.6%に低下。企業をつなぎ留めようと各国が税率の引き下げを競っていること、節税を狙いグローバル企業が税率の低い国に拠点を移す動きが加速したことが理由です。


●租税回避行為が問題に 日本政府もトヨタ系デンソーに敗訴

 ただ、日本も税率を引き下げろ!では済まないのが、規模の大きい大国同士の競争ではなく、極端に税率が低い小国との競争であるためでしょう。奪われる側である大国が、失うもののない小国なみに税率を引き下げるのは不可能です。

 例えば、米マイクロソフトは業務ソフト「オフィス」などをアイルランドやプエルトリコから販売するなどして、税負担率を15.0%と10年前の半分以下に引き下げました。米アップルも通信技術やデザインの研究開発費を米国とアイルランドで負担し、課税所得も両国で分配する形にして、税金の支払いを少なくしています。

 では、この記事が何を訴えているか?というと、税の不均衡を正すことでした。国際税務に詳しいKPMG税理士法人の角田伸広氏の「税収を国が奪い合うのではなく、企業の稼ぎを世界経済の拡大に生かす工夫が必要だ」というコメントを、最後に載せていました。

 とはいえ、これも結局非現実的な話。米欧あたりが本気になってやらないと、できないことでしょう。

 あと、極端に税率が低い小国相手と書いてしまったものの、アメリカやイギリスもずるいやり方で一部恩恵を受けている面があり、日本と違って奪われるばかりでないことが、対策に本腰を入れられない理由になっているかもしれません。
(関連:世界最大のタックスヘイヴンはイギリス(ロンドンのシティ)とアメリカ)

2017/10/26追記:上記の追記を書いた後、「タックスヘイブン対策税制」により、トヨタグループのデンソーがタックスヘイブン(租税回避地)にある子会社に約12億円の追徴課税を国がかけたものの、裁判によって処分が取り消されたというニュースが入ってきました。
(デンソー追徴、再び取り消し=租税回避地の子会社-最高裁:時事ドットコム 2017/10/24-18:09より)

 政府はパナマ文書のときでも素知らぬふりだったのですが、租税回避問題は日本にとっても他人事ではありません。
(関連:加藤康子内閣官房参与もパナマ文書に 加藤勝信大臣の義姉で元婚約者)


●トランプ大統領が主張の法人税減税効果、お仲間からも否定される

2018/10/04:法人税減税を好むのは、アメリカでも日本でも保守派に多いです。ただ、アメリカの保守派エコノミストで懐疑的な人がいたので追記。

 この話はまず自画自賛が大好きなトランプ大統領から始まります。トランプ政権のハセット大統領経済諮問委員会(CEA)委員長は、米経済成長は自分の政策のおかげだとするトランプ大統領の主張を裏付ける目的で行われた記者説明会で、減税による景気刺激効果を強調していました。

 ところが、これにリベラル派ではなく、仲間である保守派のエコノミストからも異議が出ました。トランプさんの選挙顧問を務めたヘリテージ財団のエコノミスト、スティーブン・ムーアさんですら、「時期尚早だ」と否定的。

 タックス・ファウンデーションのエコノミスト、カイル・ポマローさんとメリーランド大学の経済学者、ピーター・モリシ教授はさらにはっきり言っていました。ポマローさんは、「法人税減税が元を取る唯一の考え得る方法は企業による利益の海外シフトが減ることだ」とした上で、「しかし米議会予算局のデータからは、多額の利益が米国に戻っていないと推測できる」と指摘していたそうです。
(米政府の「法人減税は元を取った」との主張に保守派エコノミスト反論 - Bloomberg Lynnley Browning 2018年9月12日 12:12 JST より)


【本文中でリンクした投稿】
  ■アベノミクス支持のスティグリッツ教授は所得再分配を訴えていた
  ■世界最大のタックスヘイヴンはイギリス(ロンドンのシティ)とアメリカ
  ■加藤康子内閣官房参与もパナマ文書に 加藤勝信大臣の義姉で元婚約者

【その他関連投稿】
  ■朝日新聞が選挙前にパナマ文書で安倍政権潰しするかも→何もなかった
  ■パナマ文書で注目のタックスヘイブン ユニクロ柳井正,ドンキ・安田隆夫,ベネッセ福武総一郎らが税逃れで利用
  ■これは朗報?富裕層は税金を高くしても引っ越さないことが判明!
  ■脱法で逮捕のホリエモン、税金納めるのは馬鹿・パナマ文書は無意味と主張
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