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送電分離のデメリット


★2011/6/18 送電分離のデメリット
★2012/1/8 送電分離のデメリットにいただいたコメントについて


★2011/6/18 送電分離のデメリット

 次の記事を書きたいがために調べていたら出てきただけで、かなり調べ足りないところはあるのですが、送電分離のデメリットです。

 検索しても意外にまとまっているところはありません。不思議。

 とりあえず、読売新聞調査研究本部主任研究員 北原久史さんのいかにも唐突な発送電分離論 2011年6月8日 読売新聞が良さそうな感じ。

 「いずれにしても、議論を急がず、メリット、デメリットを詳細に検討したうえで制度設計しないと、将来に大きな禍根を残すことになるだろう」とまとめているものの、批判的な論調です。


 まず、「発送電分離による資産売却益を、原発事故の損害賠償の原資にする狙いがあるとすれば、日本経団連の米倉弘昌会長が言うように、「動機が不純」と言わざるを得ない」と米倉会長の見方に賛成しています。

 その他、挙げられていたデメリットを書き出していくと、以下のとおりです。


・電力供給ネットワークに詳しい横山明彦東大大学院教授によると、発送電の分離が普及した欧州と日本では事情が違いすぎる。欧州は発電所が需要地である都市の近くに立地し、送電ネットワークも網の目のように張り巡らされているため、発電所を建設してすぐ送電網につなげればよいため、比較的簡単に新規参入できる。これに対して日本では、発電所は需要地から離れた沿岸部や山間部に立地し、送電線は発電所と需要地を結ぶ必要があり、計画は同時並行で進める必要があった。


・カリフォルニアでは1998年、電気料金の引き下げを狙って、発送電の分離などの自由化が行われたが、新規参入は進まず、天然ガス価格が高騰して、小売価格が規制されていた電力小売会社は値上げが出来ず逆ザヤに陥った。さらに、IT(情報通信)ブームで電力需要が急増し、ついに経営が行き詰まって、2001年に大規模な停電が起こった。「発電所建設という、長期にわたって多額の資金を必要とする投資の意思決定を、市場メカニズムにゆだねたことに無理があった」と指摘する声は多い。(ただし、新規参入が進まなかったのは、カリフォルニア州の厳しい環境規制が敬遠された面もある)


・発送電を分離して発電部門への新規参入が進んだときに一歩誤れば、供給に支障が出て停電が起こりやすくなったり、電気料金が高くなったりすることにもなりかねない。


・「送電インフラの整備を公営企業で行えば、発電会社の負担は減り、太陽光、風力など新エネルギーの大量導入が可能になる」との意見もあるが、 2006年に起こった欧州の大停電は、発電量が不安定な風力発電が増え、コントロール出来なくなったことが原因だった。


 最後のところですが、新たな参入は新エネルギーである必要はありません。ですから、新エネルギーの弱点を送電分離の批判にするのは、やや卑怯だと思います。(新エネルギーの発電に問題があれば、送電分離とは無関係に法的な対策などを議論すべきでしょう)

 また、最初の話の発電所の建設は大規模なものであると考えていると思われますが、小規模な発電設備があっても良いはずで、全てに当てはまるものではありません。過去に当てはまったものが現在にもそのまま当てはまるというわけではありませんので、何とも言いづらいところです。


 これだけですと、ちょっと短いので、電力が自由化する?「発送電分離」のメリット・デメリット NAVERまとめよりもう少し。

停電がおこりやすくなる

出典Togetter - 「発送電分離に関する田中辰雄准教授の整理」

市場に委ねるので電力供給が不安定化します。


燃料価格によっては現在より高い電気料金になる可能性もある

出典発送電分離によって再生可能エネルギー発電は増えるのか?:インフラ投資ジャーナル/Infra Japan:ITmedia オルタナティブ・ブログ

イタリアでは電気料金が3倍になった事例もあります。


契約形態が難解・厳格化される

出典Yahoo!知恵袋(引用者注:リンク切れ http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1362331723)


事業者個別に料金を支払う必要性が起こる

出典Yahoo!知恵袋(引用者注:リンク切れ http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1362331723)

発電事業者(電気料金)+送電事業者(託送料金)のように別々に支払う必要がでてきます


発電事業者による電気価格吊り上げのような不正が発生することがある

出典2011-05-16 - kotaの日記

カリフォルニア電力危機のエンロンが有名なエピソードです


 とりあえず、出典が消えていて不明なのですが、「事業者個別に料金を支払う必要性が起こる」は不思議な話。別にそうだとしても、それほど大きな問題ではありません。

 また、発電・送電だけでなく、発電・送電・小売で分けるべきという議論もあるのですが、その場合はどう考えるんでしょう?

 あと、「発電事業者による電気価格吊り上げ」は、読売新聞の「天然ガス価格が高騰して」の部分にあたると思うのですが、解釈が違うようです。ちょっと気になりますが、これは放置。


 もう1つ東京電力の場合に限った場合で「東京電力が分離した場合の問題点」というものも同所にありました。

分離した場合原発事故の賠償金・補償金などの支払いが困難になる

出典Togetter - 「発送電分離に関する田中辰雄准教授の整理」

送電は薄利でもうからない商売。
発電会社は成功すれば儲かるが競争市場なので、
巨額の補償金があると新規参入者との競争が成立しなくなる。


「原発事故を起こすと会社が解体される」という前例ができ、
他の電力会社が原発を止め、停電が全国に拡大する可能性がある

出典Togetter - 「発送電分離に関する田中辰雄准教授の整理」

原子力損害賠償法の免責事項が無効になるので他の電力会社が原発を停止する方向に向かう


送発電分離が、原発問題と計画停電への対策になるわけではない

出典Togetter - 「発送電分離に関する田中辰雄准教授の整理」


 1つ目は読売新聞の経団連の主張と矛盾していますが、どちらが正しいんでしょう?

 2つ目はそれだけの大事故ですので、会社の存亡に関わるのは当然の話。

 3つ目は話のすり替えで、送発電分離=原発問題対策ではありません。私ももちろん今回の問題があって取り上げているわけですが、別に原発を使った新規参入があったって構わないわけです。まあ、ないでしょうけど、あっても良いよというわけで、それは自由な話です。原発問題抜きでも、議論すべき問題でしょう。(小規模かつ安全な原発というのも構想されており、それなら新規参入でやりたいというところもあるかもしれません)

 計画停電への対策については、次の話に繋がります。

 ということで、メリットの方へ。 → 送電分離のメリット


★2012/1/8 送電分離のデメリットにいただいたコメントについて

 送電分離のデメリットに関して、コメントをいただきました。


> 電力ではありませんが分離による失敗例
> イギリス国鉄の場合
> 良いレビューだと思いますので
> http://100satsu.cocolog-nifty.com/blog/2006/08/post-2692.html
>
> で紹介先の本を読んだ上で、ここの記事を読ませていただくとデメリットの目線が違うのでは?と思うわけです。
> インフラ関連事業は消費者の短期的な目線でメリットデメリットを論じるべきではないと考えるのです。
>
> まずはその事業が継続的に安定的に成り立つか?がまずあるべきでしょう。
> 発送電分離によるバブルで発電会社が乱立して一時的に電気が低価格化しても、
> バブルがはじけて一時的にしろ電力供給がぼろぼろになる期間があると非常に困るわけですし。
>
> 送電側の問題としては、
> "もし送電会社の利益がインフラの保守整備に必要なコストの削減によるのであれば、安全面で諸問題が起こるだろう"
> ってなもんです。株主にいい顔するためには利益を上げなきゃならないのですよ。
> で、送電会社が利益を得るためにできることってそう多くはないですよね?
>
> ついでに、小規模分割化して零細企業化した(せざるを得なくなった)電力会社が
> 十分な研究開発費をねん出できるのか?(製薬会社あたりはもう大規模合併の嵐ですよね)
> (経営努力による)独自規格が乱立したあげく、安全性に問題が起こりやすくなるとか。
> 色々まだまだデメリットは出てきそうなんですがどうでしょう。


 別に意地悪を言いたいわけじゃないのですが、根本的なところでいくつか疑問があります。

 なお、イギリスの国鉄の話は興味深かったんですけど、これは別に書きます。

  ■イギリスの国鉄見る民営化失敗、デメリット


> まずはその事業が継続的に安定的に成り立つか?がまずあるべきでしょう。

 とありますけど、これはエンロンの件が既に該当しているのではないでしょうか?本文では確かにちゃんと説明しなかったのですけどエンロンは破綻しており、電力自由化に絡んで必ず出てくる話です。


 エンロンの場合は「小売価格規制」が問題の一つだったと思いますし、日本での自然エネルギー普及の関係でもこういった行き過ぎた規制は注意すべきだと思います。

 個人的には極端な話、送電分離で電力料金が値上がりしても良いとすら思っています。問題なのは安全性軽視や、それで引き起こされた事故による社会への影響、電力供給のストップや不足、消費者への負担の転嫁です。(関連するものはこの後出てきます)

 この場合電力料金の値上がりは、安全などへの料金です。送電分離派や特に酷いと思う脱原発派で、何でもかんでも良いことばっかり言う方がいますが、それは危険だと思います。安全などを重視すれば痛みがあることも当然で、それを無視した議論は現状維持や原発推進にこだわる人々と本質は変わりません。


> 一時的にしろ電力供給がぼろぼろになる期間がある

 これもエンロンの件が該当します。

 また、別の見方をすると、次の

  ■送電分離のメリット

 や

  ■送電分離できていないことによる問題点1 ~新規参入事業者への妨害~
  ■送電分離できていないことによる問題点2 ~安定供給を目指さない場合がある~

 で書いているように、そもそも今回の震災後の電力供給が安定していたとみなすのは難しいという見方ができます。

 使用制限の呼びかけまで含めるかどうかは別として、少なくとも計画停電の期間は「一時的にしろ」電力供給が滞ったのではないかと思うのですが……。(安定供給を怠っている例はこの後も出てきます)

 「短期的な目線」というのは、実はむしろ現在の体制が安定供給できているという主張に当てはまります。


> 株主にいい顔するためには利益を上げなきゃならない

 日本の電力会社は既に上場している株式会社です。


 関連して、送電分離のメリットでは営利企業らしく、安全への投資を渋る構造が指摘されています。あの原発事故を見て、東電は利益を度外視して十分な安全への投資が行っていたと言えるかと考えてみると、難しいでしょう。

 福島第一原発に関して言えば、減価償却の済んだ設備をなるべく長く使おうとしていたとも言えるわけで、実に営利企業らしい行為です。

 ここらへんは送電分離の実施有無に関わらずに、何らかの対応が必要です。

 完全な電力自由化が危険という例になりますが、送電分離していなくても既に問題が起きていますので、送電分離が理由ではありません。


(追記:思い出したので追加しますが、東電はここ数年夏季の需要が切迫していました。にも関わらず、計画停電の準備をしていなかったため、実際の実施時には不備が目立ちました。

 これも安定供給を怠った例(停電の時点で安定とは言えないので、さらなる供給の不安定?)ですが、理由を二通り考えてみました。まず、利益を重視して、無駄になるかもしれない仕事をしたくなかったという理由が一つ。もう一つは逆に官僚体質があると言われている東電ですので、お役所のような事なかれ主義で準備してこなかったという理由。

 とりあえず、会社に任せっきりは危険で監視などの対策がいりますが、準備不足だったことは事実であり、電力自由化とは無関係に安定供給を目指さなかった例の一つです)

(さらに追加で、東電が倒産しない一方で、電気料金値上げで倒産する企業が出るでも営利企業らしさが出ています)


> 製薬会社あたりはもう大規模合併の嵐

 製薬会社の場合(と言うか、ほとんどの産業)は、事実上の地域的な独占という形を取っていません。製薬会社は競争のため大規模化したのであり、規模だけ見て現在の電力会社と比較するのは不適当だと思われます。

 なお、寡占に向かう市場は珍しくないので、今の電力会社の数自体は市場競争においても行きつくことがあるものだと思います。

 また、そもそも送電分離は大規模化を防ぐ目的ではないでしょう。結果的に寡占状態になると競争が少なくなるので対策を行う場合がありますが、今の電力業界は競争がほとんどない状態です。


> (経営努力による)独自規格が乱立

 これは純粋にわかりませんでした。どのようなものを想定しているのでしょう?

 私が思いついたのは電力メーターですが、これは既存の大手電力会社が保守点検業務を他に奪われないために日本独自規格を作り、参入を拒もうという動きを伝えたもので知りました。(東京電力のスマートメーター、国際入札するもメーカーは決定済み?)

 これも営利企業らしい行動ですが、保守点検に関してはコメント最初のリンクのイギリス国鉄の話と絡むでしょうか?信頼できる技術であれば独自規格である必要性はありませんし、むしろ他国で実績のあるやり方が使えないのは安全に対してマイナスっぽいような?

 安定供給への関わりがあると考えると、ここは独占化というのも考えて良いですけど、どうなんでしょうね?


> 小規模分割化して零細企業化した(せざるを得なくなった)電力会社

 具体的にどのくらいの規模かわかりませんけど、極論では?

 大体にして、零細企業化せよと言うような送電分離論は、聞いたことがありません。


 あと、順番が前後しますが、 

> 送電側の問題としては、
> "もし送電会社の利益がインフラの保守整備に必要なコストの削減によるのであれば、安全面で諸問題が起こるだろう"
> ってなもんです。

 というところ。

 これは確かに送電分離のデメリットでは触れていなかったのですけど、送電分離できていないことによる問題点1 ~新規参入事業者への妨害~では書いています。でも、これは全然リンクしていなかったです、すみません。

 送電分離できていないことによる問題点1 ~新規参入事業者への妨害~で元にした記事は、「原発や水力を最優先に稼働させ、次に石炭火力を動かす」ため、「電力会社は、普段使っていない火力発電などの設備を大量に保有して」おり、「民間企業なら、設備稼働率を高めることは経営の至上命題だ」としていました。

 しかし、「これに関しては私はただちに同意しません」と当時書いています。

 以下、そのとき書いたものをそのまま写すと、以下のような感じです。

"今回のような事態に備えた何らかの発電余力は必要であり、完全な自由競争にすることは危険性が高いです。そういう意味でこういった無駄を持つことは、危機に備える一つの選択肢として検討されて良いと思います。(無論、これで決定というわけでなく、他の選択肢と合わせて比較がなされるべできです)"

 日本の場合、海外と地続きではなく、国内で電力不足に陥った場合、他から買うことができないという問題があります。(それを言うと、東西で不足分をほとんど供給できない現状は、安定供給の軽視・無駄の増加を生んでいるわけですが、この対策も難題です。こちらは技術的な問題とともに、設備費用、縄張りの問題といったこれまた営利企業らしい理由もあります。縄張りに入られることを嫌うのは官僚の習性でもありますので、そういう見方もできます)

 また、電力を生み出すのに必要な燃料は、ほぼ輸入に頼っているという不安定さも持っています。安定供給のためにある程度余裕を持たせるような規制は必須でしょう。

 既に、安定的な供給を確保する目的で民間石油会社に石油の備蓄を義務付けているという例がありますので、こういった趣旨の規制は許されるはずです。


 関連
  ■イギリスの国鉄見る民営化失敗、デメリット
  ■本当に電力は地域独占が望ましいのか?
  ■東電が倒産しない一方で、電気料金値上げで倒産する企業が出る
  ■東京電力のスマートメーター、国際入札するもメーカーは決定済み?
  ■送電分離できていないことによる問題点1 ~新規参入事業者への妨害~
  ■政治・政策・政党・政治家についての投稿まとめ

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