Appendix

広告

Entries

池田修一、子宮頸がんワクチン副作用捏造は否定せず名誉毀損で訴訟


(読まれいていない子宮頸がんワクチン問題の話をまとめ中。新型コロナウイルスワクチン以前から反ワクチンがあったことがわかる話でもあります)

2022/04/17前半にまとめ:
池田修一教授の子宮頸がんワクチン研究で捏造?信州大が不正疑惑で調査委設置


【クイズ】都合の良いものだけを使って自説の正しさを主張する詭弁のことを何と言う?

(1)アップル・ピッキング
(2)ストロベリー・ピッキング
(3)チェリー・ピッキング


●池田修一教授の子宮頸がんワクチン研究で捏造?信州大が不正疑惑で調査委設置

2016/6/28:にわかに忙しくなってきました。また子宮頸がんワクチンのニュースです。子宮頸がんワクチン副反応研究で信州大が調査委設置:朝日新聞デジタル(2016年6月28日07時05分)という記事が出ていました。

<信州大学は27日、子宮頸(けい)がんワクチンの副作用などを研究している厚生労働省研究班代表の池田修一教授(脳神経内科)の発表内容について、不正を疑う通報があったとして学内に調査委員会を設置する方針を決めた。
 発表は今年3月、厚労省内で池田教授がした。自己免疫疾患を起こしやすく遺伝子操作したマウスに、子宮頸がんワクチンや他のワクチンなどを打って反応を調べたところ、子宮頸がんワクチンを打ったマウスだけに異常な抗体が見られたと説明していた。
 しかし、外部の研究者らから詳しい実験データの開示を求める声や、研究手法への疑問が出ていた>


●池田修一教授は「そんな結論出していない」と反論

 池田修一教授は不正を否定しているのかと思ったら、ちょっと違う方向性。信州大、研究めぐり調査へ=子宮頸がんワクチン副作用:時事ドットコム(2016/06/28-10:35)によると、時事通信の取材に対して「マウスによる予備的な実験で可能性を提示しただけで、決定的な結論だと述べたつもりはない」と話しているとのことです。

 つまり、「脳に異常な抗体が見られた」という結論が合っていると主張するのではなく、「そもそもそんなことは言っていない。脳に異常な抗体がある可能性を示しただけ」という感じでしょうか。仮にそういう意図だとしても、子宮頸がんワクチンの危険性を示す証拠が弱くなる方向性なことは確かでしょうね。やっぱりそもそも無理があると思われます

 なお、"池田教授は現在、同大副学長と医学部長を務めているが、9月末で辞職する意向"とのことです。研究不正の調査が開始されると結果が出る前に辞職してしまう…というのはよくあります。ただ、今回、"同大は、辞職は今回の調査とは無関係としてい"たそうです。


●「明らかに脳に障害」と断言していた池田修一教授

 ここまで書いた後に、子宮頸がんワクチン薬害研究班に捏造行為が発覚 利用される日本の科学報道(後篇) WEDGE Infinity(ウェッジ) 2016年06月17日(Fri)  村中璃子 (医師・ジャーナリスト)という記事を見て吹きました。以前は池田先生、以下のようなことを言っていたそうです。

「明らかに脳に障害が起こっている。ワクチンを打った後、こういう脳障害を訴えている患者の共通した客観的所見が提示できている」
 3月16日夜に放送されたTBSのニュース23で、信州大学の池田修一副学長は、「国の研究班の代表 信州大学 池田修一医学部長」のテロップつきでこう語った
。根拠にしたのはマウスを用いた実験結果である>

 これ、即辞職ものでしょ? はっきりこう言い切っていながら、捏造を指摘された途端に「そんな結論出していない」ってひどすぎます…。絶対に子宮頸がんワクチンが安全だと言いたいわけではなく、危険性を指摘する研究というのももちろん大事なのですが、発言の矛盾からするとこの研究は極めて怪しいと考えざるを得ません。

<3カ月に及ぶ取材で明らかになったのは、信じがたい捏造行為の存在だった。池田教授のコメントを正しく修正すると次のようになる。
「子宮頸がんワクチンを打ったマウスの脳にワクチンによる異常が発生したという科学的事実はなく、そもそも、このマウス実験はワクチン接種後に症状を訴えている患者とは何ら結びつけることができない実験だった」>

 調査委員会はこのテレビでの発言も含めた上で判断して欲しいですね。明らかに変ですから。でも、論文そのものの話ではないので対象外でしょうね。そうなると、池田教授の言い分が通る可能性がありそうで心配です。


●池田修一子宮頸がんワクチン論文は98%不正・不適切という回答

2016/11/24:信州大学の調査委員会は不正なしとしていた(後半にまとめ)ものの、ツイッターで行われたアンケートでは、98%が不正、もしくは不適切行為だとしていました。

56% 不正である
42% 不正でないが不適切
2% 不正でないし不適切でもない

920票•最終結果

 
●マスコミ報道なら「捏造」で炎上する案件

 98%が不正もしくは不適切ですので、反応コメントも厳しいものばかりでした。




 マスコミを例に出している人もいました。確かにこれ、報道記事であれば「捏造」と大いに叩かれる案件だったでしょうね。


●子宮頸がんワクチン副作用論文は「詭弁」

 「チェリーピッキング」という言葉を使っている人がいました。




 「チェリーピッキング」は要するに「都合の良いデータだけ使う」という話です。
チェリー・ピッキング - Wikipedia

チェリー・ピッキング (英: cherry picking) とは、数多くの事例の中から自らの論証に有利な事例のみを並べ立てることで、命題を論証しようとする論理上の誤謬、あるいは詭弁術。cherry-pickingの語義はサクランボの熟した果実を熟していないものから選別することであり、転じて「良い所だけを取る」「(特売品専門の)購買者」「つまみ食い」の意味で使用される。

【クイズ】都合の良いものだけを使って自説の正しさを主張する詭弁のことを何と言う?

(1)アップル・ピッキング
(2)ストロベリー・ピッキング
(3)チェリー・ピッキング

【答え】(3)チェリー・ピッキング


 私がこの前、三菱自動車の燃費不正の例を出した(後半にまとめ)ように、この行為が悪くないはずがありません。「不正なし」ばかりが強調された報道はかなり問題がありました。また、信州大学の調査委員会は池田教授らの発表の仕方は悪かったとしていたのですが、信州大学の調査委員会自身も「不正なし」以外の部分がマスコミにきちんと伝わるように、説明をもっと工夫すべきだったとも思います。


●子宮頸がんワクチン副作用捏造問題、信州大学が不正なしと判断?

2016/11/7:ネットトニュースにはなっていないものの、信州大学が不正なしと判断していたんだそうな。子宮頸がんワクチン捏造疑義で信州大学が不正なしと判断 - 世界変動展望(2016-11-03 16:35:00)では、3日の信濃毎日新聞で、子宮頸がんワクチン捏造疑義の調査に関して信州大学が不正はないとする調査結果を池田修一教授に伝えていたという報道があったとのこと。ただ、調査委員に利益相反がある人がいるのでは?とも言われています。


●池田修一、子宮頸がんワクチン副作用捏造は否定せず名誉毀損で訴訟

 この話を読んでいて初めて知ったのですが、池田修一教授は夏に提訴していたそうです。子宮頸がんワクチン研究者「実験捏造」と書かれ、ウェッジを提訴 - 弁護士ドットコムという記事が出ています。

<子宮頸がんワクチンの副作用を研究している信州大医学部の池田修一教授は8月17日、研究結果を捏造したと書かれ、名誉を毀損されたとして、出版社ウェッジと当時の編集長、記事を執筆したジャーナリストを相手取り、東京地裁に提訴した。約1100万円の損害賠償や謝罪広告の掲載などを求めている>

 ただ、妙なのが「捏造などない」と否定するのではなく、「研究したのは自分ではない」という主張であることです。捏造そのものについては、否定も肯定もしていませんでした。

<記事では、池田教授が今年3月に発表した副作用の原因を探る研究で、池田教授が自説に都合が良いデータのみを選んだと報じた。(中略)これに対し、池田教授側は、3月の発表は研究班の代表として、ほかの所属メンバーの研究成果を公表しただけだと主張。プロジェクトの研究者はそれぞれ独立しており、自身は問題となった研究への関与や指示をしたことはなかったとしている>


●なぜ学会で議論せず、裁判に訴えたのか?裁判沙汰にするのは大抵…

 また、そもそも学術研究の議論で解決する問題を、裁判所に持ち込むというのは間違っています。残念ながら過去にも同様の例があるのですけど、こういう手段に訴える場合は大抵、研究不正が濃厚な場合です。記事を執筆した医師でジャーナリストの村中璃子さんは、フェイスブック上で次のようにコメントしていたといいます。

「周到な取材と科学的検証に基づいて執筆した、子宮頸がんワクチンのマウス実験に関する科学不正を指摘した記事に対し、医学部長で副学長という立場にもあり、厚労省の指名を受け、税金を使って研究を行う大先輩の医師が、科学の問題を科学の場で反証することをせず、法律の問題にすり替えてきたことを極めて遺憾に思います」

 別記事訴訟ではなく学会で議論を 頸がんワクチン記事 月刊誌提訴問題 | NEXT MEDIA "Japan In-depth"[ジャパン・インデプス](上昌広(医療ガバナンス研究所 理事長):2016/9/6)でも、<医学上の批判に対しては、訴訟でなく、医学的に冷静に反論すべきだ。いまからでも遅くない。学会で議論されてはいかがだろう>と言われていました。


●池田教授の主張は科学の世界では通用しないが…裁判だと違う?

 この記事では、法的事実認定は、時に科学的な事実認定と異なるため、どんな判決が出るか予想できないとしています。一方で、「医師・科学者の立場から言うと、池田教授の言い分は通用しない」として、あと、ここでは池田教授の主張は、科学の世界では通用しないよって話もありました。

<科学的には、この問題の解決は至極シンプルだ。池田教授が塩沢丹里・信州大学産科婦人科教授に実験ノートの開示を求めればいい。14年4月に不正の疑いを指摘された山中伸弥教授がやったことだ。彼は記者会見を開き、大部分のノートを保管しており、いつでも開示できることを表明した。池田教授は民事訴訟をする前に、やるべき事がある>

 …といった感じであり、冒頭のように信州大学は不正なしと判断したらしいものの、極めて不自然な動きになっています。で、途中で書いた「こういう手段に訴える場合は大抵、研究不正が濃厚な場合です」の例を一つ。クイズにした研究不正告発に逆風 井上明久東北大前総長論文で告発側に賠償命令の件です。

 これは名誉毀損が認められており、科学の常識が裁判では通用しなかったという話。"法的事実認定は、時に科学的な事実認定と異なるから"と引用部であったように、今回の件も日本の研究不正の隠蔽推進に繋がってしまうかもしれません。(2020/10/26追記:相当時間がかかりましたが、井上明久前総長の論文は後に不適切として撤回になりました)


●信州大調査委員会、池田修一教授の不正・捏造は否定

2016/11/16:上記でメディアの報道がないと書いたのですが、やっと報道がありました。ただ、"不正の疑いを月刊誌で指摘したジャーナリストの村中璃子(りこ)さんは「『不正なし』との結果を聞き、非常に驚いています。十分研究不正にあたる行為です」とするコメントを出し"ています。一般論として、こうした不正に関する調査は甘くなりがちですからね。
信州大「不正認められず」 子宮頸がんワクチン研究巡り:朝日新聞デジタル 2016年11月15日22時22分

 信州大は15日、不正を疑う情報が寄せられていた、子宮頸(けい)がんワクチンの影響などに関する厚生労働省研究班の研究内容について、「不正は認められなかった」とする調査結果を発表した。研究班は信州大医学部の池田修一教授(脳神経内科)が代表を務める。不正を疑う通報があり、信州大は外部の有識者を招いた調査委員会を9月に設置し、捏造(ねつぞう)や改ざんの有無を調べていた。

●子宮頸がんワクチン異常の実験は非科学的、信州大が指摘

 実を言うと、大学側の主張が中心の記事ですら、研究のまずさがわかる部分があります。信州大は確かに池田修一教授の不正・捏造は否定しているんですけど、一方で断定的な表現をしたことについては問題だとしているのです。

"予備的な段階の実験結果にもかかわらず、断定的な表現をするなどしたと認定"(朝日新聞)
"信州大は「予備的な段階の実験結果を、確定的な結論を得たかのような印象を与える発表をした」として、浜田州博学長が同日、池田教授ら研究班のメンバー3人を口頭で厳重注意した"(研究不正認められず=信州大教授、子宮頸がんワクチン:時事ドットコム(2016/11/15-18:56))

 より決定的にまずいだろうと思われるのが、そもそも科学的な実験ではないという指摘。<調査委は、訂正を公表するとともに、科学的証明ができる方法で検証実験をするよう求めた(朝日新聞)>とあります。以下に"科学的に解明されたかのような印象を与えた"とあるように、非科学的な実験で科学的根拠があるかのように主張をするのは十二分に大問題だと思うのですが…。

<データは予備段階の実験で得たものだったのに発表の際、断定的な表現を使ったためワクチンが原因で異常が起きたことが科学的に解明されたかのような印象を与えたとし、発表内容の修正と再実験を求めた>(信州大「不正認められず」 子宮頸がんワクチン研究  :日本経済新聞 2016/11/16 0:25)


●疑われているのは三菱自動車の燃費不正と同じケース

 今回の調査では、研究で使われた数字が全くの捏造ではなかったことを、ノートなどと確認できたのだと予想されます。ところが、これだけでは不正なしとは言えません。そもそも不正の指摘は、自説に都合の良いデータを抜き出したというものであり、これも立派な不正です。この種の不正は、研究以外ですと三菱自動車の燃費不正でも使われていたものでした。
燃費データ不正の行方|NHK NEWS WEB

三菱自 正しい説明にも測定方法改めず 9月15日

三菱自動車は、ことし4月に燃費の不正問題が発覚したあとも、都合のよいデータだけを抜き出す不正な方法で車の燃費を測定し、販売を続けていました
これについて会社側は「不正な方法だとは認識していなかった」と説明していました。

 こうやって三菱自動車の例を出すと、おそらく多くの方がこれでも間違いなく不正だと納得するでしょう。数値の捏造だけが不正ではないのです。


●子宮頸がんワクチン副反応訴えて集団提訴 定期接種すら中止にという声も

2016/7/27:何度も書いている子宮頸がんワクチン問題、ついに集団提訴だそうです。
集団提訴! 子宮頸がんワクチンは是か非か:PRESIDENT Online - プレジデント 2016年7月24日  PRESIDENT 2016年5月16日号 医療ジャーナリスト 井手ゆきえ=文

3月30日、子宮頸がんワクチン(以下、HPVワクチン)の接種後、痛みなどの症状を発した10~20代の女性12人が国と製薬企業2社に対し、損害賠償を求める集団訴訟を起こす方針を明らかにした(雑誌掲載当時。現在公表人数64人)。近く東京、大阪などの地裁に提訴する。ワクチン行政に不信感を募らせた結果で、訴訟が成立すれば世界初の事態となる。

 この記事がマズイなと思ったのが、「定期接種」を取り下げるべきではないかと書いていたことです。
 ワクチン接種の目的は健康な人間がリスクを分け合い、コミュニティ全体を疾病の脅威から守ることだ。だからこそ被害者の訴えに真摯に向き合う一方で、ワクチン接種の意義を冷静に検討する必要がある。積極勧奨の中止、という曖昧な態度は国内外の不信感を募らせる。いっそ「定期接種」を取り下げ、一から受益と危険性の議論を行うべきだろう。

●子宮頸がんは死ぬ病気、罹患率も増加傾向 海外では男性もワクチン接種

 作者の井手ゆきえさんってトンデモな人だっけ?と、うちで紹介したことのある記事をパッと見ましたが、今までそういうのはなし。でも、今回のものはかなり危険です。子宮頸がんワクチン接種勧奨中止 生年によるリスクの差が明らかにで書いたように、子宮頸がんは多くの死者が出るものですからね。簡単に中止にしてしまうというのは危険です。

 解せないのが、井手さん自身、それについて触れていることです。しかも、"罹患(発症)率は増加傾向"だとも書いています。

<子宮頸がん検診の効果で死亡率こそ下がったが、罹患(発症)率は増加傾向にある。「子宮頸がんは妊娠・出産世代に大きな影響を与える。罹患率の減少を指標に予防策を考えるべき」(産婦人科医)という声も多い>

 海外ではきちんとワクチンの効果が出ている上に、女性だけでなく男性にもという流れになっています。それを踏まえて定期接種すら中止と主張するのは、本当意味不明です。

<世界的には07年から導入され、接種開始3~4年が過ぎた11年以降、HPV感染率の減少に加えて豪州、英国、米国などから子宮頸がん前がん病変の減少が報告されている。
性感染症である以上、男性にもがん化リスクはあり、豪州では26歳以下の男性に対するHPVワクチン接種を承認。14年から12~13歳の児童・生徒を対象に学校での定期接種を開始した>

●WHOも欧州医薬品庁も全否定 ただちに摂取中止するリスクの大きさ

 さらにアホじゃないか?と思うのが、副反応とされる症状と"HPVワクチン接種との明確な因果関係が証明された研究報告はない"を認めていること。おまけに"欧州医薬品庁が改めてHPVワクチンの安全性を評価"した結果も、"昨年末、「因果関係なし」との結論が"出ているとしています。

 以前にも書いたように、WHOも日本の非科学的な主張を否定しています。記事でも、"WHO(世界保健機関)が「ワクチンの接種機会を奪うことで、真の被害をもたらす」と強い口調で日本のワクチン行政を批判"しているとしていました。

 これでなぜいっそのこと定期接種すら中止って結論になるのでしょう? 子宮頸がんによって亡くなる人はどうでも良いのでしょうか?

 今後子宮頸がんワクチンによる副反応が証明される可能性はあるものの、それまでは摂取推奨を続けるというのが、むしろ安全サイドです。過去にはワクチンで自閉症になるという捏造論文のせいで麻疹が流行ということもありました。

 捏造論文だったわけですので、当然これによるメリットは特になし。一方で、ワクチンを摂取していないことで麻疹が流行、デメリットだけはしっかりと出ています。既に承認されている(=医学的根拠があると判断されている)もので、新たに副作用の問題性を訴える側の医学的根拠が充分でない場合、ただちに中止するのは危険です。

 なお、このときは捏造で今回は違うと思う人もいるかもしれませんが、科学的根拠が十分でない時点で問題。さらに数少ない根拠とされるものには、既に捏造疑惑が出ています。過去にも書いているように被害を訴えている人に罪はなく、そのケアもたいへん大事なのですが、医療ジャーナリストや医療関係者が被害を拡大させるってのはあり得ない選択です。


●村中璃子氏、子宮頸がんワクチン問題でジョン・マドックス賞受賞

2017/12/04追記:ジョン・マドックス賞は、公共の利益に関わる問題について健全な科学とエビデンスを広めるために、障害や敵意にさらされながらも貢献した個人に与えられる国際的な賞。

 賞の名前になっているジョン・マドックスさんというのは、科学雑誌『ネイチャー』の編集長を22年務め、同誌を一流専門誌に育てた方。賞にもネイチャーが関わっており、「センス・アバウト・サイエンス」などとの共催で、発表もネイチャーです。
(Wikipediaより)

 この2017年の受賞者は日本人でした。子宮頸がんワクチン問題について訴えてきた村中璃子さんです。Wikipediaでは、以下のように書いていました。ひょっとしたらネイチャーの記載そのままかもしれません。

<ジャーナリスト、京都大学講師。25か国、100人以上の候補者の中から選出。ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンを公的に議論するにあたって、エビデンスに基づいた議論を擁護した業績を認められた。HPVワクチンは、子宮頸がん、およびその他のがんの予防の必須の手段として、科学界・医学界において認められ、WHOによっても支持されている。日本においては、そうした利点に不信を抱かせるような誤情報を与える運動が行われ、このワクチンの接種率が70%から1%にまで低落した。このワクチンの安全性のエビデンスを一般に向けて明らかにしようとする村中氏の仕事は、訴訟によって彼女の発言を封じ、専門家としての地位を貶めようという企てにさらされながらも続けられてきた。日本の家族だけでなく、世界の公衆衛生に対しても、エビデンスに基づく科学的な説明に触れることが保証されるよう、彼女は訴え続けている>


●敵意にさらされて訴訟による圧力や連載の中止

 前述のように、この賞は「敵意にさらされながらも貢献した個人に与えられる国際的な賞」。前半で書いたように、彼女は捏造疑惑を指摘したせいで、訴えられています。また、知らなかったのですが、この訴訟以降、子宮頸がんワクチン問題について触れていた連載も中止になっていたとのこと。ひどすぎです。

「訴訟以降は、HPVワクチンについては書かないという空気がメディアに広がり、当時持っていた3つの連載は全て切られてしまいました」
(海外の一流科学誌「ネイチャー」 HPVワクチンの安全性を検証してきた医師・ジャーナリストの村中璃子さんを表彰  2017/12/1 10:30 岩永直子 BuzzFeed News Editor, Japanより)

 ネイチャーは、「訴訟で彼女の口を封じようとし、彼女の専門家としての地位を貶めようとする動きに直面しながらも、このワクチンの安全性について科学的根拠を明らかにし続けた。これにより、科学的根拠を重視することが日本人だけでなく世界の公衆衛生に対しても役立つということを保証してきた」と論評しているそうです。


●マスコミも政府も国民の人命軽視

 マスコミは子宮頸がんワクチンに問題があるかのように思わせる報道の方に積極的で、世界中の科学者に支持されているワクチンの有用性の報道には消極的。本来、これこそ「マスゴミ」と叩かれるべきものです。

 ところが、普段「マスゴミ」とよく言うネトウヨ層にはウケない話だとも想像できます。今回のこの受賞を話を知ったのは、普右派的なことを書いている人のところで、ネガティブな紹介の仕方でした。ワクチン導入に猛反対の統一教会系女性議員とは誰?山谷えり子議員か?などで書いているように、右派思想の人がこの問題で悪い働きをしています。

 さらに、その保守派が政権にいる日本政府の対応がまず全然ダメ。まず、厚労省はワクチン接種後の体調不良の多くは、心理的・社会的な要因が関連する心身反応(機能性身体障害)であると結論づけ、ワクチンを打っていない人でも、似た症状が見られることが明らかとして、これは問題ありません。

 ただ、ワクチンが体調不良の原因ではないとしているにも関わらず、国は積極的な接種勧奨を再開するかどうか、判断を先送りしたまま。村中さんは、「国が判断を示せないでいるのが一番の問題です。国は国民の命に責任を持たなくてはいけないはずです」と指摘していました。


【本文中でリンクした投稿】
  ■子宮頸がんワクチン接種勧奨中止 生年によるリスクの差が明らかに
  ■ワクチンで自閉症になるという捏造論文のせいで麻疹が流行
  ■ワクチン導入に猛反対の統一教会系女性議員とは誰?山谷えり子議員か?
  ■研究不正告発に逆風 井上明久東北大前総長論文で告発側に賠償命令

【その他関連投稿】
  ■本当の理由が言えない子宮頸がんワクチンの副作用の難しさ
  ■ワクチン導入に猛反対の統一教会系女性議員とは誰?山谷えり子議員か?
  ■医療・病気・身体についての投稿まとめ

Appendix

広告

ブログ内 ウェブ全体
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示









Appendix

最新投稿

広告

定番記事

世界一スポーツ選手の平均年収が高いのはサッカーでも野球でもない
チャッカマンは商標・商品名 じゃあ正式名称・一般名称は何?
ジャムおじさんの本名は?若い頃の名前は?バタコさんとの関係は?
ワタミの宅食はブラックじゃなくて超ホワイト?週5月収10万円
朝日あげの播磨屋、右翼疑惑を否定 むしろ右翼に睨まれている?
レーシック難民は嘘くさいしデマ?アメリカの調査では驚きの結果に
赤ピーマンと赤黄色オレンジのパプリカの緑黄色野菜・淡色野菜の分類
アマゾンロッカーってそんなにすごい?日本のコンビニ受け取りは?
就職率100%国際教養大(AIU)の悪い評判 企業は「使いにくい」
ミント・ハッカでゴキブリ対策のはずがシバンムシ大発生 名前の由来はかっこいい「死番虫」
移動スーパーの何がすごいのかわからない 「とくし丸」は全国で約100台
ビジネスの棲み分け・差別化の具体例 異業種対策には棲み分けがおすすめ
主な緑黄色野菜一覧 と 実は緑黄色野菜じゃない淡色野菜の種類
タコイカはタコ?イカ?イカの足の数10本・タコの足8本は本当か?
トンネルのシールドマシンは使い捨て…自らの墓穴を掘っている?
ユリゲラーのポケモンユンゲラー裁判、任天堂が勝てた意外な理由
好待遇・高待遇・厚待遇…正しいのはどれ?間違っているのはどれ?
コメダ珈琲は外資系(韓国系)ファンドが買収したって本当? MBKパートナーズとは?
大塚家具がやばい 転職社員を通報、「匠大塚はすぐ倒産」とネガキャン
不人気予想を覆したアメリカのドラえもん、人気の意外な理由は?

ランダムリンク
厳選200記事からランダムで









アーカイブ

説明

書いた人:千柿キロ(管理人)
サイト説明
ハンドルネームの由来

FC2カウンター

2010年3月から
それ以前が不明の理由