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座禅で叩かれるのが体罰ではない理由 法的にも体罰・暴行罪ではない


【クイズ】学校教育法の体罰に関する規定として正しいものはどれでしょう?

(1)教員はそもそも体罰を加えることはできない
(2)事前に生徒の承諾がある場合にのみ、体罰を加えることができる
(3)正当な理由がある場合にのみ、体罰を加えることができる


●座禅で叩かれるのは体罰!断言する人もいるが実は反対派ではなく…

2016/11/14:以前見かけた「座禅は体罰でない」という記事について。体罰死問題の頃という古い記事だったせいか、普通に検索すると私が探していた当時読んだ記事ではない、違う記事が出てきました。

 出てきたのは産経新聞のiRONNAで、座禅で叩くのは体罰だと断言しています。産経新聞は体罰死のときですら、体罰を正当化する記事を多数出していました。今で言えば、電通過労死報道の真っ最中、長時間労働が必要だという特集を組むようなものです。なので、座禅も体罰だとして、教育における体罰の正当化に使いたいのだと予想されます。

<座禅で「ビシッ」と肩を叩くのも同じです。「教育上の体罰」ですが、それは「ルール化」されています。なぜ座禅の時に体罰がルール化されているかというと、「体罰は必要だ」という合意があるからルールができます。ところが学校では教育をするのに体罰が認められていないので、ルール化できずに、行きすぎが生まれます>(子供のしつけに「体罰」は必要か iRONNA編集部より)

 この記事では、上記のあと<それでは、家庭や座禅での教育は体罰が許されるけれど、学校では許されないということになると、学校での教育はもっぱら読み書きそろばんであって、イジメやそんなことが起こっても「知らない」ということになります>と続いていました。

 この主張は、なんか飛躍しすぎじゃありません? なぜ学校で体罰が許されないと、いじめが起きても無視されるってことになるんでしょう? 意味不明です。とにかく学校での体罰を肯定したい…と必死になりすぎてに、もうわけがわからなくなってきているのかもしれません。


●住職向け専門誌も特集 座禅で叩かれるのが体罰ではない理由

 さて、私の読んだ記事ですが、どうも朝日新聞の<座禅でバシッ…体罰にあらず 禅宗僧侶ら「集中のため」 文書配布し周知>(2013年5月4日)っぽかったです。しかし、前述の通り、古い記事でしたので、既にリンク切れしていました。ただし、この記事を転載したとおmを荒れる記事は見つかります。
http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201305030430.html

 検索して見つけたのは、座禅でバシッ…体罰にあらず 禅宗僧侶ら「集中のため」 文書配布し周知 | ヴェーダセンター ~ ヴェーダ・瞑想・ヨーガをトータルにサポートというページ。どうもこの朝日新聞記事の転載っぽいです。

<警策は、臨済宗では「けいさく」、曹洞宗では「きょうさく」と読む。臨済宗の妙心寺派は3月下旬、「警策について」という解説文書の案を関係する高校などに配った。意見を募り、見解をまとめる予定だ。文書では「悟っていないものを警(いまし)め、修行が進んでいないものを策(はげ)ます」と語源を示し、「規則を破った罰ではなく、座禅に集中するために行われる」「座禅における警策は体罰ではありません」と明記した>

 "住職向け専門誌「寺門興隆」4月号"では、"禅修行と体罰を考える特集を組んだ"そうです。これは「日本社会が体罰を容認するようになった理由に、警策を挙げる声が世間にある」(編集部)という問題意識からというわけで、産経新聞論理の思うつぼです。ただ、今読み直してみると、特に納得できる説明はないですね。

 曹洞宗の総合研究センターで担当の関水博道さん(34)は「一度は打たれてみたいという人が多い。厳しい修行をしている気にさせ、励みになるかもしれないが、本来の目的ではない」としており、そもそも警策で叩く必要はないとしています。

 ところが、記事ではそれ以上の詳しい話がないために、よくわかりません。前述の「規則を破った罰ではなく、座禅に集中するために行われる」以上のものはないんでしょうか?(と最初書いていたものの、後でもう一度よく考えたら何となくわかってきました。最後で書いています)


●昔はともかく、現在の座禅で叩かれる状況は体罰とは全然状況が異なる

 今回新たに検索して見つけたKameno's Digital Photo Log: 坐禅の警策は体罰かも結局詳しい説明がなくてよくわからなかったもの。ただ、"この報道、我々も取材を受けた"という人がコメントを書き込んでいました。これが興味深いものです。

 この方はまず"体罰の定義が明らかに定まらない限り、比較すら出来ない"としています。ただ、"歴史的に、体罰に近い状況にあったこと"は事実としつつ、以下のように書いていました。

<そもそも警策が行われる状況を考えれば、現在、一般的なイメージとしての体罰とはほど遠い>
<坐禅会を行う場合には、体罰的状況に陥ることは、まずあり得ないので、ずいぶん状況が違う>


●弁護士「座禅は法的には学校教育法の体罰ではないし、暴行罪でもない」

 結局、思ったような話がなかったので、少し方向性を変えたものも紹介しておきましょう。禅の修行「座禅」 肩を棒で叩く行為は「体罰」にあたるか? - 弁護士ドットコム(2013年05月23日 11時00分)という記事が出ていました。法律という視点で、これが意外におもしろいです。

 なお、そもそも日本では学校の体罰禁止なんですよ。ですから、体罰容認派は法改正を叫ぶべきで、現状は法律に違反する行為が許されるかどうか議論している…という妙なことになっています。大麻容認派が法改正の話をすっ飛ばして、大麻を吸うのがなぜ許されないのか?って怒っているようなものですわ…。


【クイズ】学校教育法の体罰に関する規定として正しいものはどれでしょう?

(1)教員はそもそも体罰を加えることはできない
(2)事前に生徒の承諾がある場合にのみ、体罰を加えることができる
(3)正当な理由がある場合にのみ、体罰を加えることができる

【答え】(1)教員はそもそも体罰を加えることはできない


 さて、体罰でない理由の話です。学校教育法を見てみると、「校長及び教員は、体罰を加えることはできない」(同法11条)と書かれています。では、「学校の授業に導入された座禅で」なら、生徒の肩を警策(木の棒)で打つ行為は、体罰にあたる可能性が高そうに見えます。

 ただし、解説していた小池拓也弁護士は「場合によりけり」という判断。まず、「文部科学省は、『身体に対する侵害を内容とする懲戒(殴る、蹴る等)、被罰者に肉体的苦痛を与えるような懲戒(正座・直立等特定の姿勢を長時間にわたって保持させる等)』を『体罰』と定義しているのがポイントです。

 この定義によれば、座禅で身体を打つ行為が注意喚起の刺激であれば,そもそも懲戒ではなく、『体罰』にはあたらないといえます。一方で、身体を打つ行為が叱咤であれば、肉体的苦痛を与える懲戒として『体罰』にあたる可能性が出てくることになります」としていました。


●普通に座禅も暴行になる!中学生を叩いたお寺の住職を書類送検

 また、暴行罪の可能性についても、「僧侶が座禅で身体を打つ行為は、わが国の社会で永年にわたり認められてきたものですので、正当行為(刑法35条)にあたるものとして、暴行罪は成立しない」としていました。それから、「姿勢が崩れるなどして集中を欠くとみなされたら身体を打たれてもよいと、参加者が承諾している場合のみ、正当行為になりうるということになる」ともしています。

 ただし、 この承諾があれば…は、結構厄介な問題でしょう。体罰においても、本人納得なら良いと主張する人が必ず現れるためです。現実には、教師と生徒、先輩と後輩、上司と部下など、そもそも立場の強さが大きく異なる場面では、受け入れざるを得ないといった場合も多いです。承諾があればOKとしてしまうと、なし崩し的に正当化されますのでOKとすべきじゃありませんね。

 まあ、この一般的な体罰の話はいいとして、最後に本題に戻ります。座禅で叩かれるのが体罰ではないという説明は、検索した中では納得できるものがありませんでした。途中で指摘があったようにそもそも体罰の定義が不明確だというのもありますし、とりあえず保留といった感じですね。

(2017/11/06追記: 2016年10月に体験修行として預かった中学生の頭を布団たたきで複数回殴打するなど暴行した疑いで、座禅修行などもやっている寺の住職が書類送検されました。普通は頭なんか叩かないので参考にしづらい例なのですが、ここまでやると、普通に暴行とみなされるようです。 2017年11月2日放送 4:36 - 4:37 日本テレビ | Oha!4 NEWS LIVE | TVでた蔵より)


●座禅で叩かれるのは体罰というよりは「ルーティン」ではないか?

 「とりあえず保留といった感じですね」…と一度書いたものの、もう少し考えてみました。まず、体罰について、なるべく意味をはっきりさせてみましょう。辞書で検索してみると、「肉体に直接苦痛を与える罰」「私的に罰を科す目的で行われる身体への暴力行為」といった説明がありました。その名の通り「罰」というのがポイントになりそうです。

 同様に「罰」についても調べると、「罪や過ちに対するこらしめ」や「おしおき」といった意味ですから、当然「罰」の前には「過ち」などがあるということになります。そう考えると、「規則を破った罰ではなく、座禅に集中するために行われる」という、私が納得できなかった先程の説明でも十分だったかもしれませんね。

 要するに、そもそも座禅での「過ち」の有無と関係がないので、警策を用いることは「罰」だとは言えない…ということに。また、「座禅に集中するために行われる」というのは、一種の「ルーティン」だとも言えるかもしれません。例えば、以下のようなものが「ルーティン」です。

<日本代表のキッカー五郎丸選手がキックの前にとるポーズ。すぐに「ルーティンだ!」と思いました。(中略)
辞書で見ると ルーティン(routine)とは、決められた一連の動き、決められた一連の動作。 となっています。これを何かに取り組む際に毎回すると物事に集中出来るということです>(五郎丸のポーズやイチローのルーティン!日常生活にも使えます!より、改行は変更)

 もうちょっとよく考えたいんですが、とりあえず、今のところはこんな感じで理解しました。


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