2016/11/16:
●サイゼリヤは意外にデータ主義?「バリュー」の定義
●サイゼリヤの堀埜一成社長「正垣泰彦会長の脳波を知りたい」
●法則性を見つけ出すのにこだわりなかなか改装を始められず
2019/11/23:
●未だに現金決済が多いのは、キャッシュレスはぼったくりだから?
●サイゼリヤがキャッシュレスを急がない合理的な理由
●サイゼリヤは意外にデータ主義?「バリュー」の定義
2016/11/16:正直地雷なメニューもあるんですが、結構お世話になっているサイゼリヤ堀埜一成社長のインタビューがおもしろかったです。感心したのは、データ主義的なところがあること。
グーグルはデータ至上主義 数字を出して説明できない社員はいらないを過去に書いているように、私はこういうのが大好物なんです。
ただ、最初に紹介するものは、一見科学的なように見えて、勝手に定義しただけなのでここは感心しません。
サイゼリヤは、なぜ低価格を続けられるのか 東洋経済オンライン 10月7日(金)5時0分配信
コストを削ったり、(同じコストでも)商品の価値を上げたりする技術があるうちは値上げしない。そもそも価値=バリューというのはファンクション(F)、すなわち提供できるメリットと、コスト(C)で決まる。まずは分子のFを上げ、合わせて分母のCを下げることが大事だ。
これ、何か科学な感じに見えるかもしれませんけど、バリュー、ファンクション、コストをそれぞれきちんと数値化できるようにして、なおかつそれらが関連するという数式を導き出さなくてはいけません。(きちんと数式があるけど、企業秘密って可能性はあります)
なので、これはちょっとエセ科学っぽいのですけど、コストを下げようってのは正解でしょう。
そのために、われわれがまず取り組んだのは、「コストゾーン」といわれる部分の縮小。具体的にはキッチンの面積を半分にした。小型店舗は他社にもあるが、キッチンの占める面積は意外と大きい場合が多い。
(中略)それによって都心の狭小地など、今まで出せなかった地域にも出店できるようになった。無駄な裏方を小さくすることで、Fを上げ、Cを下げている。
●サイゼリヤの堀埜一成社長「正垣泰彦会長の脳波を知りたい」
本当にデータ主義的でおもしろかったのはこの後。例えば、サイゼリヤは"2016年8月期は情報システムに積極的に投資"しています。この投資自体が意外なのですが、理由は「おいしさの数値化」なんだそうで、非常におもしろいと思います。これは科学的なアプローチだと言って良いでしょう。
「おいしさ」など魅力機能と言われるものは、数値化できないとして、誰も手を出さなかった。僕はもともと生物学が専門なので、そうした実験はたくさんやってきている。
たとえば味をデータ化できる。この場合、「うまい」という味覚は人によって千差万別なので、「まずい」ものをきちんと定義する。味覚と脳波との関連を研究し、味を数値化するわけ。そうすれば、まずい食事の提供を避けることができる。これらは客には見えない変化だが重要だ。今後は、会長(創業者の正垣泰彦会長)の脳波を見てみようと考えている。会長はたいへん敏感なので「嫌」というときに、いったいどういう脳波になるのかを知りたい。われわれはいずれ死ぬので、脳波を遺していこうと思っている(笑)。
●法則性を見つけ出すのにこだわりなかなか改装を始められず
サイゼリヤは2016年8月期は国内店舗に20億円使う予定がまったく使えませんでした。この理由がまたデータ至上主義で、個人的には堪らないです。
データウェアハウスを使い、どうやって着座率を上げるかなど実験しながらやっていたら、時間がかかってしまったからだ。その分、おそらく、他社に比べて面積あたりの着席数はものすごく高いはず。今期(2017年8月期)は改装を頑張ろうと思っている。
最初にグーグルの話を出しました。他に私の好きな話が
欧米でも人気、旭酒造の獺祭は工場で作る 職人の技をデータ活用で再現です。ここは、杜氏(日本酒の醸造工程を行う職人集団)ではなく工場で作るようにしたというところでした。
飽くまで個人的な好みに過ぎないのですけど、私は「決して数値化できない職人の技」みたいな話より、「データできそうにないものをデータ化」という話に感動しちゃいますね。
●未だに現金決済が多いのは、キャッシュレスはぼったくりだから?
2019/11/23:データうんぬん関係なさそうなのですけど、
現金決済にこだわる「サイゼリヤ」、社長が真意を明かす:日経ビジネス電子版(2019年11月19日)というサイゼリヤの記事を見かけたので読んでみました。堀埜一成・サイゼリヤ社長へのインタビュー記事です。
タイトルは、サイゼリヤの国内約1100店舗の8割が現金決済になっていて、なぜ、現金決済にこだわるのか…と聞いてみたという話。個人的にはキャッシュレスの方が好きです。とはいえ、キャッシュレス化するかどうかは飽くまで企業の自由ですし、しない理由もいろいろと思いつきますので、全く構いません。ただ、その理由を読んでみたら、これがまた合理的でしびれる内容でした。
キャッシュレスの場合、お店側に数%の負担になることが多いです。ハードの導入費用とこの手数料を理由に、安さにこだわるお店や規模の小さいお店は、導入をしないことが多くなっています。サイゼリヤも安さが売りですからそういう理由もアリだと思ったら全然違ってびっくりしたんですよ。手数料は全然問題ないと言っています。
なぜ全く問題ないのか?と言うと、例えば、決済額の3%を手数料として払って、5%収入が増えればそれでいいから、とのこと。やはり合理的な考え方ですね。この手数料を理由に「クレジットカードは陰謀だ」と叩く零細店舗の経営者が結構多いのですけど、サイゼリヤのように得かどうか判断して決めればいいだけ。それなのに、自分の判断を棚に上げてクレジットカード会社に責任転嫁してしまっています。
●サイゼリヤがキャッシュレスを急がない合理的な理由
では、サイゼリヤがキャッシュレス化を急がなかった本当に理由とはなんでしょう? それは、1100店もあると開発とハード代がばかにならないためだとのこと。そして、「究極の後出しじゃんけんをするつもり」と言っていました。細かく説明していないですけど、ちょくちょく変更せずに、キャッシュレスの趨勢が決まり出揃ってから完全なものを入れるということでしょうね。ただ、それほど先ではなく、そろそろ入れたいようです。
また、サイゼリヤがキャッシュレスをやっていなかったことで良いこともありました。アマゾンから「現金で支払った際のお釣りを、アマゾンギフト券として受け取る」というキャンペーンで声がかかったとのこと。ギフト券は、お釣りに2%上乗せした金額でというものでした。アマゾンも現金決済のところを狙っていたんですね。「残り物には福がある」みたいな話です。
ただ、個人的にはアマゾンらしくない取り組みだと感じました。既存企業でも聞かないようなアイデアではありますけどね。社内でも「言うだけでやらないんじゃないか」と消極的な声もあったそう。しかし、社長は全面的に乗っかっていってキャンペーン実現にこぎつけました。
あと、サイゼリヤの話ではなく、日本全体の話なのですけど、キャッシュレス還元キャンペーンに関して、「そもそも税金をどこに使うんやと、なんか違うやろと。なんかおかしい。そもそも社会保障のための増税ですよね。違うとこに使ってませんか、という気はしています」という話もしていました。
先程書いたようなクレジットカード会社叩きに走ってしまう人が出るのは、お店にとってプラスかマイナスかをよく考えない経営者が安易にカード会社と契約してしまうため。今回の税金を使ったキャッシュレス化推進策でも、やはりよく考えずに導入した中小零細店舗が苦しむ可能性を社長は心配していました。
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