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所得格差の何が悪い!いったい何が問題なのか? 研究によると…


 「所得格差そのものは問題でない」と主張する人がいて、私もある程度言いたいことは理解できました。ところが、研究によると、所得格差そのものが問題を起こすケースがあるとのこと。それは、「格差拡大で経済成長がマイナスになる」ということや暴力的になりやすくなるといったものです。


【クイズ】アベノミクスやリフレ理論を支持しているとされるポール・クルーグマン教授の考え方として正しいものは?

(1)所得再分配は経済成長を鈍化させるため、細心の注意を払いながら事を進める必要がある。
(2)トリクルダウンによって低所得者層も恩恵を受けるため、所得再分配は不要である。
(3)貧困層の貧しさを緩和することにはメリットがあるという確固たる証拠がある。


2016/11/17:
●所得格差の何が悪い!いったい何が問題なのか?哲学者が切る
●所得格差・不平等を無条件で悪いこととするのはおかしいのでは?
●研究によると格差拡大は経済にとって悪!経済成長がマイナスになる
●富裕層が儲けすぎると経済成長がマイナスになってしまう理由
●貧乏人はお金をよく使う一方、お金持ちは持っていても使わない
●アベノミクス支持のリフレ派クルーグマン教授の所得格差の考え方
2017/04/18:
●怪しい…所得格差で幸福度が下がり、暴力的になるって本当?
●エコノミークラスの乗客もファーストクラスの乗客も暴力的に…


●所得格差の何が悪い!いったい何が問題なのか?哲学者が切る

2016/11/17:私は本質的に問題なのは所得格差というよりは、低所得者層の貧困だという考え方。なので、所得格差の何が悪い!に賛成と言えば、賛成ではあります。ただ、こういった考え方は所得再分配の否定に利用されがちですので注意が必要ですね。

 哲学者だという方による、「格差」があって、なぜ悪いのか?|いま世界の哲学者が考えていること|ダイヤモンド・オンライン(2016年10月12日 岡本裕一朗)という記事があり、これもそういった貧困層を救わないことに利用されそうなものでした。

<格差(不平等)は、どうして悪いことなのでしょうか。このような問いを出すと、「そんなことは当たり前だろう!」と叱責されてしまうかもしれません。あるいは、差別主義者として糾弾されることもあるでしょう。けれども、「格差(不平等)=悪」と前提する前に、一度立ち止まって、そもそも格差(不平等)をどう理解するか、考えてみなければなりません>


●所得格差・不平等を無条件で悪いこととするのはおかしいのでは?

 ハリー・フランクファートという方の説では、所得が多いか少ないかは、それ自体では問題にならないとのこと。むしろ、生活するために十分なおカネがない人(貧者)がいれば、道徳的には、その人を救済する必要があると考えられます。したがって、道徳的に重要なことは、格差ではなく「貧困」だとのこと。これは私の前述の考え方に近いですね。

 岡本裕一朗さんは、<ここで注意しておきたいのは、フランクファートの議論が「論理的に」展開されていること>だとして、以下のように書いていました。

<通常、経済的な格差を論じるとき、あたかも「経済的平等」がよいことであるかのように最初から前提されています。そのため、格差(不平等)が拡大されると、悪いことだから是正すべきだ、と主張されます。
 しかし、格差(不平等)は、「それ自体で」悪いことなのでしょうか。たとえば、二人の所得が違っていても、それぞれ生活するのに十分なおカネを持っていれば、収入の格差を是正すべきとはなりません>


●研究によると格差拡大は経済にとって悪!経済成長がマイナスになる

 このように岡本裕一朗さんは、、格差拡大を無条件に悪とすることに疑問を投げかけています。これは道徳的な問題ですし、たぶん作者の方は知らなかっただろうと思うのですが、経済成長に関しても所得格差は問題になってくるんですね。所得格差は経済成長に対して悪なのです。

 うちでも以前、格差是正が経済成長を阻害するという誤解 富の再分配はむしろ成長促進でやっているように、所得格差を是正した方が経済は成長しやすいのです。今回、これについて再度検索。まず、以下の部分は以前の投稿でも書いた内容です。

<IMFは以前の研究で、過度の所得格差は、実は経済成長率を引き下げ、次第に成長の持続可能性が低下することを明らかにしている>
(IMF サーベイ・マガジン : ラガルド氏、過度の不平等の是正措置、全ての人のプラスに 2015年6月17日より)


●富裕層が儲けすぎると経済成長がマイナスになってしまう理由

 ただ、上記は「過度の所得格差」という曖昧な言い方であり、その範囲がわかりませんでしたので、もうちょっと調べてみたいと思っていたんですよ。すると、この記事では、上記を上書きする新しい研究が出ていました。

 今回のものは特に所得格差の範囲を指定しておらず、日本にも当てはめることが可能そうです。そして、格差拡大が経済成長にマイナスの影響を与えることも、はっきりと示されています。

最新のIMFの研究によると、貧困層・中間層の所得シェアが1パーセントポイント拡大すると、その国のGDP成長率が5年間で0.38パーセントポイント も増大する。対照的に、富裕層の所得シェアが1パーセントポイント上昇すると、GDP成長率は0.08パーセントポイント縮小する。
「我々の分析結果は、一般的な通念とは逆に、所得の向上に伴う便益は、上から下がるのではなく下から上がっていることを示している」と指摘したラガルド氏は、その考えられる説明として、富裕層はその所得を使う割合が少なく、結果、総需要を低下させ成長を蝕む可能性があるからだとした>


●貧乏人はお金をよく使う一方、お金持ちは持っていても使わない

 私は格差是正が経済成長を阻害するという誤解 富の再分配はむしろ成長促進で、格差が縮小した方が経済成長する理由について、低所得者層の方がお金を貯めることができず積極的に使うからだと予想しました。

 上記にも既に述べられているように、ラガルドさんも同様の考えですし、(PDF)経済成長の秘密兵器:―貧困層と中流層; エラ・ダブラ・ノリス、カルパナ・コッハー、エブリディキ・ツォウンタ、iMFdirect ブログ2015年6月15日掲載 - 061515j.pdfというレポートでも同様のことが書かれています。

 簡単に言うと、今回の研究成果は<貧困・中流層の所得を上昇させれば、すべての人々の成長見通しを上げる一助となる可能性がある>という話。そして、その理由は、貧困・中流層は富裕層より所得のより大きな割合を消費に回す傾向があることだとして、以下のように書いています。

<もしより多くのお金がこの2つの層に分配されれば、そのお金を貯蓄よりは消費に回し、短期的には需要を拡大させ、全体の成長を押し上げます。これは貧困・中流層が成長のための主要エンジンであることを意味します。しかし、不平等が拡大しつつある現在、このエンジンが停止しています。より長期的にみると、永続的な不平等は貧困・中流層が教育を受けて技能を向上させ、起業家的な夢を追う機会の減少を意味します。その結果、労働生産性は低下し経済成長が抑制されるのです>


●アベノミクス支持のリフレ派クルーグマン教授の所得格差の考え方

 クイズは、格差是正が経済成長を阻害するという誤解 富の再分配はむしろ成長促進から。実はクルーグマン教授も所得再分配を支持しています。


【クイズ】アベノミクスやリフレ理論を支持しているとされるポール・クルーグマン教授の考え方として正しいものは?

(1)所得再分配は経済成長を鈍化させるため、細心の注意を払いながら事を進める必要がある。
(2)トリクルダウンによって低所得者層も恩恵を受けるため、所得再分配は不要である。
(3)貧困層の貧しさを緩和することにはメリットがあるという確固たる証拠がある。

【答え】(3)貧困層の貧しさを緩和することにはメリットがあるという確固たる証拠がある。


 うちでは何度も書いているのですが、リフレ派は本来リベラルよりの考え方であり、所得再分配も積極的に勧めています。それがなぜか日本では右派の人たちが目立って推進して、なおかつ所得再分配を否定し、高所得者の利益を守ろうと必死になっているという不思議なことになっています。

 つまり、世界のリフレ派の理論が仮に正しかったとしても、日本はアクセルを踏みながら同時にブレーキを踏んでいる状態なので、きちんと実行できていないってことです。そりゃ、うまくいくこともうまくいきませんわ…。


●怪しい…所得格差で幸福度が下がり、暴力的になるって本当?

2017/04/18:所得格差については、幸福度を下げるともよく言われています。ただ、この観点で最近幸福度ランキングを見てみたところ、所得格差との相関性は全然な感じ。私も以前は信じていたのですが、最近怪しいと思い初めました。

 ただ、幸福度とはちょっと違うものの、暴力性に関する関連しそうな研究があり、これは興味深いところがあります。

 この話があったのは、今こそマイケル・ムーア! 仮想通貨で世直し? ):日経ビジネスオンライン(2017年3月7日)。妙なタイトルですが、ジョブセンスや転職会議を運営するリブセンス・村上太一社長が、マイケル・ムーアさんの映画をいろいろ見て資本主義の歪みを感じ、NPOを応援する気持ちを仮想通貨にする構想を語る内容です。

 村上太一社長とは考え方がすごく似ていることが多いものの、正直これは私の好みではありませんでした。しかし、おもしろかったのが、昨年発表されたカナダ、トロント大学のキャサリン・デセレス准教授らが、「不平等な状況に直面すると、人は反社会的な行動を取りやすくなる」ことを示唆した論文の話。旅客機で乗客による暴行などの迷惑行為が起きた記録を調査したものです。


●エコノミークラスの乗客もファーストクラスの乗客も暴力的に…

 論文によると、エコノミークラスの乗客が迷惑行為を起こす確率は、ファーストクラスがある旅客機のほうが、エコノミークラスしかない旅客機よりはるかに高く、3.84倍にもなります。ファーストクラスの存在が、暴力性を高めた可能性を感じさせます。

 これだけでも驚きなのですが、そのなかでも特に、エコノミークラスの乗客が、旅客機の前方からファーストクラスの客席を通る形で搭乗する場合というのがさらに確率アップ。エコノミークラスの乗客による迷惑行為はさらに2.18倍にもなるとありました。さらに2.18倍ですから、たぶん最初の3.84倍に掛け算する形(その場合は8.37倍)じゃないですかね。極端に多くなります。

 また、私がさらに驚いたのが、このような構造の旅客機では、エコノミーの乗客だけでなく、ファーストクラスの乗客による暴行なども著しく増えるということ。なんと迷惑行為が11.86倍にもなります。記事では、"目に見える格差は、弱者以上に強者を横暴にすると読み取れる"と書かれていました。この方向性の研究をもっと知りたいと感じる意外な研究ですね。


【本文中でリンクした投稿】
  ■格差是正が経済成長を阻害するという誤解 富の再分配はむしろ成長促進

【その他関連投稿】
  ■格差社会を作ったのは神様だった?生け贄が階層化社会生み出したという研究
  ■無責任安倍首相トリクルダウンを否定 賃金はアベノミクス失敗を示唆
  ■実質賃金は過去数十年間最低 法人税減税分を庶民が消費税で肩代わり
  ■アベノミクス支持のスティグリッツ教授は所得再分配を訴えていた
  ■橋本奈々未引退理由、弟の大学進学のためにアイドルは美談ではない
  ■ビジネス・仕事・就活・経済についての投稿まとめ

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