2016/11/17:
●社長はダメ上司とダメ部下をリストラせよ!会社は戦略より人材が大事
●メーカーが営業部門のトップとスタッフをクビにして入れ替えた結果…
●ビジネスモデルや経営戦略よりも社員の入れ替えが有効な理由とは?
●人材の入れ替えと密接な関係がある成果主義、その効果は研究によると…
【クイズ】ニーズィー教授らによると、慈善目的の募金集めで最も成績が良かったグループは以下のうちどれだったでしょう?
(1)集めた募金額の10%が払われると告げて募金集めに向かわせる。
(2)グループ1に聞かせた話に加えて、集めた募金額の1%相当の報奨金を個人に払うと約束して募金集めに向かわせる(1%は集めた募金の中からではなく別途払われることが事前にはっきり告げられている)。
(3)慈善事業の意義を十分に説いて募金集めに向かわせる。
●社長はダメ上司とダメ部下をリストラせよ!会社は戦略より人材が大事
「会社は戦略より人材が大事」というフレーズだけですと、とても社員に優しい会社のように聞こえます。ただ、今回の話、社員にとってもはちっともよくない話でした。人材が大事だからこそ、良い人材ではないダメ社員はリストラすべし!という話のためです。
さらに、危機的なのはダメ社員ではなさげ。使えない部下を変えてくれるなら…などと、上司も喜んでいられないかもしれません。日本ではまだ大丈夫かなと思うものの、アメリカの話なので上司も取り替え可能なことが一般的で、遠慮なく首を切られてしまいます。そして、日本もそうあるべきという結論になっています。
「そんなことないよ。経営者が変わって息を吹き返す会社があるじゃん。それよりダメ社長を変えろ」と思うかもしれません。ただ、個別の事例をもって一般化するのは危険です。今回の話も研究の裏付けが少ないですので様子見にした方が良いと思いますが、少なくとも反論するなら研究やデータが必要になってきます。
●メーカーが営業部門のトップとスタッフをクビにして入れ替えた結果…
で、今回の話ですが、経営学者でもあり企業のコンサルティングも行なうスタンフォード大学教授のジェフリー・フェファーさんの説みたいですね。彼自身のコンサルティングの経験を書いた著書の中で、アメリカ市場でまったく売上が伸びていないことを悩んでいた医療画像器具メーカーの話です。
コンサルティングの依頼をしたメーカーは当初、ビジネスモデルや経営戦略をどうすればいいかについて、聞いたつもりでした。ところが、フェファー教授の提案は「戦略について悩む前に、営業部門のスタッフについて見直してみたらどうでしょうか?」という予想外のものでした。
結局、メーカーはこのアドバイスに従います。営業部門のトップを優秀な人物に替え、彼のもとで働くスタッフももっと優秀な人材を採るようにしたら、たった1年で売上が20%も成長するほど激変した、とそうです。
(
『統計学が最強の学問である[ビジネス編]』第2章 人事のための統計学(1) 優秀な人は採れてますか?|待望の新刊『統計学が最強の学問である[ビジネス編]』無料公開|ダイヤモンド・オンライン 2016年10月10日 より)
●ビジネスモデルや経営戦略よりも社員の入れ替えが有効な理由とは?
この手法は、フェファー教授独自のものではありません。アメリカの心理学者フランク・シュミットとジョン・ハンターさんは1998年に、過去85年にわたる人材の採用に関する定量的な研究を徹底的に収集・分析する画期的なシステマティックレビュー論文を出版しています。
彼らによれば、上位16%以上の優秀な従業員は、平均的な従業員と比べて、特に専門性を必要としない仕事でさえも生産性が19%ほど高いとのこと。これが専門性を要求する仕事や管理職になれば48%も高いというさらに結果が示されているそうです。人間は個人差が大きい生き物ですからね。
しあたがって、もしあなたの上司が日本国内において「平凡な管理職」であったのだとすれば、これを優秀な人材に変えるだけで、あなたの部署の生産性は1.5倍ほどに伸びるのかもしれない、と記事では書かれていました。
また、別分野ではさらに強烈な証拠があるみたいです。プログラマーに関する調査では、最も優秀なプログラマーはダメなプログラマーの10倍、平均的なプログラマーと比べてさえ5倍もの生産性を示すという調査結果も存在しているとのこと。5倍、10倍となると、ものすごい差です。
●人材の入れ替えと密接な関係がある成果主義、その効果は研究によると…
クイズは、
成果主義と罰則がうまく行かない理由 行動経済学の実験の意外な結果から。実はこれ、成果主義がうまく行くとは限らないよって話であり、なおかつ同種の研究がかなりあるのです。
【クイズ】ニーズィー教授らによると、慈善目的の募金集めで最も成績が良かったグループは以下のうちどれだったでしょう?
(1)集めた募金額の10%が払われると告げて募金集めに向かわせる。
(2)グループ1に聞かせた話に加えて、集めた募金額の1%相当の報奨金を個人に払うと約束して募金集めに向かわせる(1%は集めた募金の中からではなく別途払われることが事前にはっきり告げられている)。
(3)慈善事業の意義を十分に説いて募金集めに向かわせる。
【答え】(3)慈善事業の意義を十分に説いて募金集めに向かわせる。
今回の話は優秀な人材を揃えよ!という話であり、成果主義の話そのものではありません。ただ、人材を入れ替える際には、多くの場合、成果主義が必要になるでしょう。今回の話と反対のような方向性になってしまいました。
じゃあ、どうするの?って話なのですけど、実は成果主義のせいで能力を100%発揮できなくてもそちらの方が良い場合が考えられます。まさに今回の話のように、社員を入れ替えることを前提にしている場合なら大丈夫そうなのです。
考え方の例なので数字は全部適当なんですけど、例えば、能力のない社員が100%の力を発揮したとしても、成果主義の負の効果で本来の実力の8割の力しか出せない優秀な社員に勝てないのであれば、能力のない社員をリストラして優秀な社員を集めた方が良い、といった感じで考えることができるでしょう。
実際にこれをやるには非常にカネがかかるものの、一応、どんどんクビを切りながら能力ある社員を引き抜き続けるシステムであれば、成果主義にデメリットがあってもそれを上回るメリットがありそうに見えます。非常にブラックだと言われるアマゾンなんかはたぶんそんな感じでしょう。ということで、めちゃくちゃきっつい話でした。
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