新大陸としてアメリカ大陸を「発見した」とされるコロンブス。彼に対する見方はいろいろあり、夢想家説・知の冒険家説、そして、なんとキリスト教の聖人説まであり、崇められました。一方で、同じキリスト教の人が残した記録から、現地の人々を虐殺した侵略者であったことも判明し、クズだったのでは?といった見方も提示されています。
2016/11/19:
●夢想家説・知の冒険家説・聖人説、様々なコロンブス像が存在する
●コロンブスの神格化が止まらない…ついにキリスト教の聖人説が登場!
●無所有と清貧を掲げるキリスト教フランシスコ会のコロンブスの略奪と虐殺
●ドミニカ共和国サントドミンゴの観光施設はコロンブスをどう紹介してた?
【クイズ】ドミニカ共和国は「黄金を求めてコロンブスがたどり着いた島」として知られています。このドミニカ共和国の首都・サントドミンゴの観光施設におけるコロンブスの扱いは?
(1)コロンブスの功績のみを描き、負の歴史については紹介されていない。
(2)コロンブスの負の側面のみを描き、功績については紹介されていない。
(3)コロンブスの良い面だけでなく、悪い面も包み隠さずに紹介している。
●夢想家説・知の冒険家説・聖人説、様々なコロンブス像が存在する
2016/11/19:
コロンブスが「発見」した、中米ドミニカ共和国500年間の虐殺、植民地、独立の歴史[橘玲の世界投資見聞録]|橘玲の世界投資見聞録 | 橘玲×ZAi ONLINE海外投資の歩き方 | ザイオンライン(2016年10月13日)によると、コロンブスへの見方はこれまでいろいろな説が見られ、様々なコロンブス像が作られてきたそうです。
様々なコロンブス像というのは、夢想家説、知の冒険家説、聖人説などといったもの。そのうちで最も古いのは、コロンブス夢想家説みたいです。
【コロンブス夢想家説】
コロンブスはマルコ・ポーロの東方見聞録に出てくる黄金の国ジパングに憧れ、アジアにより早く到達する航路を見つけようとした。実際、コロンブスが新しい島に上陸すると真っ先に金鉱を探したことは航海日誌からも明らかである。
●コロンブスの神格化が止まらない…ついにキリスト教の聖人説が登場!
上記の夢想家コロンブスもそれほど悪くない見方のように見えますが、強欲さも垣間見えます。そのためなのか、"必死に黄金を探し求めたのはスペイン王室など航海の出資者に利益を分配しなければならないため"という擁護が出てきたそうです。そこで提示されたのが、コロンブス知の冒険家説でした。
【コロンブス知の冒険家説】
当時、フィレンツェの地理学者・天文学者トスカネッリなどが地球球体説を唱えていたが、まだ誰もそれを証明していなかった。トスカネッリと親交のあったコロンブスは、自らの手で真実を明らかにし、正確な地球像を描くために危険な航海に乗り出した。
ここまでは日本人にも馴染みのある説ですが、欧米的価値観を感じさせるのが、コロンブス聖人説でしょう。この説は、その後、コロンブスがフランシスコ派修道会の俗人会員で、息子のディエゴをフランシスコ会に預けていたことが明らかになったことに端を発しています。
【コロンブス聖人説】
無所有と清貧を掲げるフランシスコ会は、最後の審判が近いという終末論を信じ、それまでに世界じゅうにキリストの福音を宣教しなければならないとの宗教的熱情に突き動かされていた。コロンブスもその熱情を共有し、布教のための新天地を探して冒険に乗り出したのだという。これが19世紀に唱えられた“聖人”コロンブスで、クリストファー(クリストフォロ)という名は「キリストを運ぶもの」の意味なのだ。
●無所有と清貧を掲げるキリスト教フランシスコ会のコロンブスの略奪と虐殺
キリスト教を布教したから「聖人」というのは、非キリスト教徒が圧倒的な日本人にはわかりづらい感覚。無宗教な人的には意味不明で済みますが、他の宗教を信じる人からしたら、むしろ正しくない宗教を広げた悪人にすら見えるかもしれません。
ところが、それだけでなく「聖人じゃねーだろ!」と思わせる出来事がこの後発覚してしまいます。無所有と清貧を掲げるフランシスコ会のコロンブスが、略奪と虐殺を行っていたことが判明してしまいました。コロンブス侵略者説の誕生です。
【コロンブス侵略者説】
20世紀半ばに植民地主義の歴史が問い直されるようになると、コロンブスの「侵略者」としての姿が明らかに。最も決定的なのは、1502年にイスパニョーラ島に渡り、サントドミンゴでキリスト教のドミニコ会の司祭となったラス・カサスの記録。以下のようにコロンブスの部隊の略奪と蛮行を報告していました。
「(ある日)総督の命令で300人以上の(原住民の)豪族が何の恐れも抱かずにやってきた。ところが総督は一計を案じ、できるだけ多くの豪族をワラの家に閉じ込めた後、火をかけるよう命じた。彼らは生きたまま焼き殺された。残った者は全員槍で刺され、大勢が剣で切り殺された。アナカオナ女王は、敬意を表するために首吊りにされた。一部のキリスト教徒が、哀れみからか欲にかられてか、子供が殺されないように自分の馬の後ろに乗せたことがあった。しかし、別のスペイン人が背後からやってきて、槍で子供を突き刺した。もうひとりのスペイン人は、地面に倒れている子供の足を剣で切った。何人かのインディオは、この非人間的な残虐行為から逃れ、8レグア離れた小島に避難した。しかし、総督は、逃げたインディオを全員奴隷にしてもいいと宣言した」(ミシェル・ルケーヌ『コロンブス 聖者か、破壊者か』創元社)
●ドミニカ共和国サントドミンゴの観光施設はコロンブスをどう紹介してた?
で、クイズにした話。実を言うと、ドミニカ共和国の首都・サントドミンゴの観光施設では、こういうコロンブスの悪い話は"慎重に排除されている"そうです。
【クイズ】ドミニカ共和国は「黄金を求めてコロンブスがたどり着いた島」として知られています。このドミニカ共和国の首都・サントドミンゴの観光施設におけるコロンブスの扱いは?
(1)コロンブスの功績のみを描き、負の歴史については紹介されていない。
(2)コロンブスの負の側面のみを描き、功績については紹介されていない。
(3)コロンブスの良い面だけでなく、悪い面も包み隠さずに紹介している。
【答え】(1)コロンブスの功績のみを描き、負の歴史については紹介されていない。
というのも、ドミニカ共和国は観光産業が大きな位置を占めているため。欧米から来たコロンブスがクズだったなんて知ると、欧米からの観光客が興ざめしてしまうのでそこらへんはノータッチ。お金儲けが優先でした。本当にそれでいいの?と思わなくもないものの、ドミニカ共和国はそういう選択をしているのだそうです。
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