ゆとり教育で学力が低下したという証拠はなく、実は根拠のない迷信です。ただ、今回読んだ記事では、そもそも最初から最後までゆとり教育を受けたという人がほとんどいないこと、一部だけゆとり教育という人がほとんどであることを指摘していたのが目新しい視点でした。
また、さらに驚きなのが、そのほとんどいない「最初から最後までゆとり教育」という正真正銘のゆとり教育世代の学力が、むしろ他の世代より高いという事実。これは私も予想外でした。
2016/11/20:
●実は自分も受けてた!一部だけゆとり教育という人が多い
●ゆとり世代の定義は?意外に多いゆとり教育を受けた世代
●究極のゆとり世代の学力はむしろ高いという不都合な真実
●数学の学力テスト正答率、親の年収の高い・低いはどれくらい影響?
【クイズ】2013年に行われた中3数学Bの学力テスト正答率について正しい説明はどれでしょう?
(1)平均年収約930万円のグループの正答率は、平均年収約340万円のグループの0.7倍だった。
(2)平均年収約930万円のグループの正答率は、平均年収約340万円のグループの1.2倍だった。
(3)平均年収約930万円のグループの正答率は、平均年収約340万円のグループの1.7倍だった。
●実は自分も受けてた!一部だけゆとり教育という人が多い
2016/11/20:学力などは個人差が大きく、世代ごとでの決め付けはあまり意味がありません。
ゆとりというレッテル貼り批判は差別・偏見で自分が頭悪い証拠でやったように、「ゆとりが~」とバカにしている人の方がよっぽど頭が悪いと言えます。
そういう意味では今回の記事も良くない内容ですし、信頼できる内容なのか?と心配なのですけど、「究極のゆとり世代の学力はむしろ高い」という指摘はおもしろかったです。これは思い込みではなく、データ的な根拠があります。
ただ、その話に行く前に、ゆとり教育に関する勘違いについて。そもそもゆとり教育は突然始まったわけではなく、徐々に行われたものです。「ゆとりが~」とバカにしている人の中にも、実は結構ゆとり教育を経験している人が多いことはあまり知られていません。
<「ゆとり教育」が何年から始まり、何年に終わっているか、ご存じだろうか?(中略)「ゆとり教育」の制度自体は、2002年度に学習指導要領が改訂されたことにより始まった。2002年には完全学校週5日制に移行。その後、この学習指導要領は2011年度に再び改訂されて終了し、「脱ゆとり教育」へと方向転換した。この前2年間には、脱ゆとり教育への準備として「移行期間」がある。
つまり、2002~2010年度までの間に小、中学生だった人たちが「ゆとり世代」である。年齢で言うと、1987~1996年生まれまで。2016年現在で、20~29歳くらいだ。しかし、生まれ年によっても、ゆとり教育に触れた長さが違う>
(
ゆとり後期世代は「意外と有能」説の根拠|DOL特別レポート|ダイヤモンド・オンライン 舩山隆子[清談社] 2016年10月12日より)
●ゆとり世代の定義は?意外に多いゆとり教育を受けた世代
前述の通り、1年でもゆとり教育を受けた人をゆとり世代に含めるとすると、1987年4月2日生まれ~2004年4月1日生まれの人がゆとり世代に当てはまります。かなり広いのです。
しかし、これを全部ゆとり世代とは言いづらいでしょう。1989年生まれまでは小学校時代、すべて旧課程教育を受けているし、後半の2002年生まれ以降は、ほぼ脱ゆとり教育を受けているためです。
一方、本当にゆとり教育まっただ中、筆者の言う「究極のゆとり世代」というと、今度はかなり少なくなります。実は、"義務教育課程から高校までゆとり教育を受けた"という世代は、1994年生まれ、1995年生まれ、1996年生まれの人だけなのです。
●究極のゆとり世代の学力はむしろ高いという不都合な真実
で、この「究極のゆとり世代」が、学力的にはむしろ高いというのが事実でした。ゆとり世代の学力は低くないという話自体は以前もやった気がするものの、こうやって丁寧に見てはいなかったはずですので新鮮です。
記事によると、「ゆとり教育」の学力低下が問題としていたのは、「ゆとり前期」の世代。2000年、国際規模のテストPISA(OECD生徒の学習到達度調査)での日本のランクは数学的リテラシー1位、科学的リテラシー2位、読解力8位でした。
このときはむしろ良かったものの、その後2003年、2006年で連続ダウン。特に2006年の順位の下落ぶりは顕著で、数学的リテラシーが同6位から10位へ、科学的リテラシーが同2位から6位へ、読解力が同14位から15位へとダウンしました。で、これを受けてその後、「脱ゆとり教育」が検討され、2011年、新しい学習指導要領が実施されたんですね。
2012年の同テストでは数学が7位、読解力4位、科学4位と、ゆとり教育前のレベルに戻ってきて、「脱ゆとり教育」の効果が出たなどと言っていました。ただ、わずか1年「脱ゆとり教育」を受けただけで成績が良くなるというのは変な話。私は、むしろゆとり教育叩きする人の頭に問題を感じていました。
ところが、記事によると、そもそもこの成績を回復させた高校1年生は1996年生まれであり、「究極のゆとり世代」でした。成績がダウンしたのが「ゆとり初期」世代、そして回復したのが「究極のゆとり」世代なんですね。このことからも、「ゆとり教育」だから学力が低下したという根拠はないといって良いようです。
●数学の学力テスト正答率、親の年収の高い・低いはどれくらい影響?
クイズは、
親が高収入・高学歴で学力テスト好成績 本や新聞も良いとステマから。今回の内容とは特に関係ありません。
【クイズ】2013年に行われた中3数学Bの学力テスト正答率について正しい説明はどれでしょう?
(1)平均年収約930万円のグループの正答率は、平均年収約340万円のグループの0.7倍だった。
(2)平均年収約930万円のグループの正答率は、平均年収約340万円のグループの1.2倍だった。
(3)平均年収約930万円のグループの正答率は、平均年収約340万円のグループの1.7倍だった。
【答え】(3)平均年収約930万円のグループの正答率は、平均年収約340万円のグループの1.7倍だった。
学力が高い人、高学歴な人というのは高収入になりやすいので、当然その子供たちも勉強ができることが多くなるのはわかります。ただ、上記の結果は、思った以上に圧倒的な差になったな…と驚かされたものでした。
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