タイトルは短くするために混ぜてしまったんですが、「ペーパードライバーがゴールド免許は変!」という話がまずひとつ。そして、もう一つ別に「実はゴールド免許の運転手の方が自信がない運転手が多い」という話があります。
2016/11/23:
●ペーパードライバーがゴールド免許なのはおかしい?制度に異議
●実はゴールド免許の運転手の方が自信がない運転手が多い
●ペーパードライバー以外のゴールド免許の人なら運転に自信あり?
●危険な運転をする運転手はどういうタイプ?研究者による説明
2019/10/12:
●ペーパードライバーよりも他の運転手を厳しく見るべき理由は?
2020/09/28:
●新型コロナ問題でペーパードライバーが一斉運転、事故も激増?
2022/08/31追記:
●人を轢き殺して「長時間運転してるんだから仕方ない」って言える? 【NEW】
【クイズ】トーマス・ブラウン教授は、危険な運転をする運転手についてどのような説明をしていたでしょう?
(1)自分が危険運転をするタイプだと思っていない。
(2)スリルを楽しむために、わかっていてわざと危険な運転をする。
(3)普段あまり運転をしないために、スピードの感覚がおかしくなっている。
●ペーパードライバーがゴールド免許なのはおかしい?制度に異議
2016/11/23:まず、ペーパードライバーがゴールド免許なのはおかしいという話から。よくある話なんですけど、今回は、
「運転していない人がなんでゴールドなのか」 田中康夫氏が「優良運転者」制度に異議 J-CASTニュース / 2016年11月23日 16時51分の話題です。作家で元長野県知事の田中康夫さんがゲスト出演した2016年11月19日放送のバラエティー番組「おぎやはぎの愛車遍歴NO CAR、NO LIFE!」(BS日テレ)。「運転しない=ゴールド免許を改善せよ!」というテーマが取り上げられたそうです。
その中で田中さんは、買い物をすればするほど特典が増えていく「クレジットカード」を引き合いに、「でも免許って、(車に)乗ってない人がゴールド免許だったりする。むしろ、乗ってない人こそ半年、1年講習すべき」と、運転していない人にも特典がつく現行制度の矛盾を指摘したといいます。
その上で、「もちろん違反はいけないけれど、乗った距離と軽微な違反を相対化するべき」だとして、違反の数だけではなく、運転距離や時間も考慮して評価する必要があると訴え。さらに現行制度について「おかしいでしょ!」と一喝した他、 「たくさん乗って安全な運転だったらゴールドどころかダイヤモンドのカードをくれるべき。運転していない人がなんでゴールドなのか」と不満そうに話していたといいます。
●実はゴールド免許の運転手の方が自信がない運転手が多い
「ペーパードライバーがゴールド免許なのはおかしい」というのは、妙なことにケチをつけているなと不思議だったのですが、J-CASTニュースが付け足した情報はおもしろかったです。これが「実はゴールド免許の運転手の方が自信がない運転手が多い」にあたる話でした。
楽天が運営する保険情報メディア「INLIFE(インライフ)」が、20歳以上の免許保持者400人を対象にしたアンケートを行い、15年4月17日に発表した調査。これによると、優良運転者の21.0%が「数年に1回以下しか運転していない」と回答しており、ゴールド免許を持っている人の5人の1人以上が「ペーパードライバー」でした。
一般運転者で同じ回答をした人は5.0%とも書かれていました。おそらくゴールド免許の人の割合は、ペーパードライバーの人で多く、そうじゃない運転者より多いということでしょう。調査では「運転技術への自信」についても聞いており、運転に「自信がない」と答えた優良運転者は27.0%で、一般運転者の7.5%とは大きな差が出ていました。
●ペーパードライバー以外のゴールド免許の人なら運転に自信あり?
上記をそのまま読むと、ペーパードライバーが多いせいで、優良運転者と一般運転者の運転に「自信がない」が逆転しているように思うかもしれません。ペーパードライバーではない優良運転者なら、「運転に自信がある」と答える人が多いという予想です。
まず、優良運転者が100人いたとした場合、21.0%がペーパードライバーなので、21人がペーパードライバーで、そうではない人が79人になります。また、運転に「自信がない」と答えた優良運転者は27.0%ですから、自信がない人は27人ということになります。
ペーパードライバーの人が全員運転に「自信がない」と答えた場合、ペーパードライバーではない優良運転者で自信がない人は27-21で6人。ペーパードライバーではない優良運転者79人のうち6人が自信がないということで、確率は7.6%になります。
一方、一般運転者が100人いたとした場合、5.0%がペーパードライバーなのですから、5人がペーパードライバーで、そうではない人が95人になります。また、運転に「自信がない」と答えた優良運転者は7.5%ですから、自信がない人は7.5人ということになります。
先程と同様にペーパードライバーの人が全員運転に「自信がない」と答えた場合、ペーパードライバーではない優良運転者で自信がない人は7.5-5で2.5人。すると、ペーパードライバーではない一般運転者95人のうち1.5人が自信がないということで、確率は2.6%になります。
違反をしていない優良運転者で運転に自信がない人は7.6%。一方、違反している運転者で自信がない人はわずか2.6%。ペーパードライバーはゴールド免許ばかりと仮定して除いた場合でも、圧倒的に違反している運転者の方が「自信がない」人が少ないのです。私がおもしろいと思ったのはここでした。
一般運転者というのは「過去5年間に軽微な違反が1回のみ」ということで、ほとんど違反がない人ではあるものの、それでも優良運転者よりも運転に自信があるという風に逆転しています。ペーパードライバーを除いたとしても、運転が下手な人よりうまい人の方が、「自信がない」と答えることが多いんですね。
●危険な運転をする運転手はどういうタイプ?研究者による説明
これは過去に
遅い車にイライラする人ほど運転が下手?スピードを出す運転手はストレスに弱いでやった「下手な運転手ほど運転に自信があるのかも?」という話を補強するアンケート結果かもしれません。
【クイズ】トーマス・ブラウン教授は、危険な運転をする運転手についてどのような説明をしていたでしょう?
(1)自分が危険運転をするタイプだと思っていない。
(2)スリルを楽しむために、わかっていてわざと危険な運転をする。
(3)普段あまり運転をしないために、スピードの感覚がおかしくなっている。
【答え】(1)自分が危険運転をするタイプだと思っていない。
なお、元ネタ(
【半永久保存版】ゴールド免許 VS ブルー免許の 「つばぜり合い」がヤバイ | INLIFE~あなたと保険を繋げるメディア~ - 楽天/Rakuten)を探してみたところ、一般運転者ではなくブルー免許での調査でした。J-CASTニュース間違ってるんじゃん!
検索してみると、ブルー免許の場合は、一般運転者だけでなく、違反運転者や初回更新者も含まれるとのこと。つまり、ますます「下手な運転手ほど運転に自信がある」という可能性が強くなったということです。ちなみに、「自信がある」も17.5%と10.0%と、ブルー免許の方が多くなっていました。違反や事故を起こしている人ほど運転に自信があるという逆転現象が起きていることがわかります。
●ペーパードライバーよりも他の運転手を厳しく見るべき理由は?
2019/10/12:読み直してみると、ペーパードライバーがゴールド免許なのはおかしいかどうかって話があまりありませんでしたね。これには、ペーパードライバーが実際に大きな事故を起こしているとかどうかを知るデータがまずほしいなと思います。ペーパードライバーが人身事故のような事故を多数起こしている証拠がないのなら、変更する必要性はあまりありません。
ただ、ペーパードライバーはそもそも運転する確率が低いです。なので、結果として事故を起こす数も少ないために、重点的にチェックする必要がないという考え方もできるかもしれません。車を運転しない人を一生懸命チェックするよりも、普段から車に乗ることが多い人を見た方が良いだろうという話。実際に起きている重大事故の数をまず知りたいですけどね。
とりあえず、「ペーパードライバー 事故率」「ペーパードライバー 事故数」などで検索してみました。しかし、全然データがありませんね。
Wikipediaによると、そもそも2010年時点において、日本国内における全体のペーパードライバーの具体的な人数や割合を網羅した統計が集計されたことはないとのこと。実態はよくわかっていないようで、ゴールド免許の方針を変えるには、まずそこから調査して証拠を出す必要があるようです。
●新型コロナ問題でペーパードライバーが一斉運転、事故も激増?
2020/09/28:新型コロナウイルスの感染拡大を受け、自動車のペーパードライバー講習が人気だという記事が出ていました。
ペーパードライバー講習が人気 感染懸念、「思わぬ需要」―新型コロナ:時事ドットコムによると、勤務先から電車利用を禁止されたり、公共交通機関利用による感染を懸念したりする人が受講するといいます。
これを読んで、ペーパードライバーの運転が増えている時期に、事故数が増えるかどうかでペーパードライバーの運転の下手さがわかるかな?と思いました。ただ、分析は難しそうな感じ。単純に走行する自動車が増えれば事故も増えるでしょうから、ペーパードライバーが原因かどうかはわかりません。
また、ペーパードライバー講習が人気とはいえ、全体に与える影響は軽微で、実際それほど運転は増えないのではないかとも思いました。というのも、今のところ自動車業界は新型コロナウイルスがプラスに働いておらず、むしろ壊滅的な数字が出ているため。
アングル:コロナが促す「脱ペーパードライバー」、新車販売につながるかは不透明 - ロイターニュース - 経済:朝日新聞デジタルという記事も出ていました。
●人を轢き殺して「長時間運転してるんだから仕方ない」って言える?
2022/08/31追記:車によく乗る人は乗る時間が長いから違反も多くなるのは自然なので考慮すべき…という主張について。前々回も<ペーパードライバーよりも他の運転手を厳しく見るべき理由は?>のところで疑問視したのですが、今回、最悪の「違反」とも言える人身事故の例で考えるとわかりやすいかも…と思いました。
轢き殺しなどの人身事故を起こした運転手が、毎日長時間運転する人であったからと言って「長時間運転するんだから事故を起こしても仕方ないので、これからもどんどん車を運転してもらいましょう」とはならないでしょう。むしろ長時間運転する運転手こそ厳しくしないと、事故が起きまくる…ということになります。
これは人身事故という極端な例でしたが、軽微な違反であっても根っこの考え方はいっしょです。ただ、読み直してみると、元の主張は「もちろん違反はいけないけれど、乗った距離と軽微な違反を相対化するべき」という言い方であり、さすがに重大事故は想定していない模様。依然としてこの説を支持する人がいそうです。
じゃあ…ということで、工場や工事現場における安全管理の考え方についての話もしておきます。安全管理では軽微なミスが大きな事故に繋がるという考え方のため、軽微なミスだからといって軽視せず、むしろ積極的に改善することにより、大きな事故の原因をなくそうとします。交通事故はまさに事故の話であり、そのまま安全管理の考え方を応用すべきでしょう。
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