あまり読まれていないので、浜田宏一さんの発言に関する投稿2つまとめて、片方はなにか他の話で使うページにしようと思います。(2018/12/16)
2016/11/29:
●浜田宏一内閣官房参与「考えが変わったことは認めなければならない」
●理論的支柱がアベノミクスの失敗を認め懺悔
●リフレ政策の敗北という理解で良いのか?
2016/12/1:
●浜田宏一氏の発言は日経の捏造?高橋洋一氏が珍反論
●田中秀臣氏も批判「量的緩和政策でデフレ脱却失敗とは言っていない」
●田中秀臣氏は重要な「考えが変わった」発言を無視
●なぜリフレ派の反論攻勢まで5日もかかったのか?
●時系列をねじ曲げた捏造で前科のある高橋洋一氏
2018/12/16:
●本田悦朗氏と浜田宏一氏が衝突、高橋洋一氏も失敗認めるなどリフレ派が危機
●浜田宏一内閣官房参与「考えが変わったことは認めなければならない」
2016/11/29:「言ってることが180度変わった」とどこかで目にしたのでちょうど調べようと思っていたところなのですが、アベノミクスの理論的支柱であるエール大名誉教授の浜田宏一内閣官房参与が失敗を認めたという記事を週刊文春が書いていました。
この文春に11月15日付の日経新聞の記事というヒントがあったので、その発言があったという該当の記事も判明。以下のことでしょう。
(経済観測)アベノミクス4年 減税含む財政拡大必要 内閣官房参与 浜田宏一氏 :日本経済新聞 2016/11/15付 日本経済新聞 朝刊
――日銀は国債の買い入れを年80兆円増やしましたが、4年たっても物価は目標とする2%に達していません。
「国民にとって一番大事なのは物価ではなく雇用や生産、消費だ。最初の1、2年はうまく働いた。しかし、原油価格の下落や消費税率の5%から8%への引き上げに加え、外国為替市場での投機的な円買いも障害になった」
――デフレ脱却に金融政策だけでは不十分だったということですか。
「私がかつて『デフレは(通貨供給量の少なさに起因する)マネタリーな現象だ』と主張していたのは事実で、学者として以前言っていたことと考えが変わったことは認めなければならない」
「(著名投資家の)ジョージ・ソロス氏の番頭格の人からクリストファー・シムズ米プリンストン大教授が8月のジャクソンホール会議で発表した論文を紹介され、目からウロコが落ちた。金利がゼロに近くては量的緩和は効かなくなるし、マイナス金利を深掘りすると金融機関のバランスシートを損ねる。今後は減税も含めた財政の拡大が必要だ。もちろん、ただ歳出を増やすのではなく何に使うかは考えないといけない」
●理論的支柱がアベノミクスの失敗を認め懺悔
文春は上記について以下のような解説をつけていました。
「アベノミクスは、第一の矢である金融緩和が肝。第二の矢である財政出動はこれまでもやってきたし、第三の矢である成長戦略は成果が出ていない。その第一の矢が折れつつあることを提唱者が認めたのです」(経済部記者、
アベノミクス終了浜田教授の懺悔と黒田総裁の暴走 | THIS WEEK - 週刊文春WEB 2016.11.25 07:02)
さらに、「問題は、“実行犯”である日銀がいまなお失敗を認めず、“逃走”を続けていることだ」と書いていました。最初の発言は、失敗を認めたものだという理解なことがわかります。
なお、ここで言う実行犯というのは、黒田東彦・日銀総裁や岩田規久男・日銀副総裁のことです。
●リフレ政策の敗北という理解で良いのか?
さて、上記のような解説であったものの、これは文春が都合良く解釈している可能性もあります。なので、最初の日経新聞の記事についてのネットの反応を見てみました。
すると、
はてなブックマーク - (経済観測)アベノミクス4年 減税含む財政拡大必要 内閣官房参与 浜田宏一氏 :日本経済新聞は、概ね失敗を認めたという認識でした。
“浜田教授が認めたようにデフレは貨幣現象ではないから、金融緩和だけではデフレ脱却できない。総需要不足を解消するための財政出動が必要。”(sawasho 2016/11/16)
“デフレ=マネタリーな現象→「日銀が その気になれば簡単にデフレ脱却できる」と信じこんで、当時の日銀の白川総裁に講釈たれてたのを反省して、公式に謝罪しないの? 学問的にも人間的にも最低のラインがあるのでは。”(perfectspell 2016/11/16)
“リフレ政策とは、一体何だったのか。”(zef 2016/11/15)
さらにツイッターも覗いてみたものの、やはり失敗宣言と受け止めている人が多かったです。素直にそういう理解で良いのでしょうね。
●浜田宏一氏の発言は日経の捏造?高橋洋一氏が珍反論
2016/12/1:を投稿した後に「念のために」ともう少し調べてみたら、リフレ派で反論している人もいました。ただ、正直妙な反論で、話になりません。
例えば、高橋洋一さんは以下のようにツイートしていました。
ほとんどの人たちはこれに同意する反応。
ただ、1人だけ時系列がおかしいことを指摘しています。
高橋洋一さんがリンクしたザ・ボイスの動画では確かに浜田宏一さんが抗議しているものの、これは10月18日のものでした。しかし、今回問題となっている記事は、それよりほぼ1ヵ月後の11月15日に報じられたもの。10月18日の時点で、浜田宏一さんが11月15日の記事に反論することは不可能です。
11月15日の記事の
はてなブックマークでは、"日経に言ってもいない「発言」を書かれたのにインタビューに応じるとは、浜田さんも心が広い"というものがありました。
おそらく10月18日の抗議というのは、こちらの記事についてでしょう。仮に高橋洋一さんが「過去に捏造をやったから今回もそうだ」と言いたかったのだとしても、ちゃんとそういう説明をしなかったというのはおかしな話。高橋洋一さんのツイート内容を読めば、今回の記事について浜田宏一さんが怒っていたと解釈されて当然でしょう。ここらへんを誤解されるような書き方をした高橋洋一さんの方がよほど「捏造」だと言えます。
●田中秀臣氏も批判「量的緩和政策でデフレ脱却失敗とは言っていない」
この高橋洋一さんがリンクしていた記事は、本当に11月15日の記事への反論でした。こちらも代表的なリフレ派の田中秀臣さんによるものです。
浜田宏一内閣官房参与に「金融政策の誤り」を認めさせたがる困った人たち | 田中秀臣 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト 2016年11月20日(日)11時30分
浜田参与のインタビューを素直に読めば、金融緩和でアベノミクス当初1,2年は成功していたが、その後、消費増税や国際情勢の不安定化で、金融緩和だけでは不十分であり、減税を中心とした財政政策が求められているとするものである。どこにも金融緩和の効果がないとか、いままでの日本銀行の政策が間違いだったなどとは微塵も言及はない。
(中略)一部の論者やメディアの中では、先ほど指摘したように、浜田参与があたかも量的緩和などの金融政策がデフレ脱却に失敗し、その考えを改めるという趣旨としてこのインタビューを解釈している。曲解に近く、その読みのゆがみに驚くばかりである。
●田中秀臣氏は重要な「考えが変わった」発言を無視
前回も引用したように、浜田宏一さんは「最初の1、2年はうまく働いた」「しかし、原油価格の下落や消費税率の5%から8%への引き上げに加え、外国為替市場での投機的な円買いも障害になった」と確かに言っていました。
なので、私も先の高橋洋一さんが以前やったのと同じく、アベノミクスは失敗したが消費増税のせいだという言い訳のようにも最初見えました。(関連:
リフレ派もアベノミクス失敗認める 黒田東彦日銀総裁・高橋洋一嘉悦大学教授が言及)
ただ、浜田宏一さんのインタビューでポイントだったのは、それより以下のあたりの発言です。
「私がかつて『デフレは(通貨供給量の少なさに起因する)マネタリーな現象だ』と主張していたのは事実で、学者として以前言っていたことと考えが変わったことは認めなければならない」
「金利がゼロに近くては量的緩和は効かなくなるし、マイナス金利を深掘りすると金融機関のバランスシートを損ねる」
ここらへんを田中秀臣さんはスルーしており、正直はぐらかしているようにしか見えませんでした。
●なぜリフレ派の反論攻勢まで5日もかかったのか?
また、他のリフレ派の反論のタイミングからしても、浜田宏一さんの発言は衝撃的だったのだろうと推測できます。
詭弁は不要。実効性のある政策を出せ!!|うずらのブログ 2016-11-22 12:35:05
これを機に、他のリフレ派連中も、一斉にブログやツイッターなどを使って文句を垂れ始めた。
しかし、浜田氏のインタビュー記事が出て4~5日も経ってから反論するのは、あまりにも遅すぎる。彼らは新聞すら読んでいないのか?
新聞記事は何気なくスルーしたものの、他の論者から、浜田氏に対する批判記事が出たのを見て浜田理論の瓦解に気付き、慌てて反論し始めたのだろう。
上記ブログは、"浜田氏に対する批判記事"が出てから初めて問題に気づいたという理解。また、田中秀臣さんは思いもよらない誤った解釈だったとしていました。
ただ、前回見たように、ネット上での「浜田宏一が負けを認めた」という批判は記事が出た直後に始まっています。それに対する反論がすぐに始まらずに、5日もたってからやっと出たというのは、反論が思いつかなかったためではないかと私は感じました。
たぶん最初は反論したくても思いつかなかったので無視していたら、5日経って田中さんが書いてくれたので慌てて乗っかったって感じじゃないですかね?
●時系列をねじ曲げた捏造で前科のある高橋洋一氏
ところで、最初のむしろお前が捏造だろうということをやっていた高橋洋一さん。
実を言うと、こういう時系列を逆にした捏造を、高橋洋一さんは前もやっているんですよね。
民主党政権が自殺者を増やしたはデマ、高橋洋一の捏造 逆に低下しているの件です。
民主党政権ではそれ以前の自民党時代より自殺者数を減らしていました。にも関わらず、高橋洋一さんはその後さらに減った安倍政権の数字を元に、「民主党政権が自殺者数を増やした」というめちゃくちゃな主張をしました。それを言うのなら、「麻生政権は民主党政権より自殺者数を増やした」とも言えてしまうのですが、たぶんそれは無視なんでしょうね。
まあ、そもそもこういう時系列を逆にした主張は無理があり、どちらも言うことができません。本当、高橋洋一さんがこんなひどい人だったと最初は思わなかったので、ただただ驚いています。
●本田悦朗氏と浜田宏一氏が衝突、高橋洋一氏も失敗認めるなどリフレ派が危機
2018/12/16:リフレ派敗北とかリフレ派がアベノミクスの失敗を認めたという話だけでまとめる…というのもちょっと考えました。結構あるんですよね。
一つは既にリンクしていた
リフレ派もアベノミクス失敗認める 黒田東彦日銀総裁・高橋洋一嘉悦大学教授が言及というもの。ただ、既に書いているように、高橋洋一さんは、アベノミクスは失敗したが消費増税のせいだという主張。リフレ理論の間違いを認めたわけではありません。
もう一つが、
日銀リフレ派・原田泰が敗北宣言?産経新聞がバカにする報道 週刊文春は「黒田総裁と岩田副総裁も主張変更」と報じるというもの。こちらがおもしろいのが、安倍政権を支持する産経新聞が書いているものだということでした。
あと、敗北うんぬんとは関係ないのですけど、
ヘリコプターマネーでリフレ派衝突!本田悦朗氏 VS 浜田宏一内閣官房参与といった話も書いています。リフレ派が豪語していたようには経済成長しないためなのか、リフレ派や安倍政権支持派の中でも対立してガタガタしていますね。
【本文中でリンクした投稿】
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民主党政権が自殺者を増やしたはデマ、高橋洋一の捏造 逆に低下している ■
日銀リフレ派・原田泰が敗北宣言?産経新聞がバカにする報道 週刊文春は「黒田総裁と岩田副総裁も主張変更」と報じる ■
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