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世論調査より当たるネイト・シルバー氏の予測は大統領選を当てた?


 世論調査があてにならないという話は今に始まった話ではなく、以前からです。日本で大きな話題にならなかっただけで、2012年の米大統領選挙でも世論調査はボロクソであり、そんな中で圧倒的な精度を誇ったネイト・シルバーさんによる統計・ビッグデータによる予測が話題になりました。

 トランプ圧勝の誤解、得票はヒラリー 世論調査はマスコミの捏造?を書いた時点では、私はこのネイト・シルバーさんの予測が今回も当たったものだと思っていたのですが、実はドナルド・トランプさんではなく、ヒラリー・クリントンさんの可能性が極めて高いという予想でした。

 彼もまた大きく外していたのです。これは驚きました。


●2012年の米大統領選も全然当たらなかった世論調査

 まず、過去の話から。

 有料記事ですので冒頭しか読めませんが、以下の記事は当時の世論調査がさんざんだったことを伝えています。
ニューヨーク・タイムズ(記者:ネイト・シルバー)『信頼される世論調査はギャロップからグーグルに変わる。大統領選予測を的中させたネイト・シルバーが分析する「世論調査2.0」』() | 現代ビジネス | 講談社 2012.12.03

11月6日のアメリカ・大統領選挙では、インターネットでの調査を行った多くの世論調査会社が、好結果を残した。電話での世論調査を行った数社の成績も良かった。しかしその他の、特に固定電話のみでの調査や、それ以外の方法で行った調査会社は、実際の結果よりも“共和党寄りの有権者予測”といったお粗末な結果に終わった。

 今回の大統領選ではサヨクメディアうんぬんと言っている人が結構いたのですが、実は前回の選挙ではむしろ多くのメディアが「保守派寄り」に見えたのです。

 下記の別記事によれば、ネイト・シルバーさんは、リベラルすぎると批判されていたそうです。そもそも世論調査やデータによる予想なのですから、それをリベラル寄り・保守寄りって言う方がおかしいというのがわかります。
大統領選でニューヨークタイムズのネイト・シルバーの数理モデル予測が全50州で的中―政治専門家はもはや不要? | TechCrunch Japan  2012年11月08日 by Gregory Ferenstein

New York Timesの選挙予測専門家、ネイト・シルバーは昨夜、大統領選の勝敗を全50州で的中させた。 その一方で、いわゆる政治専門家たちの予想はほとんどが外れた。中には笑うしかないような外れ方をした者もいる。

ネイト・シルバーについてはテレビのゲストに呼ばれる政治専門家が口を揃えて「リベラルに偏った見解」と非難してきた。しかしシルバーは今回も彼の作った数理的予測モデルが古臭い専門家の勘や生半可な統計に基づく推測より圧倒的に優れていたことを証明した。

●統計学を駆使したネイト・シルバー氏の予測

 2つ目の記事のタイトルでわかるように、ネイト・シルバーさんはこのとき全50州の結果を当てていました。その前の2008年のオバマ対マケインの大統領選でも、50州中49州の勝敗を的中させています。

 彼がどんなやり方をしているのか?という話は、以下で少しわかります。
シルバーの数理モデルの特長は、どんな政治専門家もとうてい考慮しきれないほど膨大な量の数値を入力として用いるところにある。シルバー・モデルでは各種の世論調査の結果を、規模、質、時期などによって重み付けし、過去の同種の選挙結果と照合される(もちろんそれ以外にもさまざまな高度な統計処理が用いられている)。

●世論調査より当たるネイト・シルバー氏の予測は大統領選を当てたられたのか?

 ところが、冒頭で書いたように、このネイト・シルバーさんすらドナルド・トランプ勝利を予言できませんでした。
米大統領にトランプ氏/ビッグデータの限界か−米分析サイト、予測外れる | トピックス ニュース | 日刊工業新聞 電子版(2016/11/10 05:00)

 統計学の専門家であるネイト・シルバー氏率いる統計分析サイト「ファイブサーティーエイト(538)」では、ビッグデータ(大量データ)を駆使した分析で、クリントン氏が勝利する確率を投開票直前に71・4%と出していた。前回の米大統領選など、選挙結果予測の的中率が高かったが、もてはやされている最新技術の限界を示した格好だ。

 彼を「天才統計学者」「選挙予測の神様」と紹介する以下の記事では、次のようにその驚きを語っています。(こちらだと上記と予想の数字が異なっていました)
「選挙予測の神様」をも欺いた米国的“本音と建前”文化|ダイヤモンド・オンライン 渡部 幹 [モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授] 【第63回】 2016年11月23日

 その彼は、今年10月24日、つまり大統領選挙の直前に、候補者の当選確率予測を発表した。それは「クリントン氏86%、トランプ氏13%」というものだった。クリントン氏の「圧勝」である。よほどのことがない限り、トランプ氏が当選することはありえないという予測だ。

 だが、ご存じの通り、この予測は外れた。アメリカではこのことがショックをもって伝えられた。接戦の予測だったのならばまだしも、世界が最も信頼する人物が、ここまで確定的に「クリントン氏圧勝」と予測していたのだ。それが覆ったのは衝撃的というより他なかった。

●AIやビッグデータの弱点を示した米大統領選

 この理由について渡部 幹准教授は、トランプ圧勝の誤解、得票はヒラリー 世論調査はマスコミの捏造?で私が書いた「トランプ氏支持というのは、世論調査であっても言いづらい」と同じような趣旨の説明をしていました。

 結局、ネイト・シルバーさんにしても、既存の世論調査を用いているためにその弱点は影響を受けてしまうのだと予想されます。
 筆者が思うに、ネイト・シルバー氏の予測技術が間違っていたわけではない。彼が元にしたデータが間違っていたのだ。彼の選挙予測アルゴリズムの詳細はもちろん公開されていないが、世論調査や出口調査のデータを使っていることは間違いないだろう。それらのデータが有権者の本音を反映していなければ、いくら優れたアルゴリズムを使っても、正確な予測はできない。

 これまた私は知らなかったのですが、シルバーさんは、"実はイギリスのEU離脱についても、予測を外している"そうです。この理由もやはり「本音と建前」が作用する案件だからではないかと書かれていました。

 そして、先程の日刊工業新聞で出ていた人工知能学会会長の山田誠二国立情報学研究所教授も、これまた似たような説明をしていました。

「データのない未来は予測できず、データにならないサイレントマジョリティー(引用者注:積極的な発言をしないが多数派である勢力のこと)は解析できない」

 「AIは万能と思われがちだが接戦になれば、ほとんどわからない。今回の大統領選はビッグデータからの予測が難しい典型例」だともおっしゃっていました。

"AIやビッグデータではデータが多いほど予測精度が上がる。ただアンケートに答えない人たちの意見や、心変わりはデータにならない。世論や空気などを受けた人間の判断は予測が難しい"


●固定電話による世論調査はもう限界だ

 なお、世論調査の弱点としては、世論調査でよく使われる固定電話の問題もあります。現在は固定電話を持っている人が減ってきているため、かなり調査の対象外となる人が多くなっているのです。つまり、調査対象の選抜に偏よりがあるわけです。

関連:(日本の調査)固定電話は必要か?そもそも固定電話がない家庭が多数派になっている?

 最初の2012年の大統領選の記事では、インターネットでの調査を行った多くの世論調査会社が好結果を残した一方で、特に固定電話のみでの調査が悲惨だったとされていました。

 2016年の米大統領選挙の場合も、ネットがトランプ現象の一つの大きな支えになりました。フェイスブックなどのSNSでデマが大きく広まり信じられたと伝えられています。

 ただ一方で、ドナルド・トランプ支持者はどちらかと言うと高齢者が多かったんですよね。以下は前回も紹介したもの。
(コメントではジェンダーともあるものの、性別の情報はありません)


 高齢者の方が固定電話を持っている確率が高いでしょうから、今回外れたのはあまり固定電話の有無とは関係なかったかもしれません。

 ただ、今回の件が従来型の世論調査の限界がはっきりと現れた出来事だったというのは間違いないでしょう。


【本文中でリンクした投稿】
  ■トランプ圧勝の誤解、得票はヒラリー 世論調査はマスコミの捏造?
  ■固定電話は必要か?そもそも固定電話がない家庭が多数派になっている?

【その他関連投稿】
  ■トランプ氏がTPP翻意の可能性はある 米大統領の公約変更は日常茶飯事
  ■実は中国企業だった本間ゴルフ 安倍首相がトランプ氏に贈ったゴルフ用品のメーカー
  ■共和党はなぜ今頃ドナルド・トランプ不支持に?日本差別OKでも許されない侮辱もある
  ■アメリカ人はバカになった? 『26世紀青年』と『アイアン・スカイ』という風刺映画
  ■海外・世界・国際についての投稿まとめ

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