子供のしつけや幼児教育の話をまとめ。<子供のしつけも幼児教育もIQ向上に効果なし 親からの遺伝で決まる>、<「幼児教育に効果あり」という研究とも矛盾せず、両立する可能性>などをまとめています。
【クイズ】早期教育の有効性と根拠となるペリー就学前プロジェクトの対象となったのは、どのような人々でしょう?
(1)アフリカ系米国人の子供を所得別に2グループ
(2)中所得層の白人の子供
(3)低所得層のアフリカ系米国人の子供
●子供のしつけも幼児教育もIQ向上に効果なし 親からの遺伝で決まる
2016/12/14:
幼児教育としつけで学歴アップ、IQを高めるのなら生後3ヶ月から? ヘックマン教授のインタビューなどでやったヘックマン教授の主張と矛盾しそうな話です。ただし、今回のような結論の研究の方が多いため、こちらの方が説得力あり。また、後述するように、考えようによってはヘックマン教授の主張とも両立する可能性があります。
<心理学誌「Intelligence」に発表された研究によると、子供のIQ(知能指数)は遺伝子によってきまるもので、親のしつけによって影響を受けないとのこと。
今までの研究で、IQは遺伝できまるのか?それとも、親のしつけなどによる環境によってきまるのか?と議論されてきました。
米フロリダ州立大学のケビン教授は、全国からサンプル5,500〜7,000件から選んだ実子と、250〜300件のサンプルから選んだ養子の若者を対象に、IQテストを実施しました。
その結果、親によるしつけが、子供のIQに影響を及ぼしたという根拠は見つけられませんでした>
(
しつけをしても子供のIQに影響はない | ネタ・おもしろ・エンタメ | 大学生活 | マイナビ 学生の窓口 2015/06/08より)
上記とは別の記事である
子供の頃の教育は大人になってからの知能の向上に影響しない―アメリカ研究|「マイナビウーマン」(公開日: 2014.11.12 11:58)は、「しつけ」ではなく「両親が行った子供に対する教育」という話があります。ただし、同じフロリダ州立大学の研究ですから、全く同じ論文の話かもしれません。(研究者の名前がなかったので、判断できませんでした)
<多くの親達は、子供との意思疎通を測るために家族で囲む夕食や寝る前の絵本の読み聞かせを重要視していると思います。
しかし、フロリダ州立大学の新しい研究によると、子供の頃のこのような教育は、大人になってからの知能の向上に影響を与えず、むしろ遺伝子がより関係している可能性があることが明らかになりました>
●「幼児教育に効果あり」という研究とも矛盾せず、両立する可能性
では、なぜこれとヘックマン教授の幼児教育が重要だという話と両立する可能性があるのか?という話について。研究結果が正反対になるということはよくあるのですが、この場合両立できそうなんですよね。実は、今回の研究においても、"親たちが自分の子供たちに教育をしなくても良いことを意味している"わけではないのです。
今回の論文では、"子供に対する教育方法の違いは彼らのIQに影響が出る訳ではないと言うことを意味している"としていたとのこと。つまり、教育を全くしないのは問題であるが、教育方法の選択による違いはそれほどないといった意味じゃないかと私は捉えました。教育すること自体は確かに効果が出ているのです。
"成長してからの知能の向上は遺伝や環境など、数えきれないほどの要因がある"ともありましたから、数多くある知能に与える要因のひとつでしかないから大きな影響力はないってことだと考えられます。ありがたがられる有機栽培に効果がないのも同じような説明なんですよ。関係する要素が多すぎて1つでは決まらないのです。
そして、「教育を全くしないのは問題あり」が、幼児教育としつけが効果があると主張するヘックマン教授の研究で問題になってきます。というのも、ヘックマン教授の主張な主な根拠となっている研究というのが、昔の黒人低所得者層というかなり特殊な家庭だったため、教育そのものが十分でなかった可能性がありそうなのです。
【クイズ】早期教育の有効性と根拠となるペリー就学前プロジェクトの対象となったのは、どのような人々でしょう?
(1)アフリカ系米国人の子供を所得別に2グループ
(2)中所得層の白人の子供
(3)低所得層のアフリカ系米国人の子供
【答え】(3)低所得層のアフリカ系米国人の子供
全く教育やしつけが行われていない子供と何らかの教育やしつけが行われた子供で差が出るという話を聞かされたなら、たぶん皆さん「そりゃそうだろう。不思議でも何でもない」と感じるでしょう。こうした研究結果は、一種の児童虐待状態になっているような家庭の子供を救うのが大切という話には繋がります。大事な研究です。
しかし、この研究は、幼児教育が重要だと盛んに言って不安にさせた上で、民間企業でやっている有料の教育サービスを売りつけることの正当化には繋がらないでしょう。どうも日本ではヘックマン論文がこういう民間企業への利益誘導に悪用されている感じなんですよね。注意が必要です。
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