調査で判明、マスコミは信じないがデマ捏造ニュースは信じて拡散されやすいに絡む話。あちらではロシアの関わりが指摘されていたものの、それだけですべて説明できるわけではありません。捏造デマニュースは儲かる!ということで、アメリカから遠く離れた小さな町では住民がこぞってデマ拡散に加担していた模様。
ネタ的には彼らのオリジナルってわけではなく、「アメリカ国内の偽情報サイトや右翼系サイトと一体となっている、もしくはそれらのサイトの完全な盗用」という告白でした。(2016/12/19)
2017/01/27追記:トランプ大統領の隠蔽対策で大規模魚拓、日本では捏造も
2017/01/30追記:捏造ニュースを信じて、店に乗り込んで発砲する事件も
2018/02/02追記:トランプ大統領が自分で捏造したフェイクニュースを自慢する不思議
●トランプ派が喜ぶデマニュースでボロ儲け マケドニアの町の住民らが保守派サイトを乱立
2016/12/19:このような話があったのは、
「トランプ支持者向けの偽ニュースで700万円稼いだ」マケドニアの若者が証言 The Huffington Post | 執筆者: Hayley Miller 投稿日: 2016年12月13日 11時08分 JST 更新: 2016年12月13日 14時59分 JSTという記事。
告白をしていたのは、かつてユーゴスラビアの構成国だった人口210万のマケドニア共和国のある若者。12月9日、NBCニュースが報じたもので、過去6カ月間に少なくとも6万ドル(約688万円)の収入を得たとしています。
マケドニアの小さな町ベレスでは、少なくとも300人の住民が自分たちのウェブサイトに捏造記事を掲載し、大統領選挙のあいだ、記事の作成・拡散による広告収入で大金を稼いだのだという。
BuzzFeedニュースが11月に報じたところによると、ベレスで運営されているアメリカ政治の情報サイトは少なくとも100は存在し、 その大半は「アメリカ国内の偽情報サイトや右翼系サイトと一体となっている、もしくはそれらのサイトの完全な盗用」だという。
また、彼はこうした行いに罪悪感を持っていないようです。
「世の中にはタバコを売る人もいるし、酒を売る人もいる。それは違法じゃないのに、なぜ俺のビジネスが違法だって言えるんだ? タバコで死ぬ人はいるけど、俺は誰も殺してない」
●60万以上のフォロワーのサイトやいいね!などを14万も獲得するヒット記事を捏造
上記の記事を見ると、きっかけはバズフィードだったようなので、そちらの記事も検索。別記事由来かもしれませんけど、私が見つけたのは以下の記事でした。
"Facebookで14万エンゲージメントを獲得"したものもあるということで、大ヒットしています。また、最も成功したサイトは60万以上のフォロワーがいるとのこと。
フェイクニュースが民主主義を壊す Facebookが助長したその実態とは? posted on 2016/11/23 06:01 溝呂木佐季 BuzzFeed News Reporter, Japan Craig Silverman BuzzFeed News Media Editor BuzzFeed News Reporter
旧ユーゴスラビアを構成していたマケドニア。ギリシャと国境を接する人口200万人余りの小国だ。その中部の町ヴェレスは「デジタル・ゴールドラッシュ」にわいていた。(中略)
この町の若者らは140以上のアメリカ政治サイトを立ち上げた。
例えば、WorldPoliticus.comの記事「あなたの祈りは聞き届けられた」。匿名のFBI捜査官を情報源に「ヒラリー・クリントンは電子メール問題に絡み、2017年に起訴される」と伝える。(現在は削除)
Facebookで14万エンゲージメントを獲得した。(エンゲージメントとは、シェア、いいね!などのリアクション、コメントの合計数)
もちろん、でっち上げ記事だ。
●捏造ニュースはもちろんアメリカ人も作っている
最初に書いたように、偽ニュースにはロシアの関与が疑われているのですが、ロシアだけで説明できるものではありませんでした。
では、ロシアとマケドニアの若者たちだけで説明できるか?と言うと、これもまたそうではありません。
そもそもマケドニアのサイトの多くはパクリであり、元ネタは他から来ているということでした。ということは、他にもたくさん捏造ニュースサイトがあるってことです。"トランプ支持者向けサイトが乱立し、稼ぐのが難しくなってきた"というほどだそうですから、よほど儲かったようです。
記事では、"捏造記事はマケドニアの専売特許ではない"として、複数の捏造記事サイトを運営している米アリゾナ州のポール・ホーナー(38)さんへの、ワシントンポスト紙のインタビューの要旨を載せていました。
Q:パロディーとか風刺だと主張されていますが、捏造やでっち上げの記事ですよね。3年前、5年前とで業界に変化はありますか?「オバマが選挙結果を無効とした」といった記事はなぜ人気になるのでしょうか?
正直言って、人間は間違いなくよりアホになってるね。もはや誰もファクトチェックしない。だからトランプが選ばれたんだ。
トランプは言いたいことを言い、人々は全部信じた。後で言ったことが真実じゃないとわかっても、気にしないんだ。だってもう受け入れているから。本当に怖いことだね。こんなのを見たのは初めてだ。
Q:捏造記事がトランプ勝利に影響したという議論があります。
トランプ支持者は、俺のサイトをしょっちゅうピックしてくれた。俺のせいで、トランプはホワイトハウスにいるのかもね。選対責任者は、俺がでっち上げた「3500ドル受け取って(トランプに)抗議した人」という記事を事実だとして投稿したよ。
この捏造記事は、トランプの次男エリックや選対責任者ケリアン・コンウェイがツイートして話題になった(その後ツイートは削除)。
こうした偽ニュースの問題はおそらく一朝一夕には解決しないでしょう。かなり頭が痛い問題です。
●トランプ大統領の隠蔽対策で大規模魚拓、日本では捏造も
2017/01/27追記:ちょっと違う話ですが、トランプさんの捏造に絡むニュースをいくつか。ついでに日本の例も入れました。
まずは捏造と似た感じの都合の悪い情報の隠蔽という話。既に、"環境保護庁(EPA)の政権移行チームが気候データを省庁のウェブサイトから削除したことが明らかに"なっているとのことで、懸念が現実のものとなりました。
歴史的魚拓。アメリカ連邦政府のウェブとデータをバックアップせよ。
矢崎裕一 | データ・ビジュアライゼーション実務家 1/23(月) 17:26
1月20日、ドナルド・トランプ氏がアメリカの新大統領に就任するまさにその時、カリフォルニア大学ロサンゼルス校に約60人のプログラマーやデータ・サイエンティストたちが集まりました。
彼らがしたことは、限られた時間の中で、連邦政府のウェブサイトや、掲載されているデータセットのバックアップを取ること。
エネルギー省の太陽光発電イニシアチブに特化したWebページ
化石燃料と再生可能エネルギー源を比較したエネルギー情報管理データセット
国立再生可能エネルギー研究所の燃料電池研究
気候と環境データ
などなど数百のウェブページやデータセットが対象となりました。
また、嘘ニュースに近い性質のものとしては、不正投票の主張があります。普通は火消しをする報道官が、燃料を継ぎ足すというトランプ政権らしいことになっています。当然、根拠もありません。
「数百万の不正投票」報道官、トランプ大統領の主張支持:朝日新聞デジタル ワシントン=杉山正 2017年1月25日12時37分
米メディアによると、23日に行われた共和党議員らとの会合で、トランプ氏は「300万~500万の違法な投票があった」と主張したという。24日の会見で根拠を問われたスパイサー氏は、「大統領が自身の情報と研究に基づいて信じている」とし、トランプ氏が信じていることを「根拠」に説明を繰り返した。
ついでに日本の過去のニュースを最近見かけたのでここに。責任者不在で、誰が書き換えたのかも不明だそうです。
安保法の国会議事録、知らぬ間に修正 民進が指摘 :日本経済新聞 2 016/5/17 22:19
安保関連法は参院平和安全法制特別委員会で審議され、同年9月17日に与党などが野党の反発を押し切って採決。成立直後に参院事務局が作成した未定稿の議事録では、混乱する会議場を「速記中止」「議場騒然、聴取不能」と記した。しかし同年10月には「速記を開始」「可決すべきものと決定した」などの文言が加わっていたという。
福山氏は10月には特別委は既に存在せず、議事録を精査する委員長も理事も不在と主張。「さも整然と議事が進んだように書いてある。事実をねじ曲げている」と批判した。安倍晋三首相は「参院の運営だから参院で決めている」と説明した。
日本もヤバイですね。
●捏造ニュースを信じて、店に乗り込んで発砲する事件も
2017/01/30追記:さらに追記。前も書いた気がしますが、デマを信じて発砲までしてしまったという話。
偽ニュースで発砲 「ピザゲート事件」を歩く 2017/1/3 12:00 日本経済新聞 電子版(シリコンバレー=小川義也)
ライフル銃を持った28歳の男が昼下がりの(引用者注:ピザレストラン「コメットピンポン」の)店内に押し入り、発砲。幸いにも、客や従業員にけがはなかった。(中略)
逮捕された男は警察の調べに対し、ある陰謀論を信じ込み、子どもたちを救出するために店を襲ったと供述した。
「ピザゲート」――。民主党候補のヒラリー・クリントン氏がかかわる児童への性的虐待や人身売買のネットワークが存在し、このピザ店が拠点になっている、とネット上で広がった話である。
●トランプ大統領が自分で捏造したフェイクニュースを自慢する不思議
2018/02/02追記:フリージャーナリストのマイケル・ウォルフさんが書いた、アメリカ・トランプ政権の内幕を暴露したノンフィクション『
炎と怒り――トランプ政権の内幕
』。この本によると、トランプ大統領は以下のように自慢していたそうです。
「わたしはずっとニュースをでっちあげてきたし、メディアはいつもそれを取り上げる」
(
『炎と怒り』が示すトランプ政権の真の問題:日経ビジネスオンライン FINANCIAL TIMES 2018年1月25日より)
既存メディアを「フェイクニュース」と言って攻撃しているトランプさん自身が、フェイクニュースを作っていることを自慢するというのは妙に思えます。ただ、ウォルフさんによると、自分自身がこれまでニュースを数多く捏造してきたからこそ、マスコミ報道もフェイクのはずだと考えているという説明でした。
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