産経新聞に出てくるような安倍首相に近い保守派は生前退位(譲位)に反対の人が多く、かなり天皇陛下に失礼な言い方をしている人すら何人もいたという話はこれまでにもやってきました。
安倍首相に近い保守派と書いているように、全部の保守派がこの流れに乗っているわけではなく、生前退位に賛成して反対派の保守を猛烈に批判している人たちもいます。仲間割れ状態なのです。
そういった批判を過去にもしていた保守派雑誌「月刊日本」が、12月号でも「天皇陛下のお言葉を真摯に受け止めよ」という特集を組んでおり、安倍首相が天皇陛下をバカにする話をバラしていたとのこと。全然話題になっていない感じですけどね。
●安倍首相、天皇陛下のモノマネをして茶化す 保守派雑誌が暴露
これを伝えていたのはリテラですが、引用元が明記されているので嘘ではないでしょう。
生前退位で天皇の意向無視した安倍首相が親しい政治家の前で天皇を茶化す発言! 天皇は誕生日会見で何を語るか リテラ / 2016年12月18日 20時0分
「ある有力政治家の話ですが、彼が官邸の総理執務室で安倍さんと生前退位の話をしたら、安倍さんはカーペットに膝をつきながら、『こんな格好までしてね』と言ったらしいのです。ちょっと何て言うか、天皇陛下が被災者の方々に寄り添うお姿を、そういうふうにちゃかしてみせるというのは......。信じがたいですね」
これは、発売中の雑誌「月刊日本」12月号(ケイアンドケイプレス)で、毎日新聞編集委員の伊藤智永氏が明かしたエピソードだ。
伊藤氏は、これまで政治部や経済部、ジュネーブ特派員を歴任してきた毎日新聞入社31年目のベテラン記者。「月刊日本」は保守系月刊誌だが、今月号で「天皇陛下のお言葉を真摯に受け止めよ」という特集を組んでおり、そのひとつとして「安倍総理の天皇観を問う」と題する、伊藤氏のインタビューが掲載されている。(中略)
「たとえば陛下は即位後、天皇として初めて被災地に訪問して、膝をつきながら被災者を慰められました。当時は一部の人たちが『そんなことをすべきではない』と批判しました。陛下が皇太子時代から皇后陛下とお二人で誰にも言わずにずーっと考えてこられたことを黙って行動に移したら、『そんなこと』と言われたわけです。さらにそれから20年以上、誰に何を言われようと黙って続けてこられて、東日本大震災後には国民から『これが新しい象徴の紛うことなき在り方だ』と受け入れられているのは、日本社会の現実ですよね」
(中略)この天皇と皇后が幾度となく被災者・避難者の元を訪れ、その声に真摯に耳を傾けてきた様子を、安倍はポーズを真似てからかったというのである。
●伊藤智永「安倍総理の天皇観を問う」
この雑誌を検索してみると、アマゾンと楽天両方出ました。ただ、どちらも目次紹介すらありません。
とはいえ、表紙を大きい画像で見ると、記事のタイトルが見えます。一番上になっている自主防衛路線って話なんか見ても完全に保守ですね。
今回の話は一番下のようです。「安倍総理の天皇観を問う 伊藤智永」というタイトルが見えました。
アマゾンのリンクは以下。
また、オフィシャルサイトを見てみると、確かに特集になっているのが確認できました。このサイトには、「日本の自立と再生をめざす、肉声の言論誌」とあります。やっぱり保守思想だと再確認。
月刊日本2016年12月号
【特集③】天皇陛下のお言葉を真摯に受け止めよ
伊藤 智永 安倍総理の天皇観を問う
南出喜久治 皇室の自治と自立による皇室典範に復せ
有識者会議ヒアリング対象者の見解
●天皇陛下はやらなくて良いことをやっていると考えている安倍首相ら
あと、安倍首相が天皇陛下をからかったことについて、補足しておいた方が良いと思うのが、産経新聞系保守派が理想とする天皇のあり方についてです。
前述の通り、彼らは生前退位(譲位)に反対しているのですが、他にも考え方にいくつかの共通点が見られます。その一つが天皇陛下の現在の公務は不要なものが多いという見方。さらに言えば、天皇陛下は国民の前に出てくるべきではなく、隠れているべきだという考え方を持っているのです。
例えば、
天皇陛下はちょっとおかしい 平川祐弘、自作自演の生前退位の理屈を批判で出てきた平川祐弘東大名誉教授。有識者会議の専門家ヒアリングで、以下のような発言をしていました。
「ご自分で拡大された役割を絶対的条件にして、それを果たせないときは退位したいというのは、ちょっとおかしい」
現在の公務は天皇陛下が勝手に増やした本来不要なものであり、それを理由に退位が必要だとするのは自作自演ではないかといった主張です。
これはもちろん平川祐弘東大名誉教授がそう考えているというだけの話であり、確か宮内庁は否定していたはずです。時代に応じて自然と役割が増えたのであり、不要なものはないといった説明をどこかで読みました。
ちなみにこの平川名誉教授は安倍首相がわざわざ指名して招聘された専門家とのこと。だから、天皇陛下に対する失礼さでも似ているんですかね?
●国民の前に出なくて良い・閉ざされた皇室になってほしいと願う保守派
また、ヒアリングで呼ばれた人ではありませんが、こうした主張で最も極端だったのが、
保守派加地伸行、生前退位とは何事かと反対 閉ざされた皇室に変わることを希望の加地伸行・大阪大学名誉教授です。
加地名誉教授は、以下のようなことを雑誌に書いていました。
"両陛下は、可能なかぎり、皇居奥深くにおられることを第一とし、国民の前にお出ましになられないことである"
"〈開かれた皇室〉という〈怪しげな民主主義〉に寄られることなく
〈閉ざされた皇室〉としてましましていただきたい"
ということで、安倍首相らは被災地を訪れて被災者を元気づけるような天皇陛下の活動は不要だと考えています。おそらく不要というよりはむしろやるべきでないこと、もっと言えば天皇としてみっともないことだと考えているのかもしれません。
このような背景を知っていると、安倍首相が天皇陛下のモノマネをしてからかった理由がわかりやすくなると思われます。
【本文中でリンクした投稿】
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