"まさか朴槿恵大統領のように、一部の“身内”への利益誘導に走ったりはしていないだろうが"と書きつつ、デイリー新潮が「全国高校生未来会議」について紹介していました。
「僕はもう政治家」AO義塾・斎木陽平塾長は安倍首相の親戚だったで書いた斎木陽平さんが運営するイベントです。
記事のメインはこのAO義塾の方のイカサマだったのですけど、
東大推薦入試でAO義塾が全くすごくない理由 合格実績は誇大広告のおそれもと重なる内容ですので、今回は利益誘導疑惑についてだけ紹介しておきます。
●安倍首相の親族が運営のイベントに利益誘導
「安倍総理」親族が経営の塾を文科省が後援 “AO義塾”代表のペテン デイリー新潮 / 2016年12月20日 8時10分によると、2016年3月23日から25日の3日間、「全国高校生未来会議」というイベントが、衆院第1議員会館、および最終日は首相公邸という大層な会場で開催されていました。
選挙権年齢が18歳に引き下げられるのを受け、全国から選抜された中3から高3の約120人が、地域興しプランを競ったり、各政党幹部の演説を聞いての模擬投票を行ったりしたものです。
文科省と総務省が後援し、優秀者には総務大臣賞や地方創生担当大臣賞、さらには内閣総理大臣賞まで贈られるなど、いわば“国を挙げて”バックアップしたものだ、と記事では表現していました。
ただ、文科省幹部によると、最初からこのイベントを支援すると決まっていたわけではありません。それどころか、「“未来会議”の後援については2013年秋に初めて打診があって、当初は検討に値しないとされ」ていたとのこと。不合格だったのです。
絶対支援しないとしていた理由の一つは、「高校生のイベントは数多いのに、ひとつだけ後援するのはまずいから」というもの。前述の利益誘導疑惑を懸念していたわけではなく、実はこの時点だと運営する一般社団法人「リビジョン」の斎木陽平代表が安倍首相の親戚であることも知らなかったようです。
ところが、ひとつだけ後援するのはまずいはずだったのに、昨年9月16日、突然「当時の下村博文大臣から“全国高校生未来会議を首相直下の事業としてやってほしい”という指示が下った」とのこと。
「安保法案ですったもんだの時期に、急に“高校生の活力”や“AO入試の育成”と言いだして、省内ではみな“なにが起きたんだ”と」いぶかしんでいたそうです。
すると、よりによって安倍首相の親戚だと判明しました。公平性を考えると最悪です。
「リビジョンの斎木代表は安倍総理の親族だ、と聞かされ、みな仰天したんです」
最初、利益誘導を匂わせるデイリー新潮の書き方はどうかと思ったものの、以下が本当なら確かにかなりまずいです。
「文科省はいろんなイベントに公平であるべきだし、リビジョンという法人に活動実績がほぼないことなどから、文科大臣賞の設定だけは拒んだものの、“安倍総理の親族だから仕方ない”という言葉の下、後援を余儀なくされたのです」
なお、未来会議に全国から集まる若者たちの交通費や宿泊費は、クラウドファンディングを利用して寄付が募られていたのですが、こちらでも安倍首相の威光が効いています。
安倍昭恵総理夫人が〈皆さんのお力を貸して頂けるよう、心よりお願い申し上げます〉などとメッセージを寄せていたのです。
●ビジネスに利用する気満々なトランプ次期大統領親子
あと、この手の話ですと、アメリカのドナルド・トランプ次期大統領の周辺もひどいですよね。わざわざ宣伝メールを送っていますから、言い訳のしようがありません。
イバンカさんに公私混同批判=父トランプ氏に便乗、ブランド宣伝-次期米大統領:時事ドットコム
米紙ニューヨーク・タイムズなどによると、大統領選後に放映されたインタビュー番組に、イバンカさんはトランプ氏と一緒に出演。その際、約1万ドル(約110万円)する自らのブランドのブレスレットを着用し、報道各社には後日、その時の写真を添付した宣伝メールが送られてきたという。
イバンカさんは、トランプ氏が大統領候補に指名された7月の共和党全国大会でも、自らのブランドのドレスを着用して登壇。その後、ネット上で宣伝し、138ドルのドレスは1日で完売したという。(2016/11/17-12:52)
また、トランプ大統領自身もこの手のことには躊躇がないと考えられます。
トランプ最大のアキレス腱「利益相反」問題に解決策はあるのか | 冷泉彰彦 | コラム&ブログ | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト 2016年12月22日(木)15時40分
<大統領就任を目前に控えたトランプが、自分のビジネスと大統領職の「利益相反」問題で決断を出せずにいる。これでは、資産整理をすると何かまずいことがあるのではないかと、疑わざるを得ない>
ドナルド・トランプ次期大統領は、かねてから問題になっていた「自分のビジネス」と「大統領職」の「利益相反問題」について、今月15日に記者会見を行うと表明していました。ところが、会見は年明けに延期されました。
この問題は、簡単に言えば「合衆国大統領」が、ホテルやリゾートビジネスを中心とした企業の経営者であってはならないし、株主であってもならないということです。
理由は簡単で、大統領が自分のビジネスに有利になるような政策を行えば、汚職になるからです。反対に、汚職になるのを恐れて自分のビジネスに「不利」になるような判断を続ければ、大統領の仕事をすればするほど「損」になるという、不自然で不安定な立場に置かれることにもなります。
既に「ワシントンDCのトランプ系列のホテルが、次期大統領の威光を利用してクウェート大使館のパーティーを誘致しようと猛烈な営業をかけた」とか「次期大統領が台湾の蔡英文総統と電話会談した際には、台湾でトランプ系の不動産開発案件が進んでいた」などという話が多数報道されているとのこと。
どこの国もひどいことになっていますね…。
【本文中でリンクした投稿】
■
「僕はもう政治家」AO義塾・斎木陽平塾長は安倍首相の親戚だった ■
東大推薦入試でAO義塾が全くすごくない理由 合格実績は誇大広告のおそれも【その他関連投稿】
■
卒業論文がない大学がある エントリーシートに書けなくて困る学生も… ■
ミスコン、慶応大が中止で早稲田大は禁止 女性差別という批判は妥当か? ■
底辺大学の下克上はアメリカに学べ!定員割れ私立大学半分の衝撃、18歳人口急減で過去最悪は免れないか? ■
学校・教育・子どもについての投稿まとめ
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|