【クイズ】日本での風呂に関わる死亡者数は年間何人程度か?
(1)170人
(2)1700人
(3)1万7000人
●日本の温泉の温度、英国なら危険で違法
ANA機内誌『翼の王国』2016年5月号の「バースのテルマエ」(文=森 葉)という特集記事で、驚く話がありました。
" (引用者注:英国の複合温泉施設『サーメ・バース・スパ』で、) 35度と40度に設定された温泉プールに交互に入る。(中略)
しかし、日本人にとっての40度の温泉はぬるま湯に等しい。(中略)
「日本の温泉は少なくとも42度はありますよ」と前述のシャーロットさんに言ったら、「
英国では40度以上の高温の温泉は身体に悪いから法律で許されていないのよ」と逆に驚かれてしまった"(P.53)
●高温のお風呂は危険…は本当なのか?
作者の森 葉さんは、高温の入浴は高血圧の人の倒れる原因になっていたり、「湯あたり」という言葉があったりする。日本は温泉大国だと思っていたが、イギリスの方が理にかなっているかもと納得していました。
ただ、「40度以上の高温の温泉は身体に悪い」が思い込みで科学的根拠がない可能性もあります。で、検索してみました。
やはり42℃以上のお風呂は医学的にも危険でした。 | ほっこりと湯の山ブログ(2014/11/18)は、タイトルからしてもうダメ!というもの。こちらでは、群馬大学医学部付属病院草津分院の倉林均氏らの研究について書かれています。
この研究によれば、"42℃以上の高温の湯につかると、数分間でも血液の凝固にかかわる血小板が活性化し、さらに血液の固まりを溶かす作用は衰えてしまう"とされています。血がドロドロになるイメージです。
で、"熱い湯に入っても体に良い事は何もないわけで、リスクが上昇するだけ"と、書かれていました。ただ、この部分はおそらく研究者によるものではなく、ブログ作者さんによるものではないかと思われます。
●お風呂の42℃と40℃の効果の違い
実際、別のサイトでは、高温は高温なりの良さがあるという説明でした。
この説明に入る前に交感神経、副交感神経に関する話から。
42℃から効果が真逆に?お風呂で自律神経を整える方法 [疲労回復法] All About お風呂・温泉の医学ガイド 早坂 信哉
人の体には自律神経という神経があります。この神経は作用が相反する交感神経、副交感神経の2つの神経で成り立っており、普段はこの2つの神経がちょうどシーソーのようにバランスを取って人の健康を維持しています。例えば、いわゆる「自律神経失調症」はこの神経のバランスが崩れた状態です。最近、この自律神経のコントロールは健康法としても、注目を浴びていますね。
交感神経は心身をこれから狩猟にでも行くような興奮状態に、副交感神経は休憩・リラックス状態にする神経です。実はお湯の温度によって体のこの2つの神経の反応が変わってきます。
で、これを踏まえた上でのお風呂の42℃と40℃の効果の違いが以下です。
【40℃程度のぬる湯の効果】
副交感神経が刺激されて心身がリラックスし、血圧は下がり、脈はゆっくり、汗もかかず、筋肉もゆるみます。胃腸は活発に動き、消化がよくなります。
【42℃以上の熱いお湯の効果】
交感神経が高ぶり、興奮状態になるため、血圧は上がり、脈は早まり、汗をかき、筋肉は硬直します。また、逆に胃腸の動きは止まってしまいます。
42度以上のお風呂は一見何一つ良いことがなさそうに見えますが、以下の通り、使い道はあるようです。
【40℃程度のぬる湯の効果】
ぬる湯は心臓など身体への負担が少なく、夜寝る前にゆっくりつかることでリラックスできてよい眠りにつながる。
【42℃以上の熱いお湯の効果】
朝の仕事前には、熱めのお風呂やシャワーをさっと浴びる、というのは身も心もシャキッとして理にかなっている。
●お風呂のせいで毎年大量に亡くなっている日本
ただ、やはり血圧が上がり、脈が早まるとあるように、42℃以上の熱いお湯の危険性は軽視できません。問題あるかもと感じる方が、無理して高温の温泉やお風呂に入る必要性はないと思われます。
実を言うと、
浴槽で溺死などの死亡数年間1万7000人 原因のヒートショック対策は?でやっているように、風呂に関係する死者は極めて多く、5000人未満の交通事故をはるかに超える多くの人が亡くなっています。
【クイズ】日本での風呂に関わる死亡者数は年間何人程度か?
(1)170人
(2)1700人
(3)1万7000人
【答え】(3)1万7000人
死亡原因はいろいろとありすべてが熱い風呂のせいじゃないのですが、急激な温度変化によって血圧が上昇したり下降したりすることによって、脳血管障害、心筋梗塞などを引き起こして倒れてしまうことが指摘されています。
対策としても、"浴室は41度以下、湯に浸かる時間は10分まで"とされていました。やっぱり42℃以上のお風呂はかなり問題だと考えるべきかもしれません。
なお、最初の温泉の話については、そもそも温泉の効果に科学的根拠があるのか?ということで、
温泉の効果効能の科学的根拠に問題 水素風呂は信じなくても温泉は信じる?をやっています。科学的根拠のない迷信は、まだまだ身近にたくさんありますね。
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