私には商店街を守るべきという主張がイマイチ理解できません。日本ではこの商店街の衰退がよく言われていて、「大型ショッピングモールのせいで商店街がつぶれるから問題」「イオンが地方文化を壊す」などと言われています。ところが、アメリカではこのショッピングモールの衰退も問題となっているようです。これは商店街みたく守るべきと言われないだけで、日本でも似たようなものかもしれません。このアメリカのショッピングモール活性化の記事が、なるほどそういう発想かとおもしろかったのです。
2018/11/12:
アメリカのウォルマート、地域密着型で高額所得者狙う
●そもそもショッピングモールとは?
2016/12/30:最初にショッピングモールとはなんぞや?という話を。
ショッピングセンター - Wikipediaによると、大型百貨店やアウトレットモールを含むとありますので、やはり守るべきと言われないだけで日本でも衰退が見られる商業施設だと考えられます。
<ショッピングセンター>
複数の小売店舗やフード・サービス業、美容院・旅行代理店などの第4次産業も入居する商業施設。
ショッピングモールとも呼ばれ[注釈 1]、大型百貨店やアウトレットモールを含む[注釈 2]。[注釈 1] ^ ショッピングモールは、一般的には大規模商業施設の建物内部にあるものを指すが、商店街の道路で自動車の通行を排除して歩行者専用道路としたアーケードもショッピングモールと呼ぶ。モールとは、ロンドンのバッキンガム宮殿の正門前にある王室の公式行事用道路であるザ・モール(英: The Mall)に由来する[1]。
[注釈 2]^ なお、アメリカ合衆国では、近年建設された大規模な施設をショッピングモール、数件の個人店舗から構成される旧来の施設をショッピングセンターと呼び分ける傾向がみられる。
●お店ではなく人を集めて交流の場にせよ
で、本題となるアメリカでのショッピングモール活性化の記事。これは、
米国の衰退から学ぶ、ショッピングモール再生 ITmedia ビジネスオンライン / 2016年12月28日 7時0分(藤井薫)というものでした。
作者の藤井薫さんは、「ショッピングモールの生みの親」ビクター・グルーエンは、ショッピングモールを構築する際に、古代ギリシャの集会所や中世のマーケットのように、共同生活に必要な生活を豊かにするコミュニティセンターの役割をイメージしたことを指摘していました。
"つまり、単に買い物をするだけではなく、文化的、社交的、市民的、レクリエーション的な役割を持つショッピングモールこそが、人やモノや情報が行き交い、商業的な成功を収める"という話。"例えば、病院や医療センター、ホテル、オフィス、居住スペース、劇場や展示ホール、子どもの遊園地や教育施設などがあれば、ショッピングモールを訪れる人の滞在時間やトラフィックが増え、利益増にもつながる"というわけです。
逆に言えば、今のショッピングモールは商業目的を追求しすぎてしまって、人の交流の場という側面を軽視したことが衰退に繋がっているのではないかってことみたいですね。
テネシー州ナッシュビルにある「Hickory Hollow Mall」の復活は、こうした観点で成し遂げられたようです。このモールには現在、コミュニティカレッジのサテライトキャンパス、コミュニティセンター、図書館、アイススケート場などがつくられ、形を変えて再生しつつあるとのこと。
●店にこだわる必要はない…とにかく人を集めよう
こうした話を聞くと、商店街も極端な話お店以外の全く儲からないものでも良いから人が集まるようなものを作って、交流の場にしていくべきじゃないかと感じました。これまた極端な話になってしまいますが、空き地みたいなものがあるくらいなら、フリーマーケットなどで良いのでとにかくスペースを埋めたらいいんじゃないかと思います。
で、検索すると、フリーマーケットってのはよくある発想のようで、例がいくらでも見つかりました。私が想定しているような常時何かやるってものではなく、一時的なイベントですけどね。
日吉中央通りで4/17(日)に初の大規模フリーマーケット、約100店の出店募集 | 横浜日吉新聞
日吉駅前の商店街では「メイルロード商店街」が毎年10月にフリーマーケットを行っていますが、駅前の主要道路である日吉中央通りを使用し実施するのは初の第1回目の開催となることから、その規模感やインパクトを考えると駅前商店街のさらなる活性化にもつながりそうです。
今回の日吉楽市は、日吉中央通りフリーマーケット実行委員会が主催するもので、日吉駅前から「ファミリーマート日吉本町店」や日吉センタービル(日吉本町1)付近にいたる約220メートルの道路上に、約100店の出店を予定する、日吉で実施するフリーマーケットでは例を見ない大規模なものとなります。
ただ、これが実際に活性化に繋がったといった話については見つからず、どの程度影響があるかは不明です。
●総持寺本通商店街はフリーマーケットで成功?
…と書いてから、もうちょっと探してみたら成功例がありましたわ。まず以下の商店街はアメリカの例のような医療機関の増加はあったものの、肝心のお店の方が減ってしまったと書かれていました。
(PDF)総持寺本通商店街:茨木市> 「ほっとできる癒し系商店街」をめざして!
商店街も、商店主の高齢化と後継者不足により近年空き店舗が増加傾向にある。
また、物販の店舗が減少し、代わって医療関係等のサービス業が多くなってきており、商店街を利用する顧客にとって必要とする物品の品揃えが十分とはいえない状況にある。
こちらの施策は私の想定していたものと近いです。
・フリーマーケット(衣料品など)の定期開催
・近郊農家等からの野菜市の開催
・従来から実施の夏祭りへの出店をフリーマーケット出店者や地域住民にも門戸拡大
また、以下の部分を読んでも、私が考えていた空きスペースをとにかく潰せというものだとわかります。
フリーマーケットは、商店街内の空きスペースを活用し、本商店街にない業種である、手作りアクセサリーや女性用下着、古着等の出店とし、併せて、近郊農家で栽培された野菜・果物の直売や長野県の産直りんごの販売など「野菜市」の開催により集客効果を高めた。
この施策を初めた経緯は以下のようなもの。既に国内でも提唱されていたやり方なんですね。
財)大阪商業振興センターが、商店街の理事⻑など代表者と学識経験者等との少人数で商店街の再生案を策定する「商店街等再生カルテ策定事業」の対象商店街を募集していることを知り、応募したところ採択された。再生案を策定する中で、フリーマーケットなら商店街で継続して実施できると考え、集客の目玉事業としてフリーマーケットを実施することとなった。
活性化の要因に「フリーマーケット実施日の固定と定期開催」「フリーマーケットが話題となり、お客様とのコミュニケーション機会の増加」とありましたので、私はこれを成功例とみなしていました。
ただ、最初活性化したと言える根拠がよくわからなくて、本当に成功したのか?という疑問も。でも、読み直してみると、冒頭に以下のように書いていましたわ。見逃していました。
・野菜市実施による集客率アップ:2割アップ
・フリーマーケットの実施による来街者の増加
・フリーマーケット出店者の商店街での開店要望:2件
良かった、これは本当に成功だといえるものです。この方向性で正しそうですね。
●アメリカのウォルマート、地域密着型で高額所得者狙う
2018/11/12:世界最大の小売企業ウォルマートが大型モールを業態転換というニュース。
LB・ジョンソン=ウォルマート・リアルティ・オペレーションズ副社長は、「小売業者はより多くの顧客を魅了し、滞在時間を延ばすために、製品とサービス、エンターテインメントそして設備を融合した施設を必要としている」と発言。「高額な所得者層を獲得するための都心型新業態へと転換」という意外なものですけど、最初の話と同じ方向性に見えました。
・新たな業態では駐車場に公園を設置し緑化を推進したり、他企業が地域経済に貢献する活動ができるようなオフサイトエリアを提供し、防災などさまざまなビジネスを活性化することで、地域への浸透を図る。
・業態コンセプトの一つにハブ・アンド・スポーク戦略を掲げ、体験型ゾーンと施設を徒歩圏内で結び、飲食店舗やヘルス&フィットネスなど、さまざまなサービスやエンターテインメントへのアクセスを施設の中心部から可能にする。
・体験型ゾーンには保育所やペット預り所、救護室、腎臓治療施設などの設置を予定している。
・いくつかの施設では、自転車のライドシェアサービスやバス停など、住宅地からの移動を考慮したモビリティーハブを設ける。場所によっては歩行者と自転車専用の通路も設ける。
・フェスティバルや季節ごとのファーマーズマーケット、イースター、ハロウィンといった地域住民のためのイベントの開催も計画している。
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ウォルマートが大型モールを業態転換 地域密着型で高額所得者狙う│WWD JAPAN 2018/11/5 (MON) 07:00より)
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