NPO法人「みのりのもり劇場」が2012年6月、無料季刊誌「右京じかん」の中で、「地域の人と人をつなぐ企画をしよう」と誌面を通じて物々交換を始めました。15回の交換を経て、最終的に古民家になったそうです。現代版わらしべ長者ですね。ただ、現代ではあまりすごい話ではない可能性もあります。捨て値でも売りたい人が多いほど、空き家に困っている人が多いためです。
2017/1/1:
●現代版わらしべ長者は楽勝?チョコから物々交換で古民家に
●やっぱり売れなくて困っていた売れ残り空き家、状態も良くない
●本来のわらしべ長者はどんな話だった?元ネタも最後は急展開
2018/10/20:
●不動産サイトに100円物件が出るほどお金がかかる空き家
●みんなの疫病神!空き家問題深刻化の一因は、不動産屋が断るため
●現代版わらしべ長者は楽勝?チョコから物々交換で古民家に
2017/1/1:現代版わらしべ長者の話があったのは、
チョコから物々交換、4年で古民家に 京都の誌面企画:朝日新聞デジタル(松本江里加 2016年12月10日10時13分)という記事。ただ、ちょっとずつ豪華になった…というわけではなく、テーブルマットが土地付きの一軒家ということで最後でいきなり飛んでいます。ここはわらしべ長者らしくないかもしれません。
初回は、京福電鉄嵐山線(嵐電)の車両をあしらった限定品チョコレートを提供し、交換を呼びかけたました。チョコは手作りボードゲームに換わり、次は絵本に。3カ月に一度のペースで交換を繰り返すこと15回。最後にテーブルマットが土地付きの一軒家になったそうです。
ただ、私はタイトルを見た時点で、空き家問題のせいだろうと予測しました。以下の
空き家率、最高の13.5% 13年10月時点で820万戸 :日本経済新聞(2014/7/29付)という記事を見てわかるように、現在の空き家というのはむしろ邪魔なものであることが多く、体よく処分しただけでは?という推測です。
国内の住宅総数に占める空き家の割合が2013年10月時点で過去最高の13.5%になった。総務省が29日、発表した。人口減少が深刻な地方を中心に増え、戸数も最多の820万戸に上った。中古住宅の活用が進まないうえ、空き家を取り壊すと税負担が重くなる制度も空き家が増える原因だ。(中略)
空き家が増えるのは活用も撤去も進まないからだ。国土交通省によると、新築と中古を合わせた住宅流通全体のなかで中古の割合は13%強。9割強の米国や8割を超える英国より低い。日本では「住宅をリフォームして長持ちさせるという意識が希薄だった」(国交省)。中古住宅は価値が低いとされ、不動産業者も積極的に取り扱ってこなかった。(中略)
時代遅れの税制が撤去を阻む面もある。土地にかかる固定資産税は住宅が建っていれば本来の6分の1に軽減されるが、取り壊すと優遇が薄れ、支払う税の額が約4倍に跳ね上がる。持ち主にとっては空き家のまま放っておいた方が合理的なため、取り壊そうとしない。高度成長期の1973年に農地などの宅地化のために導入した税制がいまも残り、空き家の撤去を阻んでいる。
●やっぱり売れなくて困っていた売れ残り空き家、状態も良くない
で、記事の続きを読んでみると、やはり売れ残りの家だったみたいですね。10年以上借り手がなく売却しようとしたが、買い手がつかずにいたというもの。「古民家」などというとすごそうですけど、「中はぼろぼろ。管理ができないので、地域のために使ってもらいたい」といったもので、状態も良くないようです。
記事では、立地の良さや生活しやすさについても触れていました。ただ、「買い手がいなかった」という事実は動かせません。民家がある京北地域の人口は、1955年には1万人以上いたものの、今年10月現在で5371人に減少しているとのことで、地域のデータを見ても明らかに悪い数字です。
今回の話は、別に空き家をうまく処分した人を責めているという趣旨ではないですよ。日本の空き家問題がそれだけ深刻だと強調したかったというのがメインです。過去にも、
長嶋茂雄の生家も大迷惑!倒壊・火災などで危険な空き家問題は深刻というのをやっています。
また、その一方でアパートやマンションを建てまくっているという妙なことにもなっています。
相続税対策のアパート経営の悪い評判 大東建託やレオパレス21が続々とアパートを建設で書いたように、アパート経営では既に大失敗している人たちが出ていました。
●本来のわらしべ長者はどんな話だった?元ネタも最後は急展開
暗い話になっちゃったので、最後に元ネタのわらしべ長者のあらすじを紹介しておきます。
わらしべ長者 - Wikipediaからどうぞ。
昔、ある一人の貧乏な男がいた。貧乏から何とかして逃れようと観音様に願をかけたところ、「初めに触ったものを、大事に持って旅に出ろ」とのお告げをもらった。男は観音堂から出るやいなや石につまずいて転び、偶然1本の藁しべ(藁)に手が触れた。
男はお告げ通り、その藁しべを手に持って道を進んでいった。ところが彼の顔の周りを、大きなアブが飛び回り、煩くて仕方が無い。そこで男はアブを捕まえると、藁しべの先に結び付けてやった。
すると、傍で大泣きしていた男の子がアブが結び付けられた藁しべを面白がり、欲しいと言って来る。男は観音様のお告げを信じて譲ろうとしなかったが、大泣きに手を焼いていた男の子の母親が「蜜柑と交換しよう」と申し出てきたので、藁しべを男の子に譲り、代わりに蜜柑を受け取った。
さらに歩くと、喉の渇きに苦しんでいる商人がいた。彼は男が持っていた蜜柑を欲しがり、持っていた上等な反物との交換を持ちかけてきた。男は蜜柑を譲り、反物を手に入れた。
一本の藁しべが上等な反物に代わったと喜んでいた男は、侍に出会う。その侍は愛馬が急病で倒れてしまったが、急いでいるために馬を見捨てなければならない状況にあった。侍は家来に馬の始末を命じ、先を急ぐ。男は侍の家来に反物と馬の交換を申し出た。家来は反物を受け取り、そのまま侍の後を追っていく。男が水を汲んで馬に飲ませたところ、馬は元気を取り戻して立ち上がった。男は馬に乗り、旅を続けた。
道を進んでいくと、大きな屋敷に行き当たった。ちょうど旅に出かけようとしていた屋敷の主人は、男に屋敷の留守を頼み、代わりに馬を借りたいと申し出る。主人は3年以内に自分が帰ってこなかったら、この屋敷を譲ると男に言い出す。男は承諾し、主人は馬に乗って旅に出発した。
3年待っても5年待っても主人が旅から帰ってくることは無かった。こうして男は屋敷の主人となり、裕福な暮らしを手に入れることができた。
この場合は以下のような変化。
藁しべ→アブが結び付けられた藁しべ→蜜柑→反物→馬→屋敷
こちらの後半もかなりのジャンプアップが続いていましたね。
●不動産サイトに100円物件が出るほどお金がかかる空き家
2018/10/20:現代では、家が財産ではなく、むしろ財産を減らす原因になっているという話を追加。
不動産サイトに「100円の家」が登場し話題に 背景には深刻な“空き家問題”(ねとらぼ / 2018年10月16日 18時30分)というニュースからです。
不動産情報サイトのAtHomeに「100円」の物件が登場し、SNSで話題に。人気観光地・伊豆の温泉付き別荘で、2階建て2DKの物件です。築44年と古めの物件ではありますが、上水道、プロパンガス、縁側がつき、土地面積335平米、建物面積は74.52平米でした。
ただし、もちろん罠があります。物件を取り扱う、リライトの田中裕治代表によると、持っているだけで毎月水道料金や温泉料金がかかってしまうので、今の持ち主はタダでもいいから手放したがっているということでした。さらに、買う人は、水道利用料の他に水道利用権、温泉利用権、それから登記費用や不動産取得税など、もろもろ入れると100万円ぐらいかかるといいます。
写真だとわからないものの、リフォームも必要。クロス(壁紙)を張り替えて、ハウスクリーニングをかけて、畳は交換するので、最低限でも60万円ぐらいはかかるとのこと。さらに、汲み取り式が嫌なら、その整備に100万円(うち40万円は補助金あり)がかかり、総額220万円ぐらいの出費は必要だとしていました。
これを100円表記で売るというのは詐欺じゃないか?と思うのですけど、アットホームの表示の仕様上、仕方がないようです。そもそも100円ではなく、本当は1円。アットホームの表示の仕様上、100円(0.01万円)までしか表示できないんだとのこと。こういう訳あり物件のため、話題になって1日何件も問い合わせが来る一方で、買い手はついていません。
ただ、過去にも今回のような1円物件を売ったことが数十回あるとのこと。買ってもらえることもあるんですね。20万円で売るために180万円の解体費用を払って手放す、1円で売買して固定資産税10年分を売主さんが買主さんに渡して手放すという例もあったとのこと。お金を出してでも手放したいってことで、貧乏神みたいな感じです。
●みんなの疫病神!空き家問題深刻化の一因は、不動産屋が断るため
ということで、100円などは表示の問題でした。むしろかなり正直に話していて良心的な感じがします。田中裕治代表によると、「不動産会社から軒並み断られて最終的にうちに来た」という物件。不動産会社の仲介手数料って、契約金額の3%+6万円、さらに100万円以下になると5%+税のみだそうで、引き受け手がいなかったようです。
要するに、仲介する不動産業者にとっては、全然儲からない案件なんですね。不動産業者にとっても疫病神状態なのです。これは、こうした空き家問題が深刻化する理由にもなっているんでしょうね。空き家は不動産屋にとっても関わりたくない物件であると考えられるためです。
みんな断った物件であり、この会社にしても儲けはないでしょう。ただ、趣味的な感じで、こうした物件を扱っているみたいですね。交通費は売り主さん負担というところで持ってもらって、いろんな地域に行って、地方のグルメを食べるなどして楽しんでいるとのこと。25~26都道府県の物件を取り引きしたとしていました。
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