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査読者が論文を却下して自身の論文に盗用 やっぱりあった査読者の不正


 米国内科学会誌「Annals of Internal Medicine」(AIM)が指名したピアレビューアー(査読者)が、査読し却下した論文を自身の研究として盗用し、別雑誌に投稿していたことが判明したとのこと。査読者も盗用を認めています。
( 査読者が投稿論文を盗用!! 米一流誌 Annals of Internal Medicine「悪質な知的窃盗に困惑」 2016年12月22日 m3.com編集部 )


●査読者が論文を却下して自身の論文に盗用

 盗用されたのは、米タフツ大学(ボストン)の内分泌科医Michael Dansinger氏らが執筆した無作為化比較試験についての二次解析論文。

 この論文を査読で却下した査読者は、内容をパクって「EXCLI Journal」誌に掲載。たまたま気づいた元論文の作者が指摘したということです。

 また、AIM編集長のChristine Laineさんによると、今回の盗用は何重もの不法行為によって成立していたそうです。かなり悪質でした。

(1)査読者としての機密保持義務の違反
(2)逐語的盗用
(3)存在しない欧州人患者コホートのねつ造
(4)複数の共同執筆者の名義貸し

 ちなみに撤回された論文は以下。筆頭著者はファネリって読むのかな?イタリアの研究機関の方みたいです。

The improvement of large High-Density Lipoprotein (HDL) particle levels, and presumably HDL metabolism, depend on effects of low-carbohydrate diet and weight loss.
Finelli C1, Crispino P2, Gioia S1, La Sala N1, D'amico L1, La Grotta M1, Miro O1, Colarusso D2.


Author information

1Center of Obesity and Eating Disorders, Stella Maris Mediterraneum Foundation, Chiaromonte, Potenza, Italy.
2U.O.C. Medicina Interna, Urgenza ed Accettazione, P.O. S. Giovanni, Lagonegro - ASP Potenza.


●過去にもやっぱりあった査読者の不正

 システム的にこういった盗用は絶対あるだろうと思っていましたで、まだ他にも過去の例がないか検索。具体例は書かれていないものの、やはりありそうな感じのことを書いている記事がありました。

 CA1829 - 査読をめぐる新たな問題 / 佐藤 翔 | カレントアウェアネス・ポータル(2014年9月20日)では、多くの場合査読者に対して謝礼等は支払われず、査読は科学のためのボランティアとして行われていることをまず指摘しています。

 この無償奉仕というのは問題点なわけなのですけど、査読者に全くメリットがないわけではなく、公刊前の情報をいち早く知ることができる点は査読者にとって利益になるという指摘があったそうです。

 そして、この点は当然のことながら、悪用して不正につながりかねない…というところでもあります。

 "査読の過程で知り得た情報を、その論文が公刊される前に自身の論文中で盗用したり、自身の研究成果を先に発表するために査読結果の提出をわざと引き伸ばす、といった不正の存在はしばしば指摘されている"とのこと。

 「不正の存在はしばしば指摘されている」という書き方ですので、懸念されているというだけでなく、実際に不正が起きているという意味でしょう。

 "2005年に発表された研究と発表をめぐる倫理違反に関する調査報告によれば、報告事例212件中、6件が査読者による不正であった"とも書かれていました。
(The COPE Report 2005. Committee on Publication Ethics. 2005, 23p.http://publicationethics.org/annualreport/2005, (accessed 2014-06-18).)


●査読者の不正対策はあるのか?

 このような不正は著者が査読者名を知らされない、シングル・ブラインド制だからこそ起こるとも考えられているそうです。そのために対策として、査読者名を著者に知らせるオープン・ピア・レビューを実施しているところもあるそうです。

 ただ、これはこれで国や分野によっては問題が起きそうですけどね。例えば、知人だったり師弟関係があったりだとかの場合、却下すべき論文だと思ってもそれを言い出せないとか、問題点を指摘しづらいとかがありそうです。

 また、著者の所属機関、職位、性別、国籍、母語など様々なバイアスの存在も指摘されています。こうしたバイアスに関しては、査読時に査読者名を著者に伏せるだけではなく、著者名も査読者に伝えないダブル・ブラインド制の導入も試みられているそうです。

 これはおもしろい!と思ったものの、結局直接伝えられなくても本文や参照文献から著者を容易に特定できてしまい、意味がないとする批判もあるとのこと。また、この方法は飽くまでバイアス対策であり、今回のメインであるパクリ対策には全然なりません。

 結局、どのやり方を取っても何らかの問題があり、パーフェクトなやり方はないように見えます。


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