【クイズ】英医師会雑誌「BMJ」に掲載された北里大学医学部公衆衛生学の和田耕治氏らの報告では、男性の死亡率を管理職、その他事務・労務職などに分けて調べています。この結果について正しい説明はどれでしょう?
(1)管理職の死亡率が高かった
(2)その他事務・労務職の死亡率が高かった
(3)どちらも有意な差はなかった
●幸せじゃなくても不幸でも長生きしてしまう…幸福と寿命の研究で判明
最初に読んだ記事は妙なもの。“不健康は不幸の原因となる可能性はあるが、幸福度は総死亡率に影響しない”という研究の結論を、なぜか"不健康で不幸でも長生きする"と解釈していました。
上記の結論を素直に受け止めると、「不幸でも長生きする」は言えるものの、「不健康でも長生きする」は言えないでしょう。
幸せだと長生きするのは本当か? 2016年11月20日 (文=横山孝・公益財団法人河野臨牀医学研究所附属第三北品川病院理事長) 日刊工業新聞2016年11月18日
Lancetという医学誌に「幸せだと長生きするとは本当か?」という論文が発表されました。「幸せだと、免疫や代謝が活性化するので寿命が延びる」という仮説を、70万人10年間のデータを解析し得た結論は、“不健康は不幸の原因となる可能性はあるが、幸福度は総死亡率に影響しない”というものでした。不健康で不幸でも長生きするということです。
この妙な解釈は、作者の職業に関係するかもしれません。上記の通り、病院の理事長さんなのです。
記事の終盤では、以下のようなことを書いており、商売柄不健康な人にも長生きするよと不安にさせて、介護の重要性を主張した可能性があります。
介護施設や療養向け病院は不足しています。急性期病院から在院日数制限に追われ退院し、不十分な回復で家に戻っても自宅で家族に見守られ生活できる人がどれほどいるでしょうか。
不健康で不幸でも長生きしてしまうのです。介護は、いつ誰が当事者になっても不思議ではありません。(中略)超高齢社会は「自分の健康は自分で守る」、「ひたすら自身で健康増進に努めるしか方法は無い!」と導入で話したら、“つかみ”は最高でした。
●「不健康でも短命じゃない」は本当か?
不幸でも長生きの方が良いとしても、不健康でも早死しないがたいへん怪しかったので、別記事を探してみました。
すると、この研究で不健康でも長生きと主張するのはかなり問題があるとわかりました。そもそも極めて不健康な人は除外した研究だったのです。(上記とは別の研究の可能性もあるものの、ランセット掲載が合っているのでおそらくいっしょだと思われます)
全文表示 | 「幸せな人ほど長生き」「不幸な人は短命」 72万人大調査から意外な「真実」が見えた : J-CASTヘルスケア 2016/1/ 5 18:00
(引用者注:2015年12月9日付の英医学誌「ランセット」(電子版)に)発表したのは、オーストラリアのニュー・サウス・ウエールズ大学のベティー・リュー博士らのチームだ。「幸福」と「健康」の問題は、「幸福だから健康になるのか」、それとも「健康だから幸福と思うのか」という「卵が先か、鶏が先か」という問題に似ており、主観的な面が強いため、客観的な検証が難しい。
そこでリュー博士らは、英国の中年女性71万9671人(年齢中央値59歳)の協力を得て、幸福度と健康について大々的なアンケート調査を行った。アンケート開始時点では、心臓病、脳梗塞、がんなどの重い疾患のない人を調査対象にした。そして2012年まで約10年間追跡調査した。
●ストレスは死亡リスクを高めていない
ただ、重い病を抱えていない人に限って言えば、「不健康でも短命じゃない」と誤解されそうな話もありました。
すると、「幸福・不幸」と「健康・不健康」との間の関連は高く、不幸な人は不健康な人が多かった。同様に、幸福な人は健康な人が多かったのだ。
追跡期間中に3万1531人(全体の4%)が死亡した。死亡した人々を調査開始時点での健康状態の点数で調整して分析すると、幸福な人と不幸な人の死亡リスクに差がほとんどなかった。「ストレスを感じているか?」「人生をコントロールできているか?」などの質問の回答に関しても、死亡リスクとの関連性はまったくみられなかった。
上記を読んで、私も最初重篤な病気でないなら「不健康でも短命じゃない」が正解かと思いました。ところが、よく読むと、「健康状態の点数で調整して分析する」とあります。
健康度合いを加味した上での比較ですから、やはり「不健康でも短命じゃない」という研究ではありませんでした。
●ストレスの影響は本当にないのか?
「不健康でも短命じゃない」の話はもうこれでいいとして、「ストレスは死亡リスクを高めていない」という話。これもなかなか信じられない話です。
例えば、
不安感を煽るのは殺人幇助?人は思い込みだけで死にやすくなるでは、誤診だったのに「自分はがんで死ぬ」と信じたせいで死んだ人の話が出てきました。
この場合は個別事例であり一般化できないものの、研究においても、ストレスが影響しているのでは?といった話があります。
管理職、専門職、その他事務・労務職 死亡率が高いのはどれ?では、管理職の死亡率が高いという調査が出ていました。
【クイズ】英医師会雑誌「BMJ」に掲載された北里大学医学部公衆衛生学の和田耕治氏らの報告では、男性の死亡率を管理職、その他事務・労務職などに分けて調べています。この結果について正しい説明はどれでしょう?
(1)管理職の死亡率が高かった
(2)その他事務・労務職の死亡率が高かった
(3)どちらも有意な差はなかった
【答え】(1)管理職の死亡率が高かった
上記の例の場合、自殺が原因であり、病気で亡くなったわけではないのですが、ストレスが早死に繋がった可能性を感じさせる話でした。
何か見逃している点があるんじゃないか?と、イマイチ納得できない結果であり、類似の研究が出ることを期待したいです。
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