風邪というのは単一の病気ではないって話は何度か書いていたのですが、お医者さんの教科書にも記載がないと今回知ってたいへんおもしろいと思いました。
●風邪は単一の病気ではない?
とりあえず、風邪ってのは一つの病気ではないよという話から…のつもりだったのですが、今Wikipediaを読んだらそういう書き方はしていませんでした。
以前のWikipediaの記述から、風邪は「風邪症候群」と呼ばれる症状の似た多くの病気の総称で、ウイルス以外が原因のものもあり、ときにはインフルエンザも含むことがある…と覚えていました。
ところが、今読み直してみたら、風邪とはウイルスによる上気道感染症であるなどと書かれており、結構書き方が変わっている気がします。訂正されたのかもしれません。
風邪 - Wikipedia 最終更新 2016年12月28日 (水) 15:58
風邪(かぜ、common cold, nasopharyngitis,rhinopharyngitis, acute coryza,a cold)とは、ウイルスによる上気道感染症であり、主な影響は鼻に現れる[1][2]。(中略)
多くの場合、単に風邪と言えば急性上気道炎(普通感冒)を指し、それ以外を風邪と呼ぶことは少ない。西洋医学的には「風邪症候群」と呼ぶことが多い。
病原体(ウイルス、細菌、寄生虫など病気の原因となる生物のこと)のところに様々なウイルスの名前が出ていますが、ウイルス以外の話はありません。
病原体
ウイルス
ライノウイルス (30%–80%)[12][13]。
普通感冒といわれている。
くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどが主症状で、年齢を選ばない。
コロナウイルス (15%)[14][15]
冬に感染しやすい。SARSはコロナウイルスの新種と言われる。
インフルエンザウイルス (10%–15%)[16]
英語では "flu" とされる。
アデノウイルス (5%)[16]
夏に流行。プールで感染するプール熱として知られる。
パラインフルエンザウイルス
インフルエンザという名称が入っているが、インフルエンザウイルスとは別のウイルスである。
喉頭と下気道を起こしやすい。子供がかかる場合が多い。
RSウイルス
気管支炎や肺炎を起こしやすい。乳幼児は重症になる場合もある。春と夏の感染が多い。
エコーウイルス
エンテロウイルス
下痢を起こしやすい。夏に流行する。
●風邪とインフルエンザの見分け方は?
というか、インフルエンザウイルスも上記の一覧に入っていますね。この書き方だと、インフルエンザは風邪の一種ということになります。
一方で、
インフルエンザ - Wikipedia(最終更新 2016年12月23日 (金) 05:11)には、風邪とインフルエンザの違いという項目があり、別だとみなしています。ここらへんはおさらいのつもりで書き始めたのですが、何がなんだかわからなくなってきました。
とりあえず、そこで載っていた風邪とインフルエンザの見分け方は以下。風邪ってあまり熱が出ないものなんですね。
【風邪とインフルエンザの違い】
発熱 風邪=まれ インフルエンザ=頻出(37-38℃)
頭痛 風邪=まれ インフルエンザ=頻出
疼痛 風邪=わずか インフルエンザ=大部分,重度となりえる
疲労・脱力 風邪=風邪=時々 インフルエンザ=大部分, 2-3週続く
極度の疲労 風邪=なし インフルエンザ=大部分
鼻汁 風邪=頻出 インフルエンザ=時々
くしゃみ 風邪=頻出 インフルエンザ=時々
のどの痛み 風邪=頻出 インフルエンザ=時々
●医者の教科書に「かぜ」という項目すらない
取っ掛かりの部分でつまずいてしまいましたが、もともと書きたかったのは、
かぜの科学:もっとも身近な病の生態 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
という書籍のアマゾンのレビューでした。
おもしろいと思ったのが、何とお医者さんの教科書には、そもそも「かぜ」という項目すらないのだそうです。
最新の研究から、かぜの病態と感染から身を守る方法をユーモアたっぷりの文章で描く
投稿者 オーネスト. H. トップ100レビュアー 投稿日 2015/4/30
私自身は、ウイルス感染症を専門として、研究・臨床に従事しているもので、一般の人から見ると、経歴上はかぜを含めたウイルス感染症のプロということになる。
そもそも「かぜ」の定義とは、主にウイルスにより引き起こされる鼻を中心とした急性の上気道粘膜の炎症性疾患の総称ということになるが、その原因となるウイルスは200種類以上に及ぶ。
ところが、一般的な感覚では、確かに存在するはずの「かぜ」という病態が、治療という観点を中心に考えはじめるとその存在がきわめてあいまいになり、
同時に、私自身の「かぜ」の知識も何とも不完全になっていく。
同様に、手元にある臨床の教科書で言えば、世界で最も読まれている内科の教科書の「ワシントンマニュアル 第13版」にも上気道感染症としての項目の中に、咽頭炎、喉頭蓋炎、副鼻腔炎、インフルエンザ感染症という項目は存在するが、「かぜ」という項目は設けられていない。
また、感染症治療の最も最新の知見がまとめられている「サンフォード感染症治療ガイド2014(第44版)」にも「かぜ」もしくは急性上気道感染症という項目は設けられておらず、ワシントンマニュアル 同様に咽頭炎、喉頭蓋炎、副鼻腔炎、インフルエンザ感染症という項目が存在するだけである。(つまり、「かぜ」の治療法が、教科書に記載されていないのである。)
上記の「かぜ」の定義である、急性の上気道粘膜の炎症性疾患の総称というのは、私が最初に書いた風邪は単一の病気ではないという理解と同じだと思われます。
今のWikipediaでは、風邪のことを上気道感染症、急性上気道炎、普通感冒などと書いています。このうちの「上気道感染症」なら、「ワシントンマニュアル 第13版」に大きな項目がありました。
一方、「サンフォード感染症治療ガイド2014(第44版)」の場合にはそういった話がなく、本当にそれすらないのかもしれません。
ナポレオン「余の辞書に不可能という文字はない」誤訳説は誤解?でやったように、誤訳説があるものの、「余の辞書に不可能の文字はない」というナポレオンの言葉は有名です。
これでしたら格好良いのですけど、医者の教科書に「かぜ」という項目がないってのはびっくりな話ですね。
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