私は一応わかっていると思っている言葉でも念のために確かめるということがよくあります。今回の「好待遇」も普通は「好」を使うよな、でも、違う可能性もあるかもと思って検索してみました。
(ちなみに
日本のブラックなアニメ業界に救いの手? 中国企業が好待遇で人材集めで使った単語です)
すると、これらの言葉の正しさについて、皆さんいろいろと言っています。アルバイト情報サイトでは、好待遇・高待遇・厚待遇すべてを併記しているページもありましたし、現在ではどれも使われているようです。
●好待遇・高待遇・厚待遇…正しいのはどれ?間違っているのはどれ?
さて、正しさについての話。皆さんすぐ正しいとか間違っているとか言いたがるのですが、以前から何度も書いているように、言葉というのは常に変わり行くものですから、誤用であったとしても定着すれば正解となります。なので、どれくらい定着しているかを見るといった感じです。
好待遇・高待遇・厚待遇の場合、前述の通り既に定着している様子です。なので、正解か不正解かの二択ならば、すべて正解と言うしかないでしょうね。
また、一般的かどうかを見る場合いくつかアプローチがあり、例えば、辞書などに載っているかどうかを見るという手があります。
ネットで検索したところ国語辞典での掲載はいずれの単語もありませんでしたが、類語辞典には私が最も一般的だと感じた「好待遇の」が存在していました。一方で、「高待遇の」「厚待遇の」は見られません。
なので、敢えて一つだけ正解を…とすれば「好待遇」でしょう。ただ、前述の通り、そういう問題じゃないんですけどね。
好待遇のの同義語 - 類語辞典(シソーラス)
好待遇の
意義素 類語
尊重されてよい扱いを受けるさま 待遇がよい ・ 好待遇の ・ 待遇のよい ・ 待遇のいい ・ 待遇がいい ・ 処遇の良い ・ サービスの良い ・ サービスが良い ・ 扱いの良い ・ 扱いが良い
●質問サイトでは全部日本語として間違いだと主張する人も
皆さんが好き勝手言っているという話も紹介。
厚待遇 好待遇 高待遇 - その他(学問・教育) | 【OKWAVE】
ten-kai
「厚待遇」「好待遇」「高待遇」。この中に日本語として間違っているものがあれば、それはどれか、またその訳はなぜかを教えて下さい。お願いします。
noname#10086 2002-10-04 18:48:39 回答No.2
何かの問題で、必ず間違いがあるものなのでしょうか?
意味がよく分からないのは高待遇かな。
高いというのは、積み重なるもので、
高気圧(ヘクトパスカル)とか高収入(円)とか同一単位で
あらわせるものではないかと。
質問サイトをいくつか見た中で最も質問サイトらしい乱暴な回答だと思ったのが、全部間違いだと言っていた人です。
noname#160975 2002-10-10 12:11:51 回答No.4
基本的にはこの3つは造語ではないでしょうか?正式な日本語ではありません。したがってどれも間違いだと思います。
●「厚待遇」は「厚遇」から来ている?
この方は、"厚待遇は他の方が述べているように厚遇から来ていると思います。意味が似ているので誤用されるようになったのかもしれません"とも書いていました。
この可能性は私も感じていました。厚遇との混同やイメージの近さからの選択といった理由がありそうです。この「厚遇」なら辞書にもある、つまり、昔からよくある一般的な表現です。
こうぐう【厚遇】の意味 - goo国語辞書
こう‐ぐう【厚遇】 の意味
出典:デジタル大辞泉
[名](スル)手厚くもてなすこと。また、地位や給料などで十分な待遇をすること。優遇。「厚遇を受ける」「訪問先で厚遇された」⇔冷遇。
ただ、この方は、"しいていえば「厚い待遇を受けた」といいますから厚待遇が一番まともでしょう"として、誤用だと自ら断定していた「厚待遇」を選んでいました。
他のサイトでもこの「厚待遇」が一番良いと断定している方がいました。こちらにいたっては、理由すら書かれていません。
「厚待遇」「好待遇」「高待遇」。正しい表現は... - 日本語 | Yahoo!知恵袋
tuiteru_tuiteru_007さん 2014/8/1517:49:21
「厚待遇」「好待遇」「高待遇」。
正しい表現はどれになりますか?
goldland826さん 2014/8/1518:08:17
「厚待遇」が正しいです。
●言葉には本来、正しいとか間違っているということはない?
最後に「正しい日本語」に関して、良い説明がある記事を紹介。今回の話を書こうと思った翌日に読んだので、ちょうど良いと思ってセットにしました。
NHK紅白歌合戦で、歌われた歌詞や出演者の発言に注目して、専門家の立場から言葉づかいなどを分析した大量のツイートが話題になっていたそうです。
News Up「おもしろすぎる」と話題に 辞書編さん者が見た紅白 | NHKニュース 1月6日 21時20分
ユニークな発信をしたのは、「三省堂国語辞典」の編集委員をつとめる飯間浩明さん(49)です。(中略)
(引用者注:例えば、)宇多田ヒカルさんの「花束を君に」の中で使われた「淋しみ」という表現については「辞書にある」としながら、「『淋しさ』とどう違うか、十分説明していない。どう違うのでしょう?」と、問いかけています。(中略)
「間違い探し」ではない
(中略)飯間さんは「言葉には本来、正しいとか間違っているということはありません。言葉がその時代にどのように使われているのか、淡々と、また興味深く記録しているだけです」と話しています。
「若い世代が言葉づかいに厳しくなっている」
一方でソーシャルメディアの普及にともない、最近、過剰に言葉の間違いを指摘する意見が増えてきたと飯間さんは感じています。(中略)
飯間さんは、「昔は年配者が若者の言葉づかいを批判していたが、最近はむしろ若い世代が他人の言葉づかいに厳しくなっている」として、背景には、ネットの検索をもとに簡単に誤用を指摘できるようになったことのほか、「メディアの責任」もあると、指摘しています。
「文化庁が毎年行っている『国語に関する世論調査』の報道で、本来の意味を『○』そうでない意味を『×』と伝えられることが多く、視聴者や読者が「本来の意味ではない=誤用」と思い込んでしまうのではないでしょうか。『誤用』と指摘されている用例が、実際に調べると誤用とはいえないケースも多くあります。誤用をたくさん集めて間違いを指摘しても、『その人』自身の言葉は豊かにはならないと思います」(飯間浩明さん)
ソーシャルメディアなどで人の言葉を訂正したくなったとき、いったん手を止めて、飯間さんの言葉を思い出すとよいかもしれません。
私は前述の通り言葉の定着が不十分な場合、間違っていると言えるような状態もあると考えています。ただ、間違いだと指摘して、得意気に叩くということは支持しません。
たくさん間違いを指摘しても言葉は豊かにはならないと、飯間さんはおっしゃっていましたが、そういう間違いを指摘しまくる人は心も豊かじゃないですよね。みっともないと感じます。
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