大阪市が子どもたちに対してプログラミングを教えるって言っていて、それ自体は別にいいんです。驚いたのが、そのプログラミング教育をするための教員の研修、教材・ソフトの提供などで、民間企業に無償奉仕を求めていたということでした。
こういった思想はブラック企業思想そのものですよ。行政がこんなことしているのを見ると、日本はブラック企業問題を解決する気がないのかもしれません。
●大阪市がまたタダ働きの奴隷を募集「無償でプログラミング教育を」
また大阪市か!と思ったのですが、なぜ「また」なのかについては後述します。とりあえず、以下がオフィシャルの文面です。
大阪市:平成29年度小学校段階からのプログラミング教育の推進に当たり協力事業者を募集します。 (…>教育委員会事務局>入札・契約のお知らせ) 2017年1月12日
次期学習指導要領における「小学校段階からのプログラミング教育」の導入検討を踏まえ、本市のプログラミング教育の推進に向けた授業づくりや体験学習、教員の研修等に取り組み、その成果の普及を図ります。(中略)
事業方針
・授業づくりへの協力や教材・ソフトの提供、教員の研修等を、無償で実施できる民間事業者を募集します。
●ブラック企業思考そのものな大阪市
何が悪いってこの考え方はブラック企業そのものなんですよね。サービス残業の強要ってのがそのまんまなのですが、たとえきちんと残業代を支払っていたとしても問題なのです。
そもそもなぜ健康を害するような長時間労働を企業が放置しているか?と言うと、新しく人を雇うよりもたとえ残業代をきちんと払ってでも今いる人員で長く働かせた方が儲かるためです。サービス残業じゃなくても、カネの問題なんですよ。
大阪市の考え方は、本来自分がしっかり対価を支払って対応すべきことを、他者に負担を転嫁して安くやらせようというブラック企業思考そのものです。
●有料だと癒着が生まれる…意味不明なことを言う大阪市
で、この件について取材したら大阪市が言い訳していたのですが、これがまたひどいんですわ…。
「事前に数社にこの条件を提示したところ、『無償はいかがなものか』と言われた。ただ、特定の業者との結びつきをなくし、公平性を担保するためにも『無償』という形をとった」(大阪市の担当者
大炎上した大阪市の募集要項 「タダでプログラミング教育を」 : J-CASTニュース 2017/1/13 15:59)
これ全く逆でしょう? 無償でやる方が癒着に繋がる可能性が高いです。
ある仕事を正当な対価で行った場合は、誰も損も得もしておらず、それでどうこうとはなりません。しかし、不自然に高くした場合や、不自然に安くした場合は怪しくなってきます。今回高くした分代わりに、今回安くした分代わりに…といった不公正な行為と関係してくる場合があります。
今回のケースでは無償奉仕ですので、まともな民間企業が敬遠する一方で、タダ働きであってもこの機会に市役所や学校などとのコネクションを作っておいて後々役立てたいと考える民間企業が募集してきやすくなります。完全に逆効果ですよね?
はてなブックマークでも「その言い訳はない」といった感じ。
“何を言ってるのか。タダでもいいなんて業者は他で見返りを得ようとするに決まってるじゃないか。それこそ不公正な癒着の苗床だろう。”(ncc1701 2017/01/13)
“"特定の業者との結びつきをなくし、公平性を担保するためにも/これ行政と結びつきたい業者しか呼び込まないと思うんだけど。。。。"”(Domino-R 2017/01/13)
“元経産省で発注業務を担当していた俺が来ました。「特定の業者との結びつきをなくし、公平性を担保するため」って、アホか。すでに役所と癒着があるから応募するんだろ。どこの会社が受注するか要注目だな。”(buu 2017/01/13)
“どこもタダでは受けてくれないから、タダでやってくれるところを探すために公募しますって、頭大丈夫かよ。”(reachout 2017/01/13)
“「公平性を担保するためにも無償」久しぶりになに言ってんのか本気でわからん事案”(burnworks 2017/01/13)
●大阪市「無償奉仕だけど、損害が出たら賠償責任があるから」
あと、この記事読んでみたら、もう一つ恐ろしいことが書かれていました。賠償責任もしっかり民間企業に要求しているとのこと。マジで奴隷募集ですね。
人件費や消耗品費、教材費、交通費を含むすべての経費が「事業者負担」。さらに、事業を実施する物件に対する「損害賠償責任」まで負わせられるというのだ。
●以前もやっていた大阪市の奴隷募集
さて、また大阪市か!と思った理由について。これは以前やった
厚労省ブラックバイト注意喚起のためのキャラデザ公募が賞金なしの中で少し出てきたように大阪市は、過去にも無報酬の労働者を募集したことがあるのです。
「デザイナー募集、無報酬」で批判殺到の天王寺区、謝罪文を掲載 - ねとらぼ 2013年02月07日 16時48分 更新
先日、広報デザイナーを無報酬で募集したことで批判を受けた大阪市天王寺区役所。サイト上に謝罪文を掲載し、「天王寺区デザインパートナー」と内容を改めて再募集を開始しました。
(中略)デザイナーへの報酬は「区ホームページ・広報紙等で紹介」「作品にデザイナー作であることを明記」といったもので金銭的な見返りは一切なし。これに対し「報酬なしって世の中舐めてるだろ」「デザイナーなんぞ皆死んでしまえ、という意図にしか読めません」などと批判が殺到していました。
これで大阪市がおかしいとか、大阪維新の会がおかしいとか(橋下徹さんの次の市長も大阪維新の会です)言っちゃあれなんでしょうが、短期間で繰り返しやるってのはちょっと信じられません。
今回の件に関して言えば、J-CASTの取材に対し、無償という条件を変えるつもりも「現在のところない」と超強気。微塵も問題だと思っていない様子でした。
うーん、大阪市はおかしいんじゃないか?と、やっぱりどうしても思ってしまいます。
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