2011/7/7:
痴漢冤罪と悪魔の証明、裁判で推定無罪のはずが推定有罪に
「推定無罪」は痴漢に限らず難しい問題になっている
検索しても冤罪防止グッズはなく書籍があるだけ…
「痴漢に間違われないためのアドバイス」や「冤罪の生まれるメカニズム」
「推定無罪」できない社会のせいで痴漢冤罪で家族も犠牲に…
痴漢冤罪事件のたどる過程は共通点が多い?
2018/11/07:
その後「痴漢冤罪」に対する関心が大いに高まる!
●痴漢冤罪と悪魔の証明、裁判で推定無罪のはずが推定有罪に
2011/7/7:以前書いた
悪魔の証明の具体例では、痴漢をしていないことを証明せよ…と、悪魔の証明を求められるという話が出てきました。そのときは実際にある話なんだろうか?と思いましたが、
痴漢冤罪 Wikipediaの「冤罪の可能性」のところにも、悪魔の証明という言葉が出てきています。
最近は痴漢をしていないのに逮捕されるという、痴漢の誤認逮捕(いわゆる「痴漢冤罪」)の案件が頻繁に報告されている。日本は他の近代法治国家と同様に推定無罪の原則を採っているが、「痴漢を含む(特に男性から女性への)性犯罪」に関しては事実上推定有罪の原則がまかり通っており、容疑者がいわゆる「悪魔の証明」をしない限りは被害者の訴えのみで有罪が確定するケースが大半である。しかしながら、痴漢など性犯罪に限らず、被害者の証言とそれに伴う状況証拠の検証のみで有罪が確定することは一般的であり、例えば「Aさんに殴られた」という軽微な暴行事件についても被害者の訴え以外に証拠を集めることは困難であり、被害者の証言をもとに検証するしかないのが現実である。そのため、司法の問題点を指摘する意見もあるが、治安を守るうえでの限界という意見もある。
また、自称・痴漢の被害者や第三者が冤罪をでっち上げている可能性もある。例えば、女が意図的に痴漢被害をでっち上げ、男性に多額の示談金を要求する悪質なケースも存在した(痴漢行為自体は事実だったとしてもこれは恐喝罪である。同一人相手に恐喝を繰り返せば脅迫罪も加重される)。また、「痴漢があった」とはいっても、その加害者が痴漢の加害を訴えている男性ではない場合もある。
濡れ衣を着せられた冤罪被害者は、仮に冤罪であることが明白になっても社会的信頼を完全に失うばかりでなく、冤罪に伴う失職など生活基盤を脅かされても補償はされないものと推測され、冤罪加害者への賠償請求は精神的苦痛による慰謝料が通るかどうかの程度である。また、冤罪被害を恐れて公共交通機関を利用できなくなるなどの心理的打撃も考えうる。これらの問題は逮捕された時点であたかも犯罪者であるかのように扱う報道機関の影響も考えられる。
* 痴漢を目撃した場合、あるいは被害者が痴漢の事実を訴えている際に周囲にいる人には、被疑者の身柄を現行犯逮捕することができる。ただし、目撃者が被害者一人だけの場合、違法逮捕になる恐れもあり、十分な状況の把握が必要になる。
* 痴漢冤罪の発生を防ぐためにも、加害者とされている人物が本当に加害者であるかどうかについては、慎重な精査が求められる。
* また逆に、物的証拠が残らないという痴漢犯罪の性質上、加害者ではないと主張する男性が本当に加害者ではないのかについても、慎重な精査が求められる。
●「推定無罪」は痴漢に限らず難しい問題になっている
こうした問題については何度も同じことを書いていますが、本当悩ましい話です。
推定無罪とはという話も過去に書きましたが、本来でしたら犯罪があったことを立証することが絶対に必要です。ただ、そうすると証明が難しい被害がどんどん見逃されることになり、本当の被害者まで守られなくなってしまいます。
「治安を守るうえでの限界という意見」というのは、「冤罪の人が一定数出るのは仕方ないから我慢して」という意味なのでしょうが、何とか両方守ることができないものかと思います。
それは別として、Wikipediaで出てきた「推定無罪」の話に関連して「仮に冤罪であることが明白になっても社会的信頼を完全に失う」の方は、まだ防止できる可能性があるでしょう。
推定無罪とはで書いたように、これは痴漢だけの問題でなく、犯罪全般の問題。無実の人に対して、社会的な制裁を加える必要などあるわけがないですし、あってはいけないことなのです。
●検索しても冤罪防止グッズはなく書籍があるだけ…
痴漢の話に戻ります。過去に書いた
痴漢冤罪とその対策 男性専用車両は必要ない…2つの理由 女性専用車両に効果はないのか?では、冤罪防止グッズも紹介していました。
私も他人ごとではないのでこれは気になるところで、もう少し何かないかとアマゾンで探してみました。でも、「痴漢」で検索かけたら、痴漢を題材にしたエロDVDばかり。需要が多いんでしょうね。ただ、こうやって、作り物で満足できているなら、それはそれでいいのですけど…。
アマゾンの祖業ですから得意でしょうが、それ以外に出てくるのは
痴漢冤罪の恐怖―「疑わしきは有罪」なのか? (生活人新書)
などのように、書籍が多くなっていました。防止グッズがなくて残念ですが、仕方ありません。
「BOOK」データベースには、「元裁判官である著者が、男性であれば誰もが被害者になりうる痴漢冤罪に焦点を当て、冤罪を生み出す仕組み、警察・検察・裁判所という日本の司法システムが抱える数々の問題点を、白日の下に晒し出す」という説明がありました。ちなみに日本放送出版協会の出版。今のNHK出版です。
●「痴漢に間違われないためのアドバイス」や「冤罪の生まれるメカニズム」
ついでにもっと痴漢冤罪関係の本を紹介。
痴漢「冤罪裁判」―男にバンザイ通勤させる気か! (小学館文庫)
は、タイトルが嫌な感じですね。
内容紹介は、「本書は、実際に痴漢冤罪に巻き込まれた男性たちを取材し、当時の状況、裁判の過程をはじめ、無実の被害者と家族の苦悩と戦いの日々を追う。『痴漢に間違われないためのアドバイス』も掲載。サラリーマン必読の書」とのこと。
「この人、痴漢!」と言われたら―冤罪はある日突然あなたを襲う (中公新書ラクレ)
は、「実例をもとに、冤罪の生まれるメカニズムと、被害を食い止める術について考える」ということで、最初の本と狙いはいっしょで、アマゾンを見ると同時購入も多いとのこと。ただ、「痴漢から殺人まで」とやや広めに扱った内容のようです。
●「推定無罪」できない社会のせいで痴漢冤罪で家族も犠牲に…
検索だとそう上に出てこなかったのですが、読み応えありそうだったのが、
左手の証明―記者が追いかけた痴漢冤罪事件868日の真実 (Nanaブックス)
というもの。
「警察や検察にどれだけ無実を訴えても、一方的に犯罪者扱いされてしまう正広。社会的信用を失い、まだ幼い子供を抱えた妻も精神的に病んでしまう。しかし、周囲に励まされながら、正広は法廷で死に物狂いに無罪を立証しようとした。
2年以上におよぶ裁判を闘い抜き、正広はいかに無実を勝ち取ることができたのか? 裁判で論点となる「左手」の真実とはいったい? 新聞記者が丹念に取材を重ね、裁判記録をもとに再構成した衝撃の法廷ドラマ」
上記の紹介を読んでわかるように、この人の場合は無事無罪だったようです。ただし、以下のように「推定無罪」できない社会の犠牲になっています。
「でも、主人公が冤罪に巻き込まれて失ったもの――特に家族の健康が損われ、信頼関係にもヒビが入りかけたこと――が多いことを考えると、単純に喜んでオシマイというわけにいきませんでした」(カスタマーレビューより)
●痴漢冤罪事件のたどる過程は共通点が多い?
上記で家族の話が出ましたが、
お父さんはやってない
は家族視点の本です。
「冤罪に巻き込まれた夫のために、家族は何ができるのか? 有罪率99.86%の日本の裁判制度と闘い、逆転無罪を勝ち取った家族の、苦悩と愛情に満ちた感動の手記。周防正行監督映画『それでもボクはやってない』の原点」
そして、ここで映画『それでもボクはやってない』の名前が出てきましたので、そちらを最後に。
実は、これの前の
左手の証明―記者が追いかけた痴漢冤罪事件868日の真実 (Nanaブックス)
のカスタマーレビューにも、「本書を読んでいて驚くのは、周防正行著『それでもボクはやってない』との共通点があまりにも多いということです」とありました。痴漢冤罪のたどる過程というのは、よく似たものなのかもしれません。
●その後「痴漢冤罪」に対する関心が大いに高まる!
2018/11/07:この投稿を含めて痴漢冤罪の話をブログ初期にはかなりやっていました。ただ、私は痴漢冤罪だけを問題視しているわけではなく、その後、痴漢そのものの問題も数多く取り上げています。
そこで気になっているのが、最近は痴漢冤罪の話ばかり大きく言われて、痴漢そのものが多いことが無視されたり、本物の痴漢がおらず冤罪がほとんどだという誤解が起きたりしていることです。ここで紹介していた書籍も不安を煽るものが多く、そういったことも一因になっているのかもしれません。
『
お父さんはやってない
』の「有罪率99.86%の日本の裁判制度と闘い」というのも誤解を招きそうなものでしたね。日本の有罪率の高さは痴漢だけに限らず、すべての犯罪で言えること。性犯罪だけ有罪率が高いわけではなく、立証が難しいと思われる事件は起訴されないことが多いです。性犯罪はむしろ立証が難しく、不起訴が多いとも言われています。
とりあえず、痴漢冤罪に遭う人に共感は湧くのに、痴漢被害者の気持ちを思いやれないというのは困ったもの。冤罪も痴漢そのものも悪い…と考えられないものなんでしょうか?
【本文中でリンクした投稿】
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痴漢冤罪とその対策 男性専用車両は必要ない…2つの理由 女性専用車両に効果はないのか? ■
悪魔の証明の具体例 ■
推定無罪とは【関連投稿】
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三鷹バス痴漢冤罪事件「証拠がなく不可能に近いけど、有罪」と判決 ■
掲示板で「痴漢されたい」という書き込み、信じて実行して逮捕 ■
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認めたらお終いの痴漢冤罪、あらゆる権利を使い否認することが大事 ■
弁護士に聞く痴漢冤罪回避・防止・対処術 逃げるが正解は本当か? ■
社会・時事問題・マスコミについての投稿まとめ
Appendix
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