大阪薬科大教授が不適切行為で停職10日間の懲戒処分というニュース。記事の無料部分では名前がありません。
ただ、大学の発表を見ると、お名前が出ていますし、停職10日間より長いかも?というちょっとややこしい書き方でした。
●大阪薬科大・松村靖夫教授が不適切行為
とりあえず、私の見た記事は以下。有料記事で、無料部分しか読んでいません。この冒頭部分では名前なし。本文で出ているかもしれませんけどね。
「不適切な行為」で教授を懲戒処分 毎日新聞2017年1月20日 02時23分(最終更新 1月20日 02時23分)
大阪薬科大(大阪府高槻市)は19日、薬理学が専門の男性教授(62)が関わった複数の論文で不適切な行為があったとして、この教授を同日付で停職10日間の懲戒処分とした。薬科大への取材で分かった。
一方、大学で出しているオフィシャルのPDFでは、名前が出ています。
(PDF)大阪薬科大学における研究倫理違反に関する調査報告について 平成29年1月19日
大阪薬科大学(以下「本学」という。)は、本学薬学部病態分子薬理学研究室の松村靖夫教授(以下「松村教授」という。)が筆頭著者若しくは責任著者として発表した論文に研究倫理違反に該当する論文があるとの申立てを受け、調査委員会を設置して調査を行ってきました。
●実は改ざんも?軽い処分と調査期間に不自然さ
そして、停職10日の部分は以下。
平成25年12月16日付けの申立てに対する調査結果において、いわゆる捏造、改ざん、盗用の研究不正には当たらないが、データの重複使用や流用など研究者として不適切な行為が多数あったと認定されたことを受け、懲戒委員会が設置され審議の結果、松村教授を10日間の停職とする懲戒処分が決定した。なお、その他の関係者については、懲戒すべき事由は認められなかった。
なのですが、これ、ややこしいのが実は、"平成21年12月14日、平成24年5月18日および平成25年12月16日の3回にわたり、松村教授が筆頭著者若しくは責任著者となっている計27報の投稿論文について、「改ざん」、「捏造」等の研究不正行為を含む研究倫理違反が疑われるとの申立書が学長あてに届い"ていたということ。
かなり大昔の指摘を含めて、3回調査しているようです。で、他の調査の処分が別にあった感じで、なおかつそれは"いわゆる捏造、改ざん、盗用の研究不正には当たらない"行為ではなかったようなのです。「改ざん」があったと認定されていました。
この判定は停職20日。ただ、「改ざん」があったことによる処分としては、軽すぎるように思えます。また、平成21年という大昔の指摘の結果が今になってというのは、いくら何でも遅すぎますので、これも疑問です。
平成21年12月14日付けの申立てに対する調査結果において、改ざんとの研究不正行為が認定されたことを受け、懲戒委員会が設置され審議の結果、平成25年6月に同懲戒委員会で同時に審議していた松村教授に対する別件の審議結果と合わせて、松村教授を20日間の停職とする懲戒処分が決定した。
他の部分を読むと、改ざんは1箇所なのでってことなのだと思いますけどね。改ざんが1件しかないというケースは珍しく、妥当性がわかりづらくなっています。どうなのかなぁ?
(「3.該当論文一覧」論文#1)において、Fig1およびFig2の実験にSHRSPラットの対照ラットとしてWKYラットを使用したとあるが、実際にはWKYラットではなく、Wistar系ラットを使用していた。これは「データの改ざん」に該当する研究不正行為であると認定した。
●松村靖夫教授の学歴・経歴
松村靖夫教授についての経歴。大阪薬科大学では経歴が用意されていませんね。以下は、
松村 靖夫 - 研究者 - researchmapからですが、教授などになった年が不明でした。
学歴
- 1977年 大阪薬科大学 薬学部 製薬学科
- 1979年 大阪薬科大学 薬学研究科 薬理学
学位
薬学修士(大阪薬科大学)
医学博士(大阪市立大学)
●セサミンの高血圧に関する研究で功績
アマゾンで書籍を探してみましたが、見つからず。名前の出ているニュースなども見当たりません。その他の検索でもあまり出てきませんが、サントリーのプレスリリースで、セサミンに関する研究で実績があることに触れられていました。サントリーと共同研究していたというわけではないみたいです。
Suntory News Release No.9238
<研究の背景>
セサミンの高血圧に関する研究については、大阪薬科大学病態分子薬理学研究室・松村靖夫教授らのグループが精力的に研究を重ね、様々な動物モデルで降圧効果作用を有すること、また、メカニズムとして、セサミンの抗酸化作用(日本薬学会2002年度大会、日本薬学会第122年会、日本高血圧学会第26回総会、日本薬学会第124年会)ならびに血管内皮弛緩作用(日本薬理学会第78回年会)が関与していることが明らかになっています。
不正に関するネットの反応自体も静かで、さらっと流された感じでした。
【その他関連投稿】
■
東大論文22本研究不正疑惑 門脇孝教授ら6教授「コメントはない」 ■
山口大が盧益煥氏の博士号取り消し 小保方晴子氏同様に大量の盗用 ■
東大の不正告発3連発、論文は既に撤回 大野里奈博士の研究論文?過去に捏造・改ざんの指摘 ■
37回虚偽記載で富山大懲戒解雇の竹内潔氏、訴訟して処分取り消しを勝ち取る ■
研究不正疑惑についての投稿まとめ
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|