2011/7/10:
●あてにならない世論調査…人気首相だと思ったらあっという間に不人気!
●世論調査の捏造不正はある程度可能!世論調査による世論操作術
●より世論操作術と言えそうな「重ね聞き」「言い回し」という手法
●調査対象者の年齢比率がデタラメ…とも指摘 ただこれは本当なのか?
2020/06/23:
●フジテレビ・産経新聞は架空調査、過去14回・17%が水増し
●お金をケチったせいで不正が起きた?他社は社員も派遣してる
●あてにならない世論調査…人気首相だと思ったらあっという間に不人気!
2011/7/10:
どこにも存在しない「世論」を乱発する新聞・テレビ「世論調査」報道の欺瞞 (SAPIO 2010年3月10日号掲載) 2010年3月22日は、埼玉大学教授で、同大学社会調査研究センター長の松本正生さんが書いた記事。松本正生教授は、世論調査の当てのならなさとして、「麻生人気」報道を挙げていました。
<麻生太郎氏は2008年9月に自民党総裁、そして首相に就任する前後、新聞、テレビが頻繁に行なった「次の総裁(首相)にふさわしい人」調査で、自民党や民主党の有力者を抑えてトップに立った。漫画好きであることなどから、特に若者や無党派層の間で人気が高いという報道が繰り返し行なわれた。
「世論は麻生を支持している」というこうしたマスコミ報道に引きずられ、麻生氏が小派閥の長にすぎなかったにもかかわらず、「選挙に勝てる総裁」として自民党内に麻生支持が広まり、実際の総裁選では与謝野馨氏ら他の4人の候補を圧倒した。
だが、発足当初50%程度あった内閣支持率はあっという間に低下し、翌年2月には10%台前半という、いわゆる「危険水域」をも下回るほど低水準に落ちた。そして、8月の総選挙では自民党は大惨敗を喫した。
世論調査の結果に基づき、これが世論だとしてマスコミが盛んに報道した「麻生人気」。自民党は結局、世論調査に完敗したのである>
●世論調査の捏造不正はある程度可能!世論調査による世論操作術
私はもともとこういった調査は、質問の仕方によってかなり操作が可能だと思っていたんですよ。また、選択肢のある問題では、選択肢の順番やその選択肢にどれを使うかでも、大きく違ってくるはずです。工夫すれば、自分たちの望む結果に近づけることは可能なはずだと考えていました。
これは私の想像でしかなかったのですが、記事では実際に使われている世論操作術とも言える世論調査の問題点、あるいは世論作成術とでも言うべきもの)が書かれていました。
作者は電話での世論調査の現場を見たことがあるそうですが、「とにかく回答が早いことに驚いた」そうです。どれくらい早いかと言うと、「選択肢が4つあったとしても、2つ目を読み上げる頃にはもう回答が返ってくる」くらいだそうです。
どうも回答者は早く終わらせたいという気持ち一心なので、長文の質問文など到底無理、質問文も選択肢も極めてシンプルとせざるを得ず、いい加減な調査しかできないようです。そのため、「熟考することなく反射的に『イエス』『ノー』と答える傾向が強い」ことになります。こういった状態でしたら、先程私の挙げた「選択肢の順番」なんかは余計大きな効果を持つでしょう。
このイエス・ノーだけというのは、過去よりも現在でそうした傾向が高まっているようです。竹下内閣時代(87~89年)の世論調査では、毎日が「関心がない」「わからない・答えない」を合計した割合44%など、当時は20%以上ありました。しかし、直近の鳩山内閣の世論調査の場合、内閣支持率に関しては「わからない・答えない」などの割合は多くの社で14%程度にまで減っています。
●より世論操作術と言えそうな「重ね聞き」「言い回し」という手法
さらに「世論調査による世論操作術」っぽいのは次の手法。「重ね聞き」「言い回し」といったものです。「重ね聞き」というのは、「わからない」などと答えた回答者に、再度「あえて言えばどちらですか」と聞く手法。これを行なえば、当然「わからない」は減り、支持率、不支持率の数字は高くなります。
もう一つ「言い回し」の方は、たとえば内閣改造時の世論調査で、単に「~内閣」と言って支持、不支持を聞くのではなく、「~〝改造〟内閣」と言って聞くといった手法です。こうすると、「改造」という言葉のプラスイメージに回答者が影響されるため支持率は高く出るとのこと。これは私が書いた「質問の仕方」そのものですね。
08年8月にマスコミ各社が行なった福田内閣に対する緊急世論調査では、「同じ時期」に「同じ調査手法」で実施されたにもかかわらず、新聞大手3紙と日経で、支持率が24%から41%まで大きな開きが出て、「世論調査の信頼性の危機」と言われたそうです。
朝日、毎日は「重ね聞き」を行なっていませんでした。結果も先程の説明通りで、支持率がもっとも低かったのは朝日でした。
一方、もっとも高かったのが読売。読売、日経は支持率、不支持率が高くなりやすい「重ね聞き」を行なっていました。さらに、他の新聞と違い、読売だけは「福田〝改造〟内閣」という言葉を使って支持、不支持を質問していたため、見事に最高の支持率を叩き出すことができたようです。読売新聞は右派だというのも気になりますね。
●調査対象者の年齢比率がデタラメ…とも指摘 ただこれは本当なのか?
記事には最近は固定電話を使って調査をするため、固定電話を持っていない若者層が少なくなるという話がありましたが、これはどうなんだろうと最初思いました。普通、こういう調査は年齢別人口で補正をかけているんだと思っていたんですよね。というか、その他に性別・職業・地域などでも、補正しているんだと思っていたんですけど…。
このように補正をかけないと、世論は電話に出やすい人中心の意見になってしまいます。また、職業などにつていは、例えば、電力業界の人に原発問題を聞いて世論ですとしたら、マズイに決まっているでしょということです。
ということで、本当なのかな?という話。ただ、とりあえず、作者は「今の世論調査の回答者に占める20代の割合は5%程度と3分の1ほどに過ぎないことが多い」としていますので、本当にデタラメなのかもしれません。
これは結局面接でも、面接に応じやすい人だけとなりますし、仕方ないことではあるのですが、固定電話を持っていない比率が増えてくると、問題は大きくなるでしょう。結局世論というのは、固定電話を持っているという特別な条件の人だけの意見になってしまうからです。
インターネット調査は明らかにこういう弊害がありますが、固定電話ももう似たようなものかもしれません。ネットの場合は年齢が逆で、ネットを使いこなせる特別な70代なんて話になってしまいます。とりあえず、この固定電話云々は別として、年齢補正すらかけない調査は大嘘だと言えるでしょう。
このように世論調査はあてにならないものなので、マスコミも政治家も重視してはならないといったことを作者は主張していました。しかし、いくら世論調査がこのようにいい加減だと言っても、政界やマスコミがこれをいろいろと利用するのも確かなのですから、国民の皆さんもよくよく考えて回答してほしいとは思います。
●フジテレビ・産経新聞は架空調査、過去14回・17%が水増し
2020/06/23:上記までの話とは違ってストレートな不正なのですけど、
再委託先「人手確保難しく」 FNN・産経世論調査不正:朝日新聞デジタル(2020年6月19日 20時26分)というニュースがあったので、ここに追記。フジテレビと産経新聞社は19日、FNN(フジ系28局によるニュースネットワーク)と同新聞社が合同で行う世論調査で、実際には電話をしていない架空の回答が含まれる不正が見つかったと発表しています。
これを受けて右派の人が「安倍政権の支持率が下がり、立憲民主党の支持率が上がったのがデマ」などと言っていましたが、不正は2019年5月から20年5月までの世論調査計14回で見つかっており、直近の調査だけではありません。少し前には、産経新聞が「立憲民主党の支持率が下がった」という記事も書いています。このデータも不正調査だったと考えられます。
記録などから、不正は総調査件数の約17%を占めているとのことでかなりの比率。調査業務を委託されていたアダムスコミュニケーションが約半分を再委託していた日本テレネットの管理職社員が不正を主導。実際に得た回答の居住地や年齢などを変える方法で架空の回答を作成していたとされています。
●お金をケチったせいで不正が起きた?他社は社員も派遣してる
フジテレビ・産経新聞は被害者という擁護も見られており、私も不正を主導したとは思いません。ただ、これ、お金をケチった可能性があるので、被害者と言い切れるかどうかは微妙。他社でも同様の問題が出る可能性はあると思いますが、朝日新聞だったかな、他社では任せっきりにせず社員も派遣しているところがあるようです。
あと、もともと書いていた話の松本正生教授は、毎日新聞社などと共同で世論調査会社を設立したみたいですね。こちらも世論調査の精度向上に力を入れているのかもしれません。その松本正生教授は、今回、以下のような指摘をしていました。
<かつてはメディア各社は自社で対面調査をすることが多かったが、近年は外部への委託が増えた。また、今回の不正の背景には、知らない人からかかってくる電話への抵抗感が強まっていることなどから、電話調査の回収率が下がっていたこともあるとみる。「求められる数を集めるため、今まで以上に電話しなければならず、かさんだコスト分を埋めるために架空のデータをつくってしまったのではないか」>
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