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JASRACの音楽教室から著作権料徴収の方針は正しい 訴訟でも勝利の可能性が高い


 カスラックという不名誉なあだ名のあるJASRACが、今度は音楽教室から著作権料を徴収する方針と報じられて、大炎上。ただ、これ、法的には正しい行為で、訴訟となった場合、JASRACが勝っちゃうと予想されています。

 また、この「正しい」は飽くまで「法的に」という話に限ります。著作権団体としての行いとしてどうか?という批判が出ていますし、音楽の将来にも影響して、JASRACの収益が長い目で見るとマイナスとなる可能性も指摘されていました。

2017/2/2:
●生徒も不特定の「公衆」…JASRACが音楽教室から著作権料徴収の方針を発表
●カスラック!頭おかしい!ヤクザ!JASRAC新方針、ネットで大炎上
●JASRACの音楽教室から著作権料徴収の方針は正しい 訴訟でも勝利の可能性が高い
●自分で自分の首を絞めるようなもの…JASRACが音楽を殺す可能性
2017/05/17:
●ヤマハがJASRAC提訴へ 「聞かせることが目的でない」というのを論点に
●JASRACはヤマハなど音楽教室を「タダ乗り」と批判
●「ヤマハに分がある」との見解を示す弁護士も
2020/03/05:
●東京地裁「生徒は不特定多数の『公衆』」「文化の発展に反しない」
2020/07/13:
●使用料は「公衆」に対して「聞かせることを目的」とした場合だけ
●音楽教室が著作権使用料を支払う理由は、カラオケ店と同じ?


●生徒も不特定の「公衆」…JASRACが音楽教室から著作権料徴収の方針を発表

2017/2/2:とりあえず、発端となった話から。音楽教室から著作権料徴収へ JASRAC方針、反発も:朝日新聞デジタル(赤田康和 2017年2月2日05時04分)という記事で概要がわかります。

 日本音楽著作権協会(JASRAC)は、ヤマハや河合楽器製作所などが手がける音楽教室での演奏について、著作権料を徴収する方針を固めました。徴収額は年間10億~20億円と推計されています。

 音楽教室では、1人または数人の生徒と教師が練習や指導のために楽曲を演奏。JASRACは、生徒も不特定の「公衆」にあたるとして、この演奏にも演奏権が及ぶと判断しました。作曲家の死後50年が過ぎて著作権が切れたクラシック曲も使われる一方、歌謡曲や映画音楽などJASRACが管理する楽曲を使っている講座も多いとみて、著作権料を年間受講料収入の2・5%とする案を検討しているそうです。


●カスラック!頭おかしい!ヤクザ!JASRAC新方針、ネットで大炎上

 もともとJASRACは嫌われ者ですので、当然ネットでは批判の嵐。ツイッターのコメントをまとめたCeron - 音楽教室から著作権料徴収へ JASRAC方針、反発も:朝日新聞デジタルも大半が批判でした。というか、私が見たのは全部批判でしたわ。パーフェクトです。

もう見苦しいにも程があるでしょこの団体
えねぐま(@energygorilla)
⇒JASRACが本来の理想や趣旨も見失って、組織の保全を最優先にして世界を食い潰していく様は、遠未来SFシナリオの縮図感ある。
深山(@ksk_miyama)
カスラック顕在でおますな
e5(@e5e5nisiteyanyo)
頭おかしい
Dragonlord(@gameruuu) -
JASRACは調子に乗りすぎ
はらもとこけし(@nyahiz)
やり過ぎじゃない?→
銀の兎(@ginnousagi) -
JASRAC「音楽が憎い。音楽を滅ぼすのだ! /
タマニチェンコ(@qtamaki)
音楽教室でうた歌ったり、ピアノ習うだけでJASRACにお金払えって?やりすぎだろう!これじゃ、鼻歌も歌えないよ。
倫理的情報社会を目指す(@Use_IT_ethical)
ひゃあー
上がりが出ないから、なりふり構わずかすめ取るんですかあ
まんま893さんですねぇ
花札(仮)すずき(@trumpsuzuki)
ただ金が欲しいだけってのがばればれ
なんで個人orグループのレッスンが 不特定の人へ向けた「公衆」になるわけ?
西武村山(@seibu_murayama)
音楽教育の妨げ
今更 それはないだろう
3人息子と猫3匹の親父(@ruirikurei1)
音楽教室から金取る?
入場料を取る演奏会・コンサートでもなく、違法DLで楽譜を配る訳でもないのに…
この理屈が通れば、鼻歌からも金が取れるだろう。おかしい
makaran@記事増加中(@d_makaran)
JASRACはヤマハが長年育ててきた音楽文化を破壊するつもりか。
I.C.L(@hisa55ma)


●JASRACの音楽教室から著作権料徴収の方針は正しい 訴訟でも勝利の可能性が高い

 一方、はてなブックマークの人気コメントでは、法的には間違っていないという指摘が出ていました。

“肯定はしないけど感情論抜きで言えば法に則ってやっているだけ。だから気にくわないのなら「JASRACがー」ではなく、法にフォーカスを当てないとダメだと思う。”(ybc 2017/02/02)
“この件でJASRACをヤクザというのはバカの証拠。教育目的の35条、非営利無償の38条どちらも使えないのがきつい。(BigHopeClasic 2017/02/02)

 では、専門家の見方はどうでしょう? JASRACが音楽教室からも著作権使用料を徴収しようとする法的根拠は何か? 2/2(木) 11:11を見てみました。この記事の作者である弁理士の栗原潔さんによると、過去に以下のような判例があり、"仮に裁判で争っても音楽教室側はちょっと苦しいのではないか"としていました。

<2004年に社交ダンス教室における演奏(CDプレイ)は「不特定多数」に向けてものであり、演奏権の許諾は必要(許諾がなければ損害賠償の責を負う)との判決が名古屋高裁で出されており、JASRACが勝訴しています>


●自分で自分の首を絞めるようなもの…JASRACが音楽を殺す可能性

 ただし、栗原潔さんは別にJASRACのこの行いが良いことだと思っているわけではありません。はてなブックマークでも、「法的な問題ではない」というコメントの方が、先程のものよりさらに人気になっていました。

“「法律的には正しい」と擁護している人がいるけど、それは「徴収してもいい」というだけで「音楽文化振興のために徴収しない」という選択肢もあるのにそれを選ばなかったから批判されている。”(goodfield 2017/02/02)
“こういうことするからカスラックとか呼ばれるんだよ。擁護してる人たちもいるけどこれがどういう問題をはらんでるかよく考えて欲しい。”(KoshianX 2017/02/02)

 また、最も多かった人気コメントは、この方針が音楽産業を縮小して、自分で自分の首を絞めるのではないかというもの。

“要はJASRACは、「音楽が嫌い」で、「音楽やってる素人が大嫌い」、というわけだ。音楽なんて滅んでしまえ、くらいに考えていそうだなマジで。”(JA8XOH 2017/02/02)
“音楽教室は、教材として多くの楽譜やCDなどを購入し著作権料を払ってくれてる上客だと思うんだけど。あまり締め上げたら教室潰れまくって収入減にならない?”(worthlesswaste 2017/02/02)
“自分で音楽を演奏する人はその後も聞き手として音楽にお金を払ってくれる優良顧客になる可能性が高いのに。取れるところからなんでも取るという姿勢で音楽文化振興になるのかしら?”(dub 2017/02/02)
“「角を矯めて牛を殺す」ですね。”(Baatarism 2017/02/02)

 最後のことわざ「角を矯(た)めて牛を殺す」は、曲がっている牛の角をまっすぐにしようとして、牛を死なせてしまうこと。枝葉末節にこだわって、いちばん大事なものをダメにしてしまうたとえだそうです。しかし、これで本当に音楽がダメになるか?と言うと、別の道もあるかもしれません。

“著作権が切れたクラシック曲とか、フリー音源とかが整備されるいい契機になったらいいな”(rti7743 2017/02/02)

 著作権管理団体はJASRAC以外にもあります。私もJASRACは嫌いですので、ここから脱JASRACの大きなムーブメントが起きてくれないだろうかと、ちょっと期待してしまいます。


●ヤマハがJASRAC提訴へ 「聞かせることが目的でない」というのを論点に

2017/05/17:ヤマハ、JASRACを提訴へ 教室演奏の著作権めぐり:朝日新聞デジタル(赤田康和 2017年5月16日00時48)という続報が入ってきました。訴訟により、使用料率など金額の多寡が問題でなく著作権がそもそも及ばないと訴える狙いだそうです。

 著作権法は、公衆に直接聞かせたり見せたりする目的で演奏する「演奏権」を、作曲家や作詞家が専有すると定めています。ヤマハや河合楽器製作所など教室側が2月に結成した「音楽教育を守る会」側は、「技芸の伝達が目的で聞かせることが目的でない」という解釈。一方、JASRACは「人気曲を使い、魅力を生徒が味わっている以上、聞かせることが目的」と反論しています。

 「JASRACは自分たちを法の番人と勘違いしている」 著作権問題でヤマハが徹底抗戦の構え 2017年5月16日 18時55分 キャリコネニュースによると、音楽教育を守る会の担当者は「教室での演奏が『演奏権』の発生だと解釈するのはやりすぎです。彼らは自分たちを法の番人か何かと勘違いしています」と言っていました。

 また、「2012年にカルチャーセンターから徴収を始めたことなどを根拠に、音楽教室からも徴収しないと不公平、と、もっともらしく主張しているようですが、カルチャーセンターと教室とでは、音楽の使用目的が違います」と指摘。カルチャーセンター等でBGMとしてCDを再生するのと、教室で指導のために使うのとでは、音楽そのものを鑑賞対象とするか練習材料とするのかで全く異なるという説明です。


●JASRACはヤマハなど音楽教室を「タダ乗り」と批判

 一方でJASRACの広報担当者は、音楽教室を「作者の作った楽譜にただ乗りして利益を得ているようなものです」と批判。他にも以下のように言っていました。

「会員は、全員が作詞・作曲だけで食べていけているわけではありません。世論が『ただで使ってもいいじゃないか』という風潮に動いていることに、不安を感じるという声も聞きます。企業として大々的にやっているところからは、きちんと頂戴しなければと思っています」

 ただ、上記は他の主張との矛盾を感じます。先の朝日新聞に書いていたように、JASRACは「人気曲を使い、魅力を生徒が味わっている」という主張でした。

 あと、正当かどうかが問題なのであって、儲かるかどうかは本質的な問題ではないものの、音楽教室の曲の無償使用がむしろ作詞・作曲者の利益になっている可能性もあります。前回書いた音楽産業を縮小してしまう可能性であり、本が売れない原因は図書館のせい?出版不況で新潮社らが口撃、「貸し出しの1年猶予」を求めると似たような問題です。


●「ヤマハに分がある」との見解を示す弁護士も

 最初の投稿では、JASRAC勝利の可能性が高いのではないかとしていました。が、今回の記事では、そうではない見方も出ていました。ツイッターで「ヤマハに分がある」との見解を示した ある弁護士は、キャリコネニュースの取材に対し、以下のようにコメントしています。

「教える先生と生徒の間でしか発生しない、第三者に聴かせるわけではないものを演奏と解釈するのはどうなのだろうか。楽譜を購入する際にも著作権料を支払っているのだから、それで充分なのではないか」

 文化庁著作物流通推進室の担当者は、「今までこの解釈については明確ではなく、根拠にできる判例がありません」としており、今回の裁判は曖昧だったルールを明確化させるものとなりそうです。


●東京地裁「生徒は不特定多数の『公衆』」「文化の発展に反しない」

2020/03/05:最後の追記部分であったように「ヤマハに分がある」との見解を示す弁護士もいましたが、法的にはJASRACが正しいとする見方が優勢。なので、私は残念ながら音楽教室側の敗訴を予想していました。そして、実際、東京地裁での判決もJASRAC勝訴となっています。

<「ヤマハ音楽教室」をはじめ、音楽教室を運営する全国約250の個人・企業・団体が、日本音楽著作権協会(JASRAC)を相手取り、音楽教室で演奏される曲の著作権使用料を徴収できないことの確認を求めた訴訟で、東京地裁(佐藤達文裁判長)は28日、音楽教室側の請求を棄却し、JASRAC勝訴の判決を言い渡した>
(音楽教室で演奏の著作権使用料めぐる訴訟 JASRACが勝訴 東京地裁 毎日新聞2020年2月28日 13時42分(最終更新 2月28日 13時42分)より)

 有料記事ですが、別記事の「生徒は不特定多数の『公衆』」音楽教室の曲使用料徴収、JASRAC主張認める 東京地裁判決 毎日新聞2020年2月28日 19時49分(最終更新 2月28日 19時49分というタイトルから地裁の判断が少し見えます。また、記事では、以下のような記載もありました。

<東京地裁は28日、「徴収できる」と判断し、音楽教室側の請求を棄却した。佐藤達文裁判長は「徴収は、文化の発展に寄与するという著作権法の目的に反しない」と述べ、JASRAC側の主張を全面的に認めた>


●使用料は「公衆」に対して「聞かせることを目的」とした場合だけ

2020/07/13:もう少し詳しい解説記事があったので補足。2020年3月8日に出ていた音楽教室での演奏にも「カラオケ法理」適用…JASRAC「圧勝」の判決を読み解く - 弁護士ドットコムという記事です。タイトルになっているように、カラオケの考え方と似ているというポイントがあるとのこと。ただ、その前に両者の主張を見ていきましょう。

<著作権法> 著作権の1つに「演奏権」という権利があり、著作権法では、「公衆」に対して、「聞かせることを目的」として演奏する場合、原則として著作権者の許諾、つまりJASRACへの著作権使用料の支払いが必要となると決められている。

<音楽教室側> 音楽教室での演奏の主体は、講師と生徒であり、特定の講師と生徒がマンツーマンまたは少人数で演奏をおこなっているだけなので「公衆」に対する演奏ではないと主張。

<JASRAC側> 音楽教室における演奏の主体は音楽教室自体だと主張。その上で、音楽教室のレッスンは申込をすれば誰でもレッスンを受講することができるため、音楽教室による演奏は「公衆」に対する演奏だと主張。


●音楽教室が著作権使用料を支払う理由は、カラオケ店と同じ?

 主張内容を見ると、音楽教室側の方が理にかなっており、JASRACの主張は頭がおかしいように見えました。しかし、前述の通り、JASRACの圧勝という逆の結果になっています。そして、記事によると、この考え方というのがカラオケと同じなんだそうです。

<カラオケ店舗では、物理的には歌っているのは利用客ですが、法律的にはカラオケ店舗が音楽を利用していると評価されて、カラオケ店舗が著作権使用料を支払う義務を負います>

 また、もう一つの論点「聞かせることを目的」について、音楽教室側は聞き手に感動を与えるようなものではないと主張したものの、そこは無関係と裁判所に否定されます。また、音楽教室によっては、「心に響く生の音を繰り返し聞くことで、聴く力が豊かに育ち、表現する力も育まれます」と宣伝しているところもあるようでした。


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