台湾で脱原発法案が通ったという話を知って、ついでに過去の原発投稿をまとめ。「東芝が倒産危機なのも、原発にこだわったせいだし、東芝以外も苦戦しているよ」という話もまとめてやっていました。その後、日立も三菱重工も撤退となり総崩れ。一方で、政府は「福島原発事故の日本の安全技術で世界に貢献」と主張していました。
2018/12/17追記:
●安倍政権の目玉・原発輸出、日立も三菱重工も撤退
●原発輸出失敗を批判するのは左翼なのか?
2019/04/07追記:
●原発輸出「福島原発事故の日本の安全技術で世界に貢献」と主張
2021/11/28追記:
●その後「原発輸出」の話はどうなった?ニュースを検索すると… 【NEW】
2017/2/6:
●台湾の蔡英文政権、脱原発を推進 アジアで初の脱原発法を可決
●原発推進派ショック!原発大国フランスが脱原発!?
●フランスの脱原発は誤解?「原発中心路線は維持」と報じる記事も
●アメリカは新設を予定しており、原発推進?
●世界で逆風の原発 東芝・アレバ・三菱重工が大損
●安倍政権の目玉・原発輸出、日立も三菱重工も撤退
2018/12/17:東芝の原発推進は実を言うと、政府が絡んでいます。したがって、東芝の大損も政府の責任という側面がありました。これは、
国策企業東芝の倒産危機は国に責任 原発推進でWH買収に圧力かけて高値買いで書いています。
私は脱原発派・推進派ともに嫌われる是々非々の姿勢であり、脱原発派ではありません。ただ、政府が民間企業に介入する方針は不支持。国が民間に介入することは不健全ですし、経営者自身の判断ではないので失敗することが多いためです。保守派の嫌う中国みたいなやり方だとも言えます。稀にうまく行くこともあるでしょうが、基本的に支持できません。
そして、安倍政権は原発輸出も成長戦略の目玉に掲げていたんだそうな。これは全然覚えがありませんでした。ところが、その目玉案件である英国での原発新設計画を、日立製作所が凍結する方向で調整。3兆円規模に膨らんだ事業への出資企業を確保するのが困難で、巨額の損失が出た場合に単独では補えないためとのこと。日立は事業継続の可能性を残すものの、日英両政府にこうした方針を非公式に伝えたといいます。
さらに、三菱重工業もトルコでの原発新設を断念する方向。これで、安倍政権が成長戦略の目玉に掲げた原発輸出の案件は全て暗礁に乗り上げることになるとのこと。また、日本の原発輸出政策は、ベトナムやリトアニアでも撤回や凍結など計画の見直しが相次いでおり、実現のめどが立たなくなっているといいます。
(
日立、英原発計画を凍結へ 安倍政権輸出案件、全て暗礁に - 共同通信 | This kiji is 2018/12/16 16:28より)
●原発輸出失敗を批判するのは左翼なのか?
この
はてなブックマークでは、"テンプレ「日本が失敗したのにうれしそうなコメントをするはてサ」"というのが人気になっていたものの、中国みたいなことして大損しそうなことしていたんですから、批判されて当然。他の人気コメントは普通に批判でした。
hobbling 安倍政権の目玉であった原発輸出が全滅。これ以外もTPP、日韓共同宣言など安倍外交案件が次々頓挫している。/つーか、311があって原発を輸出するとか正気を疑う。
mannin むしろなんで輸出が成功して成長が見込めると思ったのか、そこが知りたい
Yoshitada 経産省はこの10年、失敗ばかりのような気がするけど、何か成功したプロジェクトあったっけ?
zyzy マジで安倍支持者以外「何でそれがうまくいくと思ったの?」案件だったしなぁ……。
hapoa ”安倍政権が成長戦略の目玉に掲げた原発輸出の案件は全て暗礁に乗り上げる”超朗報。安倍がトップセールスしたんだから政治責任取れ。世界はまとも。安倍自民だけ異常
hokkairo 「冷静に物事を見れるなら」誰もが失敗すると思っていたが、ここでも必死に安部政権の原発推進政策を擁護している人がいたな。安部政権を擁護したいあまり、冷静な思考ができなくなってる。一度、頭を冷やしてほしい
「日本を悪く言うな」という話ではなく、日本を悪くしている安倍政権を悪く言っているだけ。この正当な批判を否定する人は、日本よりも安倍政権の方が大事なんでしょうね。
●原発輸出「福島原発事故の日本の安全技術で世界に貢献」と主張
2019/04/07:"世耕経産相 「原発輸出の政策は引き続き進めていく」"(NHKニュース)というニュースがあったことを知りました。該当記事はリンク切れですが、
原発輸出戦略「変更ない」=日立の英計画凍結も-世耕経産相:時事ドットコム(2019年01月18日16時30分)が同じテーマの記事かもしれません。以下のような内容でした。
・世耕弘成経済産業相は閣議後記者会見で、政府の原発輸出戦略について「世界における原子力の平和利用、気候変動問題への対応に責任を果たしていく方針に変更はない」「(東京電力の)福島第1原発事故を経験した日本の安全に関する技術が世界に貢献していく可能性はある」と語った。
・ただ、英原発建設計画を凍結した日立製作所に続き、三菱重工業もトルコでの原発建設計画を断念する方向で調整しており、日本勢の海外原発建設計画は事実上ゼロとなっている。
「福島第1原発事故を経験した日本の安全に関する技術が世界に貢献していく可能性はある」はわかりにくいかもしれませんね。普通は事故を起こすような国の技術は不安全だと考えるのですが、事故を経験したことで他国にない安全に関する技術があるという主張なのです。同じことを中国や韓国が言ったら袋叩きに合うような主張でしょう。「原発事故を起こした東電には、他の電力会社にない安全に関する技術がある」でもたぶん袋叩きですね。
リンク切れしていたNHKの方の
はてなブックマークでは、以下のような反応が人気に。太平洋戦争を思い出している方も多かったようです。
memouse35 まあ自民党は普通の日本人の皮を被った自分だけ良い思いをするためには国まで売る反日政党だから違和感ない
nanana_nine お前のポケットマネーでやれよ
tekitou-manga 二次大戦中の政府を見ているようだ。そろそろ民間の実害の和が兆の桁に乗るのでは
kiringo こうやって戦争に負けてゆくんだな。
●その後「原発輸出」の話はどうなった?ニュースを検索すると…
2021/11/28追記:その後、原発輸出はどうなったか?と検索したものの、検索上位に2021年のニュースはなし。最も新しいのは、2020年9月28日の
原発輸出戦略 「看板」を書き換えねば:東京新聞 TOKYO Webですね。タイトルでわかるように、自民党政権の原発輸出を肯定化するものではなく、批判するものです。
<日立製作所が、英国での原発新設計画から完全撤退することを決めた。原発輸出は政府の成長戦略の柱の一つ。だがもはや、原発に資金は集まらない。世はまさに再生可能エネルギーの時代である。 (中略)
福島の現状を見れば、原発に未来がないのは一目瞭然だが、国策への配慮が撤退時期を遅らせたのではなかったか。
東芝は既に一八年に、海外での原発事業から手を引いた。三菱重工業もトルコでの建設計画を断念する方向といい、日本の原発輸出は“総崩れ”の状態だ>
その後原発輸出の話がないといのは、原発輸出が失敗したためだと思われますが、話がないこと自体が問題ですね。政治家や官僚は様々な政策を掲げて実行し、データ的な根拠なく成功したと主張することが多い一方で、それが成功したか失敗したかどうかの判断すらしないということも多いです。なんとなくフェードアウトするのではなく、きちんと原発輸出の失敗を認め検証し、責任を取るべきでした。国民もこの失敗を忘れてはいけません。
●台湾の蔡英文政権、脱原発を推進 アジアで初の脱原発法を可決
2017/2/6:台湾の蔡英文政権については、日本で歓迎している人が多くいました。保守派も支持しています。ただ、その保守派が渋い顔をしそうなのが、脱原発計画。以下は毎日新聞ですので、左翼の捏造だと保守派は言いたがるかもしれませんが、産経新聞も"台湾、脱原発法を可決 アジアで初、2025年廃炉 再生エネ拡大へ"という記事を書いていました。
「脱原発法」可決へ 再エネ比率、大幅引き上げ 毎日新聞2017年1月10日 21時09分(最終更新 1月11日 00時02分)
【台北・鈴木玲子】台湾の蔡英文政権が2025年までに脱原発を実現するため提案した電気事業法改正案が11日にも立法院(国会)で可決される見通しになった。脱原発が実現すれば、アジアでは初めて。代替の再生可能エネルギーを今後9年間で普及・拡大させられるかが鍵だ。
とはいえ、世界が脱原発のトレンドにあるとは言えません。日本の保守派が大嫌いな中国というのは、この問題だと彼らの味方になってくれています。中国を応援しましょう。(というか、これはいつも書いている「日本の保守派はむしろ中国政府とよく似ている」の一つですかね?)
欧州ではドイツが脱原発に転換したが、アジアでは中国やインドが原発建設を進めている。
●原発推進派ショック!原発大国フランスが脱原発!?
私が今回合わせた過去投稿というのも、海外のトレンドについてでした。もともとは2012/2/17に書いていたものです。まず、原発大国であるあのフランスが方針転換か!?という、原発推進派にはショッキングな話から。
原発大国フランスが政策転換?大統領選の争点に(日経ビジネスオンライン 大竹剛 2012年1月23日)では、フランスについて以下のようなニュースを伝えていました。ただ、飽くまで「かもしれない」程度のもの。
欧州の“原発大国”が岐路に立たされている。電力の75%を原子力発電で賄っているフランスが今年、原発政策を転換するかもしれない。
きっかけは、今年4月の大統領選だ。現在、支持率で現職のニコラ・サルコジ大統領を上回るのが最大野党の社会党の前第1書記、フランソワ・オランド氏である。このオランド氏が、原子力政策の見直しを公約に掲げているのだ。
その中身は、現在稼働中の58基の原子炉を寿命が訪れたものから順次廃炉にして、2025年までに24基に減らす。それにより電力の原発依存度を50%以下に引き下げるというものだ。
(中略)福島第1原発事故の後、フランスの原子力産業は世界的な原発需要の失速や安全対策強化によるコスト増で打撃を被っている。世界最大の原子力企業アレバは、2011年の営業損益は14億~16億ユーロ(約1400億~1600億円)の赤字になった見通しで、2015年までに10億ユーロ(約1000億円)のコスト削減をすることを打ち出している。
1月3日には、規制当局である原子力安全機関(ASN)が、福島第1原発事故を受けて実施していた原発の安全性評価の結果を公表。ASNは、今すぐ停止しなければならない原発はないとしながらも、原発の継続運営には福島第1原発事故のような深刻な事態への早急な対策が必要とした。洪水に耐えるバックアップ電源の確保などの安全強化策には、巨額の投資が必要となる。
こうした逆風に加え、オランド氏が当選して原発を段階的に減らすことになれば、原子力産業が吸収してきた雇用が失われるほか、代替エネルギーの確保により電力価格は確実に上昇する。それは、原発を運営するフランス電力公社(EDF)の負担となり、最終的にはドイツの半額に近かった低い電力料金を享受してきた国民の生活にはね返ってくる。
●フランスの脱原発は誤解?「原発中心路線は維持」と報じる記事も
上記は2012年のもの。じゃあ、今は?といくつか見たものの、上記以上の情報が見つからず、よくわかりませんでした。とりあえず、
原子力撤廃 - Wikipediaでは、以下のように書かれている部分がありました。
<フランス>
<原発大国であるフランスは、原発推進を国策としてきたが、福島第一原子力発電所事故後の世論は脱原発に傾きつつある。2011年6月に行われた世論調査では、全原発の「即時停止」または「25-30年かけた段階的停止」に賛成する国民は77%に上っている[63]。2012年5月の大統領選挙では、「2025年までに原発依存度を50%に減らす」と「減原発」を表明し、フランス最古のフッセンハイム原発の「速やかな閉鎖」を公約に掲げた社会党のフランソワ・オランドが当選した。その一方、オランドは大統領就任後外交政策として積極的な原子力発電所の輸出を表明しだした。欧州債務危機からの打開策の一環として2012年12月アルジェリアを訪れ、同国政府と原子力発電所の建設促進で合意している>
また、当時もただちにフランスの転換を意味するものではないと思われます、と断っていました。
原発の寿命延長が最善…仏、40年超稼働を勧告(2012年2月14日17時52分 読売新聞)によると、原発中心路線は維持という感じだったのです。
<原発の将来像をめぐるフランス政府の諮問委員会は13日、報告書「エネルギー2050」を答申し、原発の運転期間が40年を超えても、安全性が確認されれば稼働を継続するよう勧告した。
原発の運転期間は仏でも40年とされてきたが、報告書は「原子力安全局(ASN)が容認する限り、原発の寿命を延長するのが我が国にとって最善策」と明記した。一方、原発の寿命を示さないまま、「古い原発の廃炉に備え、数基の次世代型『欧州加圧水型原子炉(EPR)』建設や再生可能エネルギーの開発に取り組む」よう求めた>
●アメリカは新設を予定しており、原発推進?
当時投稿したタイトルは、"海外の原発事情 ~フランスの転換?とアメリカの新設~"というもので、アメリカの話もセットでした。そして、アメリカはフランスとは逆に原発推進のトレンドのように見えたのです。
米原子力規制委員会(NRC)は9日、東芝子会社の米ウェスティングハウス・エレクトリック(WH)の原子炉を採用した、南部ジョージア州のボーグル原子力発電所内の原子炉2基の建設・運転を認可した。米国で原子炉の新規建設認可は1978年以来。(中略)
NRCは米スリーマイル島原発事故(79年)後、新規建設を認めてこなかった。AP通信などによると、委員5人のうち4人の賛成多数で認可が決まった。
ヤツコ委員長は反対票を投じた。反対理由として、福島第1原発で起きた部分的な炉心溶融(メルトダウン)の防護対策強化を新型原子炉の事業者らに強制していない点を指摘した。他の4委員は、既に昨年の見直し作業で安全性は強化されたとした。
新たに建設されるのはWHの新型加圧水型原子炉「AP1000」。昨年12月、NRCはこの原子炉の設計を認可していた。出力は1基110万キロワットで、建設費は約140億ドル(約1兆870億円)。米エネルギー省から83億ドルの融資保証を受ける。1基は2016年、別の1基は17年の運転開始を目指す。
昨年の福島第1原発事故を受け、NRCは米国内の原発104基の安全性を検証。7月に福島と同じような事故が「米国で起きる可能性はほとんどない」と結論付けた特別委員会報告をまとめ、原発新設に問題はないとしていた。
オバマ政権は、地球温暖化対策の観点から、原発建設を容認する方針を示している。
米原子力規制委:34年ぶり原発新設認可 委員長は反対毎日新聞 2012年2月10日 10時24分(最終更新 2月10日 15時45分)
●世界で逆風の原発 東芝・アレバ・三菱重工が大損
ところで、この記事で出ている「WH」に見覚えありません? これはおそらく東芝が買収したウエスチングハウスのことでしょう。そして、このウエスチングハウスが東芝の倒産危機の諸悪の根源です。したがって、アメリカでも原発事業があまりうまく行っていないと考えられます。
そして、この原発事業の不振は、東芝に限らないと言われています。以下のような指摘がありました。
「東芝」だけではない「原発事業」の世界的衰退 新潮社フォーサイト 投稿日: 2015年09月14日 16時02分 JST 更新: 2016年09月13日 18時12分 JST
欧米の先進国市場で原発ビジネスが終焉に向かっていることは否定しようがなく、巨額の案件を受注してきた大手メーカーがプロジェクトの破綻で泥沼にはまりつつあるのは東芝のケースに限らない。
既に2012年の記事で書かれていたように、フランスのアレバも大苦戦していました。というか、そもそもアレバは倒産していたんでしたっけ? "フランス国有の原子力大手アレバが2014年12月期に48億ユーロ(約6170億円)の最終赤字を計上して事実上破綻"と書かれていました。
また、三菱重工も"米カリフォルニア州のサンオノフレ原発の配管破損事故をめぐり、事業会社の米電力大手サザン・カリフォルニア・エジソン社(SCE)から巨額の損害賠償を請求されてい"ます。
原発は安全面でリスクが大きすぎると言われますが、リスクの大きさはそのままビジネスそのものにも当てはまりそうです。
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