札幌医大付属病院で臨床研究に関する不正の問題が指摘されました。主に「研究で細胞を採取した患者から同意を得ていない」というところが、問題となっているようです。
なので、普通の研究不正とはちょっと系統が異なるのですけど、後述するようにこうした手続で不正があった場合に、研究そのものでも不正が発覚することがしばしばあります。
もちろん、同意を得ていないってことそのものも、十分に問題ですけどね。
●札医大病院准教授の臨床研究で不正の疑い
札幌医大付属病院が厚生労働省から不正の疑いを指摘され、腫瘍・血液内科で男性准教授らが行った臨床研究について、事実関係の調査を行っていることが9日、わかったそうです。
(
札医大病院、臨床研究不正か 承認・同意得ず 腫瘍・血液内科 | どうしんウェブ/電子版(社会)(02/10 09:30、02/10 09:32 更新))
厚労省の指摘は、昨年8月以降で、以下のような内容でした。
《1》院内の臨床研究審査委員会(IRB)の承認を得ていない
《2》研究で細胞を採取した患者から同意を得ていない
《3》研究計画書に沿って実行されていない
病院側は、具体的な研究内容は「調査が終わっておらず、明らかにできない」としています。
●厚労省の疑惑指摘より先に匿名の告発がきっかけか?
ただ、別記事では、たぶん同じ件だと思われる研究に関して、もう少し具体的な話が出ていました。こちらだと、匿名の告発状がきっかけで、「厚生労働省からも調査を求められている」としています。
・問題となっているのは、医薬品などの開発や効果を確かめるために実施した臨床研究。同科の男性准教授らのグループが11年から実施した白血病などの血液疾患に関する研究で、研究結果は12年に英国の医療雑誌に発表されている。
・患者13人分の血液などを無断で使った疑いがある。
・昨年6月に「院内の臨床研究審査委員会の承認を受けていないのではないか」との匿名の告発状。委員会の承認を受けていることは確認できたが、患者の同意を得ていなかった可能性があることが判明。
(
臨床研究で患者血液など無断使用か 札幌医科大付属病院:朝日新聞デジタル 2017年2月10日13時22分)
●承認に関する不正をする研究者は、研究内容での不正が発覚することも
朝日新聞の方を見ると、厚生労働省が指摘した「臨床研究審査委員会(IRB)の承認を得ていない」は、誤解だったようです。
ただ、この手のものとして思い出したのが、サプリメントの機能の試験で、大学の倫理委員会で審査・承認を受けていなかったという兵庫医科大の件。これは研究そのものも不正だった可能性がありましたし、今回も問題が拡大するかもしれません。
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問題は虚偽記載だけではない?兵庫医科大・西崎知之教授の経歴 書籍『認知症はもう怖くない』のサプリメント試験が問題に また、同様に承認に関する不正をやっている人は研究そのものもヤバイという最大の例となるのが、世界三大研究不正の黄禹錫元教授の件です。
黄禹錫元教授の場合にも最初は、卵子を「違法に入手している」というのが問題だったのですが、そこから研究不正疑惑に飛び火したという経緯があります。
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韓国黄禹錫研究不正事件の情報提供者、脅迫で退職し逃亡生活していた なお、今回疑惑を指摘していた厚生労働省は、第2次安倍内閣のときに研究不正問題で内部告発潰しをやっているところです。
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J-ADNIデータ改竄で厚労省田村憲久大臣、内部告発のもみ消しをはかる 他の研究不正問題でもそうなのですが、日本の場合、不正を取り締まる側の問題も大きく、そちらも並行して是正していかなくてはなりません。
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