全日空が「重要な経営課題」で緊急会見すると報道各社に通告したため、ANAHDの株価が乱高下するという出来事がありました。 (2017/2/20)
その後、冒頭に「格安で乗れるANA株主優待券、数億円の不正転売」「ANAが不祥事を隠蔽したのが悪い理由」を追記しています。(2017/12/26)
●格安で乗れるANA株主優待券、数億円の不正転売
2017/12/26追記:ANA関係者によると、ある社員が以下のような事件を起こしたそうです。
・数年間にわたり、使用済みの格安で国内線に搭乗できる株主優待券を持ち出してチケットショップに持ち込み、「未使用」と偽って繰り返し転売。
・使用済みの株主優待券はただちに捨てられず、紙ごみとして倉庫に保管していた。
・使用済みの株主優待券はシステム上で再使用を防ぐ処理をしていたが、一部についてこうした処理がされていなかった。社員は再使用可能な優待券だけを選別して不正に持ち出していた。
・不正転売で得た利益は数億円に上ると判明。
・事実関係を認めた元社員は懲戒解雇。
・優待券が使用済みか外見で判断できるようスクラッチ印刷を削る方式に変更。
・内部調査で約2年前に発覚したが、公表していなかった。
(
ANA株主優待券不正転売 数億円利益か 元グループ社員解雇も不祥事公開せず 産経ニュース / 2017年12月25日 6時2分より)
●ANAが不祥事を隠蔽したのが悪い理由
産経新聞が問題視していたのは、"多大な損害を受けかねない事案の公表を同社は見送っていた"ということ。"不祥事の隠蔽(いんぺい)ともとられかねず、関係者からは対応を疑問視する声があがる"と書いていました。
なぜダメか?というと、株価に影響する可能性があるため。
富士ゼロックスの不適切会計、富士フイルム本社が原因か?売上プレッシャーの存在指摘なんかも疑われていますが、株価が下がらないように敢えて公表しなかったのでは?という疑いです。今回の件は、ANAが想定していなかった損失が出かねないものでした。
「損害に関する株主への説明責任などを考慮すると、事実関係は速やかに公表すべきだったのではないか」(元検事で企業の危機管理に詳しい山本憲光(のりみつ)弁護士)
また、産経新聞は、"製品データ改竄(かいざん)問題で、事態を把握しながら長期間公表しなかった企業が批判されるなど、不祥事に対する「企業の姿勢」が問われるケースは少なくない"という例も挙げていました。
(関連:
日本企業の不正事件 神戸製鋼データ改ざん、東洋ゴムの免震ゴム不正、日産、三菱自動車やスズキの燃費不正、三菱マテリアル)
なお、もともと書いていたのは、株価の方に関係するもので、ANAの説明不足で株価が乱高下って話でした。
●説明下手すぎANA「重要な経営課題」緊急会見で株価乱高下 実はただの社長交代
2017/2/20:一時は前日終値より7%も株価が下がったといいます。そりゃ「重要な経営課題」という思わせぶりなタイトルですから「何かあった!」と考えるのが普通ですからね。
しかし、社長交代の発表だと伝わり、株価は回復。しかも、本当に普通の社長交代であり、想定外の業績の悪化や、不祥事などがあったわけではありませんでした。"社内の慣例に従って4年で退き、若返り"(篠辺修社長(64)→平子裕志取締役(59))ということで、むしろ慣例通りですらあるようです。
(
全日空、新社長に平子氏 「緊急会見」報道で株価乱高下:朝日新聞デジタル 2017年2月16日20時35分より)
これはANAの説明が下手すぎて、アホじゃないか?と思う発表でした。おそらく他の人がどう見るかを全く考えていなかったんでしょうね。例えば、マイナビニュースの記者は、以下のように書いていました。意味深な発表に振り回されたことがよくわかります。
・重要な経営課題という表現は、どうしても“不祥事”に直結してしまう。
・昼には一部のメディアが「今回の発表は社長交代か」という趣旨のニュースを報道した。だが、何しろあの表現だ。そのニュースを読んでも、社長交代だけでなく、重要な何かが発表されるのだろうと考えた。
(
ANAの社長交代会見が招いた少し笑えない意外な事態 マイナビニュース2月16日(木)18時57分より、一部要約)
●相手のことを考えることができないANA経営陣
会見でこのことを突っ込まれたときも、篠辺修社長はわけのわからないことを言っていました。マジで何の考えもなかったようです。
篠辺修社長 「表題について、中で合議して決めたわけではなかったものですから、少し反応に驚きました。ですから経営の案件の中で重要な決定には違いないんですけれども、そういう意味ではもう少し表現がなかったかなというのは正直反省をしております。
実際に冒頭にご説明をしたとおり、臨時の取締役会で決めたのは人事案件で社長交代のことだけであります。現在、それはもちろん中期計画がローリング中でありますから、その中ではテーマは盛り込んでおりますので、いずれ丁寧なご説明はいると思いますけれど、今現在第3クォーターの決算説明のやり取りを、こういったあと、なにか特別な事情が起きているかというと、それはまったく起きておりません。
むしろ、まだ説明をできていない検討中のアイテムについて、できるだけ早くまとめてご説明をしていくというのがよいのかなと思っております。そういう意味では、人事案件だけであることをどう表現すればいいのかなというのは改めて感じました。申し訳なかったかなと思っております」
(
ANA、“重要な経営課題”報道で株価乱高下 篠辺社長「申し訳なかった」 - ログミーより)
●荷物未搭載でフライトのときにもANAは対応が悪かった?
緊急記者会見で株価乱高下の話だけだと短いので、他に何を書こうかとあれこれ悩みました。そうやって悩む中で思い出したのが、ANAの「手荷物積まずにフライト 到着後に事後報告」事件です。この件は、よりによってクソ忙しいお盆シーズンという、2016年8月12日に起きた事件でした。
・東京羽田空港を出発した全日空(ANA)の22便で、乗客が預けた荷物を積まずに出発。うち12便は、全ての乗客の荷物が未積載。
・荷物未搭載は、事後報告。ANA広報部は、「本来であれば事前にお知らせするべきだが、案内が間に合わなかった」と説明。
(
ANA、羽田発の22便で乗客の荷物を積まずフライト 到着後の空港は大混乱 BIGLOBEニュース編集部8月12日(金)13時5分より)
実を言うと、この件では「運航を遅らせると空港全体が麻痺してしまうためにそのまま飛ばしたファインプレー」といった、むしろANAの対応は素晴らしかったと褒める解説も多く出ていました。ただ、「案内が間に合わなかった」というANAのオフィシャルな説明を見ると、そもそも手荷物がなかったこと自体把握していなかったように見えます。
また、今回の株価乱高下騒動を見ていると、そもそもそこまで頭使って仕事していないんじゃないかな?とも、私は思ってしまいました。
一方、この手荷物事件では心温まる話もあったので、お口直し的に最後にリンクしておきます。
ANAの荷物トラブルで楽器が届かなかったバンド、ザ・チャレンジがRISING SUN ROCK FESでライブをやり遂げるまでの軌跡 #RSR16 - Togetterまとめ【本文中でリンクした投稿】
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富士ゼロックスの不適切会計、富士フイルム本社が原因か?売上プレッシャーの存在指摘 ■
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