<アリに寄生して操る動物>というタイトルで、アリをゾンビ化して操り首を切るタイコバエと、やはりアリをゾンビ化する寄生菌という、2種類の寄生生物について書いていました。これに<寄生しまくり?魚の眼球に寄生して操る寄生虫は巻き貝や鳥も利用>という話を追加しています。
●アリをゾンビ化して操り首を切るタイコバエ、脳髄をすすり成長
2011/7/12:なんか作り話のようなのですが、ただ単に動物に寄生するだけでなく、ゾンビ化して操るという生物がいるようです。
アリをゾンビ化して操るタイコバエ May 15, 2009 ナショナルジオグラフィックで知りました。
記事によると、タイコバエというハエは、アカカミアリという毒針を持つ凶暴なアリの一種を見つけると、その体内に針のような管で卵を産み付けるそうです。そこでふ化したタイコバエの幼虫(ウジ)はアカカミアリの頭の中へ移動し、そこで脳髄をすすりながら成長していきます。
この時点で既にすごい話だと思いますが、さらに驚くのが、この後しばらくすると、アリはウジにコントロールされているかのように動き始めるということ。寄生されたアカカミアリは同じ巣のアリからの攻撃を避けるため、タイコバエの幼虫に操られるかのように巣を出て行きます。
たいていは、湿り気のある緑の多い場所にたどりつくものの、さまよい続ける“ゾンビ”アリもいるそうです。そして、また恐ろしいのが、タイコバエのウジはアリの首を切り落としてしまい、内部を食べながらさらに成長し、成虫に近い蛹(さなぎ)になるということです。
●アリさんは寄生生物に大人気!寄生菌にも寄生されて操られてゾンビ化
ところが、アリに寄生して操るのはタイコバエだけじゃないのです。
寄生菌感染したゾンビアリ、正午に死す May 12, 2011によると、今度はハエでなく、(Ophiocordyceps属という菌類でした。この菌類はタイの熱帯雨林の上層部、いわゆる林冠に暮らすオオアリを標的にしています。菌類はまず、アリの脳を直接狙わずに、脳や神経系に影響を及ぼす化合物を分泌します。
これをもってすぐにゾンビに…とはならず、感染して完全にゾンビ化するまで3~9日ほどかかるようです。それまでは、しばらく自分の巣でほかのアリと接触し、エサも食べるなど、いつも通りの生活を送るということで、これはこれで恐ろしい話です。
その後、菌類が神経系を乗っ取ってゾンビ化したアリは、正常なアリだとめったにそれない樹上の道からそれ、当てもなくさまよいます。そして、痙攣(けいれん)を起こして林冠から落下、森林の下層、地面から25センチくらいの位置に留まるそうです。その落下した場所というのが、菌類の繁殖にうってつけである、涼しく湿気が多い環境…というわけでした。
●本当にそんな都合よく行くの?葉っぱをくわえさえてから絶命させる
菌類のアリへの操作はその後も続き、数日後、アリに1枚の葉をかませ、アリの頭の中で増殖した菌類の細胞が、下顎を開閉する筋肉の繊維をばらばらにしてしまいます。
すると、アリは“開口障害”で痙攣を起こし、たとえ絶命しても葉をがっちりとくわえ続けるという寸法。これで菌類がアリの体外に向けて成長するためのベースができたというわけで、菌類は毒を使い、用済みとなった宿主を殺してしまうとのこと。恐ろしい話ですが、物語はまだ続きます。
それからまた数日後、今度は絶命したアリの頭部から、菌類の子実体が伸びてくるとのこと。その雄ジカの枝角にも似た子実体は胞子を放ち、近くを歩いている別のアリに付着し、また新たな犠牲者とするようです。
ちょっとできすぎなくらいにできすぎた話で、本当かな?と思ってしまいますが、一番種類の多い動物は虫だと言いますし、まだまだ虫の世界には不思議がいっぱいなのかもしれません。
●寄生しまくり?魚の眼球に寄生して操る寄生虫は巻き貝や鳥も利用
2017/05/22:虫の話ではないのですが、
魚の目に寄生して、魚を意のままに操る恐ろしい寄生虫の生態が明らかに(ロシア研究) : カラパイア(2017年05月21日)という記事があったのでここに追加。タイトルの「魚の目」を「うおのめ」(足の 裏などにできる食い込み)と読んでしまったものの、「おさかなの目」って意味ですね。
これは、ジプロストマム・シュードスファテセウム(Diplostomum pseudospathaceum)という魚の眼球に潜む寄生虫の話でした。ただ、魚の目に寄生する以外にも、鳥の中に卵を生んだり、巻き貝に感染したりと、他の動物たちも利用して暮らしています。寄生しまくりに見える寄生虫ですね。
(1)幼虫は水中で孵化し、淡水に住む巻き貝の類に感染。
(2)巻き貝で十分に成長すると水中へと移動。
(3)今度は魚にとりついて皮膚を突き破って侵入。やがて眼球にたどり着き、そこに身を隠す。
(4)寄生虫が幼虫のときは、宿主の魚が捕食者に食べられないよう安全な行動を促すという親切なことをしている。
(5)しかし、成虫になると一転して、あえて鳥に狙われるような危険な行動を行わせる。
(6)見事に魚が鳥に食べられると、鳥の消化器内で、フンの中に卵を産みつけて、(1)に戻る。
●宿主が捕食者に食べられないように安全な行動を促す親切な寄生虫
上記の(4)であった「宿主が捕食者に食べられないよう安全な行動」というのは、意外なことに泳ぎを鈍くすること。そうすることで捕食者の目に留まりにくくなり、魚網にもかかりにくくなるんだそうです。要するに安全運転ですね。
ですので、成虫になって鳥に食べてもらうのはこの逆で、スピードの出しすぎにするということだとわかります。実際、より活発に泳ぐことがわかりました。また、同時に水面付近に留まることも明らかになっています。試しに水槽に影を作り、鳥の襲撃を模してみたところ、魚は固まって身動きしなくなってしまったそうで、「どうぞ食べてください」と言わんばかり。露骨でした。
なお、他の生物を操るという話ですと、
大事な役割を持つ便所コオロギ(カマドウマ) 川魚の栄養の6割を占めるというのもやっています。予想外に人気した投稿でもありますので、オススメ。寄生する生物は信じられないような話が多くて、おもしろいですね。
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