アパホテル元谷外志雄代表の反ユダヤ発言が、海外で炎上したという話。また、アパ代表は過去にも別の陰謀論を主張していたという話や、保守派にこうした陰謀論が蔓延しているという話もやっています。
●アパホテル元谷外志雄代表、今度はユダヤ陰謀論で炎上 カナダのホテルの室内誌が問題に
政治的な話はなるべくやらないように…と思っているものの、ひどい話が多すぎます。
例のアパホテルの元谷外志雄代表も、まだ断続的に燃料を供給していました。日本メディアではなく、海外メディアであるAFPBBが反ユダヤ発言について報じています。これは、「中国がー」「韓国がー」という話ではなく、世界的に問題になるものです。
アパホテル代表、「反ユダヤ」発言で再び物議 南京事件否定に続き AFPBB News / 2017年2月16日 7時18分 記事によれば、アパグループは北米でもホテル40軒経営しているそうです。そして、ここでも例によって主張を載せたものを部屋に置いているようで、カナダの滞在客向け室内誌の2月号に問題となる発言が掲載されていました。
カナダのニュースサイト、ナショナル・オブザーバー(National Observer)と英字紙ジャパンタイムズ(Japan Times)によると、元谷氏表は以下のように主張していたそうです。
「ユダヤ人はアメリカの情報、金融、法律を支配している他、税金を一切払わなくてもいいように膨大な利益を租税回避地に移し、グローバリゼーションから多大な利益を得ている」
●あまりにも無知なアパホテル元谷外志雄代表
この件に関しては、より詳しい内容が、別のところで報じられています。
アパグループ代表がユダヤ団体から抗議受け「ユダヤ陰謀論」 撤回!「南京虐殺なかった」は開き直ったのに リテラ / 2017年2月19日 12時30分 こちらではAFPBBでなかった名前関係も明記。カナダのホテルチェーン「コーストホテル」の客室にあった機関誌「Apple Town」が、問題の雑誌のようです。
そして、「ユダヤのグローバリズムにアメリカ国民が反撃」なる小見出しで、以下のように書いていたとしています。
「ベトナム戦争にせよイラク戦争にせよ、アメリカの戦争の背景には常に軍需産業や国際金融資本の存在があります。国際金融資本とはつまりユダヤ資本です。アメリカの情報と金融と法律はユダヤに握られており、グローバリズムは彼らにとって大きなメリットがあります。莫大な利益をタックスヘイブンの国に移動して、税金を払わなくて済むのですから。そしてユダヤの多くが民主党支持です」
戦争陰謀論は当然問題外ですが、"ユダヤ人をひとくくりにして、タックスヘイブンで不当に租税回避を行っているなどというのも、「金に汚い」「ずる賢い」といった典型的なユダヤ人差別にほかならない"と記事では指摘しています。
「ユダヤの多くが民主党支持」なんかも大嘘で、そもそもトランプ大統領がイスラエルに近すぎることが、今後中東で問題を引き起こすのではと不安視されているくらいです。
ここらへんは、元谷代表がいかに無知で、いかにいい加減なことを言っているかという典型となっています。
それから、記事では、元谷代表の過去の反ユダヤ発言も紹介していました。
〈先の大戦の遠因は、メディアのせいで、ユダヤ人を敵に回してしまったことだ〉
〈国を失い二千年に亘って流浪の民となり、辛酸をなめ尽くしたユダヤ人だが、その間にユダヤのネットワークを作り、世界中で金融・メディア・法曹界を牛耳り、自分達を守る手段として、情報謀略戦を展開してきた〉
〈アメリカのマーケティング会社は大統領選の時には膨大な予算を使って依頼候補を応援したり、敵対候補を非難するネガティブキャンペーンを実施して効果をあげている。ユダヤの情報ネットワークを使い事実に反する記事や報道を改めさせる〉(「アップルタウン」15年11月号)
●南京大虐殺否定でも見えていたアパ代表の「陰謀論」
また、これに関連して、以前の南京大虐殺否定の時点で、アパホテル代表および保守に陰謀論が蔓延していることを指摘する記事があったことも紹介しておきます。
なお、指摘している人は、自身も保守派である古谷経衡さんです。
アパホテル問題の核心~保守に蔓延する陰謀史観~(古谷経衡) - 個人 - Yahoo!ニュース 古谷経衡 | 文筆家/著述家 1/24(火) 23:13
アパホテルは1月17日に自社グループの公式サイトにて、問題になった件の元谷代表による書籍の一部を引用して、次のように反論を行っていました。ここで既に「コミンテルン」という陰謀論でお馴染みのワードが出ていたのです。
アパグループ・客室設置の書籍について*一部筆者による要約あり、強調筆者
日本を激怒させ国民党政府軍と戦争をさせる為に、中国保安隊によって日本人婦女子を含む二百二十三人が残虐に虐殺された「通州事件」や、「大山大尉惨殺事件」、更には、国民党政府軍に潜入していたコミンテルンのスパイである南京上海防衛隊司令官の張治中の謀略によって、上海に合法的に駐留していた日本海軍陸戦隊四千二百人に対して、三万人の国民党政府軍が総攻撃を仕掛けた第二次上海事変を起こすなど、中国は日本に対して次々に挑発を繰り返し、それまで自重し冷静な対応を取っていた日本も、中国との全面戦争を余儀なくされたのであり、不当に日本が中国を侵略したわけではない。(中略)そもそも既に南京を攻略した日本軍にとって、南京で虐殺行為をする理由はない。一方、通州事件や大山大尉惨殺事件、第二次上海事件などでの日本人に対する残虐行為には、日本軍を挑発し、国民党政府軍との戦争に引きずり込むというコミンテルンの明確な意図があったのである。
●保守派とネトウヨに蔓延する「陰謀論」
古谷経衡さんは、"「コミンテルン陰謀史観」というのは、何も元谷氏固有の思想ではない"と、指摘しています。
日中戦争や日米戦争(大東亜戦争)は、すべて「コミンテルンによって引き起こされた謀略」であり、当時の日本はその被害者であるという史観は、保守やネット保守に蔓延しているとしていました。
古谷さんは、例えば、田母神俊雄さんの論文に「コミンテルン陰謀史観」がそのまま出ていたことを挙げていました。この論文はアパ代表が主催の賞で最高賞をもらっていたというものであり、そもそも彼らは考え方が近いんですね。
この論文は、
秦郁彦酷評の「真の近現代史観」懸賞論文受賞者ら 田母神俊雄以外にも豪華な顔ぶれで過去に紹介していますが、保守派が好んでいる秦郁彦・元日本大学法学部教授ですら、「通常の懸賞論文コンテストなら、選外佳作にもならない内容だ」とボロクソに言っていたもの。デタラメな内容なんです。
また、私からは別の例も追加。まず、最初のユダヤ陰謀論で問題になったアパ代表の発言というのは、実は対談でのものであり、その相手はこれまたトンデモで有名な自民党の片山さつき参院議員だったということ。自民党議員もこの陰謀論に疑問を思っていないことがわかります。
また、コミンテルン陰謀論以外ですが、自民党にいた武藤貴也議員が、アメリカが「日本精神」を、戦後の対日政策で完全に「抹消」しようとしていた、といった主張をしていました。
(
武藤貴也議員、基本的人権は「生存権」であっても制限が「常識」と戦前を羨む 日本国憲法が諸悪の根源と批判より)
こういった捏造に騙されちゃいけませんよ。古谷経衡さんや秦郁彦さんがそうであるように、保守派でも信じないようなめちゃくちゃなデマを流している偽物が、保守派の中に混じっているのです。
【本文中でリンクした投稿】
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秦郁彦酷評の「真の近現代史観」懸賞論文受賞者ら 田母神俊雄以外にも豪華な顔ぶれ ■
武藤貴也議員、基本的人権は「生存権」であっても制限が「常識」と戦前を羨む 日本国憲法が諸悪の根源と批判【その他関連投稿】
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