米の産地偽装は許容されているものだと思っていたので、この前あった偽装米報道の反応がネットで大きかったことに驚きました。まあ、もちろん不正が許されて良いわけではないので、批判しちゃダメってことはないのですけどね。
この話だけだとそれ以上書きたいこともないのでスルーしていたのですが、名指しされていたJAグループ京都の米卸業者『京山』の担当者の反論は、ちょっとおもしろいと思ったので一つ書いておくことに。
●JA系の京都の米卸「京山」を名指しで報道
まず、話題になったダイヤモンド・オンラインの記事は以下のような内容です。
・JAグループ京都の米卸「京山(きょうざん)」が販売する複数のコメに産地偽装の疑いがあることが本誌の調べで分かった。
・例えば、「滋賀こしひかり」の10粒中6粒が中国産と判別された。
・コメの検査は、生育地で異なる安定同位体(同じ元素でありながら、わずかに重さの違うもの)の構成比から産地を調べる手法で行った。
「JAのコメ」に産地偽装の疑い、魚沼産に中国産混入|週刊ダイヤモンドSCOOP|ダイヤモンド・オンライン(2017年2月13日 「週刊ダイヤモンド」編集部 千本木啓文)
●JA産地偽装報道は誤報?そもそも中国米は高いなどと反論
で、反論なのですが、最近の中国産米は高いということをまず言っていました。
「そもそも、中国米を混ぜるなんて 。いま中国米は1キロ249円ほど。でも1キロ260円で滋賀県産こしひかりが買えるんです。わざわざ(安くはない)中国米を買って混ぜるなんて、そんなリスクを犯す理由がありません」(JAグループ京都の米卸業者『京山』の担当者)
(
「米産地偽装」報道で名指しされた業者が反論「絶対に潔白」 WEB女性自身 / 2017年2月24日 6時0分より)
一応、中国産米がそれほど安くなかったとしても、産地偽装の可能性はあります。これだけでは、反論としては十分ではありません。
例えば、単純な話、産地が異なれば売れ行きが異なります。売れ行きが異なるということは、価格設定も異なるでしょう。中国産米を中国産として売るより、魚沼産コシヒカリとして売った方が高くなるからです。
また、水増しすることで、実際にある魚沼産コシヒカリの量より多くの「魚沼産コシヒカリ」を売ることができます。昔から、魚沼産コシヒカリは収穫量より販売量が多いと言われていました。
私が「米の産地偽装は許容されているものだと思っていた」というのは、こうした理由。日本の販売者が産地偽装を行っているというのは、今に始まった話ではないのです。
余談ですが、過去にやっているように、最近はコシヒカリ以外のお米のレベルが上がっており、相対的に見てコシヒカリの地位は低下しています。なので、魚沼産コシヒカリだと偽装するメリットも減少傾向でしょうから、結果的に偽装は減っているのではないかと想像します。
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反論としておもしろかったのは、この中国産米は高いというものではなく検査方法の話。
ダイヤモンド・オンラインでは、安定同位体による検査について、以下のように主張していました。
・この手法は「安定同位体比による産地判別」と呼ばれ、ヨーロッパではチーズやワインの原産地の特定に使われている。世界的に信頼性が担保された検査技術だ。
・本誌が検査を依頼した同位体研究所は、2009年以降、行政検査や司法鑑定などで1000件以上の精米の産地判別を行ってきた。
・行政から検査を受託するには産地判別で9割以上の検査精度がなければいけない。同研究所のコメの産地判別の精度は92.8%だ。
ところが、京山の担当者は、この検査方法にケチをつけています。
「あの検査結果は絶対に間違っています!ウチには普段から農水省の抜き打ち検査もあり、また外部機関である穀物検定協会の人間も常駐していて、外部のチェック機能も働いているんです。そもそも、安定同位体による検査は、まだ技術が完全には確立されていません」
これだけだと、ただ文句言っているだけに見えます。しかし、説得力を感じたのが、実はもっと良い検査方法があるということ。
「だから正式な産地検査には、米のDNAを調べるのです。
ダイヤモンドさんが頼んだ研究所ではDNA検査もやっているのに、なぜか今回、そちらの結果は記事に出ていません。おそらくDNA検査では国産米という結果が出ているのでしょう。裁判で、ダイヤモンドさんからこのDNA検査の結果が開示されれば、必ず我々の身の潔白を証明できると思っています」
ダイヤモンドの記事では、「検査を依頼した同位体研究所は、2009年以降、行政検査や司法鑑定などで1000件以上の精米の産地判別を行ってきた」と強調していたものの、これが別の検査方法であれば全く意味がなくなります。ここは非常に気になるところです。
●混入できる中国産米、そもそも輸入されていない?
また、元農水省の食品Gメンとして食品偽装の監視、摘発を行ってきた『食の安全・安心財団』の中村啓一事務局長は、以下のように述べていました。
「正直なところ、まだ(真偽は)わからないですね。記事で疑問なのは、農水省の発表では、13~15年度の中国産うるち精米短粒種の輸入実績は ない とされているのに、では混入されているという中国産米は、どこから手に入れたものなのかと。農水省の立ち入り検査の結果が出るまでは、何とも言えない状況ですね」
もし仮に輸入されていないはずの中国産うるち精米短粒種があるとすれば、密輸だということになります。ダイヤモンドの報道が正しければ、さらに大ごとになってきそうです。
が、ダイヤモンドの大誤報という可能性もありますし、それはそれで大ニュースに。どっちに転んでもたいへんな件で、なかなか見ものですね。
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