「犬と猫、どっちが賢い?」という永遠の問題。結論を先に言っちゃうと、犬は犬、猫は猫、それぞれの尺度で賢いという話。ただ、犬と猫とで知性の特性が大きく異なるために、「犬の方が賢い」あるいは「猫の方が賢い」と見えてしまう場面があるようです。
2022/02/13追記:
●頭の良さが全然違う避け方?鹿と猫とカラスの車の避け方の違い
2022/05/24追記:
●ネコは同居ネコや飼い主の名前をわかってる?衝撃的な結果に… 【NEW】
●犬と猫、どっちが賢い?藤田和生・京都大学教授による説明
2017/3/4:大体こういうのは比較すると揉めるのですが、タイトルはもろに比較になっている、
動物学の権威に聞いた「犬と猫、賢いのはどっち?」 プレジデントオンライン / 2017年1月29日 11時15分という記事。犬派と猫派で争いになっていまいでそうです。ここで、京都大学大学院文学研究科心理学研究室の藤田和生教授は、まず、「犬と猫、どちらが頭がいいかという前に、知性とは何かを考えてみましょう」と、賢さについての整理を最初に行っていました。
「知性とはいわば“その動物の生き方に合った形で情報を処理する力”のこと。たとえば大雪の後、道の状態が気になれば、人は外から帰ってきた人に尋ねて靴を選ぶでしょう。犬なら自分で歩いて道の状態を確かめるでしょう。では鳥は? たぶん何もしません。空を飛ぶ鳥にとってはどうでもいいことだからです。でも鳥に知性がないわけではない。つまり、その生き物が生きるために必要な情報をどれだけ上手に取り込めるか。それが知性が優れているということなんです」
この流れで分かる通り、どっちが賢いというわけではなく、犬は犬、猫は猫としての知性を発揮しているという話です。「犬と猫、どっちが賢い?」というのは、よくない考え方なんですね。これは、習性が異なる犬や猫を人間の習性で考えてしまうようなものかもしれません。そういうと人間が賢くない感じなんですが…。
●賢さの違いではない!計算できる犬がいるのに猫ではいない理由
ということで、「どっちが賢いというわけではなく、犬は犬、猫は猫としての知性を発揮している」という話でした。ですので、当然、この犬の知性と猫の知性には、それぞれ異なる特徴があるということになります。犬は「飼い主に従順」で、猫は「単独で行動する」といった特徴が指摘されていました。
犬は社会性がもともと高い動物であり、なおかつ1万8000年ほど前から家畜化されたので、人の環境になじむタイプの犬が選択されてきました。
犬は猫の仲間であり狼の亜種に過ぎない 猫も山猫の亜種で同じ種でやったように、犬と狼は同じ「種」ですが、狼にそういった性質がないのはそのせいです。犬が従順すぎて嫌いという人がいますが、そう考えるとひどい話ですね。人間に品種改良されて人好きになったのに…という話です。
猫が家を空ける間、放っておいても大丈夫なのに犬がダメというのも、犬が賢くないからではありません。猫はもともと単独行動型な一方、犬は人なしじゃ生きづらいように改良されてしまったためなのでしょう。関連して、犬が飼い主の顔色を読み取るという話としては、以下のような話もおもしろかったです。
「扇風機に細長い紙をつけて回すと、紙がぴらぴらして怖いですよね。そんなとき、犬は飼い主の顔を見ます。飼い主が怖そうにしていると行かない。にこにこしていると行く。つまり、人の行動を手掛かりに行動する能力があるということです」
実はこれ、「犬ほどではないですが、猫もできます」とのこと。ただ、人への依存度は前述の通り大きく違うので、やはり弱いのです。そして、ここでタイトルにした「犬と猫、どっちが賢い?」と「計算できる犬がいるのに猫ではいない理由」の両方に関わる話がありました。賢さの問題ではないのです。
<よくテレビ番組に計算できる天才犬が登場するが、それは飼い主の反応を見て、正解の数だけ吠えているのだろうと藤田氏は言う。では、猫は?
「認知テストの結果は犬も猫もほぼ一緒です。でも飼い主への依存度が犬のほうが高いんです」
認知能力では猫も負けていないのに、計算できる猫が出てこないのは、飼い主への依存度が低いからというわけか>
●「計算できる犬」はトリック!インチキだと指摘する人が続出
ところで、「計算できる犬」自体が、私には聞き覚えがなかったので検索してみたんですよ。すると、インチキだ!と指摘する人々がたくさん出てきました。例として、
2015/12/28)のYahoo!知恵袋と
2015/5/5のYahoo!知恵袋のやり取りを紹介します。2つ目は特にヤフー知恵袋らしい殺伐とした感じになっていました。(以下、改行は一部変更しています)
・質問
<朝の情報番組“スッキリ”で計算できる犬、しいたけ君が簡単な算数問題を吠えて答えていた。紙に1➕2=3だと、3回吠える。見てる限り飼い主に変な動きは、無いように、見えましたが犬に数字の概念や計算が出来るはずかない。飼い主はどのように、正解の数字を吠えさせてたのでしょう?>
・ベストアンサーに選ばれた回答
<飼い主が、答えの回数だけボードを触っていました。時計(4時)の場合、丸くなぞって1回+3回人差し指でつつく=4回という具合に>
・質問
<計算ができる犬がテレビでやってましたが、指が微妙に動いて合図してましたよね?犬の反射神経が早いんで、わかりずらいと思っているようですが僕は騙されませんよ?
テレビ側も確信犯で盛り上げようとしてるな。ほかにネタはなかったのか。つまらん。テレビ終了です>
・ベストアンサーに選ばれた回答
<あれは「計算ができる」んじゃなくて、「計算ができるふりをする芸ができる犬」ですよ。
動物の芸ってのはそういう心もちで見るものであって、真に受ける方がアホです>
・他のアンサー
<そんな解りきった事を今さら『僕だけが解っちゃいました』みたいに自慢気に書き込む貴方のピュアさに大笑いです>
・質問者の返信
<つまり論点はこんなくだらないことを視聴者は騙されるやついるんだろ?みたいなかんじに司会者やレポーターが「わースゴーイ、飼い主は動いていませんでしたよー」っていって、視聴者をあからさまにバカにして騙してるのがいけないと言ってるんですよ!
テレビは終了!!>
ただ、まあ、トリックがあってもすごいですけどね。どの犬でもそういった芸ができるわけじゃありませんから。あと、以前、犬に芸をいろいろと教えている人は、芸を教え込ましているという感じじゃなくて、お互いに楽しみながらやっているという話をしていたのも思い出しました。やはり犬の飼い主への依存度の強さというのが、わかる話です。
●頭の良さが全然違う避け方?鹿と猫とカラスの車の避け方の違い
2022/02/13追記:鹿のところでやった話ですが、猫の賢さ関係ということでこちらにも追記。最近車に乗っていて、道路の前、かなり遠くの方に何か見えるな…と思ったら鹿の群れでした。道路上と左右の脇…とまんべんなくいます。雪しかなくて何も食べるものなさそうなのに何が食べている様子。不思議でしたが、道路付近の雪解けが早いために、顔を出しているわずかな草を食べていたのかもしれません。
この鹿の群れで困ったのが、徐行して何回かクラクション鳴らしながら近づいてもなかなか逃げてくれなかったこと。そもそも全然気づいてくれなかったのですが、相当近づいて気づいてからのリアクションがまたのんびり。こんなんで野生で生きられるの?というくらい、もっさりしているのです。
ゆっくり顔を上げてから「あれ、ぶつかりますかね?どうですかね?逃げた方がいいですかね?」とちょっと考えてから、これまたちょっともっさりした感じでやっと1頭逃げます。これを見て、他の鹿もワンテンポ遅れて逃げて行き、やっと逃げていきました。こりゃ事故るわ~という感じです。
同じ時期に3回くらい、カラスが道路脇にいたり、降り立ってきたりしていたことがあったのですが、このカラスたちも直前まで全く逃げません。ただ、鹿のように車を把握していないわけではないんですよ。また、道路脇なので、車が通っても大丈夫と判断しているわけでもないことが、近づいたときの動作でわかります。
カラスの場合、車が来ていることは完全に把握しており、直前になってからちょんと横の雪だまりに跳ね上がるジャンプで避けます。ギリギリかつ最小限の動きで避けるんですね。鹿との違いが際立っていますし、一気に横切ったり立ち止まったりして車にひかれまくる猫とも全然違います。
こうした違いはそれぞれの動物の習性の違いであり、人間的な感覚で賢い・賢くないと考えるのは、厳密には間違い。カラスだけでなく、猫や鹿もそれぞれの戦略で今まで立派に生き残ってきており、戦略が異なるだけです。ただ、こういう避け方の違いを見ると、カラスを賢いと思ってしまうのはわかりますね。
●ネコは同居ネコや飼い主の名前をわかってる?衝撃的な結果に…
2022/05/24追記:<“ネコは同居ネコの名前をわかっている” 研究グループが発表>(NHK 2022年5月17日 5時43分)というニュースが出ていました。さすがネコ賢い!って感じではないニュース。むしろ「知ってた」という話かもしれません。ただ、こういうのはきちんと証明することが大事なんですよね。
<ネコが人のことばを理解しているか探るため、京都大学と麻布大学などの研究グループは、音声でことばを聞かせて画像を見せると、関連性が理解できない時に画像を見つめる時間が長くなるという、人の赤ちゃんで使われる心理学の研究手法を応用して、ネコが別のネコの名前をどの程度わかっているか実験を行いました。
実験は、3匹以上で飼育されている家庭のネコ19匹を集めて行われ、音声で聞かせた一緒に住むネコの名前とは、別のネコの画像をモニターで見せると、一致する画像の時に比べて見つめる時間が平均で1秒余り長くなり、一緒に住むネコの名前をわかっていることが示されたということです>
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220517/k10013629351000.html
麻布大学の高木佐保特別研究員は「自分がネコ好きなこともあり実験を行った。ネコがことばをどの程度、学習しているか探った初めての成果で、ふだんはそっけないそぶりだが、実は注意深くことばを聞いているようだ」と話していました。ただ、ショッキングじゃないか?と思ったのが、同時に行った別の実験の結果の方です。
<同じ方法で飼い主の名前をわかっているか調べたところ、明確な差はでなかったものの、同居する家族の人数が多く、飼育期間も長いほど、飼い主の名前を覚えている傾向がみられた>という話もあったんですよ。飼い主についてはネコの名前より覚えが悪く、「わかっている」と言えるほどの結果は得られなかったようです。
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